ネットでの炎上や情報漏洩を未然に防ぐために必要な「ネットリテラシー」とは?

最終更新日時:2022.09.21 (公開日:2022.08.26)
ネットでの炎上や情報漏洩を未然に防ぐために必要な「ネットリテラシー」とは?

誰もがスマートフォンを持ち、Twitterやインスタグラム、TikTokなどソーシャルメディアで企業や個人は、手軽に情報発信できるようになりました。その反面、不用意な発信を行った結果、批判が殺到する「炎上」などの案件も数多く発生しています。企業にとって「信用」は第一。毀損されることはブランドや事業の存続にすら影響を与えかねないものであり、炎上は決して起こしてはならないことです。

同様に、パソコンやUSBメモリなど持ち運べるIT機器の高性能化・大容量化により、大量かつ貴重な情報の紛失や漏洩が起こりやすくなっています。DX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれる現代、情報資産およびIT資産は企業の生命線であり、紛失や漏洩はなんとしてでも防がねばなりません。

炎上や情報漏洩といった事態を回避するために、個人個人が認識しておく必要があるのが、「ネットリテラシー」です。今回は企業にとってのネットリテラシーに関する情報をまとめてみました。

もくじ
    1. 「ネットリテラシー」とは?
    2. 今日もネットのどこかで「炎上」が起きている!
    3. 「ネットリテラシー」を手に入れるためにルールを策定する
    4. 炎上を防ぐには、なによりも「教育」が重要
    5. まとめ

1.「ネットリテラシー」とは?

「ネットリテラシー」は「ネットを適切に使う能力」のことを言います。

リテラシーの元となる英単語「literacy」は、「識字能力(読み書きできる)」という意味の単語ですが、日本語で「リテラシー」と言う場合は、「○○を適切に使う能力」という意味合いで用いられています。

単に「ネットリテラシー」と言う場合、その対象は広く、企業の情報発信管理や未成年の子供たちが安全にネットを使えるように心がけることなども含まれます。これらを踏まえ、本記事では企業および所属する個人にとってのネットリテラシーを扱います。

2.今日もネットのどこかで「炎上」が起きている!

今やネット、特にソーシャルメディアにおいて「炎上」の文字を見ない日はないと言えるほど、炎上は日常化しています。例えば、かつてコンビニエンスストアのアルバイト店員が冷凍食品の陳列用ショーケースに入ってみせた写真をSNSに公開したことで大問題となりました。

「バイトテロ」とも呼ばれるこのような悪ふざけからの炎上は、結果として該当店舗が閉店に追い込まれるケースもあり、「悪ふざけでした」では済まされません。

また、銀行や小売店などに著名人が来店した際に、店員が彼らを撮影した写真や購入した品物をSNSに公開するといった事例もありました。著名人相手とはいえこれは重大なプライバシーの侵害であり、到底許されるものではありません。

さらに企業アカウントの担当者が企業広報用アカウントと自身のプライベートアカウントを取り違えて投稿し、企業アカウントで誹謗中傷や品のないツイートをしてしまうような事例もありました。

これらの事例に共通する問題として、一度ネットで広まってしまった情報は完全に消し去ることができないことが挙げられます。ネットにおける汚名(stigma、スティグマ)、あるいはネット上に半永久的に残る痕跡から「デジタル・タトゥー」とも呼ばれ、投稿者本人の意思とは無関係に非常に長く残り、時に拡散していきます。

炎上が起きてしまう最大の原因は、やはりユーザーの不用意・非常識な情報発信が原因となることが多いようです。そしてなぜそのような情報発信をしてしまうのかと言えばそれは「ネットリテラシー」の不足が原因です。

3.「ネットリテラシー」を手に入れるためにルールを策定する

では企業や団体は、どうすれば組織としてネットリテラシーを備えることができるのでしょう?

「SNSを使うからトラブルが起きる。だからうちはSNSやらない!」

こういった極端な対応をごく一部の企業で見かけることがあります。しかしSNSが社会インフラ化しつつある現在、組織としてSNSをやらないという選択は決して良い判断ではありません。なぜなら、SNSをメインに使っているユーザーから見たら、その企業や団体は存在しないことと同じ意味になるからです。

そのような状況を避けつつ、さらにネットの危険な点を正しく認識しネット/SNSに強い企業となるために役立つのが、ソーシャルメディア(SNS)利用時の指針となる「ソーシャルメディアガイドライン」、そして自社の持つ情報をどのように扱うかの指針となる「情報セキュリティポリシー」です。組織を構成する全員がこれらを遵守していくことが大切です。炎上などの危険性を回避する力を身につけることができるのです。

SNS利用時の指針「ソーシャルメディアガイドライン」

ソーシャルメディアガイドラインとは、広義ではネットを利用するすべての利用者が守るべき指針や決まりごとです。2010年代からソーシャルメディアガイドラインを作成する企業や団体が増え、今では多くの企業・団体が、自らのネットへの関わり方に関する指針として作成しています。

日清製粉の例

例として、日清製粉グループのソーシャルメディアガイドラインを紹介します。

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日清製粉グループの「ソーシャルメディアガイドライン」

同グループのソーシャルメディアガイドラインは、以下の2項目からなっています

1. 社内外の法規・ルールの遵守
2. ソーシャルメディアにおける情報発信や対応についての自覚と責任

法律と社内のルールに従うこと、ソーシャルメディアの性質を理解して発信することが明記されています。ネットを利用する際に当然のことのように思えますが、これらが利用者の一部に正しく理解されていなかったからこそ炎上案件が起き続けているわけです。このガイドラインは、ネットを利用する際のエッセンスが凝縮されたものと言えるでしょう。

日本赤十字社の例

もうひとつの例として、ガイドラインの例として、日本赤十字社のソーシャルメディアガイドラインを紹介します。

PDF5ページ分に及ぶ詳細な内容です。特に私的利用の際にも遵守すべき項目として「就業時間中には利用しないこと」を挙げるなど、具体的に守るべき事項が記されています。

ソーシャルメディアガイドラインに規定する内容には企業や団体の社風や文化が反映されていることが多いようです。

「情報セキュリティポリシー」で情報取り扱い方針を定める

情報セキュリティポリシーは企業・団体が定めるもので、自らが保持する情報の取り扱いに関する方針をまとめたものです。企業活動とITが切っても切れない関係となった昨今、情報セキュリティポリシーは規模の大小を問わずすべての企業が策定すべきものです。

このようなポリシーの必要性は理解していても、策定担当者が決めるべきルールの具体的なイメージをつかむのが難しい場合には、総務省が公開しているページが参考になります。

ここでは、攻撃に対する予防だけでなく破られた場合の対処が必要であることや、一度作ったら終わりではなく見直しが必要であることなど、具体的なポイントが紹介されています。

各人のソーシャルメディアへの使い方を規定したソーシャルメディアガイドライン、企業の持つ情報の扱い方を規定した情報セキュリティポリシー。両者は、ネットリテラシーを身につけるための両輪とも言えるものであり、どちらも必要なものです。

4. 炎上を防ぐには、なによりも「教育」が重要

ソーシャルメディアガイドラインや情報セキュリティポリシーを策定しても、運用規定を徹底させなければ張り子の虎です。これらの方針はある意味常識的なことが多く含まれており、「言われなくてもわかっている」といった態度のベテランから軽んじられることもあります。しかしセキュリティ関連は進化が速く、かつての常識が通用しないこともよくある分野です。すべての関係者が他人事ではなく「自分事」として、これらの方針について学べるようにする必要があります。

また業種によっては、前述の日本赤十字社のガイドラインにもあるように、勤務内容に関わることについての私的なSNSの使用、情報発信についても、明確なルールを設ける必要があるかもしれません。

特に雇用期間が比較的短いアルバイトを雇用する場合、時間と手間はかかってもネットリテラシー教育を実施することが大切です。これはバイトテロを防ぐために必要なコストだと言って良いでしょう。

まとめ

情報漏洩やソーシャルメディアにおける炎上といった、企業にとって望ましくない事態を避けるためには、ネットリテラシーの向上が不可欠です。
そのためにもソーシャルメディアガイドライン、情報セキュリティポリシーといった指針を策定し、関係者全員への周知徹底が重要です。

執筆者:飯岡 真志

ライター

アスキーで技術系雑誌の編集に携わる。おかげでLAMPを駆使してサイト作るくらいはできる。現在はライティング、CMS、翻訳など。使用中→AWS/Perl/PHP/MySQL