システム開発は自社による内製だけではなく、アウトソーシングができる時代となりました。
しかしこれまで内製だけでシステム開発を行ってきた企業にとっては、アウトソーシングはよく分からないことも多いのではないでしょうか。
アウトソーシングはもはや珍しいものではありません。
むしろ業務効率化を考えたら、アウトソーシングは貴重な選択肢の一つと成り得る物です。
そこで、アウトソーシングの役割、さらには利用時の注意点をまとめていますのでご覧ください。
- もくじ
アウトソーシングの役割
「アウトソーシング」とは、外注することを意味します。
自社で行っていた業務を、外部に任せる行為のことです。
特に近年はクラウドソーシングというサービスが台頭してきたことから、アウトソーシングの選択肢も増えています。
質の高いアウトソーシングも多々ありますので、アウトソーシングを上手く活用することで、自社の業務効率化も実現することができます。
例えば、コア業務となるものは自社で行い、簡単な作業系のタスクはアウトソーシング業者に任せる環境を構築することで、業務品質を高め、自社の人的資源を付加価値の高いコア作業に投下できます。
これは、ひいては、自社の利益の最大化へと繋がっていくでしょう。
このように、アウトソーシングは、自社の可能性を広げてくれるものへと変わりつつあるのです。
外注と内製のそれぞれのメリット
システムを外注するメリット
リソースの最適化
システムのアウトソーシングのメリットとして挙げられるのがリソースの最適化です。
コア業務は自社で、比較的簡単な作業系のタスクはアウトソーシングで行うことで、自社の貴重なリソースをコア業務に充てることができます。
また、業務拡大のために人を雇うとなれば雇用のための広告費、さらには人件費がかかるだけでなく、必要なくなった時に解雇することができず、費用が莫大にかかります。
しかし、アウトソーシングであれば必要な時だけ依頼すればよいのです。
暇な時は自社で行い、忙しい時だけアウトソーシングを頼ることもできます。
このように、自社主導でリソースの最適化をもたらすことが可能です。
システムの内製を行うメリット
柔軟性
システムを内製する、つまりアウトソーシングを頼らない場合、全て自社で行うことになりますので柔軟性は高まります。
例えば、アウトソーシングを利用する場合、依頼だけではなく確認なども常に相手とのコミュニケーションが求められます。
連絡には時間がかかります。
場合によっては行き違いになってしまうこともあるでしょう。
しかし内製であればそのようなことは起きません。
自らが判断・決定を行うことができるため、システム開発をスムーズに行えます。
また、アウトソーシングはメリットも多々ありますが、基本的に費用が発生します。
直接的な発注費用はもちろんですが、業者の選定等、時間的なコストもかかります。
しかし内製であればそれらの時間・手間が不要です。
システム開発におけるアウトソーシング業者の選び方
システム開発において、アウトソーシングの利用を考えた場合、選ぶべきポイントがあります。
アウトソーシングはシステム開発以外のジャンルでも見かける業態ではありますが、システム開発にてアウトソーシングを選ぶ際の注意点を把握していきましょう。
依頼したいシステムの開発実績が豊富かどうか
システム開発は、各人、各社のスキルが問われるものです。
どの会社に依頼するかによって、システムの品質や運用等が変わります。
そのため、できればシステム開発の実績の豊富な業者へのアウトソーシングが好ましいです。
システム開発は一つのミスが致命傷をもたらし、会社に大きな損失をもたらしたり、社会的信用を損ねることにもなりかねません。
任せても安心できるのかは、委託先が何ができるかですが、何ができるかは、それまでの実績で判断できますので、まずは実績を確認しましょう。
アウトソーシング業者の社内開発が多いかどうか
アウトソーシング業者がシステムを直接開発するのか、あるいはアウトソーシング業者もアウトソーシングをするのか、つまりは再委託するのかも必ず確認しておきましょう。
社内での開発を行っている業者であれば信頼性が高まりますが、再委託している場合、費用が高まると共に、いざという時の連携に手間がかかります。
例えば、技術的な問い合わせをしても、委託先が直接手掛けているわけではないので分からないのです。
委託先もまた、再委託先に問い合わせますのでどうしても時間がかかります。
その点、直接開発している業者であれば連絡面もスムーズです。
保守・運用時のアフターケアがあるかどうか
構築が完了し、保守・運用のフェーズに入った後も、フォローやアフターケアがあるのかも重要です。
保守・運用のフェーズでは、自社の狙い通りの運用が行われているのかフィードバックを行いましょう。
もし、初期の要件や元々の依頼からズレている箇所があった場合、アウトソーシング業者がどのような対応を行うのか予めチェックしておく必要があります。
全てのフォローを行うことが必須だと求めるのではなく、どういった対応をしてくれるのかという点を確認すると良いでしょう。
コミュニケーションがスムーズにとれるかどうか
システム開発は、一つのミスで予期せぬ動きをしてしまうこともあるため、慎重を期す必要があります。
そのためには、委託先との密なコミュニケーションが重要になるので、スムーズなコミュニケーションが可能なのかも重要な判断材料になります。
また、連絡を入れても返事が来るまでに時間がかかる業者と、すぐに返事が来る業者とでは、信頼感も変わります。
システム開発におけるアウトソーシング時の注意点
システム開発におけるアウトソーシング時の注意点がいくつかあります。
これらを踏まえ、アウトソーシング業者を選定しましょう。
相見積をとる
システム開発のアウトソーシングは、規模によって費用相場が大きく異なります。
そのため、複数の会社から見積もりを取りましょう。
特に初めてアウトソーシングの依頼を考えている場合、一社だけに見積もりをとっても、提示された金額が高いのか安いのか分かりません。
また、額面だけで判断するのではなく、費用対効果で考えることも重要です。
いくら安くとも、質が悪ければ後々トラブルに発展します。
また、トラブル発生時に適切な対応ができないケースも考えられます。
責任の範囲を明確にする
アウトソーシングした際の責任の範囲について、明確な基準を設けているのか、あるいは明確にしてくれるのかも重要なポイントです。
システム開発は、万全の態勢を期して行ったとしても何らかのトラブル・アクシデントが発生してしまう可能性があるデリケートなものです。
世の中にはシステム開発に関するトラブルは多々ありますが、いずれもトラブルを起こそうと思って起こしているものではありません。
つまり、トラブルやアクシデントもある程度想定する必要があります。
その際の責任の範囲を、口約束ではなく契約不適合責任、瑕疵担保契約等契約を結ぶ業者を選んだ方が、いざという時も安心です。
口約束の場合、トラブルが発生した際には、責任のなすりつけ合いになるケースが多いです。
開発業者に任せきりにしない
システム開発を外注するとはいえ、業者だけに任せきりにするのではなく、きちんと発注側が関与すべきです。
業者に任せきりになってしまった場合、システム開発が順調なのか、自社が求めているものをしっかりと開発・運用できるのかが不明瞭です。
発注側がしっかりと関与することで、認識違いの是正や進捗具合の把握など、より質の高いシステムの開発が可能になります。
機密保持契約(NDA)の締結をする
機密保持契約を締結できる業者を選びましょう。
機密保持契約の締結は、自社の利益を守ることに繋がります。
特にシステム開発の場合、外部に漏らされたら困る情報も多々あるかと思いますので、機密保持契約とは、業務上知り得た情報を外部に漏らさない契約です。
仮にですが、機密保持契約を締結していない場合、システムの中身そのものを外部に漏らされたとしても、何も言えません。
保守契約を締結をする
システムは開発が終了しても、アウトソーシング先との関係はそれで終わりではありません。
システムを開発した業者とは、保守契約の締結を行っておきましょう。
運用中のシステムに不具合が発生したり、システムが停止し発生し利用者に被害が及んでしまうなど、どんなに作り込んだシステムであれ想定外の事態は起こり得るものです。
こうした事態が起こった場合、システムの中身がわからないと対処しようにもできなくなってしまします。
そのため、システム開発した業者が速やかに原因の特定と解決できるよう、事前に保守契約を締結するのは大変重要です。
また、発注したシステムにバグが潜んでおり、それが原因で重大な過失を生んでしまうケースも考えられるため、システム開発においては「契約不適合責任」(旧:瑕疵担保責任)を盛り込んだ契約を行っておきましょう。
アウトソーシングした場合、品質の確保(品質の重要性)
アウトソーシングを行った際の懸念の一つが品質です。
何度も依頼を繰り返している、信頼できるアウトソーシング業者であれば良いのですが、まだまだ信頼関係が構築できていない業者に任せた場合には、ソフトウェアテストを行うことをおすすめします。
なぜなら、品質こそ会社の信頼に関わる部分です。
ましてやシステムを提供される側にとっては、内製でもアウトソーシングでも関係ありません。
求めるシステムを適切に運用できるか否かだけを判断します。
内製だけではなく、外注でもソフトウェアテストを行い、品質を確保しましょう。
まとめ
システム開発のアウトソーシングを行うことでリソースの最適化のメリットを得ることができます。
しかし、アウトソーシング業者は多々ありますので、コミュニケーションが取れるのか、実績はあるのか、自社開発なのか委託するのかといった点を調査し、信頼できる業者に依頼しましょう。
また、依頼した際には品質もチェックしましょう。
誰が開発したものであれ、納品先からの評判が悪ければ、会社の信頼を損ねることになりかねません。