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スキルアップ 2024.01.18
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エンジニアのための議事録の書き方マニュアル シーン別のコツや効率化する方法

執筆: Qbook編集部

ライター

エンジニアのための議事録の書き方マニュアル シーン別のコツや効率化する方法

「議事録」は、会議や打ち合わせの記録をまとめるうえで欠かせないドキュメントです。

議事録には認識合わせや情報共有の役割がありますが、書き方に問題があるとその役割を果たせない場合もあります。議事録の作成担当者にとっても、組織の議事録運用を改善したい管理者にとっても、議事録の書き方に対する理解を深めることは大切です。

エンジニアは、営業職などに比べると議事録を取る機会は少ないとはいえ、顧客や社内の関係者からのヒアリングなど、議事録を取らなければならない場面も少なくありません。

本記事ではビジネスにおける議事録の書き方に悩む方向けに、シーン別のコツを紹介します。議事録の作成を効率化する方法も紹介するため、ぜひ参考にしてください。

もくじ
  1. 議事録の書き方:盛り込むべき情報
    1. 開催情報
    2. 議題
    3. 要旨・決定事項
    4. 詳細内容
    5. 次回の開催情報
  2. 議事録の書き方:押さえるべき大原則
    1. 「誰が読むのか」を意識する
    2. 客観的な視点で書く
    3. 作成後に必ず読み返す
  3. 議事録の書き方:会議・打ち合わせ中のコツ
    1. 文字起こしに徹し過ぎない
    2. 発言者をしっかり記録する
    3. 必要性が判断できないトピックは記録しておく
    4. 最後に簡単な確認時間を取る
  4. 議事録の書き方:会議・打ち合わせが終わった後のコツ
    1. 発言の意図をくみ取って補足する
    2. 時系列に沿って整理する
    3. 「主観的な意見」と「客観的な事実」を区別する
    4. 各人のタスクを明確にする
    5. 関係者にしっかり共有する
  5. 議事録の作成を効率化する方法
    1. フォーマット・テンプレートを活用する
    2. ツールを活用する
  6. まとめ:書き方のコツを知って議事録の価値を高めよう

1.議事録の書き方:盛り込むべき情報

まずは、議事録に盛り込むべき情報を把握しましょう。議事録のフォーマットは組織やチームによっても異なりますが、次の5つの情報は盛り込むべきです。

1-1 開催情報

会議・打ち合わせの基本事項として、下記の開催情報は基本的に必須です。これらの情報が記録されていない場合、過去の議事録を参照する際に事実関係がわからなくなります。

  • 開催日時
  • 開催場所
  • 出席者

出席者が多数いる場合、「様」のような敬称を付けると煩雑になりがちです。こうした場合は「出席者(敬称略)」のように記載し、敬称を省略するとよいでしょう。

1-2 議題

議題は、会議・打ち合わせを端的に表現するタイトルです。多数の議事録から目当てのものを探す場合、このタイトルが手掛かりになります。後から見ても会議・打ち合わせの内容が容易にイメージできるような、わかりやすい議題を付けましょう。

1-3 要旨・決定事項

要旨は、会議・打ち合わせのポイントを簡単に整理した「まとめ」です。一般的には、その場における決定事項や、周知すべき重要事項などを箇条書きで記載します。また、各人の持ち帰り事項(宿題・タスク)があれば、ここに記載するのが望ましいでしょう。

1-4 詳細内容

詳細内容には、各人の発言内容や議論の流れを含めた詳細を記載します。決定事項に至った経緯や、それほど重要でない議論内容などは、要旨に反映されません。そのため、より掘り下げた内容を知りたい場合に詳細内容を参照するのです。

1-5 次回の開催情報

次回の開催予定がある場合は、その開催情報も記載すべきです。議事録の読み手が次回予定を把握できるだけでなく、後から参照する際にも前後関係がわかりやすくなります。定期開催の打ち合わせや、複数回にわけて実施する会議では基本的に記載しましょう。

2.議事録の書き方:押さえるべき大原則

議事録を書くうえで押さえるべき大原則があります。具体的には、次の3つを押さえておきましょう。

2-1 「誰が読むのか」を意識する

議事録は、読まれてこそ意味があるドキュメントです。読み手に伝わらない書き方では、議事録の役割を十分に果たせません。そのため、「誰が読むのか」を意識して書くことが大切です。

特に、「顧客が読むのか」「組織・チーム内の人だけが読むのか」で書き方は変わってきます。たとえば、システム開発の専門用語を多用すると、その分野に詳しくない顧客には伝わらないでしょう。読み手をイメージし、伝わる書き方を心がけるべきです。

2-2 客観的な視点で書く

議事録には発言内容を記録するため、参加者の主観は入って当然です。しかし、議事録の作成担当者の主観は、基本的に入れるべきではありません。自身の主観を入れると、実際の議論内容がねじ曲がった形で伝わってしまう恐れがあります。

作成担当者自身の意見がある場合は、会議・打ち合わせ中に発言するのが望ましいです。また、時間の都合上議論が簡略的になり、行間を埋める作業が必要になることは少なくありません。その場合も、あくまで客観的な視点を心がけて書きましょう。

2-3 作成後に必ず読み返す

議事録をひと通り書いた後には、必ず読み返しましょう。誰が議事録を作成したとしても、誤字脱字や構成上のミスは生じ得ます。議事録に不備があると相手の心象を悪くするばかりか、大きな誤解が生じることにもなりかねません。

気を付けて書いたつもりでも、問題に気付けないことがあります。作成後に読み返すことで問題を検出し、ブラッシュアップしましょう。1回の読み返しだと見逃す場合があるため、できれば2回以上読み返すのが理想です。

3.議事録の書き方:会議・打ち合わせ中のコツ

議事録の作成では、「会議・打ち合わせ中」「会議・打ち合わせが終わった後」のそれぞれにコツがあります。

会議・打ち合わせ中のコツは以下の4つです。システム開発における例も交えて紹介します。

  1. 文字起こしに徹し過ぎない
  2. 発言者をしっかり記録する
  3. 必要性が判断できないトピックは記録しておく
  4. 最後に簡単な確認時間を取る

3-1 文字起こしに徹し過ぎない

発言内容を記録する際には、文字起こしに徹し過ぎないよう注意が必要です。正確な文字起こしを行うことに気を取られると、本質を見落とす恐れがあります。記録する中でも、発言の意味や流れを考えるようにすることが大切です。

議事録に書く発言内容は、「一字一句間違えてはいけない」ということはありません。細かい言い回しが多少違ったとしても、大筋で合っていれば問題は生じないでしょう。

たとえば「システムの応答時間は3秒以内としたい」という発言があった場合、重要なのは「応答時間」と「3秒以内」です。これらさえ正確に記載できていれば、それ以外の部分は多少変わっても大きな支障はありません。

3-2 発言者をしっかり記録する

誰が何を発言したのか、発言者をしっかり記録しましょう。決定事項に関わる発言の場合でも、発言者が明記されていれば責任の所在が明確です。また、突発的な発言は当の本人が忘れやすいため、議事録に記録しておかないと事実関係がわからなくなります。

議事録は、後から「言った・言わない」のトラブルに発展しがちです。その場合でも、開催直後のほうが解決しやすいでしょう。発言者を記録することは、時間が経ってからのトラブルを防ぐうえでも大切です。

3-3 必要性が判断できないトピックは記録しておく

議事録の作成担当者には、発言を記録すべきか判断できないケースもあるでしょう。会議・打ち合わせの中で、本題から脱線してしまうことは往々にしてあります。その場合でも、明らかに不要な雑談などを除いて、ひとまず記録しておくのが無難です。

無関係に思える発言でも、結果として本題に関係してくるケースが考えられます。たとえば、顧客が何気なく発言した内容が、システム改善のヒントになることもあるでしょう。自己判断で記録をカットしてしまうと、議事録の不備と言われかねません。

不要であれば後で削除できるため、必要性が判断できない場合は記録することをおすすめします。

3-4 最後に簡単な確認時間を取る

会議・打ち合わせの最後には、参加者と要点をおさらいする時間を取るとよいでしょう。リアルタイムに記録していくうえで、ミスも発生しやすくなります。たとえ記録内容に誤りがあったとしても、会議・打ち合わせ中であれば発見・訂正が容易です。

時間が経てば経つほど、参加者の記憶も薄れていきます。後からだと記録ミスなのか、記憶違いなのか判断ができない事態になりかねません。時間の都合もありますが、できれば確認時間を取ってミスを早期検出することが理想です。

4.議事録の書き方:会議・打ち合わせが終わった後のコツ

高品質な議事録を作成するうえでは、会議・打ち合わせが終わった後も重要です。

会議・打ち合わせが終わった後のコツは以下の5つです。こちらもシステム開発における例も交えて紹介します。

  1. 発言の意図をくみ取って補足する
  2. 時系列に沿って整理する
  3. 「主観的な意見」と「客観的な事実」を区別する
  4. 各人のタスクを明確にする
  5. 関係者にしっかり共有する

4-1 発言の意図をくみ取って補足する

ただ発言を書き並べるだけだと、発言の真意が客観的に伝わりづらい場合があります。こうしたケースでは、発言の意図をくみ取って補足しましょう。そうすることで、読み手に議論の流れが伝わりやすくなります。

ただし前述のとおり、行間を埋める際にも客観的な視点で考えることが大切です。主観的に誤った解釈で補足すると、「言った・言わない」のトラブルにつながります。解釈に不安がある部分は、会議・打ち合わせ中にクリアーにしておくことが理想です。

4-2 時系列に沿って整理する

議論の流れを時系列に沿って整理しましょう。込み入った議論の場合、結論が出るまでに右往左往することが珍しくありません。しかし時系列に沿って整理されていれば、「なぜこの結論に至ったか」を追いやすくなります。

ただし、議論の途中で別の議論に脱線した場合、そのまま時系列にすると煩雑になってしまいます。脱線した議論は切り離して、議論内容ごとに時系列で整理するとよいでしょう。

4-3 「主観的な意見」と「客観的な事実」を区別する

「主観的な意見」と「客観的な事実」を区別できるような表現を心がけましょう。意見と事実が混同されると、議論がねじ曲がる恐れがあります。

たとえば、システム開発の打ち合わせにおいて「〇機能はユーザーにとって不便だ」という表現は、あくまで発言者の主観です。主観をあたかも事実のように記載すると、事実とは異なっていた場合に誤解が避けられません。そのため、「〇機能はユーザーが不便に感じる懸念がある」など、意見であると明確にわかる表現にしましょう。事実であれば、「〇機能は87%のユーザーから不便というフィードバックがあった」のように根拠を含めるのが理想です。

4-4 各人のタスクを明確にする

会議・打ち合わせの中で、各人に対してタスクが発生することがあります。「誰が・いつまでに・何を」すべきなのかを明確な形で記載しましょう。要旨に箇条書きで整理して記載することが理想です。

各人のタスクを明確にすることで、何をすべきなのかを読み手が再確認できます。その後のアクションプランにも影響するため、期限も正確に記載しましょう。

4-5 関係者にしっかり共有する

高品質な議事録を作成できたとしても、読んでもらえないのでは意味がありません。関係者にしっかり共有するための工夫をしましょう。

たとえば、定例会のタイミングで議事録の確認を促すことで、忘れている関係者に思い出してもらえます。また、既読状況がわかる議事録ツールを活用することで、未読の関係者へピンポイントに呼びかけられます。

メールに添付して送信するだけだと、他の業務連絡に埋もれて見逃してしまうケースが少なくありません。確実に関係者に見てもらえるような工夫が必要です。

5.議事録の作成を効率化する方法

コツを押さえたとしても、議事録の作成には多くの時間がかかります。議事録の作成を効率化する方法として、次の2つを検討するとよいでしょう。

5-1 フォーマット・テンプレートを活用する

議事録に特別な制約がないのであれば、フォーマット・テンプレートの活用が効果的です。フォーマットやテンプレートには、必要な項目の記入欄が整理された形で用意されています。これらに沿って書けば情報を整理しやすく、自ら体裁を整える時間も節約できるでしょう。

5-2 ツールを活用する

さまざまなツールを活用することで、議事録作成の効率化が可能です。たとえば、会議の発言を文字起こししてくれるツールを活用すれば、手入力の負担を大幅に軽減できます。また、文章を要約するツールを活用すれば、要旨の作成に役立つでしょう。

ただし、作成担当者による手直しが基本的に必要となります。ツールの生成内容が必ずしも正しいとは限らないため、確認してから使うことが大切です。

まとめ:書き方のコツを知って議事録の価値を高めよう

議事録の正しい書き方のポイントは以下の通りです。

  • 盛り込むべき情報を入れる (開催情報、議題、要旨・決定事項、詳細内容、次回の開催情報)
  • 大原則を抑えておく (「誰が読むのか」を意識する、客観的な視点で書く、作成後に必ず読み返す)

議事録の正しい書き方を知ることは、業種を問わずビジネスパーソンにとって重要です。エンジニアにおいては社内外での打ち合わせ内容を正しくまとめることで、その後のプロジェクトを円滑に進めることにつながります。一方で議事録に不備があると、相手の心象を悪くするばかりか、大きな誤解が生じることにもなりかねません。

議事録の作成にあたっては、会議・打ち合わせ中だけでなく開催後にもコツがあります。本記事で紹介した書き方のコツを参考にして、議事録の価値を高めましょう。

スキルアップ
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執筆: Qbook編集部

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バルテス株式会社 Qbook編集部。 ソフトウェアテストや品質向上に関する記事を執筆しています。