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業界別 2024.06.03
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地震などの自然災害に備える!ITシステムのBCP対策とは?5つの具体策と失敗しないためのポイント

執筆: Qbook編集部

ライター

地震などの自然災害に備える!ITシステムのBCP対策とは?5つの具体策と失敗しないためのポイント

ITシステムは今や、あらゆるビジネスに欠かせないものとなっています。しかし、非常事態に直面した際にITシステムを守り切れるのか、不安を抱えている企業も多いのではないでしょうか。ITシステムを守るには、「BCP対策」が必要です。

今回は、ITシステムにおけるBCP対策とは何かについて解説します。BCP対策の具体策や失敗しないためのポイントも紹介するため、ぜひ参考にしてください。

もくじ
  1. BCPとは
    1. IT-BCPとは
  2. ITシステムにおけるBCP対策の重要性
    1. 事業におけるIT依存度の高まり
    2. サイバー攻撃の増加・巧妙化
    3. 自然災害に対する懸念の高まり
  3. ITシステムのBCPに有効な5つの具体策
    1. 連絡体制の整備
    2. データのバックアップ
    3. ITシステムの冗長化
    4. CSIRTの設置
    5. 脆弱性診断の実施
  4. ITにおけるBCP策定のステップ
  5. ITシステムのBCP対策で失敗しないための4つのポイント
    1. 政府のガイドラインを参照する
    2. 定期的に対策を見直す
    3. 全社的に周知・訓練を行う
    4. IT-BCP対策の専門家から力を借りる
  6. まとめ

1. BCPとは

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)とは、非常事態に直面した際の事業継続・早期復旧に向けて、企業が備えておくための計画のことです。

自然災害やテロ攻撃、大火災などの非常事態発生を想定した計画を策定し、平常時から対策しておきます。

BCP対策は、ITシステムに限った言葉ではありません。従業員の避難やオフィスの災害対策など、あらゆる場面で活用されます。

100%の被害を防ぐことは難しくても、十分なBCP対策により被害を最小化でき、対外的な信頼性向上にもつながります。

IT-BCPとは

BCP対策のなかでも、ITシステムに対するものが「IT-BCP」です。

具体的には、非常事態に直面した際にITシステムの稼働を維持したり、早期復旧したりするための計画を指します。

IT社会のビジネスにおいて、ITシステムの障害・停止は重大なリスクです。社内の業務に支障をきたすばかりか、顧客向けサービスの停止による信頼失墜も懸念されます。

IT-BCP対策は、ITシステムの信頼性を高め、非常時の影響を最小化するために不可欠です。

2. ITシステムにおけるBCP対策の重要性

昨今の日本において、IT-BCP対策の重要性は高まっています。ITシステムのBCP対策が重要といえる理由について、ここでは3つの側面から解説します。

2-1 事業におけるIT依存度の高まり

今やITシステムは社会の基盤となっており、事業におけるIT依存度がますます高まっています。

ITシステム無しでビジネスを維持できるという企業は、ほとんど存在しないでしょう。ITがビジネスの生命線となっている企業にとって、対策不足によるITの損失はより大きなダメージとなります。

また、社外向けにITサービスを提供している場合は、ユーザーへの影響も強く懸念されます。

ユーザーからの信頼を損なえば、復旧後の事業への悪影響は避けられません。ITシステムの停止はビジネスの危機に等しく、非常事態への備えが重要となっています。

2-2 サイバー攻撃の増加・巧妙化

IT-BCP対策においては、サイバー攻撃の増加・巧妙化も大きな懸念事項です。令和4年度の総務省のデータによれば、サイバー攻撃に関する通信の検出数は、2015年からの5年間で約9倍も増加しています。つまり、ITが普及・発展するにつれて、サイバー攻撃の危険性も高まっているのが現実です。

ITシステムがサイバー攻撃を受ければ、サービス停止や復旧作業による工数が増大します。さらには情報漏洩により、信頼を失墜させてしまうでしょう。

そのため、多くの被害をもたらすサイバー攻撃からITシステムを守るためには、IT-BCP対策が欠かせません。

新たなテクノロジーが誕生すれば、それを悪用した新たなサイバー攻撃も誕生するでしょう。そのため企業には、常に最新のセキュリティ対策を導入することが求められます。

2-3 自然災害に対する懸念の高まり

元々、地震や台風などの災害が多い日本では、自然災害への対策が不可欠でした。

そのうえ、令和になった今では、全国各地で大地震や豪雨による水害などが発生しており、自然災害に対する懸念はいっそう高まっています。ITシステムにとっても、こうした自然災害は脅威です。

自然災害が発生すれば、ITシステムの稼働に必要なサーバーが被害を受けて停止するリスクも考えられます。

データセンターが被害を受ければ、重要なデータが消失するリスクもあります。IT-BCP対策は、こうした自然災害へのリスクに対処する意味でも重要です。

3. ITシステムのBCPに有効な5つの具体策

ITシステムを運用する全ての企業に、適切なIT-BCP対策の実施が求められます。しかし、具体的にどのような対策を講じるべきかわからないという人も多いでしょう。ここでは、IT-BCP対策に有効な5つの具体策を紹介します。

3-1 連絡体制の整備

非常事態が発生した際には、従業員の速やかな安否確認、さらには早期復旧に向けた連携が求められます。その実現には、連絡体制の整備が不可欠です。

非常事態における連絡ルートや連絡手段、不在時の対処法といったルールを明確にしておきましょう。

また、自社サーバーに依存せず使える安否確認サービスの導入など、システム面の施策も重要です。

3-2 データのバックアップ

データを管理するストレージやデータベースが非常事態により破損した場合、データの復旧は困難です。重要な情報資産であるデータを失えば、その損害は多大なものとなります。

万が一の事態に備えて、定期的なデータのバックアップを実施しましょう。

バックアップしたデータは、異なる箇所に保管しておくことが理想です。クラウドストレージや別拠点のサーバーなどを保管先にするとよいでしょう。

3-3 ITシステムの冗長化

ITシステムの「冗長化」を実施することで、システム障害のリスクを低減できます。冗長化とは、ITシステムの構成要素を余分に用意しておくことです。

たとえば、サーバーを2台用意しておくことで、1台が停止しても別の1台で稼働を維持できます。

なお、このように構成要素を重複させることを「冗長性を高める」と呼びます。ITシステムの冗長性について詳しくは、以下の記事をご覧ください。

3-4 CSIRTの設置

社内に「CSIRT(シーサート)」を設置することも効果的です。

CSIRTは「Computer Security Incident Response Team」の略で、ITシステムのセキュリティ問題に対して監視・対処する専門チームを指します。

専門チームを用意することで、サイバー攻撃への対応が迅速に行えるでしょう。

ただし、CSIRTの担当者にはセキュリティに関する専門知識が要求されます。社内に適任者がいない場合は外部サービスの活用も考えましょう。

3-5 脆弱性診断の実施

ITシステムに対して「脆弱性診断」を定期的に実施するとよいでしょう。

脆弱性診断とは、セキュリティ問題につながる弱みがないか診断することです。新たな脆弱性は日々発見されているため、脆弱性診断はできる限り短いスパンで実施することが理想です。

当サイトを運営するバルテスでも、Web・モバイル・IoTデバイスなどの幅広いIT資産の脆弱性診断サービスを提供しています。

ツールによる効率性の高い診断に、プロによる確実性の高い手動診断を組み合わせたサービスです。「自社で脆弱性診断を行えるか不安がある」「労力をかけずに高品質な診断結果を得たい」といった場合はぜひご利用ください。

4. ITにおけるBCP策定のステップ

IT-BCP対策を実施する際には、正しい手順で進めることが大切です。

大まかな進め方として、次の5ステップを把握しておきましょう。

1. 全体方針の決定

IT-BCP対策の方針を決めるまずは全体方針を決めます。

何を重視するか、各部門が何を担当するか、などを明確にしましょう。

2. リスクの洗い出し

現状のリスクを分析する自社が直面し得る非常事態をリスクとして洗い出します。

洗い出したリスクには優先順位を付けましょう。

3. 全体計画の策定

IT-BCP対策の計画を策定する各リスクと自社のリソース状況を照らして、全体の計画を策定します。

どのリスクに対して、いつまでに対応するかを明確にしましょう。

4. 具体策の立案

IT-BCPの具体策を立てる各リスクに対して、具体策を立てます。

「早期復旧のために行う暫定対策」と「根本解決のために行う恒久対策」を分けて考えるとよいでしょう。

5. 策定した対策の運用

IT-BCP対策を運用する策定したIT-BCP対策を全社的に適用し、運用していきます。

運用中に問題が判明した場合は見直しましょう。

5. ITシステムのBCP対策で失敗しないための4つのポイント

IT-BCP対策の失敗は、ビジネスの危機に直結します。

ITシステムのBCP対策で失敗しないために、次のポイント4つを押さえておきましょう。

5-1 政府のガイドラインを参照する

内閣府や厚生労働省などは、IT-BCP対策に有用なガイドラインを公開しています。

進め方がわからない場合は、政府のガイドラインを参照することで指針を得られるでしょう。

5-2 定期的に対策を見直す

一度IT-BCP対策を策定して終わりでは、新たなリスクに対応できません。

自社の組織体制やサイバー攻撃など、社内外で状況は日々変わっています。

新たに発生したリスクに素早く対応できるように、IT-BCP対策は定期的に見直しましょう。従来のIT-BCP対策で不十分な場合は、改善策の検討が必要です。

5-3 全社的に周知・訓練を行う

IT-BCP対策に限らず、BCP対策全体の内容は、経営陣・一般社員を含む全員が理解しておくべきです。

ただし、理解しているだけでは非常事態に実践できないケースがあります。そのため、全社員を巻き込み、定期的に周知・訓練を行うことが理想です。

たとえば連絡体制の再確認や、サイバー攻撃を想定した復旧作業のシミュレートなどが挙げられます。

5-4 IT-BCP対策の専門家から力を借りる

適切なIT-BCP対策を行うためには、セキュリティに関する専門知識が必要です。

自社で適任者を確保できない場合は、IT-BCP対策の専門家から力を借りることをおすすめします。

専門家であれば、自社の実情や目的にあった正しい具体策を示してくれるでしょう。

まとめ

IT-BCPとは、非常事態に直面した際にITシステムの稼働を維持したり、早期復旧したりするための計画を指します。

IT依存度の高まりやサイバー攻撃の増加・巧妙化、自然災害のリスクなどから、IT-BCP対策の重要性は高まっています。

ただし、IT-BCPにおける具体策の多くには、セキュリティに精通した人材が必要です。

自社だけで実施できるか不安な場合は、外部の専門家や脆弱性診断ツールなどの選択肢も考えましょう。

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執筆: Qbook編集部

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バルテス株式会社 Qbook編集部。 ソフトウェアテストや品質向上に関する記事を執筆しています。
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