書評「ソフトウェアテスト見積りガイドブック―品質要件に応じた見積りとは」

書評「ソフトウェアテスト見積りガイドブック―品質要件に応じた見積りとは」

情報処理推進機構ソフトウェアエンジニアリングセンター (編集), オーム社

カテゴリ:テスト

概要

ソフトウェアを十分なレベルに品質を高めるためには、テストのための適正なコストを確保する必要がある。本書では「ソフトウェアテストにおける適正資源の確保」を目指して、ソフトウェアテスト見積もりを解説する。第1部ではテスト見積もりの考え方の概要と、留意点をまとめる。第2部では先駆的な取り組みを続ける企業5社の事例を紹介する。ベンダ企業、ユーザ企業の担当責任者、品質改善に取り組む担当者に薦める。

本書の使い方

第1部:「テスト見積り」に関する基本的な考え方や心得を解説する。合わせて、実際の活動につなげ、さらに向上を図るための方法について説明していく。すべての読者に通読を勧める。
第2部:見積り活動の事例集として、先導的な取り組みをしている各社の取り組みと、導入にあたっての留意点を示す。読者の興味関心に従って好きな章から読むことができる。

何を学べるか

第1部 総論
「テスト見積り」に関する基本的な考え方や心得を解説する。合わせて、それらを実際の活動につなげ、さらなる向上を図るための方法について説明していく。

第1章 ソフトウェアテスト見積りの課題
ソフトウェア開発において、裏付けに乏しいテストコストの削減や期間の短縮のために、本番稼働後に数多くの障害が発生している。十分なレベルに品質を高めるためには、そのための適正なコストを確保する枠組みをユーザとベンダ間で合意する必要がある。本書では「ソフトウェアテストにおける適正資源の確保」を目指して、ソフトウェアテスト見積もりを取り上げる。 本章では、残存欠陥の予測、テスト量把握、非機能要件の把握と確認など、システムの信頼性向上からみた、ソフトウェアテスト見積もりの課題を提示する。

第2章 開発プロセスモデルとテスト手法
開発プロセスモデルおよびテスト手法の選定は、テスト計画において重要な決定事項の1つである。本章では主要な開発プロセスモデルと、テスト手法を概観する。次いで、ソフトウェアテストの見積もり範囲を明らかにし、テストプロセスおよびテストドキュメント(IEEE Std.829-1998)の種類と記述項目を解説する。

第3章 ソフトウェアテスト見積りでの成功と失敗例
テスト見積りには、どのような特徴があり、どのようなことに留意しなければならないのか。31ケースの事例に基づいて、その要点を解説する。 本章では、事例を、「ソフトウェア全般に関する事例」「テスト戦略とソフトウェアテスト見積もりに関する事例」「テスト進行中における品質管理と再テスト見積もり」の3つに分けて分類し紹介する。 それぞれの事例における、成功/失敗の度合い、学ぶべき教訓・メッセージをわかりやすくまとめている。後半は、前半の事例の内容を受けて、テスト戦略の重要性と重要なポイントを解説する。

第4章 ソフトウェアテスト見積りの詳細
本章では、ソフトウェアテスト見積りの作業手順を説明した上で、その手順に沿って、見積りに関する各種の値と、その算出方法を説明する。 テスト量、品質目標値、テスト網羅性尺度とテスト見積もり方法、合理的なテスト量の削減方法、仕様変更に伴うテスト量、テストの生産性に影響する変動要因、非機能要件の把握とテスト見積もりへの反映、欠陥修正と再テストの工数の把握、などを順を追って解説する。

第5章 ソフトウェアテスト見積りの精度向上
見積りの精度を向上させるためのポイントを解説する。見積もりの前提条件を継続的にモニタリングし、コントロールすることの重要性、見積もりの改善のためのPDCA、などを紹介する。また、契約における見積もりリスクを解消する糸口・ヒントについても説明する。

第2部 事例編
見積り活動の事例として、先導的な取り組みをしている企業5社の取り組みと、導入にあたっての留意点を示す。 第1章 事例編の見方 "第2部では、ソフトウェアテストの見積り事例として、企業5社の取り組みを紹介する。 それぞれの企業の取り組みを、 取り組みの背景、ソフトウェアテストの取り組み、ソフトウェアテストの見積り、テスト進行中における品質管理と再テストの見積り、プロジェクト実績の蓄積と活用、取り組みの課題、の6つの観点から紹介していく。

第2章 日本ユニシスの事例―品質強化への取り組みと留意点
日本ユニシスでは品質強化の取り組みとして、テスト技術にフォーカスすするとともに、Wモデル開発の推進に取り組んでいる。「Wモデル」は、開発チームとテスト/品質保証チームが連携し、Vモデルに沿って開発を行うものである。テストの見積りにおいても、Wモデルによるメリットが活かされる。その取り組みの概要・方法と成果、課題を紹介する。

第3章 日立製作所の事例―品質マップによるプログラムの早期品質確保
日立製作所では、テスト進行中における品質管理の取り組みとして、「品質マップ」を導入することにより、テストの早期段階でソフトウェアの品質を可視化し、追加テストの方針を導き出すことを可能にしている。その取り組みの概要・方法と成果、課題を紹介する。

第4章 東京海上日動システムズの事例―テスト品質と障害発生状況の分析
東京海上日動システムズでは、テスト品質を上げるための取り組みとして、テストに「中間評価」を導入し障害の発生状況を分析することで、品質低下原因の早期発見、早期対策を目指している。その取り組みの概要・方法と成果、課題を紹介する。

第5章 ジャステックの事例ーソフトウェアの生産管理に基づくテスト見積もり
ジャステックでは、独自の見積もりアルゴリズムをもった生産管理システム「ACTUM」を構築し運用している。本章では、ホワイトボックステストに関するテスト見積もり事例を取り上げ、その取り組みの概要・方法と成果、課題を紹介する。

第6章 日本電気(NEC)の事例ーソフトウェア品質会計制度の適用
NECでは、上流工程からの品質管理手法として「品質会計制度」を導入している。品質会計制度とは、ソフトウェアライフサイクルの品質状況を、簿記になぞらえ、欠陥の検出と除去を記録し、品質を管理するものである。その取り組みの概要・方法と成果、課題を紹介する。

資料 「非機能要件の把握・確認とテスト見積りへの影響表」
ソフトウェアの非機能要件を、把握・確認しやすいよう、並びにテスト見積もりへの影響を確認しやすいよう、一覧表にまとめた。 非機能要件を、「機能性」「信頼性」「仕様性」「効率性」「保守性」「移植性」「運用性」「障害抑制性」に分類し、各項目の詳細な定義、測定方法、測定尺度、テストを実施すべきプロセスにおけるフェーズなどをまとめている。