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書評「組込みソフトウェア開発向け品質作り込みガイド (SEC BOOKS)」

独立行政法人 情報処理推進機構 ソフトウェア・エンジニアリング・センター (著) , 翔泳社

設計・開発

概要

高品質な組込みソフトウェアを実現するためには、その開発過程における品質作り込みが大きなポイントとなる。本書は、品質作り込みを行う上で不可欠な、品質目標値の設定と、それを実現するための具体的な手法について解説を行う、実務者向けのガイドブックである。
具体的かつ明確であることをモットーにしており、成果物や作業の品質を指標を用いて可視化し、開発現場に効果的な品質管理が導入できるよう、利用法やヒントを多く盛り込むなど、様々な配慮がなされている。

本書の使い方

第1章:定量的な品質管理の考え方を知ることができる。すべての読者に通読を進める
第2章:対象システムの分析、品質目標値の設定方法を学ぶことができる。
第3章:品質定量化のための品質指標の定義や計測方法を学ぶことができる。
第4章:品質向上のための作業のチェックポイントを学ぶことができる。

定量的品質管理の実務者は第2章、第3章を通読の上、実務のニーズに合わせて、必要な部分を精読することを勧める。第4章は読者の興味・関心に応じて好きな部分から読むことができる。

何を学べるか

第1章 品質作り込みガイドの読み方
本書の位置づけや目的、および本書の中心的な概念である品質指標と、それをもとにした品質の定量的管理の考え方について、概要を説明する。

第2章 システムプロファイリングを利用した品質目標値の設定
組込みソフトウェアの品質目標値を設定する際には、対象となるシステムを分析定義するシステムプロファイリングの考え方と、開発プロジェクトの特性を評価するプロジェクトプロファイリングの考え方が必要となる。本章では、まずそれらプロファイリングの考え方を解説する。そのうえで、品質目標値を設定するにあたって、どのようにプロファイリングしていくか、ステップごとに事例を挙げつつ、品質目標値の設定方法を説明していく。

第3章 品質指標の定義と参考値
ソフトウェアの品質を可視化するためには品質指標を正確に扱う必要がある。本章では品質指標の定義と、その利用法を解説する。作業の十分性を評価するプロセス品質評価指標、成果物の十分性を評価するプロダクト品質評価指標、さらにそれらの指標のために計測する基礎指標、3つカテゴリーの品質指標について、それぞれ参考値を挙げて説明する。

第4章 高品質作り込みのためのヒント
開発の各局面で品質を向上させるという観点から、コミュニケーション、仕様書・設計書などのドキュメントの書き方、レビュー、テストなどそれぞれについて、確実に作業を行うためのチェックリストを挙げ、そのポイントを解説する。さらに指標を用いた品質作り込み活動を組織で行っていくためのヒントについて解説する。