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書評「ITプロジェクトの「見える化」下流工程編 (SEC BOOKS)」

情報処理推進機構 ソフトウェアエンジニアリングセンター (著) , 日経BP社

マネジメント

概要

ITプロジェクトの課題として、目に見えないソフトウェアの開発を、いかに可視化「見える化」して、発生するトラブルを未然に察知するか、がある。本書では、この「見える化」に加えて、問題を特定する「言える化」、問題を解決する「直せる化」の3つのキーワードを設定し、下流工程に焦点を当てて、その具体的な方法を豊富なサンプルや事例を交えて解説する。
巻末には、実際の開発プロジェクトにおいて活用できる、各種チェックシート、症例分類表、指標一覧などを掲載する。

本書の使い方

第1章~第2章:本書の概要を簡単に把握することが出来る。
第3章~第5章:本書の技術的な中心をなす。一度通読の上、業務の折に触れて再読を勧める。
第6章:最新の研究事例を紹介する。

何を学べるか

第1章 プロジェクトの「見える化」の概要
ITプロジェクトの課題として、目に見えないソフトウェアの開発を、いかに可視化「見える化」して、発生するトラブルを未然に察知するか、がある。本章では、この「見える化」に加えて、問題を特定する「言える化」、問題を解決する「直せる化」の3つのキーワードを設定し、下流工程に焦点を当てて、その具体的な方法を提案する。

第2章 プロジェクトの見える化マネジメント
ITプロジェクトのマネジメントの本質は「見えないもの、わからないもの」をいかにマネジメントするかにある、と著者は説く。本章ではプロジェクトを「見える化」するための全体フレームを提示する。

第3章 見える化
本章では、プロジェクトの問題を察知し、見える化するための最初の活動である「定性的・定量的なデータ収集」について説明する。次に、「俯瞰図」「チェックシート」「ヒアリングシート」「測定項目リスト」、「プロジェクトモニタリングツール」「失敗事例データベース」などのツールを用いた様々な「見える化」の手法を、豊富な図表と事例を交えて紹介する。

第4章 言える化
プロジェクトにおいて発生する複合的な問題を特定するためには、複数のツールを用いて、経験に裏打ちされたノウハウを活かし、何が問題かを特定する、「言える化」が必要となる。本章では、複数の見える化手法の結果を総合的に整理し、「症例分類表」にまとめて問題を絞り込む、「統合的アプローチ手法」を紹介する。

第5章 直せる化
発生したプロジェクトの問題をいかに改善するか。そのためには「見える化」から「言える化」を経て、今度は改善活動「直せる化」を行うことが重要となる。本章では適切な改善活動を行うための考え方や視点、そして改善策を適用する際の留意点を紹介する。

第6章 「見える化」に関する研究の解説
見える化を有効に行うためには、基礎データの収集や、分析をいかに効率的に行うかがポイントとなる。本章では、こうした見える化を支える「インフラ」にあたる最新技術を紹介する。EPMツールを使ったプロジェクトの定量化、コードクローン分析、などを紹介する。

付録 見える化のツールと関連資料
本書の各章で紹介した「見える化」「言えるか」「直せる化」のためのツールのサンプルを掲載する。 チェックシート(自己評価シート、ヒアリングシート)、プロジェクトにおける問題事象と対策事例、測定項目リスト、EPMツールの分析指標、症例分類表、の各サンプルを紹介する。