パソコンを使った業務を行う上で、Windows 10を利用している職場は業種を問わず多いと思います。一方、Windows 11への移行が徐々に進む中で、Windows 10を使い続けることに不安がある人もいるのではないでしょうか。
直近では2023年1月にWindows 8.1の延長サポートが終了を迎えました。後継OSであるWindows 10についても、2020年10月13日時点でメインストリームサポートが終了しています。来たるWindows 10の延長サポート終了に備えても、事前に対策することが大切です。
本記事では、Windows 10のサポート終了日についてご紹介します。また、またサポート終了後も使い続けるリスクや、サポート終了後の対応についても解説しますのでぜひ最後までご覧ください。
- もくじ
1.Windows 10のサポート終了は2025年10月14日
Windows 10に限らず、一般的なIT製品・サービスにはサポート期間が定められています。
サポートが終了するとソフトウェアの更新が行われなくなるため、サポート期間を把握しておくことが大切です。まずはWindows 10のサポート終了に関する基本事項について解説します。
1-1 2025年10月14日にWindows10全体のサポートが終了する
Windows 10全体としては、2025年10月14日にサポート終了となります。このサポート終了日は、全Windows 10エディション(家庭向け・企業向け・教育向け)で共通です。
エディション | 開始日 | 終了日 |
---|---|---|
Windows 10 Home and Pro | 2015年7月29日 | 2025年10月14日 |
Windows 10 Enterpriseand Education | 2015年7月29日 | 2025年10月14日 |
つまり、2025年10月14日を過ぎてからは、OSアップデートやパッチ適用は行われないということです。サポート終了後もWindows 10を使い続けることは可能ですが、後述するリスクがあるため推奨しません。
なおWindows 10のサポート開始(リリース)は2015年であり、サポート期間は約10年となります。製品によってサポート期間は変わるものの、Windowsはおおよそ10年程度となるケースが多いため、参考程度に覚えておくと良いでしょう。
1-2 バージョン21H2以前はすでにサポートが終了している
Windows 10全体としては2025年10月14日にサポートが終了しますが、最新バージョン(22H2)より前のバージョン(21H2以前)はすでにサポートが終了しています。
■バージョン別サポート期限
Windows 10バージョン | 開始日 | 終了日 |
---|---|---|
Version 22H2(最新/最終) | 2022年10月18日 | 2025年10月14日 |
Version 21H2 | 2021年11月16日 | 2023年6月13日 |
Version 21H1 | 2021年5月18日 | 2022年12月13日 |
もしすでにサポートが終了している「21H2」以前のバージョンを使用している場合は早急に最新バージョンへ更新しましょう。
1-3 サポート終了後のアップデートは手動操作が必要な場合がある
Windows 10では「Windows Update」によって、更新されたプログラムを自動でダウンロードすることが可能です。しかし、Windows 10のバージョンがすでにサポート終了していると、Windows Updateによる更新が利用できない場合があります。
この場合は、Microsoftの公式サイトにアクセスし、手動操作でアップデートすることになるでしょう。使っているWindows 10のバージョンが古い場合、サポートが終了する前にアップデートすることをおすすめします。
2.Windows 10をサポート終了後も使い続けるリスク
サポートが終了した後でもWindows 10を使い続けることは可能ですが、リスクがあるため推奨しません。
ここでは、Windows 10のサポート終了後も使い続ける3つのリスクについて解説します。
2-1 セキュリティリスクの上昇
サポートが終了したWindows 10を使い続けると、セキュリティリスクは上昇します。なぜならWindows 10に脆弱性が判明した場合でも、新しいセキュリティパッチを適用できなくなるためです。
サイバー攻撃を企てるハッカーは、コンピューターOSの脆弱性を探り、攻撃を試みます。仮にWindows 10で脆弱性が見つかっても、サポート期間中であれば迅速にセキュリティパッチが配布されるでしょう。しかし、サポート終了後ではこうした対策が行われず、未知の脆弱性に対応できません。
WindowsOSの脆弱性を狙ったサイバー攻撃から身を守るためにも、サポートされているOSへの移行をおすすめします。
なおIPA(情報処理機構)によると、2024年1月から9月までの間に、WindowsOSの脆弱性を悪用した事例が15件ほど報告されています。その中には、データを暗号化して復号のために身代金を要求する「ランサムウェア」の感染を試みるなど、深刻なサイバー攻撃も含まれます。こうしたセキュリティリスクを避けるためにも、サポート期限を過ぎたWindows 10の使用は基本的に避けましょう。
2-2 OS不具合が解消されない
サポート終了後のWindows 10では、セキュリティ上の脆弱性だけでなく、OS不具合も解消されません。
Windows 10は、新機能追加やパフォーマンス改善などのアップデートが日々行われています。しかし、アップデートが行われる中で新たなOS不具合が生じるケースも少なくありません。
サポート期間内に見つかったOS不具合は、早期に修正される可能性が高いでしょう。しかし、サポート終了後に不具合が見つかっても修正は行われず、業務に支障をきたす恐れもあります。
たとえば、よく使う業務アプリが特定のOS設定で重くなったりエラーになったりする不具合が修正されない場合、業務の生産性低下は避けられません。
2-3 周辺機器の動作トラブル
Windows 10のパソコンに接続する周辺機器、たとえばプリンターなどの動作トラブルを引き起こすケースもゼロではありません。
OS固有の機能を用いる周辺機器だと、その動作はWindowsのバージョンに大きく依存します。周辺機器がWindows 11対応のアップデートを行った場合、古いWindows 10ではかみ合わない恐れがあります。
また、新しい電子機器が開発される際、往々にして最新のOSバージョンに対応させます。
つまり、今後はWindows 11対応の製品が増えると考えられ、Windows 10非対応の製品も増えるでしょう。結果として、新製品を購入する際の選択肢も狭まることになります。
3.Windows 10のサポート終了前にやっておくべきこと
Windows 10のサポート終了が迫る中、何から始めるべきか迷っている人も多いのではないでしょうか。
ここでは、Windows 10のサポート終了前にやっておくべき、3つの重要な準備作業について解説します。すぐにWindows 11へ移行する予定がない場合でも、これらについては最低限実施しておきましょう。
3-1 パソコンがWindows 11の最小システム要件を満たしているか確認
まずは、現在お使いのパソコンがWindows 11の最小システム要件を満たしているか確認しましょう。最小システム要件を満たさないパソコンの場合、Windows 11へアップグレードできないため、買い替えやレンタルなどの選択肢も検討しなければなりません。
確認方法は簡単です。Windowsの「設定」から「Windows Update」を開き、インストールボタンが表示されているか確認しましょう。
画像のようにインストールボタンが表示されている場合、Windows 11へアップグレードが可能です。インストールボタンが表示されない場合、残念ながら必要なシステム要件を満たしていません。
なお、Windows 11の最小システム要件は下記のとおりです。パソコンを買い替える場合、これらの要件をひと通り満たすものを選びましょう。
プロセッサ | 1GHz以上かつ2コア以上の64 ビット互換プロセッサまたはSystem on a Chip(SoC) |
---|---|
メモリ | 4GB |
ストレージ | 64GB以上の記憶装置 |
システムファームウェア | UEFIかつセキュアブート対応 |
TPM | TPMバージョン2.0 ※TPM:セキュリティ強化用のチップのこと |
グラフィックスカード | DirectX 12 以上対応 (WDDM 2.0ドライバー必須) |
ディスプレイ | 対角9インチ以上、8ビットカラー対応の720p高解像度ディスプレイ |
備考 | 初期設定時にはインターネット接続とMicrosoftアカウントが必要 |
Windows 11の最小システム要件について、詳しくは公式サイトをご覧ください。
3-2 周辺機器・ソフトのWindows 11対応調査
周辺機器・ソフトがWindows 11に対応しているか、いつ対応される予定か、事前に調査しておきましょう。
Windows 11への最適化にともない、これまで正常に動作していた周辺機器やソフトがWindows 10では正しく動作しなくなるケースも考えられます。
業務で使う機器やソフトがWindows 11へ移行する日程を把握することで、Windows 11へアップデートすべきタイミングや準備期間が明確になるでしょう。あわせて、移行時の不具合報告や動作トラブルの情報も確認しておくと、スムーズな対応が可能です。
3-3 データのバックアップ
万が一のトラブルに備えて、パソコン内の重要なデータは外部メディアやクラウドストレージなどにバックアップしておきましょう。
Windows 11への移行時に、予期せぬエラーや手違いで重要なデータが失われるケースもゼロではありません。
Windows 11への移行直前に慌ててバックアップするよりは、定期的に重要なデータをバックアップすることが理想です。そうすることで、トラブル発生時のリスクを最小限に抑えられるだけでなく、移行作業もスムーズとなるでしょう。
4.Windows 10のサポート終了に備えて対応すべき3つの選択肢
サポートが終了したWindows 10を使い続けることには多くのリスクがあります。
そのため、Windows 10のサポート終了に備えて早めに対応することが理想です。ここではビジネス向けに、Windows 10のサポート終了に備える3つの選択肢をご紹介します。
4-1 Windows 11へのアップデート
現在のパソコンを使い続けたい場合は、Windows 11にアップデートしましょう。
Windows 10ユーザーは、2025年2月時点ではWindows 11に無料でアップデートすることが可能です。今後は有料化される可能性もゼロではないため、早めのアップデートをおすすめします。
主なアップデート方法は「Windows Updateによるアップデート」と「専用ソフトウェアによるアップデート」の2つです。
Windows Updateの場合は、Windows 10の設定画面からWindows Updateに遷移し、「ダウンロードしてインストール」をクリックしてください。
専用ソフトウェアによるアップデートの場合は、「Windows 11インストールアシスタント」を用います。
公式サイトからWindows 11インストールアシスタントをダウンロードしてインストールしましょう。インストール後にパソコンを再起動すれば、Windows 11へのアップデートが行われます。
4-2 パソコンの買い替え
Windows 11には、支障なく利用するための最低システム要件があります。
使っているパソコンのスペックを確認し、システム要件を満たしていなければ、買い替えを検討しましょう。
Windows 11の最小システム要件を再掲します。システム要件を満たさないパソコンにはWindows 11をインストールできないため、注意が必要です。
プロセッサ | 1GHz以上かつ2コア以上の64 ビット互換プロセッサまたはSystem on a Chip(SoC) |
---|---|
メモリ | 4GB |
ストレージ | 64GB以上の記憶装置 |
システムファームウェア | UEFIかつセキュアブート対応 |
TPM | TPMバージョン2.0 ※TPM:セキュリティ強化用のチップのこと |
グラフィックスカード | DirectX 12 以上対応 (WDDM 2.0ドライバー必須) |
ディスプレイ | 対角9インチ以上、8ビットカラー対応の720p高解像度ディスプレイ |
備考 | 初期設定時にはインターネット接続とMicrosoftアカウントが必要 |
特に、古いパソコンだとTPMバージョン2.0に対応していないケースが少なくありません。TPMバージョンは、Windowsの「デバイスマネージャー」から確認できます。
「セキュリティデバイス」に「トラステッド プラットフォーム モジュール 2.0」が存在すれば、要件を満たしています。
4-3 パソコンのレンタル・リース
それほど長期間の利用を考えていない場合は、Windows 11パソコンのレンタル・リースも1つの選択肢です。
契約内容にもよりますが、新しいWindows 11パソコンを購入するよりもコストを抑えられるケースもあるでしょう。
ただし企業側の所有物ではないため、機種や利用方法が制限される場合もあります。
5.Windows10からの移行が間に合わない人向けの「ESUプログラム」とは
ビジネスの都合上、Windows 10のサポート終了までにWindows 11への移行を完了できない人もいるでしょう。そのような場合は「ESU(拡張セキュリティ更新)プログラム」を活用するのも1つの選択肢といえます。
ESUプログラムとは、Windows 10でもセキュリティ関連のアップデートを最長で3年間、受け続けられる有償サービスです。サポート終了後にWindows 10を使わざるを得ない場合でも、セキュリティリスクを最小限に抑えられるでしょう。また、「Windows 365」のユーザーであれば追加費用が発生しないのも魅力です。
ただし、Windows 10は最新バージョン(22H2)であることが前提条件となります。また、セキュリティ以外のアップデートはESUプログラムに含まれません。詳細については公式サイトをご覧ください。
まとめ:Windows 10のサポートが終了する前に対策を
Windows 10は、2025年10月14日にサポート終了となります。
サポート終了後にWindows 10を使い続けると、セキュリティリスク上昇はもちろん、周辺機器の動作トラブルなども考えられます。
Windows 11への移行に向けて、まずは次の3つは実施しておきましょう 。
- パソコンがWindows 11の最小システム要件を満たしているか確認
- 周辺機器・ソフトのWindows 11対応調査
- データのバックアップ
また、Windows 10のサポート終了に備える選択肢は、主に以下の3つです。
- Windows 11へのアップデート
- パソコンの買い替え
- レンタル・リース
サポート終了日までには期間があるため、過剰に急ぐ必要はありません。しかし、サポート終了後に動き出すのでは遅いため、できるだけ早めに対応しましょう。
参考:歴代Windows OS終了時期
今までのWindowsOSの終了時期に関しては以下の通りです。
OS 提供開始日 メインストリームサポート終了日 延長サポート終了日 Windows XP 2001年11月16日 2009年4月14日 2014年4月8日 Windows Vista 2007年1月25日 2012年4月10日 2017年4月11日 Windows 7 2009年10月22日 2015年1月13日 2020年1月14日 Windows 8 2012年10月30日 対象外 対象外 Windows 8.1 2013年11月13日 2018年1月9日 2023年1月10日 Windows 10 Home and Pro 2015年7月29日 2020年10月13日
2025年10月14日
Windows 11 Home and Pro (Version 22H2) 2021年10月4日 2024年10月8日 -