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知っておきたい!世界で有名な日本人プログラマー・エンジニア
業界別 2024.07.05
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知っておきたい!世界で有名な日本人プログラマー・エンジニア

執筆: Qbook編集部

ライター

スポーツや映画監督、漫画家など世界中で有名な日本人は数多く存在します。それはIT業界、プログラミング界でも同様で、多くの日本人が世界的に活躍し、知られています。

そこで今回は、エンジニアなら知っておきたい、世界中の人々から注目と尊敬を集める日本人プログラマー、エンジニアをご紹介していきます。

もくじ
  1. IT系ニュースで話題になる方々
    1. 「Ruby」を開発した・まつもとゆきひろ(Matz)氏
    2. 「Git」のメンテナー・濱野純氏
    3. 「SoftEther」の開発者・登大遊氏
  2. 一般ニュースで話題になった方々
    1. 視覚障害者支援プロジェクト等で知られる・浅川智恵子氏
    2. 「世界最高齢プログラマー」として活躍する・若宮正子氏
  3. 映画化された「伝説のプログラマー」
    1. 「パックマン」で世界を動かした・岩谷徹氏
    2. 「Winny」で社会に一石を投じた・金子勇氏
  4. 「スーパープログラマー」の共通項は?
    1. 課題意識が高い
    2. 学習意欲が強い
  5. まとめ

1. IT系ニュースで話題になる方々

1-1 「Ruby」を開発した・まつもとゆきひろ(Matz)氏

「MINASWAN」という標語をご存知でしょうか?「Matz is nice and so we are nice.」の頭文字を繋いだもので「みなすゎーん」と読むようです(注1)。

ここで"ナイスな人"といわれているMatz氏こそが、プログラミング言語「Ruby」を1995年に公開したまつもとゆきひろ(松本行弘)氏です。

もともとは「Matz is nice so we are nice.」と「and」がない「MINSWAN」だったようですが、意味はどちらも「Matzがniceだから私たちもniceに」といったところです。

(注1) まつもと氏は「x」上で「みなすゎ−ん」としています。

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引用:Yukihiro Matsumoto(xのアカウント)より

まつもと氏は、Rubyアソシエーション理事長、根県松江市名誉市民などを務められている世界的に知られているプログラマーです。

「Ruby」の開発は1993年にスタートしており、2012年には、国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会議(IEC)の共同策定規格(ISO/IEC30170)として承認され、日本で開発されたプログラミング言語としては初めて国際規格になっています。

さらに、同2012年には「世界で活躍し『日本』を発信する日本人」(内閣官房国家戦略室)の一人に選ばれました。

「Ruby」は、世界中のプログラマーに愛用されており、まつもと氏は、コミュニティを大切にし、活発に活動を続けています。

世界中のカンファレンスやイベントでも講演などを行い、温かい人柄が尊敬を集め、冒頭で述べた「MINASWAN」の言葉が生まれるほど人気があります。今後もまつもと氏の動向から目が離せません。

1-2 「Git」のメンテナー・濱野純氏

ソースコード管理システムの標準である「Git」のメンテナーとして世界中のプログラマーに知られているのが濱野純 氏です。

「Git」はLinuxカーネルの開発者であるリーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)氏によって開発されました。濱野氏は、2005年7月からトーバルズ氏から指名される形でメンテナーを引き継いだのだそうです。

トーバルズ氏は、Gitが成功した理由の一つが濱野氏の働きだと指摘しています。

濱野氏は、他にも多くのプロジェクトに参加しており、オープンソースソフトウェアの分野に貢献していることで世界的に知られています。

1-3 「SoftEther」の開発者・登大遊氏

ネットワークやセキュリティ技術の分野で世界中から注目されているのが、登大遊 氏です。

2003年、筑波大学在学中に開発したVPNソフト「SoftEther」が有名です。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「未踏ソフトウェア創造事業・未踏ユース部門」で天才プログラマー/スーパークリエータ認定を受けています。

2004年4月には、ソフトイーサ株式会社を設立し、実業家としてのキャリアをスタート。2018年より情報処理推進機構(IPA)産業サイバーセキュリティセンターサイバー技術研究室長を務めるなど、現在でも多方面で活躍を続けています。

登氏は世界のネットワーク技術をリードする一人で、セキュリティ分野での講演や執筆活動も行っており、技術的知識と経験を多くの人々と共有しており、尊敬を集めています。

2.一般ニュースで話題になった方々

2-1 視覚障害者支援プロジェクト等で知られる・浅川智恵子氏

視覚障害者支援プロジェクトの開発などで知られるコンピュータ・サイエンティストが浅川智恵子 氏です。

浅川氏は、幼少期に視力を失い、視覚障害者のための技術開発に取り組んでいることで知られています。

2009年には日本人で3人目となる「IBMフェロー(IBMに所属する技術系社員の最高位)」となり、2013年には紫綬褒章を受賞されています。国内外から高い評価を受けていることが分かります。

1997年に開発された「IBM Home Page Reader」は世界初の音声ブラウザソフトウェアとして知られ、インターネットを利用する視覚障害者の必需品といわれるようになりました。2019年には、この開発が評価され、浅川氏は「全米発明家殿堂」入りをしています。

2020年からは視覚障害者が自由に街を歩けるようになる「AIスーツケース」の開発を開始しています。2020年6月には、東京大学先端科学技術研究センター・フェローとなり、2021年からは日本科学未来館の館長を務めるなど、多岐にわたって活躍しています。

浅川氏のことは、一般メディアでも多く取り上げられていますので、番組を目にした方も多いかもしれません。浅川氏の研究は、テクノロジーを人々の生活を向上させるために活用する素晴らしいもので、世界中から注目を集めています。

2-2 「世界最高齢プログラマー」として活躍する・若宮正子氏

2017年に「Worldwide Developers Conference 2017」でアップル CEOのティム・クック氏から「世界最高齢のアプリ開発者」と紹介され、話題になったのが若宮正子 氏です。

当時、81歳でした。2016年夏にスマートフォン向けのシニア層が楽しめるゲームがないと感じたことからiPhone用ゲームアプリ「hinadan」を開発し、2017年に公開、話題となったのです。

若宮氏はそれ以前にも、Microsoft Excelの罫線枠を利用して作成する「エクセルアート」を考案して、マイクロソフトから評価を受け、2014年には「TEDxTokyo」に登壇し、英語によるスピーチをしています。

もともと、若宮氏は介護をきっかけに60歳を過ぎてからパソコンを学び、1999年にシニア向けサイト「メロウ倶楽部」の創設に加わり、のちに国連情報社会世界サミット大賞日本大会で最優秀賞を受賞するなど、ハンドルネーム「マーチャン」として活躍されていました。

現在は、ITエヴァンジェリスト、YouTuberとして活動し、デジタル庁デジタル社会構想会議など様々な機関のメンバーとして、年齢や世代を超えてテクノロジーを活用する可能性を示し続けています。

3.映画化された「伝説のプログラマー」

3-1 「パックマン」で世界を動かした・岩谷徹氏

あえて「伝説の」を付けたくなる日本のゲームクリエイターが岩谷徹 氏です。最も知られているのはナムコでの『パックマン(Pac-Man)』の開発でしょう。

1980年に発売された『パックマン』は北米を中心に世界的にヒットし、現在でも後継作が発表される超人気・定番シリーズとなっています。

パックマンは当時のアーケードゲーム業界において革新的な作品でした。なぜなら、シューティングゲームなどが主流だった時代に「迷路」という概念を持ち込んで新ジャンルを作り上げたためです。岩谷氏は「パックマン」の成功で一気に有名になり、コンピュータゲームの歴史に名を刻みました。

パックマンのキャラクターとしての知名度も抜群で、人気レベルが「ミッキーマウス」と比べられるほどです。

事実、キャラクターの一部がディズニーアニメ映画「シュガー・ラッシュ(Wreck-It Ralph)」(2012)に出演したり、コメディ映画「ピクセル(Pixels)」の主役級キャラとして登場したりもしています。

「ピクセル」には本人ではありませんが、登場人物として「岩谷徹」が登場し、御本人もカメオ出演されているとのことです。

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出典:ピクセル(ソニー・ピクチャーズ公式)

岩谷氏は、2020年5月から東京工芸大学の名誉教授を務められるなどしています。

他にない独創的なシステムを作り、映画などでも愛されるキャラクターを創造して、ゲームを超えて世界にインパクトを与えたことが高く評価されています。

3-2 「Winny」で社会に一石を投じた・金子勇氏

Peer to Peer(P2P)技術を利用したファイル共有ソフト「Winny」の開発者として世界的に知られるのが金子勇氏です。

「Winny」のβ版は2002年に公開されています。金子氏は東京大学大学院情報理工学系研究科数理情報学専攻情報処理工学研究室で特任助手を務めるなどした情報工学の研究者であり、プログラマーでした。

「Winny」は2002年に公開されました。「Winny」の特徴はユーザー同士が直接ファイルを交換でき、サーバーを介さないため、匿名性が高く、効率的にファイルが交換(共有)できる点にありました。そのため、「Winny」は著作物の違法コピーなどに悪用されてしまいます。

その後、金子氏は「Winny」の開発がもとで2004年に著作権法違反幇助の疑いで京都府警察に逮捕され、起訴されます。2011年12月に無罪が確定するまで長い年月を要することとなってしまいました。この事件は「Winny事件」と呼ばれ、2023年には『Winny』として映画化されています。

金子氏は他にも3D物理シミュレーションソフトウェア「Animbody」など様々なフリーウェアも発表していますが、一般的には「Winny」の開発者として知られています。P2Pに精通していたことから、金子氏が、正体不明のBitcoinの開発者「サトシ・ナカモト(中本哲史)」ではないかとする憶測がネットを飛び交ったこともあります。

金子氏は、P2Pなど技術の発展に大きく貢献しただけでなく、Winny裁判を通じて、後進のソフトウェア開発者を守ったことで多くの人々から尊敬を集めています。残念ながら、金子氏は2013年6月に死去されました。

4.「スーパープログラマー」の共通項は?

ここまで紹介してきた方々以外にも、日本にはスーパープログラマーと呼ばれる技術者・開発者が数多く存在しています。そんな彼らに共通項は見出だせるのでしょうか?

4-1 課題意識が高い

まず、問題意識の強さ、社会課題への意識の高さが上げられると思います。

皆さんのインタビュー等を読ませていただくと、閃きや開発のきっかけになっているのは、既存のものの問題点や課題への気づきであることが多い気がします。

登大遊氏が「SoftEther」を開発したのは、既存のVPNソリューションの問題点に気づき、より優れたものを作ろうとしたからでした。若宮正子氏が「hinadan」を開発したのは、シニア層が楽しめるゲームが無かったからです。

金子氏が「Winny」を開発したのは、当時の他のファイル共有の効率の悪さに問題を感じ、より便利で高速なシステムを作ろうとしたからでした。

4-2 学習意欲が強い

すべての方が、学びに対する姿勢がとても積極的で、自然に学んでいる、好奇心旺盛な姿勢が印象的でした。

例えば、若宮氏は、60歳でパソコンを独学で学び始め、パソコン通信から、エクセルアート、プログラマーと途切れることなく、新たな挑戦を続けておられます。

まとめ

客観的判断基準がないことや、スペースには限りがあることから、世界から注目されている有名な日本人プログラマー・エンジニアをちょっと主観的に紹介させていただきました。

少し検索しただけで、世界で活躍する、影響力のある日本人プログラマー・エンジニアは数多くいらっしゃることが分かります。

彼らの技術で社会課題を解決させたいと願う姿勢や、好奇心旺盛に学び続ける意欲を見習いたいものですね。

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執筆: Qbook編集部

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バルテス株式会社 Qbook編集部。 ソフトウェアテストや品質向上に関する記事を執筆しています。