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ITエンジニアの「上流工程」とは?仕事内容や求められるスキルを紹介
スキルアップ

更新日:

2026.01.21
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ITエンジニアの「上流工程」とは?仕事内容や求められるスキルを紹介

執筆: Qbook編集部

ライター

ソフトウェア開発において上流工程は、最終的な成果物の品質を左右する重要なプロセスです。

しかし、「上流工程」という言葉は知っていても、その仕事内容をイメージできないITエンジニア志望者の方もいるでしょう。

上流工程はキャリアとしての魅力が多いものの、下流工程とは業務内容や求められるスキルが大きく異なります。単なる下流工程の延長線上にあるわけではないため、その違いを十分に理解したうえで、今後のキャリアを検討することが大切です。

本稿では、ITエンジニアの上流工程の概要について詳しく解説します。上流工程担当のITエンジニアに必要なスキルや、目指す方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

もくじ
  1. ITエンジニアの上流工程とは
    1. 下流工程との違い
    2. ITエンジニアの職種によって仕事内容は異なる
  2. ITエンジニアの上流工程における仕事内容
    1. 要求定義
    2. 要件定義
    3. 基本設計
    4. 詳細設計
  3. 上流工程担当者を目指すメリット
    1. キャリアの幅が広がる
    2. 収入アップを目指せる
    3. スキルの市場価値が高い
  4. 上流工程担当者を目指す際に認識しておくべきポイント
    1. 責任・プレッシャーが大きくなる
    2. 自身でコードを書く機会が減る
  5. 上流工程を担当するITエンジニアに必要なスキル
    1. 下流工程の基礎知識
    2. 担当職種の業務知識
    3. コミュニケーションスキル
    4. マネジメントスキル
    5. ドキュメント作成スキル
  6. 上流工程担当のITエンジニアを目指す方法
    1. 知識・スキルを証明できる資格を取得する
    2. 下流工程の経験を積む
  7. まとめ

1. ITエンジニアの上流工程とは

ITエンジニアの上流工程とは、ソフトウェア開発やITインフラ構築における計画段階のプロセスのことです。つまり、ソフトウェアやITインフラを形にする前に、全体像や実現方法を明確にしておくプロセスを指します。

上流工程が正しく行われなければ、高品質な成果物を完成させることはできません。したがって上流工程は、最終的な成果物の品質を大きく左右する重要なプロセスといえます。

1-1 下流工程との違い

上流工程と似た言葉に「下流工程」があります。下流工程とは、ソフトウェアやITインフラを実際に形づくり、稼働させていくプロセスのことです。

大まかにいえば、上流工程が「計画を立てる段階」、下流工程が「計画を実行する段階」となります。

上流工程で決定した内容をもとに、下流工程でソフトウェアやITインフラの開発を進めていくのが一般的です。また、完成した後の運用や保守といった業務も下流工程に含まれます。上流工程と下流工程は、いずれもITエンジニアの業務において欠かせないプロセスです。

1-2 ITエンジニアの職種によって仕事内容は異なる

ITエンジニアの職種によって、上流工程の仕事内容は異なります。

ソフトウェア開発に携わる「開発エンジニア」と、ITインフラを主に扱う「インフラエンジニア」の仕事内容をイメージするとわかりやすいでしょう。

開発エンジニアはソフトウェアの機能や画面、処理の流れなどを決めますが、インフラエンジニアはサーバーやネットワークの構成や使用機器などを決めます。このように、異なる分野の専門知識を必要とするため、職種によって仕事内容が変わるのは必然です。

以降の章では、開発エンジニアにおける上流工程に焦点を当てて解説します。

なお、上流工程に関わる重要な職種として「PM(プロジェクトマネージャ)」があります。PMは開発プロジェクトの責任者であり、全体の計画や進行管理、調整を担います。PMについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

2.ITエンジニアの上流工程における仕事内容

ITエンジニアの上流工程では、「要求定義」「要件定義」「基本設計」「詳細設計」の4プロセスを順番に進めていきます。それぞれの仕事内容を見ていきましょう。

2-1 要求定義

最初に行うのが「要求定義」です。このプロセスでは、「ソフトウェアに何が求められるか」を明確にします。

顧客とのヒアリングやエンドユーザーへのアンケート調査を通じて、ソフトウェアが満たすべき要求を洗い出します。

顧客やエンドユーザーの要求を正確に把握することは、ソフトウェア開発の成功において最も重要です。要求を正確に捉えられないと、価値のあるソフトウェアを完成させることはできません。そのため、必ず最初に要求定義を行い、顧客やエンドユーザーの要求を調査・整理・分析します。

2-2 要件定義

次に、定義した要求を踏まえて「要件定義」を実施します。要件定義とは、「どのようなソフトウェアを開発すべきか」を定義するプロセスです。要求を満たすソフトウェアを開発するために、ソフトウェアに実装すべき機能や達成すべき性能などを明確にします。

ただし、要件定義では開発プロジェクトの予算や人的リソース、顧客のスケジュールなども考慮しなければなりません。そのため、ソフトウェアの理想像だけを追求するのではなく、顧客との打ち合わせを通して要件をすり合わせていくことが重要です。

2-3 基本設計

続いて、定義した要件を踏まえて「基本設計」を実施します。基本設計とは、「どのようにソフトウェアを振る舞わせるか」を具体化するプロセスです。

要件が正しく盛り込まれたソフトウェアを開発するために、具体的な実現方法を明確にします。

基本設計では、ソフトウェアの外部から見える部分が設計対象となります。たとえば、機能のラインナップや画面のレイアウト・入力項目、ボタンの挙動、データベース構成などが設計対象です。外部から見えないプログラムの実装方針などは、次のプロセスで検討します。

基本設計の成果物である「基本設計書」は、顧客からレビューを受けることが一般的です。顧客レビューでは、要件が適切に基本設計へと落とし込まれていること、顧客と開発側で認識がずれていないことを確かめます。やり取りをスムーズにするため、顧客目線でも理解しやすい基本設計書を作成することが大切です。

2-4 詳細設計

次に、基本設計の内容を踏まえて「詳細設計」を実施します。詳細設計とは、「どのようにソフトウェアを実装するか」を具体化するプロセスです。基本設計とは対照的に、外部からは見えないソフトウェア内部が設計対象となります。

たとえば、プログラムにおける処理の流れや使用するアルゴリズム・データ構造、コンポーネントの呼び出し順序などが設計対象です。プログラマーが実装するうえで困らないよう、ソフトウェア内部の設計を掘り下げます。

詳細設計は主に開発側のために実施するものであり、顧客レビューを行わない場合が多いです。また、詳細設計を実装工程の一部として扱う場合もあり、プログラマーが詳細設計を担当することもあります。この場合、詳細設計は下図のように「中流工程」として位置付けることも可能です。

3. 上流工程担当者を目指すメリット

ITエンジニアにとって、上流工程の担当者を目指すことには多くのメリットがあります。ここでは、主な3つのメリットを紹介します。

3-1 キャリアの幅が広がる

上流工程の経験を積むことで、キャリアの選択肢が大きく広がります。上流工程で得た経験やスキルは汎用性が高く、さまざまな職種に活かしやすいためです。

たとえば、顧客と要求や要件についてすり合わせる経験は、顧客との折衝をともなう「プロジェクトマネージャ(PM)」や「ITコンサルタント」といった職種に役立ちます。また、特定の技術領域で設計を極めれば、「ITスペシャリスト」として技術面からプロジェクトをリードする道も開けるでしょう。

このように、上流工程の経験やスキルが役立つ職種は多いため、キャリアを豊かにするための土台となります。

3-2 収入アップを目指せる

下流工程を担当している方が上流工程担当者を目指すことで、収入アップを目指せます。一般的に、上流工程を担当するITエンジニアは、下流工程のみを担当する場合に比べて年収が高い傾向にあるためです。

上流工程担当者は、顧客との調整や開発メンバーの管理・サポートなどを行うため、責任の大きい立場にあります。そのため、報酬も下流工程担当者と比べて高めに設定されています。

経験を積んでチームを導く立場へ進むほど収入が上がりやすく、長期的なキャリア設計にも好影響を与えるでしょう。

3-3 スキルの市場価値が高い

上流工程で培われるスキルは、市場価値が高いといえます。顧客の目的や課題を深く理解し、それを達成・解決に導くためのスキルは、ビジネスへの貢献度が高いです。高度な上流工程のスキルを持つ人材は限られており、多くの企業で活躍するチャンスがあります。

また、近年ではAI技術が発展しており、ソフトウェア開発でも定型業務は自動化が進んでいます。上流工程も影響はゼロではないものの、コーディングなどの下流工程と比べるとAIによる代替のリスクは低いでしょう。顧客とやり取りしながら曖昧な要望をくみ取ったり、関係者間の複雑な利害を調整したりする業務は、AIには代替が難しいためです。

4. 上流工程担当者を目指す際に認識しておくべきポイント

上流工程へのキャリアアップには多くのメリットがあります。しかし、メリットだけを見て判断すると、転身後に思わぬギャップを感じてしまうケースも少なくありません。ミスマッチを避けるために、上流工程担当者を目指すうえで認識しておくべき2つのポイント も確認しておきましょう。

4-1. 責任・プレッシャーが大きくなる

上流工程での決定事項は、その後の開発工程すべてに影響を与えます。もし要件定義や設計にミスがあれば、開発の終盤で大きな手戻りが発生し、納期遅延につながりかねません。そのため、上流工程担当者は責任を感じやすい立場にあるのです。

プロジェクト全体の責任を負う場面も増えるため、下流工程を担当していた頃よりもプレッシャーを感じやすいでしょう。しかし、その分プロジェクトを成功に導いた時の達成感や、自身の成長を実感できる機会も多く、大きなやりがいにつながります。

4-2. 自身でコードを書く機会が減る

上流工程を担当するようになると、ドキュメント作成や打ち合わせの時間が増えます。その結果、自分でコードを書くといった実装業務 の機会は減少するでしょう。

この点は好みの問題です。「コードを書くのが好き」といった方の場合、やや物足りなさを感じるかもしれません。反対に、「顧客の悩みに深く寄り添いたい」「チームをけん引したい」といった方にとっては相性の良い職業です。

上流工程担当者はキャリアとして魅力的ですが、自身の志向と業務内容のバランスを考えて検討すると良いでしょう。

5.上流工程を担当するITエンジニアに必要なスキル

上流工程の仕事を適切に行うためには、確かなスキルが求められます。上流工程を担当するITエンジニアに必要なスキルは、主に次の5つです。

5-1. 下流工程の基礎知識

上流工程を担当するとしても、プログラミングやテストといった下流工程の知識と経験は重要となります。上流工程の要件定義や設計などは、下流工程での作り込みを想定して行わなければならないためです。

たとえば、既存プログラムの構造を十分に考慮せず複雑すぎる設計にしたことで、実装の難易度が高まり、バグが多発することも考えられます。また、テストのしやすさを無視した設計では、テスト工程のコストや工数が増大してしまいます。

下流工程の基礎知識がないと、現場で実現不可能な「絵に描いた餅」のような設計をしてしまいかねません。下流工程の視点を持つことで、プログラマーやテスターが直面するトラブルを予見でき、現実的で手戻りの少ない要件や設計を検討できます。

5-2. 担当職種の業務知識

上流工程を担当するITエンジニアには、担当職種の業務知識が欠かせません。

たとえばWebアプリケーションを開発する場合、Web通信やWeb開発言語などに関する知識が必要です。要件や設計は、こうした業務知識にもとづいて検討します。

また、そのソフトウェアが使われる分野に関する専門知識(ドメイン知識)も幅広く持っておくことが理想です。たとえば金融システムを開発する場合、金融に関する専門用語や考え方を理解していれば、顧客とのコミュニケーションが円滑に進むでしょう。

このように、上流工程担当者には要件定義や設計の土台として、そして顧客とのやり取りにおいても、幅広い業務知識が求められます。

ソフトウェアテスト実施はじめてガイドブック

実際に「テスト実施」・「不具合報告」をする際の正しい流れを解説したガイドブックです。ソフトウェアテストを初めて実施する人に向けて、その作業内容や用語、心構えをまとめています。

5-3. コミュニケーションスキル

上流工程では顧客や開発メンバーとやり取りする場面が多いため、コミュニケーションスキルが不可欠です。

顧客とは、要求をヒアリングして必要に応じて提案を行い、下流工程の担当者とは、要件や設計に関する説明や状況確認のためにやり取りを行います。

相手の考えを正確にくみ取ったり、自分の考えを正確に伝えたりできなければ、認識違いが生じかねません。そのため、双方向のやり取りを正確かつ迅速に行うには、コミュニケーションスキルが必要です。

5-4. マネジメントスキル

上流工程の担当者には、プロジェクト全体を見渡すマネジメントスキルも必要です。プロジェクトの進行に必要なリソース(ヒト、モノ、カネ、時間)を適切に管理・調整する能力が求められます。

具体的には、顧客と開発チームの間に立ち、予算や人員を加味して要件の調整や、進捗状況によってはスケジュールの調整も行います。開発メンバーの進捗や開発チーム全体の課題を管理することも多いです。マネジメントスキルがなければ、開発チームを成功に導くことはできません。

またマネジメントスキルには、問題を解決に導く「問題解決能力」も含まれます。プロジェクトの進行には、予期せぬリスクや問題が付き物です。そうした際にも、早期に解決策を見つけられるスキルがあれば、上流工程担当者としての評価が高まるでしょう。

5-5. ドキュメント作成スキル

要件定義では「要件定義書」、基本設計では「基本設計書」と工程ごとにドキュメント(文書)を作成する必要があるため、ドキュメント作成スキルも求められます。

要件定義書や基本設計書は、顧客にも見せることが多いため、開発者以外にも伝わる内容であることが重要です。

そのため、伝わりやすい文章の書き方、情報を合理的に整理・構成する能力が求められます。

また、上流工程のドキュメントには、フローチャートなどの図を挿入することも多いです。図を効果的に活用することで視認性が高まり、客観的にわかりやすいドキュメントになります。主要な図の書き方や、作図ツールの使い方も把握しておくと良いでしょう。

6.上流工程担当のITエンジニアを目指す方法

上流工程を担当するITエンジニアは、責任が大きく、それに見合った収入も期待できるため、多くのITエンジニアが目指すポジションです。そのため、上流工程を担当するITエンジニアに興味がある方も多いのではないでしょうか。

ここでは、上流工程担当のITエンジニアを目指すための方法を紹介します。

6-1. 知識・スキルを証明できる資格を取得する

少しでも早く上流工程の担当者を目指す場合は、資格の取得が有効です。

上流工程の業務には資格が必須ではありませんが、資格を持つことで客観的に知識・スキルを証明でき、上流工程へのキャリアアップの際に有利になります。

上流工程の担当者を目指す方には、以下の資格取得をおすすめします。

資格名 概要
応用情報技術者試験 広範なITに関する知識を証明できる国家資格
システムアーキテクト試験 高度なシステム設計スキルを証明できる国家資格
プロジェクトマネージャ試験 高度なプロジェクトマネジメントスキルを証明できる国家資格
シスコ認定 ネットワーク技術やネットワーク機器の活用スキルを証明できる資格
オラクルマスター データベースの設計などに関する知識や活用スキルを証明できる資格

資格取得を目指す際には、受験費用や学習時間を確保する必要があります。経済的・時間的に余裕がある方は、資格取得を目指してみるのもよいでしょう。

6-2. 下流工程の経験を積む

堅実な方法として、まずは下流工程の担当者として経験を積むことが理想です。

前述のとおり、上流工程には下流工程の基礎知識やノウハウも欠かせません。そのため、上流工程を目指すための土台として先に経験しておくべきです。下流工程を知らずに要件定義や設計を行うと、現場で実現不可能な仕様を作ってしまう恐れがあります。

上流工程の学習においては、上流工程経験者の働き方を実際に見て学ぶのが効果的です。そういった意味では、下流工程の仕事を経験しながら、積極的に上流工程担当者から学びを得ると良いでしょう。

下流工程を担当する場合、単なる「テストの担当者」ではなく「最初のユーザー」であることを意識し、要求やニーズが反映されているかを確認しましょう。

そうすることで、上流工程で欠かせない要求や要件を意識できるようになります。このように、下流工程の経験を積むことは、実現性の高い要件や設計を考える際にもプラスに働きます。

6-3. 高品質な学習を行う

上流工程を目指すうえでは、現場での経験だけでなく、座学を通してノウハウを積極的に広げることも重要です。上流工程の考え方や勘所を理解して実践に活かすことで、より効果的な実践学習が可能となり、早期のスキル定着につながります。

スキルアップの方法として、専門講座やセミナーの活用がおすすめです。上流工程の要点である要求の獲得やヌケモレのない要件定義の方法などを学べます。上流工程の経験豊富な講師からの指導は信頼性が高く、疑問も素早く解決できます。

たとえば、バルカレオープン講座『上流工程の勘所 ~要求の獲得・ヌケモレのない要件定義~』では、要件定義における基礎知識やコツを体系的に学べます。上流工程担当者を目指す方、開発メンバーのスキルアップを図りたい方は、ぜひご活用ください。

まとめ

ITエンジニアの上流工程とは、ソフトウェア開発やITインフラ構築における計画段階のプロセスのことです。

上流工程は下流工程のインプットであり、最終的な成果物の品質を大きく左右する重要なプロセスといえます。上流工程の知識や経験は、将来的なキャリアの幅や市場価値を高める土台にもなります。

上流工程には多様なスキルと経験が求められるため、下流工程の経験を積み、キャリアアップを目指すのが堅実です。早期のスキルアップや転職を目指す場合は、資格の取得や専門講座を活用した高度な学習にも取り組むと良いでしょう。

上流工程の担当者を目指す方は、今回の内容をぜひ参考にしてください。

なお、ソフトウェア開発に関する理解を深めたい場合は、当サイト「Qbook」の無料会員登録がおすすめです。メールマガジンにて、ITエンジニアに役立つ情報や無料イベント・セミナーの情報随時お届けしているので、最新のITトレンドや技術をキャッチアップできます。

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