PM(プロジェクトマネージャ)とは、ソフトウェア開発プロジェクトの計画や運営、管理を行う職種のことです。
単にプロジェクトを進めるだけでなく、チームメンバーとコミュニケーションを取ったり、リスク管理・コスト管理なども行います。
今回は、IT業界におけるPMの役割と、「PL」「PMO」「PdM」との違いを解説していきます。
さらに記事の後半では、PMに求められるスキルや資格、PMを目指す方法についてもご紹介。エンジニアとしてこの先のキャリアアップを検討されている方はぜひ参考にしてみてください。
- もくじ
1.PM(プロジェクトマネージャ)とは?概要と役割
PM(プロジェクトマネージャ)とは、プロジェクト全体の計画・管理・調整を行う役職のことを指します。
開発プロジェクトの責任者であり、予算や人員、日程といった重要な事項を決定する権限を持ちます。また、ソフトウェアの納品先となる顧客とのやり取りも重要な任務です。
開発プロジェクトにアサインされたメンバーは、PMが決めたプロジェクト計画に従って開発を進めます。PMが誤った指針を示せば、開発プロジェクト全体が誤った方向に進むでしょう。そのためPMは、開発プロジェクトを成功に導くうえで重要な存在です。
PM(プロジェクトマネージャ)の主な役割には以下のようなものがあります。
- プロジェクト計画
- チームの編成、管理、サポート
- ステークホルダーとの調整
- リスクの特定、対処
- 品質評価、プロセス管理
- コストコントロール
- プロセス改善、振り返り
★PMO・ PL・PdMとの違い
「PM」と混同しやすい言葉として「PMO」や「PL」「PdM」があります。それぞれの役割についてまとめてご紹介します。
2.PMの平均年収は630万円
「求人ボックス 給料ナビ」によれば、PMの平均年収は約630万円です(2024年3月時点)。
一方、国税庁「民間給与実態統計調査(令和4年分)」によれば、日本全体の平均年収は約458万円です。
そのため、PMの平均年収は高水準といえるでしょう。PMには豊富な経験やスキルが求められ、大きな責任が伴うため、収入も高くなりやすい傾向にあります。また、IT人材が枯渇している現在、PMの需要はさらに高まっています。
ただし、同じPMでも年収に差が出ることもあります。
収入を高めるためにはプロジェクト経験や資格取得を通して、スキルを身につけていくことが重要です。
3.PMに求められる主な3つのスキル
PMに求められるスキルについてご紹介します。
これからPMを目指していく方やPMとしての経験を積んでいきたい方はどのようなスキルが必要になるのか見ていきましょう。
3-1 マネジメントスキル
PMに求められるのは、マネジメントスキルです。
プロジェクトを成功に導くために、プロジェクト全体をマネジメントしていく必要があります。
具体的には、以下のようなものがあります。
- 計画、スケジュール管理スキル(全体計画、進捗管理、リソース管理)
- リスクマネジメントスキル(リスクの特定・評価、対策、問題解決)
- チームマネジメントスキル(モチベーション管理、役割・責任の定義)
- コストマネジメントスキル(予算・コスト管理)
PMとしてプロジェクトを進める際は、プロジェクト全体のマネジメントを心がけることが重要です。
3-2 コミュニケーションスキル
PMに必要なスキルとしては、「コミュニケーションスキル」も重要です。
なぜなら、PMは開発プロジェクトの責任者として、各ステークホルダーとの折衝を行うことがあるからです。
例えば、遅延の挽回が難しいために、顧客に相談して納期の調整を行うケースもあります。人員が不足している場合は、関連部門の管理者に人員を融通できないか打診が必要でしょう。
PMには、各ステークホルダーと円滑にコミュニケーションを取り、良好な関係を築いていくことが求められます。メンバーレベルで解決できない問題は、PMが主導して解決しなければなりません。ステークホルダーとの関係を保ちつつ協力を得るために、高い折衝力が必要です。
3-3 業界や開発に関する知識
PMは「業界・開発に関する知識」も求められます。
なぜなら、業界や開発知識がないと、適切なプロジェクトの計画や、顧客への提案などができないからです。
基本的なIT知識や開発知識だけでなく、プロジェクトに関連する業界の動向やトレンドの開発手法・ツールなども情報収集しておくことおすすめします。
4.PMの業務に役立つ資格
PMとしてのスキルアップの方法として、資格取得を目指すことがあります。
PMになるために資格は必須ではありませんが、資格を取得することで自身のスキルを明示することができます。
PM関連の資格は主に以下の2つです。
4-1 プロジェクトマネージャ試験
「プロジェクトマネージャ試験」は日本のIPAが主催する「情報処理技術者試験」の一区分です。
プロジェクト管理に関する知識やスキルを総合的に問われます。
国家資格のため国内での知名度が高く、就職・転職においてもスキル証明として役立つでしょう。
実務経験がなくても受験できますが、合格率は13~15%ほどなので、受験される際は過去問題や参考書等で計画的に勉強をしておくことをおすすめします。
4-2 PMP(Project Management Professional)
「PMP」は米国のプロジェクトマネジメント協会が主催する国際資格です。
IT業界に限らないプロジェクトマネジメントの知識を証明することができます。プロジェクトマネージャ試験とは違い、受験には3~5年の実務経験が必要となります。
国際的な資格のため、将来、海外でPMとして活躍したい方は資格を取得しておくと、自身のスキルを証明することができるでしょう。
また、企業によっては、PMPを取得していることが応募条件になっていることもあるようです。
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まとめ
PM(プロジェクトマネージャ)は、ソフトウェア開発プロジェクトの計画や運営、管理を行う職種です。
開発プロジェクトの成否を左右する重要な存在であり、昨今ではIT業界のみならず需要が高まっています。
ただし、PMには豊富な知識が求められるため、難易度は決して低くありません。
PMを目指すのであれば、高品質な学習を積み重ねていきましょう。
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