近年では、AI(人工知能)を活用した高度なコードエディタが次々と登場しています。その中でも、注目を集めているのが次世代AIエディタ「Cursor(カーソル)」です。Cursorを使ってみたいものの、始め方や料金体系など不明点を抱える方も多いでしょう。
そこで本稿では、Cursorの基本事項を初心者向けにまとめてお伝えします。Cursorでできることや使い方も紹介するため、AIを活用したコーディングに興味がある方はぜひ参考にしてください。
- もくじ
1. Cursorとは?
1-1 Cursorとは「AI機能を搭載したコードエディタ」
Cursorとは、Microsoft社製の「Visual Studio Code(VS Code)」をベースに、AI機能を搭載して作られたコードエディタです。VS Codeの基本機能は踏襲しつつ、AIのコード補完や、チャットによるAIへの質問・指示といった機能が追加されています。
ただし、Cursor自体がAIモデル(AIを用いてタスクを処理する仕組み)を搭載しているわけではありません。Cursorは、外部のAIモデルと連携するための仕組みを持ち、これによってAIを活用できるコーディング環境を提供します。
なお、ベースとなっているVS Codeにも「GitHub Copilot」を用いたAIアシスタント機能はあります。CursorのAI機能はこれとは異なり、任意のAIモデルを選択できます。
1-2 Cursorの料金体系
Cursorには、無料プランの「Hobby」、有料プランの「Pro」および「Business」があります。無料でも利用可能ですが、機能制限があるため注意しましょう。主な料金プランごとの違いについて下表にまとめました。
▼Cursor料金プランの比較表(2025年4月時点)
プラン | 料金 | コード補完 | AIリクエスト高速 | AIリクエスト低速 | 追加機能 |
---|---|---|---|---|---|
Hobby | 無料 | 月2000回 | - | 月50回 | なし |
Pro | 月20ドル | 無制限 | 月500回 | 無制限 | 無料トライアルあり |
Business | 月40ドル | 無制限 | 月500回 | 無制限 | 組織向けプライバシーモード、チームへの一括請求、管理ダッシュボード、高度なセキュリティ機能 |
※2025年4月時点における公式サイトの情報に基づき記載しています。
無料プランでは、コード補完の回数制限やAIリクエストの上限があります。頻繁にAI機能を活用したい場合は、Proプランへのアップグレードを検討しましょう。
また、企業向けのBusinessプランでは、セキュリティ強化や運用の効率化につながる機能を使えます。たとえば、コードが外部サーバーに保存・AI学習に利用されない「プライバシーモード」を利用可能です。予算やニーズに合わせた料金プランを選択しましょう。
2. Cursorでできること
Cursorを導入する前に、何ができるのかを把握しておきましょう。Cursorでできることは、主に次の3つです。
2-1 AIによる高度なコード補完
Cursorには「Cursor Tab機能」があり、AIによる高度なコード補完を利用できます。AIがコードの流れを把握し、次に予測されるコードを提案してくれる機能です。複数行にわたる提案もでき、コーディング速度の大幅な向上につながります。
また、コードの細かいミスやずれを自動で調整してくれる「スマートリライト機能」も備わっています。特に「Python」「JavaScript」「C言語」などのプログラミング言語では多くの学習データがある分、コード補完でも高いパフォーマンスを発揮するでしょう。
2-2 チャットによるAIへの質問・指示
CursorにはAIチャット機能が搭載されており、コードベース(ユーザーの作業コード)を踏まえての質問・指示が可能です。たとえば、コードが正しく動作しない原因を質問したり、指示に合わせてコードを調整したりできます。
また「Composer機能」を活用すれば、ファイル作成などを含めた様々なコード生成の指示を出すことも可能です。簡単なアプリであればコードをほとんど書かずに開発できます。
2-3 VS Code拡張機能の利用
CursorはVS Codeとの互換性が高く、多くのVS Code拡張機能を利用可能です。
たとえば、UIを日本語対応に変更する「Japanese Language Pack for Visual Studio Code」は、Cursorでも同じように利用できます。
また、すでにVS Codeを利用している場合は、Cursor導入段階で拡張機能を引き継ぐこともできます。引き継ぎを行えば、逐一インストールし直す必要がありません。
3. Cursorの始め方・使い方
ここからは、Cursorの始め方・使い方を紹介します。Cursorを使い始める場合、次の5ステップに沿って進めていきましょう。
- アカウント登録
- Cursorのダウンロード
- Cursorのインストール
- Cursorの初期設定
- Cursorの利用開始
3-1 アカウント登録
Cursorの利用にはアカウント登録が必要です。まずは、Cursorの公式サイトにアクセスし、「ログイン」からアカウントを登録します。
登録手続きは一般的なサービスと同様で、メールアドレスやパスワードの入力後、メール認証を行う流れとなります。なお、GoogleアカウントやGitHubアカウントを利用することも可能です。
3-2 Cursorのダウンロード
次に、Cursorのインストーラーをダウンロードします。公式サイトのダウンロードボタンを押すだけでOKです。なお、ダウンロードボタンはお使いのOSによって変わります。画像は、Windowsにおけるダウンロードボタンの例です。
ダウンロードボタンをクリックすると、OSに合わせたインストーラーがダウンロードされます。
3-3 Cursorのインストール
続いて、ダウンロードしたインストーラーを実行し、指示に従ってインストールを進めましょう。インストールに問題がなければ、指定したインストール先にCursorアプリが追加されています。画像はWindowsのインストール例です。
3-4 Cursorの初期設定
Cursorアプリを起動すると、いくつかの初期設定を求められます。ご自身の用途や使いやすさに合わせて設定しましょう。
主な設定項目は下記のとおりです。
設定項目 | 概要 |
---|---|
Keyboard | どのコードエディタにキー割り当てを合わせるか。 |
Language for AI | どの言語でAI機能を用いるか。 |
Codebase-wide | コードベース全体に対する質問を可能にするか。 |
Add to Command Line | Windows「コマンドプロンプト」やmacOS・Linux「ターミナル」のコマンド経由でCursorを起動可能にするか。設定すれば、「code」や「cursor」といったコマンドの実行によりCursorを起動できる。 |
設定完了後は「Continue」をクリックします。また、VS Code拡張機能を引き継ぐかどうかも設定できます。引き継ぐ場合は「Use Extensions」、引き継がない場合は「Start from Scratch」をクリックしましょう。
ご自身の利用データをCursorの学習に利用するかどうかの設定も可能です。学習させたくない場合は「Privacy Mode(プライバシーモード)」を選択しましょう。ただし、有料プランでなければ設定できません。
3-5 Cursorの利用開始
ひと通りの初期設定が完了すると、画像のような画面が表示されます。「Log In」をクリックし、作成したCursorアカウントでログインします。コードエディタ画面が開き、Cursorを利用できるようになります。
基本的な使い方はVS Codeなどのコードエディタと同様ですが、画面右側にチャットの入力欄が存在します。チャット欄に入力・送信することで、AIに質問・指示が可能です。
なお、初期表示は英語のため、「Japanese Language Pack for Visual Studio Code」をインストールして日本語化すると良いでしょう。
4. Cursorを活用する際の注意点
Cursorは便利なコードエディタですが、活用には注意点もあります。Cursorを活用する際の注意点2つを押さえておきましょう。
4-1 使えないVS Code拡張機能もある
CursorはVS Codeをベースにしていますが、一部の拡張機能は対応していないケースもあります。
これまで使ってきた拡張機能がある場合は、使い始める際に正しく動作するかチェックしましょう。エラーが出るなど正しく動作しない場合は、別の拡張機能への移行を検討する必要があります。
4-2 APIを利用する場合は料金に気を付ける
CursorのAI機能は無料でも一定の回数は使えますが、無料枠を超えると有料プランへの切り替えやAPI設定が必要となります。
AIモデルのAPIを設定することで、特定のAIモデルを利用可能です。ただし、APIを利用する場合は料金に気を付けましょう。
コード補完機能やチャット機能を使いすぎると、想像以上にAPI利用料金がかさむケースもあります。料金の予算オーバーを防ぐために、メール通知機能を設定する、自動チャージ機能をオフする、など対策を講じると良いでしょう。
まとめ
Cursorとは、高度なAI機能を搭載したコードエディタです。AIによる高度なコード補完や、AIへのチャットによる質問・指示を通して、コーディングの生産性を向上できます。
また、VS Codeをベースにしており、多くのVS Code拡張機能を利用可能です。
Cursorを利用する際には、今回の内容をぜひ参考にしてみてください。