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AI駆動開発とは?取り入れるメリット・注意点とおすすめAIツール11選
開発技法・フレームワーク
開発技法・フレームワーク 更新日 2025.05.28
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AI駆動開発とは?取り入れるメリット・注意点とおすすめAIツール11選

執筆: Qbook編集部

ライター

「AI時代」という言葉が浸透しつつある昨今、ソフトウェア開発において注目されている開発手法が「AI駆動開発」です。AI駆動開発に期待されるメリットは大きく、従来の開発プロセスを大きく変革する可能性を秘めています。

しかし、AI駆動開発をどのように進めるべきか、どのようなツールを選ぶべきか、など不明点も少なくないのではないでしょうか。

本稿では「AI駆動開発とは何か」をテーマに、基本をまとめて解説します。AI駆動開発の進め方やプロセス別のおすすめAIツール、導入時の注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

もくじ
  1. AI駆動開発とは
  2. AI駆動開発を取り入れるメリット
    1. 開発効率の向上を図れる
    2. 人的ミスの削減を図れる
  3. AI駆動開発を進める際の注意点
    1. 有識者・経験者を確保する
    2. セキュリティリスクに対処する
    3. AIのアウトプットを過信しない
  4. AI駆動開発の導入までの流れ
    1. プロジェクト発足
    2. 開発計画/AIツールの選定
    3. AIツールの導入・教育
    4. 開発開始
  5. AI駆動開発におすすめのAIツール11選【プロセス別】
    1. プロセス全般
    2. 要件定義・設計
    3. コーディング
    4. テスト
    5. 運用
  6. まとめ

1. AI駆動開発とは

AI駆動開発とは、ソフトウェアの開発プロセスにAI(人工知能)を活用し、効率化を図る開発手法です。従来の開発では人が手作業で行っていたタスクの多くをAIが支援・自動化することで、開発効率の向上や人的ミスの削減が期待できます。

AI駆動開発の特徴は、「足りない部分をAIで補う」のではなく「AI活用を前提に開発プロセスを見直す」という考え方が軸となる点です。要件定義から設計、コーディング、テスト、運用にいたるまで、AIによる新しいアプローチの可能性を模索します。

AI駆動開発が注目される背景には、コンテンツの生成能力を持つ「生成AI」の登場があります。特に、テキスト生成に特化した生成AIは、人間の言葉による指示でソフトウェアのコードを生成できるため、開発プロセスの変革を加速させました。

AI駆動開発の具体例として、「バイブコーディング」と呼ばれるアプローチが近年注目を集めています。開発者が生成AIに指示を与えてコードを生成してもらい、ほとんど手動でのコード記述を行わないアプローチです。コーディングの大部分を生成AIに委ねることで、開発速度の大幅な向上が期待できます。

AI駆動開発は、今後のソフトウェア開発における重要なテーマの1つとなるでしょう。

2. AI駆動開発を取り入れるメリット

AI駆動開発の導入は、従来の開発プロセスを根本から変革し、2つの大きなメリットをもたらします。AI駆動開発を取り入れる2つのメリットについて、見ていきましょう。

2-1 開発効率の向上を図れる

開発プロセスのさまざまなタスクにAIを活用することで、開発スピードの大幅な向上が期待できます。たとえば、コードの大部分を生成AIにより生成することで、開発者はそのブラッシュアップに専念することができます。結果として、ゼロからコードを書くよりも大幅に時間を短縮できるでしょう。スピードの点で高いパフォーマンスを発揮するAIを開発プロセスに活用することは、効率化の観点からも理にかなっているといえます。

2-2 人的ミスの削減を図れる

AIを活用することで、開発プロセスに付きまとう人的ミスの削減を図れます。特に、成果物のレビューやテストといった「品質を確かめる工程」では、AIの高度な分析力や蓄積された知識が役立つでしょう。膨大なデータからパターンを学習したAIは、「異常パターンの検出」「決まったパターンの遂行」といった類のタスクが得意です。AIとてミスはあり得るものの、ケアレスミスや見落としといった人的ミスは減らせるでしょう。

3. AI駆動開発を進める際の注意点

大きな期待を感じさせるAI駆動開発ですが、取り入れる場合には注意点も知っておくべきです。AI駆動開発を進める際の注意点として、次の3つを把握しておきましょう。

3-1 有識者・経験者を確保する

AI駆動開発を取り入れる際には、有識者・経験者を必ず確保しましょう。AI駆動開発の導入にあたって、さまざまなAIツールを導入する必要があり、場合によってはAIを活用したシステムの開発・改修も必要です。

そのため、AI技術に関する経験や知識が豊富な人材がいなければ、正しい方向性で進めることは難しいでしょう。適切にAIを導入できなかった場合、開発プロセスに悪影響が生じ、かえって品質リスクを増大させることもあります。

3-2 セキュリティリスクに対処する

AI駆動開発を取り入れる際には、セキュリティリスクへの対処が不可欠です。

たとえば、生成AIのサービスや設定によっては、ユーザーが送ったプロンプト(命令文)を学習に用いる場合があります。この場合、プロンプトに含めた機密情報が他者のアウトプットに使われ、結果的に情報漏えいとなるリスクもゼロではありません。

また、AIが生成したコードに脆弱性(セキュリティ上の弱み)が含まれることも考えられます。AI駆動開発の導入にあたっては、こうしたセキュリティリスクを把握し、適切な対策を講じることが大切です。

3-3 AIのアウトプットを過信しない

AI駆動開発では、AIのアウトプットを過信しないことも重要です。特に生成AIを活用する場合、アウトプットに潜んだ誤情報や不備に注意しましょう。

AIには、ハルシネーション(真実らしい嘘をつく現象)のリスクが少なからず存在します。そのため、AIがアウトプットしたコードなどを見直さずに利用すると、思わぬ問題が後から判明しかねません。

AIによるアウトプットを人間が必ず見直し、必要であれば手直しを行うことが大切です。

4. AI駆動開発の導入までの流れ

AI駆動開発を成功させるうえでは、計画的に取り組んでいくことが重要となります。AI駆動開発を導入する場合、次の4ステップに沿って進めると良いでしょう。

4-1 プロジェクト発足

まずは、AI駆動開発を推進するための人員を確保し、プロジェクトを正式に始動させます。この段階で、現状の課題やAI活用の目的を明確にすることが理想的です。目的を明確にすることでAI活用の方向性が定まり、以降のステップを進めやすくなります。

4-2 開発計画/AIツールの選定

次に、プロジェクトの成功に向けて適切なAIツールを選定し、それに合った開発計画を策定します。AI駆動開発では多くのAIツールを活用しますが、その候補となる製品はさまざまです。目的の達成にはどのAIツールが必要か、AIツールではカバーできないタスクはないか、など慎重に検討しましょう。不足する機能は独自開発が必要です。

また、AIツールの選定と並行して、導入のスケジュールや必要なリソース、担当者などを具体化します。スムーズな導入はもちろん、従来業務への影響を最小限に抑えるためにも、しっかり開発計画を立てましょう。

4-3 AIツールの導入・教育

続いて、開発計画に沿ってAIツールを開発環境や開発フローに組み込み、実際に活用できるよう準備を進めます。この段階では、AI駆動開発に関わる全従業員への教育が不可欠です。

AIツールの操作方法や新たな開発フロー、セキュリティ上の注意点などを正しく理解してもらいましょう。そうすることで、円滑な運用につながるだけでなく、AI駆動開発にともなうリスクを軽減できます。

4-4 開発開始

そして、AIを活用した開発フローを本格的に運用していきます。これはゴールではなく、スタートラインです。問題の対応を含めて、継続的な運用を行っていきましょう。

特に、導入初期は予期せぬ問題に直面しやすいです。AIの活用状況を適切にモニタリングし、必要に応じて調整を行いましょう。また、AI導入前後の生産性や精度を比較し、具体的な効果を測定することも重要です。

フィードバックを取り入れながら開発フローをブラッシュアップすることで、より理想的なAI駆動開発を実現できるでしょう。

5. AI駆動開発におすすめのAIツール11選【プロセス別】

AIツールは多種多様で、どれをAI駆動開発に取り入れるべきか迷う方も多いでしょう。ここでは、プロセス別におすすめのAIツールを合計11点ピックアップして紹介します。

5-1 プロセス全般

ソフトウェア開発のプロセス全般で活用できるAIツールとしては、次の2つがおすすめです。

ChatGPT

OpenAI社が開発したテキスト生成向けの生成AIツールです。自然言語処理(人間の言葉を処理する技術)の能力が高く、指示次第で柔軟に使えるのが強みといえます。ドキュメントやコードの生成・レビュー・修正、情報収集など、幅広いシーンで活用できます。

GEAR.indigo

AI駆動開発に特化したAIツールです。開発コストの見積もりやドキュメントの作成、ドキュメントからのコード生成など、開発プロセス全体を強力にアシストします。

5-2 要件定義・設計

要件定義・設計で活用できるAIツールとしては、次の2つがおすすめです。

Lucidchart

ブラウザから利用できる作図ツールです。AIによる作図機能があり、言葉による指示でフローチャートや各種UMLといった図のたたき台を生成できます。特にシステム設計など、正確な図の作成が求められる場面で強みを発揮するでしょう。

Miro

ブラウザから利用できるホワイトボードツールです。Lucidchartと同様のAI作図に加えて、企画段階でのアイデア出しや戦略検討にもAIを活用できます。

5-3 コーディング

コーディングで活用できるAIツールとしては、次の3つがおすすめです。

GitHub Copilot

コード共有サービス「GitHub」に搭載されたコード生成AIです。GitHub上の膨大なコードの知見を蓄積しており、さまざまなプログラミング言語のコードを生成・補完・レビューできます。

Cursor

「Visual Studio Code(VS Code)」にAIアシスタント機能を統合した次世代コードエディタです。VS Codeの基本機能はそのままに、AIへの質問・指示やAIによるコード補完を手軽に利用できます。コーディングのスピードと品質の向上を強力にサポートします。

Tabnine

コード補完を得意とするコード生成AIです。コードをリアルタイムに補完し、プログラミングの生産性を加速させます。ユーザーデータをAIの学習に利用しないことを明言しているため、セキュリティ面も安心です。

5-4 テスト

テストで活用できるAIツールとしては、次の2つがおすすめです。

mabl

AIを活用したテスト自動化ツールです。テスト実行はもちろん、テストケースの作成やメンテナンスなど、幅広いテストプロセスを必要最小限のコードで自動化できます。アプリの変更をAIが検出してテストに反映する、といった高度な機能があるのも魅力です。

Autify

AIを活用したテスト自動化ツールです。UIテストに強みを持ち、画面操作を記録・再現する形でコードを書かずに自動化できます。また、生成AIによるテストケース・テストシナリオの自動生成機能もあり、テスト設計の効率化にも貢献します。

5-5 運用

運用で活用できるAIツールとしては、次の2つがおすすめです。

Splunk

システムにおけるログの収集や分析を行い、問題解決やセキュリティ強化に役立てるツールです。AI機能を搭載しており、異常の自動検知や原因調査、対応を支援します。

Dynatrace

システム運用状況の可視化や、運用監視の自動化を支援するAIツールです。異常の検知や攻撃の遮断、セキュリティ分析など、幅広いタスクをAIが支援します。

まとめ

AI駆動開発とは、ソフトウェアの開発プロセスにAI(人工知能)を活用し、効率化を図る開発手法です。AIを前提に開発プロセス全体を見直すことで、開発効率の向上や人的ミスの削減を図れます。

AI駆動開発を取り入れる際には、適切なステップを踏んで計画的に進めることが大切です。また、導入にあたっては有識者・経験者の確保や、セキュリティリスクへの対処が欠かせません。

AI駆動開発を進める際には、今回の内容をぜひ参考にしてみてください。

また、Qbookを運営しているバルテス株式会社においても、生成AIを活用したテストツール開発に取り組んでおります。

詳細がお伝え出来るようになりましたら、Qbook会員・読者の皆さまにもご案内いたしますのでご期待ください。

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執筆: Qbook編集部

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バルテス株式会社 Qbook編集部。 ソフトウェアテストや品質向上に関する記事を執筆しています。