これまで4回にわたり、テスト自動化の大きな運用のポイントを説明してきました。
今回は、運用の効率化を改善すること、テスト環境の規模が大きくなると考えておかないといけないこと、テスト自動化の品質などについて解説します。
一つ一つが大きなものではありませんが、テスト自動化の運用のなかで避けられないもの、役に立つものをご紹介していきます。
- もくじ
1.テストケースの見直し
テストケースが増えていくと、さまざまな課題が発生します。
よく発生する課題と、改善方法について解説します。
1-1 冗長なテストケース
冗長なテストケースとは、同じ機能をテストするテストケースが複数発生することです。特に複数人でテストケースを作成すると、発生する可能性が高いです。
複数のテストケースで同じ機能をテストすること自体には問題はありませんが、トータルのテスト実行時間が長くなってしまいます。
このような場合、テストシナリオを見直して、重複している機能テストを減らすことを行うと、実行時間の短縮につながります。
ただし、ログイン機能といった、どのテストケースでも必要なステップなどは削減する必要はありません(できません)。
1-2 不要なテストケース
不要なテストケースは、すでに廃止された機能のテストケースです。
廃止されているため、当然ですが実行すればエラーになると思います。このようなテストケースは、ソースコードのメンテナンス上残しておくことは望ましくありませんので、削除することをお勧めします。
1-3 価値の低いテストケース
テストケースが多くなった時、そのテストケースを実行する価値があるかを再検討すると良いです。
例えば、
- ほかの機能テストに比べて、重要な機能ではなく、ほとんど使われない機能
- 修正がこれまでに入らない機能で、かつこれまでテストの失敗が発生しない機能
- 仮にこの機能で本番で不具合が発生しても、サービス的に大きな問題が発生しない機能
主として、リスクベースで検討することになりますが、テストケースが肥大化した場合、一度価値のあるテストケースであるかを考えましょう。
実行するテストケースをスリム化することは、テスト自動化運用コストの面で良いでしょう。
1-4 テストデータの見直し
テストケースで使用しているテストデータを一度精査すると、改善する場合があります。
例えば、テスト実行のためのテストデータを毎回作成している場合です。それぞれのテストケースでテストデータを作成するのではなく、一つのテストデータを作成して複数のテストケースで利用できるようになるのであれば、テストデータ作成処理のスリム化になります。