Facebook x

ジャンル

「合理的な判断とスピード感で"要求定義"を叶えたプロダクトを届ける」株式会社スマレジ S.S 氏
第26回 隣のQAに聞く
隣のQAに聞く 更新日 2024.12.11
x hatenabookmark
1

「合理的な判断とスピード感で"要求定義"を叶えたプロダクトを届ける」株式会社スマレジ S.S 氏

執筆: Qbook編集部

ライター

様々な現場でQA業務に携わっている方々の「声」をお届けする『隣のQAに聞く!』。

社会のデジタル化が推進され、QA・品質向上の重要性がますます増している現在、他のチームではどのようにQA業務が行われているか、気になっているエンジニアの方も多いと思います。

そこで今回は、クラウドPOSレジ「スマレジ(POS)」を提供している株式会社スマレジで、QAとして働くS.Sさんに、QAのミッションや社内のQA業務で工夫しているポイントをお話しいただきました。

今回インタビューを受けてくださった方

1203_face.jpg
S.S 氏

株式会社スマレジ 開発本部/品質管理チーム

2022年2月に株式会社スマレジに入社。2024年5月から品質管理チームの主任としてマネジメントとテスト活動に携わっている。

もくじ
  1. 経理やゲームの攻略はQAに共通している部分がある
  2. ITサービスを通じてお店や街を元気に!
  3. プロダクト横断型のテスト専門チーム
  4. 内製の組織でありつつ、第三者視点を与えられる存在
  5. 要件定義ではなく、要求定義を大切に

1. 経理やゲームの攻略はQAに共通している部分がある

──現職についた経緯やこれまでの経歴を教えてください。

新卒で入社した企業では経理職を担当していました。ただ、当時から個人でゲームの攻略サイトを作っていたので第三者検証の会社に転職してゲーム関連のQA業務に携わりました。

そこで一緒に働いていた方が株式会社スマレジに転職し、「人手が足りないので助けてほしい」と声をかけられてリファラル採用で入社しました。開発本部 品質管理チームにてQA業務に携わり、2024年5月から品質管理チームの主任としてマネジメントとテスト活動を両立しています。

──経理職としての経験や趣味のゲームがQA業務に繋がっている部分があるのでしょうか。

IMG_0441.jpg

確かに、経理職では細かい数字を見て、計算をする必要がありました。そういう細々した業務はQAと共通している部分なのかなと思います。
またゲームにおいても、例えばボスと戦いに行こうとなると、絶対に勝てる状態までコツコツ育ててからやったりするタイプなので、そういった部分はQA業務につながっているかもしれないですね。

2. ITサービスを通じてお店や街を元気に!

──御社の事業・サービスについて教えてください。

弊社では、クラウド型POSレジ「スマレジ」を中心に、店舗向けソリューションを展開しています。POSは「Point of Sales」の略で、販売時点の管理システムを備えたレジです。

image001.png

出典:https://smaregi.jp/

レジと聞くと大きな端末が必要だというイメージがあるかもしれませんが、スマレジはiPadやiPhone等の端末を使用したシステムです。基本レジ機能をはじめ、リアルタイム売上分析や高度な在庫管理など、従来型POSレジシステムの枠を超えた、これからの店舗運営に必要な新しいシステムといえます。

また、POSレジから派生して飲食店の注文業務を効率化するオーダーエントリーシステム「スマレジ・ウェイター」をはじめ、クレジットカード・電子マネー・QR決済などの国内主要なキャッシュレス決済を端末一台でマルチに処理できる「PAYGATE」など、さまざまなサービスを企画・開発しています。

──近年では、iPadやiPhoneを使ったレジを見かけると「あの店舗はスマレジを使っている!」と固有名詞になりつつありますよね。会社として目指している・取り組んでいるミッションは何ですか?

弊社のミッションは、「お店を元気に、街を元気に!」です。
私たちが提供しているサービスを通じて中小規模店舗が抱える課題を解決し、店舗や社会全体を元気にしたいと考えています。

3. プロダクト横断型のテスト専門チーム

──御社のQA/品証業務の位置づけ・ミッションを教えてください。

弊社では開発本部の中に、QA/品証を担当する品質管理チームが所属しています。各プロダクトの開発チームからは独立したテスト専門のチームです。
体制としては自社開発プロダクトを一つのチームでテストするプロダクト横断型で、テスト計画・分析・設計・実行からテスト終了作業など、一般的なテストプロセス全般をチームに一任されています。

チームのミッションは「スマレジサービスの品質を作りあげていく」ことです。
テスト専門のチームといっても"ただテストする"だけではありません。常に、高品質なプロダクトを、スピード感を持ってお客様のもとに届けられるように日々尽力しています。

──横断型のテスト専用チームにこだわっている理由はあるのでしょうか?

一番の理由は、サービス個々で見るだけでは、プロダクト全体の品質向上に繋がらないのではと危惧しているからです。

弊社では、POSレジの他にも、オーダー端末や、券売機、引換券を出すアプリなど、さまざまなサービスを開発しています。それらは最終的にPOSレジに繋がる部分が多くて、その繋がりがわからないとアプリ単体で見てもテストがうまくいかないのかなと考えています。

また、開発チーム間だけでは「こちらのアプリではこういう実装している」などの共有や連携をうまくできない部分があり、横断型である我々のチームがそこをカバーできたりもするので、良い体制でできているのではないかと思います。

個々のサービスというより、スマレジ全体のサービス品質を守っているという感覚です。

IMG_0451.jpg

──たくさんの方が使うサービスとなると、品質管理の方も大変そうですね。サービス品質を改善していくために工夫しているポイントを教えてください。

ゲームであれば自分で触って「こういう操作をするんだろうな」とイメージがわきやすいのですが、業務用アプリの場合はそうもいきません。そういう意味ではお客様目線を自分なりに見つけるのは非常に難しいと日々感じています。

その点を補うためにも、弊社では全部署共通のチャットコミュニケーションツールを使用して、カスタマーサクセスや営業の方からお客様の要望に関する情報は全部拾い上げるように心がけてきました。

また、コミュニケーションツールとは別になるべく全てチケットを起票するようにしているのも大きいですね。チケットをコールセンターの方たちも全員起票してくださるので、「こういう内容の電話がありました」など全員が閲覧できる状態になっています。

あとは、品質を向上させるためには、部署としてテスト以外にもできることはあるのではないかと考えていて。自分たちから他のチームとコミュニケーションを取り、仕様の策定やレビュー対応などに積極的に関わるほか、チーム内外の様々なプロセス改善に努めるようにしています。

4. 内製の組織でありつつ、第三者視点を与えられる存在

──現在、御社の部門内で課題となっていること、改善したいことをお教えください。

急成長中の企業ということもあり、プロダクト数や機能開発への要望が増えていく中でQAチームのリソースが不足している状態です。これも横断型チームとしての体制の問題として声が上がっており、そこをどこまでボトルネックにならずにいられるかが課題だなと感じています。

課題の解決に向けて、チームリソースの最適化が鍵となるので、まずは各プロダクトの主要機能に絞ってのテスト自動化やアサイン調整方法の改善を進めているところですね。

──どんなとき、QA/品証としての「やりがい・魅力」を感じておられますか?

我々の仕事はどうしても何かバグが流出してしまったときのマイナスの感情が大きくて(笑)。なかなか「よし!」とガッツポーズできる瞬間は感じづらいのかもしれません。

それでもカスタマーサクセスを通じてお客様から感謝の声を聞くと「バグが出てないからこそ、みんなよく使ってくださっているんだろうな」と思っています。

また、社内で「その視点とか発想はなかった!」という反応をもらえたときにやりがいを感じますね。

横断型チームだからこそ、「あっちのプロダクトではこうやっていたよ」という視点を我々は提供できる。内製の組織でありつつ第三者視点を与えられたときが一番やりがいを感じるのかなと思っています。

5. 要件定義ではなく、要求定義を大切に

──業務を遂行する上で「大事にしていること」は何でしょうか?

弊社が大切にしていることの一つに、「要件定義ではなく要求定義」というものがあり、「お客様が本当に求めているものは何ですか?」と考え、しっかりと汲み取れるように日々心がけています。

──今後達成していきたいこととか、QA的にやりたいことはございますか。

やはり、お店と街を元気にできるプロダクトのデリバリーに寄与したいですね。

バグを出さないだけじゃなく、魅力的品質の部分にも目を向けて、ユーザー体験を向上させたいなと思います。

──最後に、QA/品証として働く方、QA/品証を目指している方に向けてメッセージをお願いいたします。

IMG_0432.jpg

一般的に、「テストは地味な作業ばかりやっている」というイメージがあるかもしれませんが、そうではなく「もっとこうできる!」を体現できる職業だと私は考えています。

弊社の場合は自社開発の内製QAということもあり、合理性のある提案であれば品質管理チームからの意見がかなり通りやすい環境です。

そのため、「ただ項目通りのテストをするだけの仕事」ではなく、品質向上をやっていきたいと考えている方にとって、ぜひQAという職業が選択肢の一つになればいいなと思っています。

──本日はありがとうございました。

隣のQAに聞く
x hatenabookmark
1

執筆: Qbook編集部

ライター

バルテス株式会社 Qbook編集部。 ソフトウェアテストや品質向上に関する記事を執筆しています。