概要
ソフトウェアテストの国際規格 ISO/IEC/IEEE 29119の解説本が、ISO議長であるStuart Reid氏によって執筆されています。本書はその日本語翻訳本です。
ソフトウェアテストの業界にとって、ISO/IEC/IEEE 29119は気になる存在であることに、異を唱える方はいないでしょう。しかし、本書が出版される2020年まで、日本語で29119を網羅的に分かりやすく解説した本はほとんどありませんでした。29119の全体像を把握するためには格好の図書と言えるでしょう。
本書の使い方
本書の「まえがき」に、以下の記載があります。
1.ISO/IEC/IEEE 29119 テスト規格の各規格を読む時間のない読者のために、短く一つにまとまった概要を示すこと
2.規格をどのように活用するか、1つのシステムをテストする例を通して示すこと
3.規格には記載されていない解釈や規格適用のための予備知識を示すこと
特に、上記「2」は有益です。「第2章 劇場予約システムの例」では、29119規格を解説するとともに、架空のテストプロジェクトに29119を適用した例を示しています。
29119のような規格の文書は、汎用性と正確性のために、ややもすると読みにくいものになりがちです。しかし本書では平易な表現で解説しています。
何を学べるか
第1章 はじめに
ISO/IEC/IEEE 29119の全体像を解説している。
第2章 劇場予約システムの例
ISO/IEC/IEEE 29119規格を解説するとともに、架空のテストプロジェクトに29119を適用した例を示している。テスト計画書のサンプルもある。
第3章 テストプロセス
29119規格のコアの部分と言えるだろう。テストをプロセスとして切り出し、そのプロセスを実行した結果がドキュメント、テストを設計するための手段として技法がある、と整理されている。
第4章 テストドキュメント
テストドキュメントに関する規格は、先にIEEE829があったが、それの発展形を学ぶことができる。
第5章 テスト技法
29119規格ではテスト技法を17個紹介しているが、本書ではそのうちの5つを解説している。
テスト技法を解説した書籍は他にもあるが、本書でも多くの例を使って分かりやすく解説している。