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書評「先端技術者のためのトラブルシューティング技術―組込みシステムの品質問題をこの一冊で原因究明 」

金子 龍三 (著) , 日科技連出版社

マネジメント

概要

「客先で起きた障害をいかに迅速に解決するか」は、最近求められている品質保証の課題である。著者自身が長年の開発業務経験から身につけたトラブルシューティング技術の7つの方法を解説する。それぞれ、具体的な事例の紹介、演習問題が付され、学習者の便が図られている。組込みシステムを取り扱っているが、考え方は業務系の開発関係者も参考にすることができる。品質問題のストレスから解放されたい技術者のための本。

本書の使い方

第1章は組込み開発現場の現状とトラブルシューティング技術の必要性をまとめている。急ぐ場合は2章以降から読むこともできる。
第2章は本書の中心であり、トラブルシューティング技術の7つの技法の考え方と使い方が説明される。
通読の上、実業務に照らして再読を進める。
第3~5章は、第2章で紹介した7つの技法を実際に現場で使う際のポイントを解説している。読者の興味関心や役職に応じて参照することができる。

何を学べるか

第1章 トラブルシューティングからは逃れられない-組込みシステム商品の開発現場
組込みシステムの開発現場において、客先などで発生したフィールド障害の原因究明は、様々な要因が存在するため再現、特定が難しい。こうした障害や不具合などがあった場合に、より早く原因を究明し、技術の限界を知り、顧客と市場のニーズを知り、課題を設定し、解決するための方法がトラブルシューティング技術である。トラブルシューティング技術を持った技術者の重要性を解説する。

第2章 障害状況と実力に応じて使い分ける-トラブルシューティング技術の極意
著者がこれまでの開発経験の中で身につけた、障害発見後に修正個所を特定する技術である、トラブルシューティング技術の7つの技法を解説する。 「勘と経験による方法」「原因ストーミング」「品質保証確認法」「同類バグの重点確認法」「再現法」「分割切り分け法」「仮説設定法」が紹介される。 それぞれの技法ごとに、アプローチの方法を提示し、トラブルシューティングの作業をステップごとに分解して、わかりやすく説明する。各技法の有効性と限界、参考事例集、演習問題も設けられており、学習者の便が図られている。

第3章 実際にトラブルシューティング技術を使い分けて解決した障害の紹介
著者が実際に、第2章で解説したトラブルシューティングの技術を使って解決した障害事例を紹介する。結合テストで発見された設計上の障害、原因の切り分けが難しい客先設置後の障害、営業対応による障害など、3つの事例が紹介される。

第4章 ほっておいては解決しないトラブルシューティングをマネジメントする極意
第2章で紹介した7つの方法を、実際にはどれから使えばよいのか、技術者のレベルを3段階に分け、実力に応じた具体的な使用法を解説する。それぞれのレベルに対して、ステップに分解された作業工程とフローチャートを付し、わかりやすく説明する。 また、開発部門、品質保証部門の管理者を対象に、トラブルシューティング技術を技術者に指導する際のセオリーを、各技法ごとに解説「計画」「実施」「点検」「修正施策」の4つのプロセスに分けて解説する。

第5章 質問がよくでるトラブルシューティング技術の気になる点を解説
著者がよく質問されるトラブルシューティング技術の活用法についてそのポイントを解説する。 「ハードウェアでもソフトウェアでも適用できるか」「トラブルシューティングの初動対応と発生現象確認のポイント」「FTA資料の作成方法」「トラブルシューティングの事後処理」を説明する。