概要
ソフトウェア開発におけるレビューを、どうすれば効果的なものにすることができるか。長年品質保証業務に従事し、CMMIレベル5を達成した著者の経験をベースに、レビューの基礎知識から、レビュー実務における分析、管理、改善の勘どころまでを、体系的かつコンパクトにまとめた一冊。演習も充実しており、体系的で効果的なレビューを導入することで、品質向上、プロセス改善を図りたい管理者、開発者に薦める。
本書の使い方
第1章~第3章:レビュー関する基本的な考え方を学ぶことができる。レビューに携わる全ての人に読むことを勧める。
第4章~第6章:レビューの管理、結果の分析、組織的な改善について学ぶことができる。リーダー、マネージャなど管理者層に適している。
何を学べるか
第1章 なぜレビューを実施するのか、効果的なレビューとは何か!
ソフトウェア開発おけるレビューの位置づけと必要性を解説する。失敗したレビューの要因を分析することで、効果的なレビューを行うためのポイントと戦略を考察する。またCMMIにおけるレビューの位置づけを説明する。 本章では、一般的なレビューと、ソフトウェア開発に関するレビューとの観点や考え方の違いを意識しつつ、効果的なソフトウェアレビューについて解説する。
第2章 レビュー実施前に何をするべきか!(レビューの基礎知識)
レビューの基礎技術として、レビューの種類とそれぞれの特徴について解説する。 アドホックレビュー、パスアラウンド、ペアレビュー、ウォークスルー、チームレビュー、インスペクションを紹介し、それぞれのレビュー技術の特徴や、どこで利用すべきかなどを解説する。 また、レビュー実施前の準備、チェックリストの整備、レビュアーの選定、実施後の評価やフィードバックの手順など、レビューにまつわる様々な各種実務について、詳しく説明する。
第3章 どのような観点でレビューを実施するか!(レビューの実施)
実際にレビューを実施する際のレビュー観点について解説する。ソフトウェア開発工程ごとに、基本設計、機能設計、詳細設計、コーディングの4工程に分け、それぞれのレビュー時におけるレビュー観点を紹介する。
第4章 レビュー計画から結果までを管理する!(レビュー管理技術)
レビューを実施する際には技術的な面だけでなく、計画・管理を推進するためのレビュー管理技術も必要となる。本章では、管理技術の一つとして「品質会計制度」を事例として取り上げ、その考え方の概要を解説する。
第5章 レビュー結果を分析し評価する!(レビュー分析・評価)
レビューで収集されたデータをどのように分析し、活用するか、その基本的な考え方を解説する。本章では実際に例題を解くことで、分析や評価を行う観点の理解を深められるよう、配慮されている。 計画値との差分分析による品質判断、バグ数の傾向分析など、豊富な例題と詳しい解説で、読者は学習を進めることができる。
第6章 レビューを組織的に促進する!
レビュー技術を組織的に推進するためには、レビューが計画通り、本当に実施されるかを確認するプロセスや仕組みが必要となる。また、経験を組織的に取り込み、十分性の評価や重点課題、効率的なやり方などについて横展開を行うなど、組織として効果的なレビュー能力を高めていく必要がある。本書では、その仕組みについて、事例を交えながら解説する。