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書評「ゾンビスクラムサバイバルガイド」

Christiaan Verwijs / Johannes Schartau / Barry Overeem(著者), 木村卓央 / 高江洲睦 / 水野正隆(翻訳), 丸善出版

マネジメント

概要

本書は、アジャイル開発のフレームワーク一つである「スクラム」を取り入れたチームが、上手く扱えていないと感じている場合や上手く扱えているかどうか分からないという疑問を持っている方向けに書かれています。

現在の自身のチームが「スクラム」を適切に扱えているかを『分析』し、それに対する『対処』を、手軽に出来るものから、しっかりと行うものまで幅広く紹介しているため、スクラムマスター、プロダクトオーナー、開発チームのメンバー、アジャイルコーチ、管理職にとって必携の書です。

本書の使い方

本書は、第1部から第5部で構成され、それぞれの部でいくつかの章で構成されています。自身の「スクラム」チームの課題に合わせて部が分かれており、問題の原因や対応策が記載されているため、いきなり最初から最後まで通す必要はないかもしれません。
ただし、流れとしては、応急処置的な対策から始めて、より良いスクラムチームとして活動できるよう段階を追って説明が記載されているため、最初から読み始めて自身のスクラムチームに合った対応方法を実際に適用し、改善するとともに次の内容を読み進めていくと良いでしょう。
逆にこれからスクラムを導入しようというチームには不向きかもしれません。

何を学べるか

第1章 (ゾンビ)スクラム
現在、自身のスクラムチームは、真にスクラムと言えるものなのか?もしくはスクラムの形式を取っているだけの効果のないもの(ゾンビスクラム)になっていないか?という診断を行い、本当のスクラムはどうあるべきものかを確認して比較することで、自分たちの組織の現状を知ることが出来ます。
スクラムを導入したが、上手くできているか分からないという場合は、まずこちらを確認してみましょう。

第2章 ステークホルダが求めるものを作る
上手く行っていないスクラムの要因の一つが「ステークホルダを巻き込めていない」ということであり、その症状に対するいくつかの原因と背景、ステークホルダを巻き込むために行うべき具体的な対応策を学ぶことが出来ます。

第3章 早く出荷する
早く出荷することの恩恵と、それが良いことだという考えはあるが、それでも早く出荷できない状態に陥っている原因と、その要因の発見方法や対策方法を学ぶことが出来ます。

第4章 継続的に改善する
スクラムでの継続的改善の必要性、(ゾンビ)スクラムチームの継続的改善が出来ない心理的な要因と、それらを解消するための対応策を学ぶことが出来ます。

第5章 自己組織化する
アジャイルチームが自己組織化(チームが様々なことを自分たちで決定し、独立して動くことが出来る状態)になることの重要性と、それを妨げる要因(ルールや標準化など)、スクラムマスターや管理職がどう動くべきなのかといった解決方法を学ぶことが出来ます。