テスト自動化は、ソフトウェアテストの品質向上や工数削減に有効な施策です。しかし、テスト自動化にはプログラミングの知識が求められることが多く、導入を見送ってきた方も多いのではないでしょうか。
コストを抑えつつ、早期にテスト自動化を実現したい場合、テスト自動化ツール「T-DASH」は有力な選択肢です。
今回は、T-DASHとは何か、基本からわかりやすく解説します。T-DASHの使い方や関連ツールも紹介するため、ぜひ参考にしてください。
- もくじ
1.T-DASHとは
T-DASHとは、バルテス株式会社が提供している、ソフトウェア品質向上を幅広く支援するテスト自動化ツールです。WebアプリやWindowsアプリのテスト自動化に対応しています。
T-DASHの大きな強みは、「ブラウザを開く」「文字を入力する」といった日本語の操作をスクリプトに変換できることです。複雑なテストコードを記述する必要がないため、プログラミングの知識が浅いテスト担当者でも容易にスクリプトを生成できます。
また、操作性・コストの面でも優れており、既存テストケースのインポート機能を用いれば手動テストからの移行も容易です。テストチームの自動化ハードルを大幅に下げるテスト自動化ツールといえます。
2.T-DASHの特長
一般的に、テスト自動化ツールを導入することで、「テストの省力化」や「人的ミスの抑制」といったメリットが期待できます。
その一方で、「操作やテストコード記述が負担になりやすい」、「テストケースの保守や管理が大変、導入コストがかかりやすい」などのデメリットも無視できません。
T-DASHが持つ特長は、こうしたテスト自動化ツールのデメリットを解消することができます。
T-DASHの特長は、具体的に次の4つです。
- テストコードを書かずにテスト自動化できる
- 操作がスムーズに行える
- テストケースの保守・管理がしやすい
- 低価格で導入ハードルが低い
それぞれ解説していきます。
2-1 テストコードを書かずにテスト自動化できる
T-DASHは、日本語で書かれたテストケースを自動化のスクリプトに変換します。
そのため、テストコードを書かずに自動化できるのが大きな特長です。テストコードの記述が必要なツールの場合、エンジニアの確保が導入のハードルとなります。
しかし、プログラミングの知識が不要なT-DASHであれば、非エンジニアでもテスト自動化が可能です。
2-2 操作がスムーズに行える
T-DASHは直感的に操作できる機能・インターフェースを持ち、多くの作業をマウス操作でカバーできます。
たとえば、テスト対象の画面要素をマウス操作で容易に取り込むことが可能です。スムーズな操作を可能にする工夫が充実しているため、テスト自動化に伴い発生する作業の負担軽減につながるでしょう。
操作の習得が容易なこともメリットです。
2-3 テストケースの保守・管理がしやすい
T-DASHであれば、テストケースの保守・管理が容易に行えます。
日本語のテストケースを変更すればスクリプトにも反映でき、テストケース・テストコードの二重メンテナンスが発生しません。
また、T-DASHの画面上でテストケースを作成・管理でき、チームでの共有も可能です。テストケースとテストコードを別々のファイル・手段で管理する自動化手段と比べて、保守・管理の負担を大幅に減らせるでしょう。
2-4 低価格で導入ハードルが低い
T-DASHは1ライセンスあたり月額4,840円(税込)と、テスト自動化ツールの中でも低価格です。
また、クラウドサービスのため自社サーバーを構築する必要もなく、早期に利用を開始できます。
手動テストから移行する際には、インポート機能により既存テストケースをT-DASHに取り込むことも可能です。テスト自動化ツールの導入に伴うコスト・手間を抑えられるため、導入ハードルは低いといえるでしょう。
3.T-DASHの主な機能
T-DASHにはさまざまな機能があり、テストの品質向上・生産性向上を後押しします。ここで紹介するT-DASHの主な5つの機能を知っておきましょう。
3-1 日本語でのテストケース作成
T-DASHの画面上で日本語のテストケースを作成できます。関連する複数のテストケースを「テストスイート」という形でまとめることも可能です。
「ブラウザを開く」のように日本語で手順を記述できるため、プログラミングは必要ありません。テストケースとあわせて画面要素や動作の定義が必要ですが、こちらもプログラミングは不要です。
3-2 テストケースからのスクリプト生成
作成した日本語のテストケースから、スクリプトを生成できます。
テストケースの手順や画面要素の定義に従って、T-DASHがスクリプトを自動で生成してくれます。スクリプトの生成はテスト実行時に自動で行われるため、ユーザーが手動で行う必要はありません。
3-3 テストの実行・結果判定
T-DASHの画面上でテストの実行・結果判定も可能です。
複数のテストスイート・テストケースを指定して一括実行でき、リアルタイムに実行状況が表示されます。
出典:T-DASH_チュートリアルより
「テストレポート」機能を使えば、全体の実行結果(成功・失敗)を統計データとともに確認できます。
3-4 テストケースのインポート・エクスポート
インポート・エクスポート機能によって、テストケースのより柔軟な取り扱いが可能です。
ExcelファイルやCSVファイルの既存テストケースをT-DASHにインポートすることで、移行作業が容易に行えます。
また、T-DASHで作成したテストケースをExcelファイルとしてエクスポートできるため、対外的に共有したい際などに便利です。
3-5 チームでのプロジェクト共有
T-DASHでは、ユーザーが作成した「プロジェクト」上でテスト自動化に関する作業を行います。
このプロジェクトはチームで共有することも可能です。プロジェクトを共有すると、テストケースの作成やテスト実行などをチームメンバーと共同で行えます。
4.【導入手順】T-DASHの使い方
T-DASHをスムーズに使い始めるためには、正しい導入手順を把握することが大切です。T-DASHを使い始めるために必要な4ステップについてお伝えします。
ステップ1.申し込み
まずはT-DASHの申し込みを行いましょう。T-DASHを使うためには、バルテス株式会社のサービスに一括でアクセスできる「QUINTEE」のアカウント登録が必要です。T-DASHの申し込みフォームで必要事項を記入・送信し、受信したURLからQUINTEEのアカウント登録を行います。なおトライアル申し込みであれば、この段階で料金は発生しません。
ステップ2.インストール
T-DASHを使うためにはソフトウェアのインストールが必要です。登録したアカウントを用いてQUINTEEにログインし、インストーラをダウンロードしてください。あとはインストーラの指示に従ってインストールするだけでOKです。
ステップ3.ライセンス認証
インストールしたT-DASHを起動すると、初回はライセンス認証を求められます。QUINTEEアカウントのメールアドレス・パスワードを入力し、ライセンス認証を完了させましょう。
ステップ4.利用開始
ライセンス認証が完了すると、ブラウザ上でT-DASHが起動し、利用できる状態になります。T-DASHのプロジェクトを作成し、テスト自動化を開始しましょう。
5.T-DASHと併用したい関連ツール
T-DASHだけでもテスト自動化は可能ですが、バルテス株式会社が提供する関連ツールの併用もおすすめです。
T-DASHと次の2ツールを併用することで、よりテストの効率化・品質向上を図れるでしょう。
5-1 QualityTracker
「QualityTracker」は、テスト実行の進捗管理やテストケースの管理ができるツールです。
進捗達成率や信頼度成長曲線など、さまざまな角度からテスト状況を可視化できます。テストの管理業務をより効率化したい企業におすすめです。
QualityTracker上でAPIキーを発行し、T-DASHの画面上で設定を行えば、両ツールを連携できます。
5-2 AnyTest
出典:AnyTest
「AnyTest」は、ブラウザ上でモバイル端末の実機テストが行えるツールです。
インターネットを介してモバイル端末を操作でき、手元に実機を用意する必要がありません。Webアプリやモバイルアプリのテストを効率化したい企業におすすめです。
AnyTest上でAPIキーを発行し、T-DASHの画面上で設定を行えば、両ツールを連携できます。
まとめ
T-DASHは、バルテス株式会社が提供しているWebアプリやWindowsアプリに対応したテスト自動化ツールです。
主な特長は以下の4点です。
- テストコードを書かずにテスト自動化できる
- 操作がスムーズに行える
- テストケースの保守・管理がしやすい
- 低価格で導入ハードルが低い
T-DASHは、日本語のテストケースからスクリプトを生成できるため、プログラミングの知識が必要ありません。低コストで操作しやすいため、導入ハードルも低いといえます。
テスト担当者のプログラミング知識が浅い場合、T-DASHによるテスト自動化は有力な選択肢です。
テスト効率を向上させたいとお考えの方は、T-DASHを活用してみてはいかがでしょうか。