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「品質保証はサービス開発に関わる全員で取り組む、地味ながら重要な仕事」株式会社レコチョク 清崎 康史 氏
第14回 隣のQAに聞く
隣のQAに聞く 2024.06.25
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「品質保証はサービス開発に関わる全員で取り組む、地味ながら重要な仕事」株式会社レコチョク 清崎 康史 氏

執筆: Qbook編集部

ライター

様々な現場でQA業務に携わっている方々の「声」をお届けする『隣のQAに聞く!』。

2001年に国内の主要レコード会社の共同出資で設立された株式会社レコチョク。多種多様な音楽配信サービスをはじめ、近年では音楽業界向けに、NFTを含むデジタル・フィジカルコンテンツの販売ができるワンストップECソリューション「murket(ミューケット)」を立ち上げ、ファンエンゲージメント向上に受けたサポートをしています。

「音楽市場の最大活性化」をミッションに掲げ、サービスを展開する同社で、どのようにQA組織が運営され、どのような活動がされているか、気になるエンジニアの方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、同社の清崎 康史さんにQAのミッションや取り組みについてお話しいただきました。

今回インタビューを受けてくださった方

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清崎 康史 氏

株式会社レコチョクIT基盤部QA推進グループ スペシャリスト

2006年に株式会社レコチョクに入社。システム開発のPjMや開発組織に従事した後、2017年よりQA組織に異動。QAのトレンドをキャッチアップしつつ、組織全体の品質管理に着目してQAプロセスの改善に取り組み、自動テスト等を導入。現在はスペシャリストとして、QAプロセスを改善しながら、組織をリードしている。

もくじ
  1. スピードに加えて質を落とさないための工夫は「スクラム開発」
  2. 自動テストの導入を前提に開発初期からQAが入って品質保証に取り組む体制
  3. 「繰り返すところ」をできるだけ自動化して負担を減らすことに集中した
  4. 品質を高めることにフォーカスすると、QAだけでは目標を達成できない

1.スピードに加えて質を落とさないための工夫は「スクラム開発」

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――株式会社レコチョク様の事業とサービスのアウトラインを教えてください。

当社は2001年、国内の主要レコード会社の共同出資で設立されました。2002年から「着うた」のサービスを開始し、現在はPCをはじめ、Android、iOSといったモバイルデバイス、ゲーム機といった多様なデバイスに対して、音楽ダウンロード配信やストリーミング配信のサービスを展開しています。また、NTTドコモやUSEN、タワーレコードといった企業との協業サービスも運営しています。

当社は「音楽市場の最大活性化」をミッションにサービスを展開しており、この実現のため、2021年10月には音楽業界向けのワンストップECソリューション「murket(ミューケット)」を立ち上げました。「murket」は、レコード会社やアーティストマネジメント事務所などの権利者が、NFTを含むデジタルコンテンツや、CDなどのフィジカルコンテンツを販売できる直販ストアを運営し、ファンエンゲージメントの向上をサポートするソリューションです。

――音楽配信サービスの先駆者でありながら、新技術を導入したサービス開発にも取り組む中で、QA・品質保証業務をどう位置づけ、どんなミッションを掲げていますか?

当社のQAチームは独立した組織で、10以上のプロダクトで稼働しています。また、当社はスクラム開発を一部取り入れています。スクラム開発を行っているプロダクトに対しては固定の担当者をアサインして、それ以外は改修やリリースの都度担当者をアサインする形でQAを推進しております。
音楽配信サービスやECソリューションなど複数のプロダクトを展開していますが、特定プロダクトの知識だけではなく横断的にQAできるような状況共有やローテーションを行っています。
こうしているのは、特定プロダクトのドメイン知識だけでは横断的なQA活動ができないため、QAメンバーをローテーションすることで、平均的に同じ知識を持つ状態を維持したいからです。近年、QAの重要性が増しているので、スピードに加えて質を落とさないための工夫が必要と考え、この体制にしています。

――音楽配信サービスの場合、コンテンツ量が膨大だと思います。テストはどうされていますか?

現時点で音楽や動画コンテンツの再生については自動テストを導入しにくい領域だと考えています。
「楽曲や動画が停止せず最後まで再生が行われるか?」「イコライザ効果で音質が変化したか?」などです。音楽体験におけるユーザビリティに関する部分はやはり、人間の感性で見ることが重要と考えており楽曲や動画再生の領域は適切にサンプリングをして手動テストを実施しています。
お客様がサービスを利用する際の利用時の品質は、機能テストとは別のタイミングと観点を用いてテストしています。UXリサーチやインタビューを実施してお客様のダイレクトな声を拾い、チーム内でユーザー理解を深めて開発に役立てています。

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執筆: Qbook編集部

ライター

バルテス株式会社 Qbook編集部。 ソフトウェアテストや品質向上に関する記事を執筆しています。