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AI関連 2024.01.18
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AIはヒューマンスキルをどの程度理解している? ChatGPTにPMに大切な「傾聴」について聞いてみた

執筆: 小谷 ひかり

バルテス株式会社 コングロマリット品質サービス事業部 マネージャー

AIはヒューマンスキルをどの程度理解している? ChatGPTにPMに大切な「傾聴」について聞いてみた

社内でPM向けのコミュニケーション研修講師を務めている私が、PM(プロジェクトマネジメント)のあり方についてChatGPTに質問しました。

PM業務のついての必要な能力をChatGPTに訊いてみたところ、ChatGPTは「傾聴」を挙げました。

研修講師から見てもChatGPTが答えた傾聴の大切さはとしても本質をついていましたので、まとめて紹介します。

もくじ
  1. PMにとって大切な傾聴について教えてください。
  2. 様々な傾聴のやり方について教えてください。
  3. 傾聴力の育て方を教えてください。
  4. おわりに

1.PMにとって大切な傾聴について教えてください。

ChatGPT対話.pptx.png

1-1 「傾聴」とは何ですか?

小谷:ChatGPTさん、PM(プロジェクトマネジメント)にとって特に大切な能力を1つ教えて下さい。

ChatGPT:AIの言語モデルである私は、個人的な経験や感情を持っていませんが、一般的にプロジェクトマネージャーにとって重要な能力と考えられているものについては情報を提供することができます。

プロジェクトマネージャーにとって、特に重要な能力のひとつが、効果的なコミュニケーションです。これは、情報を簡潔明瞭に伝えるだけでなく、チームメンバーやステークホルダーの懸念やフィードバックを傾聴することが必要です。

小谷:傾聴ですか。私が講師を務めているコミュニケーション研修でも傾聴はPMが良いチームを作成する大切な要素に挙げていますが、ChatGPTさんが「分かりやすい説明」や「抜け漏れのない進捗管理」のようなものより先んじて傾聴をPMの大切な要素に挙げたのは正直意外でした。ChatGPTさんから見て傾聴をするのと普通に話を聞くのとは、何が異なるのでしょうか?

ChatGPT:傾聴をすることと普通に話を聞くことでは、聞き手が会話中にどの程度の関心を持ち集中するかということに違いがあります。

普通に話を聞く場合は、話し手のメッセージを理解したり、話し手の視点を理解したりするために、あまり意識することなく、ただ話し手の言っている言葉を聞くというものです。一方、傾聴はより高いレベルの関与と集中を伴います。聞き手は話し手の言葉に積極的に集中し、話し手のトーンやボディランゲージを解釈し、理解するために質問したり言い換えたりします。傾聴は話し手が伝えるメッセージを完全に理解するための意識的な努力です。

1-1のChatGPTの回答についての考察

ChatGPTがPMにとって大切な能力として「傾聴」を挙げたことはとても興味深いモノでしたが、確かに大切なスキルの一つだと思います。IT業界はPCに向き合うことが多い業界ですが、仕事道具や制作物は無機物なPCやプログラムコードだとしても、仕事相手は結局人間です。人間との関係を良くする代表的なコミュニケーションスキルの一つが傾聴です。

1-2 傾聴はチームのマネジメントにどう役立つのですか?

小谷:私自身PMの立場でPJに関わることが多いのですがPMとして傾聴をするのか普通に聞くのかでは、話し手であるチームメンバーの感じ方もだいぶ変わるように思います。

ChatGPT:はい。プロジェクトマネージャーがチームメンバーなどの話に耳を傾けるかどうかは、相手の気持ちや受け止め方に大きな影響を与えます。プロジェクトマネージャーが話に積極的に耳を傾けることで、チームメンバーはより評価され尊敬されていると感じ、その結果、プロジェクトマネージャーを信頼し尊敬するようになるでしょう。

小谷:確かに傾聴はメンバーのPMに対する信頼や尊敬に繋がりますね。私が講師を務めているコミュニケーション研修に来る方も特に「メンバーとの信頼関係の構築の仕方」という部分について興味を持って研修を受けていることが多いです。進捗管理はできるようになった。でもチームの雰囲気はどうにも悪く、これでいいのかと悩んでいる。というPMは少なくありません。そんな状況のPMに大切な要素の一つに傾聴があるように思います。

ChatGPT:そうですね。

傾聴の結果として信頼と尊敬が築かれればチームメンバーは自分の意見や考え方を聞いてくれていると感じ、その結果、チームメンバーは自分のアイデアや懸念をオープンに共有しやすくなり、よりポジティブで協力的なチーム環境になります。

一方、チームメンバーが自分の意見を聞いてもらえない評価されないと感じると、コミュニケーションやコラボレーションがうまくいかなくなり、プロジェクトマネージャーが効果的にプロジェクトを運営することが難しくなる可能性があります。

全体として、信頼と尊敬は効果的なプロジェクトマネジメントの重要な要素と言えます。チームメンバーがプロジェクトマネージャーを信頼し尊敬している場合、彼らはより従事しやすく、モチベーションが高くなり、プロジェクトの成果をより良くすることができます。

1-2のChatGPTの回答についての考察

ChatGPTは誤った情報を返すことがありますが、ここの回答についてはよく的を射ているように思います。
私も自身の経験や同僚の話を聞く限り、傾聴を始めてからチームの雰囲気が良くなり、チームメンバーが能動的にPJに関わるようになったように感じています。

特にIT業界では、社員だけでなく協力会社の人たちと一緒にチームを構築することが少なくありません。
ただ、どうしても協力会社の方々は受動的になりがちです。他社にお邪魔をしていて粗相をしてはいけないという思いが働くからです。
そんな協力会社の方々に対して傾聴をして「あなたの意見だけでなく、あなたの不安も懸念も受け取りますよ」と示してあげるのは、協力会社の方々の力を引き出すのにとても効果的です。

2.様々な傾聴のやり方について教えてください。

2-1 傾聴にはどんなやり方がありますか?

小谷:一言で「傾聴」と言っても、様々なやり方があると私は思っています。ChatGPTさんが考える傾聴の仕方とはどのようなものでしょうか?

ChatGPT:はい、プロジェクトマネージャーとして傾聴するのには、さまざまな方法があります。たとえばこういったものが例として挙げられます。

  • 注意を払う
  • 言い換えをする
  • 相手の言葉の裏にある感情を振り返る
  • 質問する
  • 要約する
  • うなずきやアイコンタクトを返す
  • 共感する

最も効果的な方法は、状況や相手によって異なるかもしれません。重要なのは、相手の立場を理解しようとする純粋な関心を示すことです。

小谷:おっしゃる通りですね。言い換えたり要約したりというのは大切な傾聴の手法ですが、もっと大切なのは相手の立場を理解しようとする姿勢だと思います。相手のことを理解しようとして表現を言い換えるのと、考えや思いやりなくとりあえず別の表現に言い換えるのとでは、言い換え一つとっても出てくる言葉が変わるでしょう。
では反対にChatGPTさんから見て、傾聴の妨げになるものはなんでしょうか?

ChatGPT:傾聴の妨げになるような避けるべき行動は以下が挙げられます

  • 話を遮る
  • 相手が話している最中にメールなど他の活動をする
  • 推測する:相手が何を言おうとしているのか、相手が十分に表現するのを待たずに、自分が知っていると思い込む
  • 判断する
  • 防衛的になる

全体として、相手が聞いている、理解されていると感じることを妨げるような行動を避けることが重要です。尊敬の念、率直さ、そして相手の視点を理解しようとする純粋な関心を示すことで、より良い結果につながる前向きで生産的な会話を生み出すことができます。

小谷:ChatGPTさんが挙げた例の中では、「話を遮る」と「防衛的になる」が私は気になりました。
まず「話を遮る」については、過去の自分がよくやってしまっていたように思います。PMはどうしても忙しいので、要件を早く話してほしいと思ってメンバーに話している途中で「結局何が問題なの?」とか「つまり○○ってこと?」といった形で、メンバーの話を聞ききる前に自分の視点で話を進めてしまいがちでした。今思い出すとそういう話し方をしたときほど、相手は不満足な表情を浮かべていました。相手が話したいことを全て聞いて理解してくれていると感じていただくのが傾聴の鍵のように思います。

「防衛的になる」については、そういうマネジメントをしてしまっているPMの方を時々見かけます。チームメンバーが作業ミスや指示の誤認をしたときに、作業の複雑さや自分自身の指示の分かりづらさを棚に上げて、相手の責を指摘することに徹してしまっています。これをすると当然チームメンバーは委縮してしまいますよね。

2-1のChatGPTの回答についての考察

この議題でもChatGPTは傾聴を始めたばかりの人が陥りがちな問題をよくとらえています。
傾聴と聞くと「長く話を聞けばいい」と短絡的に思う人が結構います。その結果、何か作業しながら話を聞いたり、話を聞いただけで理解を示さないで話を全部否定したりしてしまうようです。ChatGPTが述べたように大切なのは「相手の立場を理解しようとする純粋な関心を示すこと」だと私は思います。

2-2 傾聴がより良いチームを作るのに役立つ方法はなんですか?

小谷:開発でもテストでも、チームプレーであるIT業界では「傾聴」は大切なスキルのように思います。エンジニアのより良いチーム作りに役立てるためには、傾聴をどのように活用すればよいでしょうか?

ChatGPT:傾聴がエンジニアのチーム作りに役立つ方法をいくつか紹介します。

  • オープンなコミュニケーションを促進する:プロジェクトマネージャーは、チームメンバーの話を傾聴することで、エンジニアが自分の考えやアイデア、懸念事項を安心して表現できるような環境を作ることができます。これにより、オープンなコミュニケーションが促進され、効果的なコラボレーションに不可欠なチームメンバー間の信頼が構築されます。
  • コンフリクトを解決する: どんなチームでも対立は起こり得ますが、積極的に耳を傾けることで、プロジェクトマネージャーは根本的な問題を特定し、チームメンバーと協力して全員が満足できる解決策を見出すことができます。対立のすべての側面に耳を傾けることで、プロジェクトマネージャーは異なる視点をよりよく理解し、チームメンバー全員のニーズを満たす創造的な解決策を打ち出すことができます。
  • イノベーションを促進する: チームメンバーの意見に傾聴することで、プロジェクトマネージャーは、他の方法では明らかにならなかったような新しい革新的なアイデアを発見することができます。エンジニアが自分のアイデアや考え方を共有することで、プロジェクトマネージャーはチームの多様な専門知識と創造性を活用し、新しいソリューションやアプローチを見出すことができます。
  • チームの結束力を高める: プロジェクトマネージャーは、チームメンバーのニーズや懸念に積極的に耳を傾け、それに応えることで、チーム内に共通の目的意識と仲間意識を醸成することができます。これは、効果的なコラボレーションと成功のために不可欠な、チームの結束力とプロジェクトに対する所有意識の共有に役立ちます。

特に、複雑なプロジェクトで緊密な協力関係を築く必要があるエンジニアリングチームにとって、傾聴はより良いチーム作りのための強力なツールとなり得ます。

小谷:「複雑なプロジェクトで緊密な協力関係を築く必要があるエンジニアリングチームにとって、傾聴はより良いチーム作りのための強力なツールとなり得ます」というのは私も強く同意します。特にスクラッチ開発やチームの立ち上げ時など決まっていることや定型的な作業が少ないPJの時は、PMだけの意見ではなく、傾聴を取り入れて設計者や実施者の意見を引き出していくのが大切だと思います。

では、エンジニアのチームで傾聴をするときに特に意識した方がいいことはなんでしょうか?

ChatGPT:エンジニアのチームで話を傾聴する場合、特に気をつけなければならないことがいくつかあります。

  • 技術的な専門用語を使い過ぎない: エンジニアは技術的な言葉を使うことが多いです。彼らの技術的な専門性を認識し、関連する問題についての意見や洞察を求めることが重要です。
  • 異なるコミュニケーションスタイル: エンジニアの性格、経歴、チーム内での役割によって、コミュニケーションスタイルが異なる場合があります。あるエンジニアは、より分析的でデータ駆動型のコミュニケーションを好みますし、あるエンジニアは、より大局的なアイデアに重点を置いています。こうした違いを意識して、コミュニケーションスタイルを柔軟に変えることが、チーム全員と効果的に関わるために重要です。
  • 目標や優先順位: エンジニアは、自分の役割や専門分野によって、プロジェクトにおける優先順位や目標が異なる場合があります。エンジニアの話を積極的に聞くときは、こうした目標や優先順位を意識し、全員のニーズに応える解決策を見つけるために協力することが重要です。
  • 感情: エンジニアは自分の仕事に情熱を持っており、特定のトピックについて強い意見や感情を持っていることがあります。エンジニアの話を積極的に聞くときは、たとえその意見に必ずしも同意できないとしても、彼らの感情を認め、正当化することが重要です。そうすることで、チームとの信頼関係を築き、よりポジティブで協力的な職場環境を作ることができます。

プロジェクトマネージャーは、こうした要素を意識し、エンジニアの声に積極的に耳を傾けることで、より包括的で効果的なチーム環境を構築し、プロジェクト全体としてより良い結果をもたらすことができるのです。

小谷:エンジニアの感情には私も意識を向けるようにしていて、チームメンバーから意見を聞く際は、なぜそう思うのか、感情まで聞き切るようにしています。特に「たとえその意見に必ずしも同意できないとしても、彼らの感情を認め、正当化する」というのは大事だと思います。

2-2のChatGPTの回答についての考察

ここでのChatGPTの回答である「役立つ方法」や「気をつけなければならないこと」はやや抽象度が高く、現場に当てはめるには工夫が必要そうだと思いました。

ただ、ChatGPTの総括の一文はとても良いと思います。ChatGPTが「エンジニアの声に積極的に耳を傾けること」と書いて回答している通り、エンジニア業界にはいろんな人がいていろんな思いを持って働いています。

手に職をつけたくてエンジニアになった人。良い給料をもらいたくてエンジニアになった人。介護や子育てがあるので決まった時間に働きたくてエンジニアになった人。

それぞれの立場によって思いも異なります。私はPJの成功のためなら残業は厭わないタイプですが、だからといって家庭を優先して残業をなるべくしたくないタイプの人の思いを否定していいことにはなりません。誰が正しいかとか誰が普通かではなく、お互いの立場を尊重しつつ手を取り合ってPJを進めていくのが大切だと思います。傾聴がその一助になります。

3.傾聴力の育て方を教えてください。

3-1 傾聴力はどうすれば身に着くのですか?

小谷:ここまで傾聴の大切さや傾聴の様々なやり方についてお話をしてきました。この傾聴能力はどうすれば身に着くと思いますか?

ChatGPT:傾聴能力は、練習と自己認識によって時間をかけて伸ばすことができるスキルです。ここでは、傾聴を身につけるためのヒントをいくつか紹介します:

  • 話し手に集中する
  • 気が散らないようにする
  • 忍耐強く、偏見を持たないようにする
  • 共感する
  • 自分の聞き方の癖を振り返る

これらのスキルを継続的に練習することで、傾聴する力を養い、チームメンバーとより良い関係を築くことができるのです。

小谷:確かに、傾聴というのは話し手に集中するなど傾聴しようと試みる中で磨かれるスキルのように思います。私も傾聴をし始めたときは「話が長いなー」と雑念が生まれたり、「言いたいことって多分これだよね」と話を取ってしまいたくなっていました。
ちなみに挙げていただいた傾聴能力を身につけるヒントの中で、「忍耐強く、偏見を持たないようにする」だけは行動というよりも心の持ちようのように思います。なぜ傾聴能力を身に着けるのに相手に偏見を持たないことが大切なのでしょうか?

ChatGPT:新しいアイデアや視点を受け入れることができるからです。話し手やその考え方に先入観や偏見があると、話し手の話に十分に耳を傾けることができず、公平に検討することなく、その考えを否定してしまう可能性があります。

偏見を持たず、オープンマインドでいることで、人々が自分の考えやアイデアを安心して共有できる安全で協力的な環境を作ることができます。そうすることで、よりオープンで正直なコミュニケーションが生まれ、強い人間関係や効果的なチーム作りに欠かせないものとなります。

誰もが独自の経験や考え方を持っており、その違いをオープンに受け止めることで、互いに学び合い、個人的にも仕事上も成長することができるのです。

小谷:言葉を要約するに、傾聴には個人の価値観の違いや私情の違いも含めて受け入れる心が大切なのですね。

ChatGPT:良い要約ですね。その通りで、個人の価値観や感覚の違いに対して先入観のある判断や偏見を持たず、オープンマインドで傾聴することで、オープンなコミュニケーションのための安全で協力的な環境を作り、より効果的なチームワークを促進することができるのです。

3-2 傾聴力を身に付ける上で障害になることはなんですか?

小谷:先程、「先入観や偏見があると 傾聴能力の妨げになる」とおっしゃっていましたが、どういった先入観や偏見が傾聴能力を妨げるのでしょうか?

ChatGPT:以下のような先入観や偏見があると、傾聴は難しくなります。

話し手が何を言おうとしているのか、すでに分かっていると思い込んでしまう: 話し手が何を言おうとしているのか、すでに分かっていると思い込んでいると、積極的に聞くことをやめてしまい、重要な詳細やニュアンスを聞き逃してしまうことがあります。

自分の考えだけが正しいと思い込んでいる: 自分の信念や経験が唯一正しいと思い込んでしまい、他の視点や考えを受け入れることができなくなることがあります。

話し手を判断したり批判したりしようとする: 話し手を判断したり批判したりしようとすると、相手の視点や考えを受け入れることができなくなります。

外見や背景から話し手を判断する: 話し手の外見や背景などから、話し手を決め付けてしまい、話し手の考えや視点を見落としてしまうことがあります。

性別や年齢による偏り: 特定の性別や年齢の人は知識や経験が乏しいと思い込んでしまい、その人の考えや視点に積極的に耳を傾けることができなくなることがあります。

職業や業種に基づくステレオタイプ化: 話し手の職業や業種から、その人の知識や専門性を決め付けてしまうことがあります。

先入観や偏見は傾聴を身につける上で大きな障害となります。先入観も偏見も、相手の話を聞く前に、その相手について仮定や判断を下してしまう可能性があるからです。

小谷:確かにChatGPTさんが示すように「私は君のことを分かっているんだよ」という先入観を持っている人とは話しづらいと感じることが多いですね。男女雇用機会均等法が施行されて50年が経ちましたが、未だに私が女性であることから「女のエンジニアは」というような偏見を持ったコミュニケーションをする人がいます。そういう方とはコミュニケーションをしていて不快に感じることが多いですね。

3-1・3-2のChatGPTの回答についての考察

ここまでChatGPTは傾聴を良くとらえてきたと思います。傾聴のような多くの業界で広く使われる用語で、明確な正解や誤りがあまりない内容の質問に対しては、ChatGPTの回答内容はある程度的を射た回答ができるようです。

この節ではChatGPTはとても傾聴の本質をついていました。傾聴の本質は「長い時間話を聞くこと」でもなく「相手にたいして聞いているという相槌を打つ」でもなくChatGPTが回答したように「個人の価値観や感覚の違いに対して先入観のある判断や偏見を持たず、オープンマインドで話を聞く」だと思います。

例えば、私は参画するPJ以外の業務(研修講師など)も喜んで引き受けるタイプですが、反対に、プライベートを大切にして、なるべく定時後の業務は引き受けないタイプの人に対して「PJ以外の業務も喜んでやるのが普通ですよね?」と自分の価値観を正として押し付けても、チームは何も良くならないと感じています。

自分の価値観と相手の価値観の違いについて「どっちが正しいのか」と判断するのではなく「正解は複数あって自分には自分なりの正解があり、相手には相手なりの正解がある」と折り合いをつけるのが大切であり、折り合いをつけるために相手の価値観/相手の正解を理解するまで聞くのが傾聴です。

おわりに

「個人の価値観や感覚の違いに対して先入観のある判断や偏見を持たず、オープンマインドで話を聞く」。これがまさに傾聴の本質だと思います。

「私とあなたでは価値観や感覚が違うかもしれない」という可能性を念頭におき、「あなたの価値観や感覚を正しいか間違っているかと判断したいわけではなく、あなたの価値観や感覚を純粋に理解したい」という姿勢で話を聞くのが傾聴です。

価値観や大切なものが多様化しつつある日本で、その違いに向き合い関わり合う入り口として、傾聴に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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執筆: 小谷 ひかり

バルテス株式会社 コングロマリット品質サービス事業部 マネージャー

業務系システムの開発・運用・保守にSE兼プロジェクトリーダー兼コンサルタントとして携わった後、バルテスに入社する。入社後は、テスト自動化プロジェクト・品質保証プロジェクトを経て、現在は品質向上支援に携わっている。また、その傍らで、専門分野である心理学の知見に基づいて、新卒社員の指導や社内委員会の品質向上に力を注いでいる。