様々な現場でQA業務に携わっている方々の「声」をお届けする『隣のQAに聞く!』。近年、ITイノベーションやデジタルトランスフォーメーションの変化によって、 QAがカバーする領域が飛躍的に拡大しつつあります。
1998年の創業以来、動画配信やFX、英会話、ゲーム、3Dプリントなど現在では60以上もの幅広いサービスを時代に合わせ柔軟に展開することでユーザーへ価値を提供してきた合同会社DMM.com。会員数4,100万以上の総合エンタメサイト「DMM.com」を運営する同社では、どのようにQA組織が運営されているか、気になるエンジニアの方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、同社の大段 智広さんにQAのミッションやQA組織を動かすポイントをお話しいただきました。
今回インタビューを受けてくださった方

- 大段 智広 氏
合同会社DMM.com テクノロジー本部 QA部 QAエンジニア
2021年4月に合同会社DMM.comに入社。現在は、チームリーダーとして、プラットフォーム事業本部やオンラインサロン開発部のQA/手動テスト支援および自動テスト導入・開発支援を担当している。
社外活動としては以下に取り組んでいる。
・JSTQB (Japan Software Testing Qualifications Board)技術委員会 技術委員
・ASTER テスト設計コンテスト 実行委員 兼 U-30クラス審査委員長
- もくじ
1.テクノロジーを最大限に活用し、開発と一緒に品質を作り上げる
――御社のサービスの概要と会社としてのミッションを教えてください。
DMM.comは1998年の創業からこれまで、動画配信やFX、英会話、ゲーム、3Dプリントなどのサービスを手がけてきました。総合エンタメサイト「DMM.com」は2023年現在、会員数が4,100万以上に到達し、2021年で10周年を迎えた「DMM GAMES」の会員数は3,400万人を突破。最近ではweb3やAIなど最新テクノロジーを取り入れた事業も取り扱っており、合計60以上の事業を展開しています。
コーポレートメッセージ「誰もが見たくなる未来。」を掲げ、変化と進化を繰り返しながら新しい領域への挑戦を続けていくことをミッションとしています。
――巨大な事業を展開する御社のQA/品証業務の位置づけ・ミッションを教えてください。
当社のQA部は2020年3月に設立された新しい部門です。
「DMMのテックカンパニー化」というミッションを達成するために、テクノロジーを最大限に活用し、開発と一緒に品質を作り上げていく部門として活動しています。
QA部としてのミッションは、「DMMの各事業のプロダクトやサービス開発全般の品質保証活動を実施し、ユーザーに価値あるサイトを提供し、事業成長に貢献する」です。
また、現在のQA部は事業およびその開発部門の挑戦を支えていく という考えで取り組んでいます。
――やはりBtoCでなおかつエンタメになると、求められるユーザー体験(UX)もレベルが高くなり、品質保証としても取り組む意識は大変ではないでしょうか。
元々QA部という組織がない企業だったため、品質保証活動に対しては開発の中で行なっていくスタイルでした。そのため、どのようにテストや品質保証していくかは、会社全体ではやり方が定まっていないというのが現状です。
当社のサービス自体はマルチデバイスで利用されたり、異なるブラウザを利用されるエンドユーザーがいるので、使い方も様々です。例えば動画を見るにしてもPC、ゲーム機やスマホ、最近だとVRデバイスなど、様々なデバイスが使われますよね。多様な使い方をするユーザーであっても快適に利用できるようにすることが、QA部として感じている大きな課題となっています。
――具体的にはどのような体制、プロセスで取り組まれていますか?
当社の事業は多岐にわたることから、優先順位を決めて、支援しています。現状では規模が大きく、長く続いている、動画や電子書籍などの事業を対象に支援しています。
とはいえ、まだまだ全社の中でQA部として何ができるのか浸透できていない段階です。そのため、例えばテストがやりきれないところに対して私たちQA部が入っていくような、支援的な動きが主な役割となっています。