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テスト技法・工程 2023.12.05
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テスト自動化とは?主な方法と費用対効果を高めるポイントを紹介

執筆: Qbook編集部

ライター

テスト自動化とは?主な方法と費用対効果を高めるポイントを紹介

ソフトウェア開発の中でも、多くの工数を費やすことになるのがテスト工程です。ソフトウェアの品質を担保するうえで、テストの実施は避けて通れません。テストの品質を保ちつつ、いかにして生産性を向上するかがポイントとなります。

テスト工程の改善にあたり、「テスト自動化」を検討している開発チームも多いでしょう。本記事ではテスト自動化とは何か、基本からわかりやすくお伝えします。テスト自動化を実施したい人はもちろん、テスト自動化に関して理解を深めたい人もぜひご覧ください。

もくじ
  1. テスト自動化とは
  2. テスト自動化のメリット
    1. テストの工数を削減できる
    2. テストの品質を向上できる
    3. テスト担当者の負担を減らせる
  3. テスト自動化の注意点
  4. テスト自動化の主な方法
    1. テストフレームワークによるスクリプト実装
    2. テスト自動化ツールの活用
  5. 代表的なテスト自動化ツール・フレームワーク4選【比較表】
    1. T-DASH
    2. MagicPod
    3. Selenium
    4. mabl
  6. テスト自動化の費用対効果を高めるポイント
    1. 自動化に精通した人材の確保
    2. 自動化すべきテスト種類の選定
    3. 適切なテスト自動化ツールの選定
    4. 継続的な運用体制の確立
  7. まとめ:効果的なテスト自動化でソフトウェア開発を成功させましょう

1.テスト自動化とは

テスト自動化とは、ソフトウェア開発におけるテスト工程の作業を自動化することです。テスト担当者が人力で行っていた作業をツールやスクリプトに置き換えることで、手作業で行う工程を減らします。

単体テストやシステムテストなど、テストの種類はさまざまです。テスト自動化の手段によって、自動化できるテストの種類は異なります。たとえば、画面操作をともなうUIテストを自動化するツールでは、プログラムレベルの単体テストは自動化できません。

また、テスト工程の業務は、計画や設計、分析、実行など多岐にわたります。「テスト自動化」という場合、特にテスト実施(実行)の自動化を指すことが一般的です。自動化が可能な業務はいくつかありますが、本記事では「テスト実施の自動化」に焦点を当てて解説していきます。

2.テスト自動化のメリット

テスト自動化のメリットは大きいため、多くの開発現場が実施を検討しているでしょう。ここでは、テスト自動化の主な3つのメリットを詳しく解説します

2-1 テストの工数を削減できる

手動テストでは、テスト担当者がソフトウェアを操作したり、テスト結果が妥当か判定したりしなければなりません。しかし自動テストを導入すれば、こうした作業の大部分をツールやスクリプトに置き換えることが可能です。

機械的にテストを実施できるため効率的に作業が進み、手動テストと比べて工数の削減につながるでしょう。また、休日や夜間といったテスト担当者の業務時間外に自動テストを実行できるのもポイントです。

2-2 テストの品質を向上できる

人間が行う手動テストでは、人的ミスを完全に防ぐことは困難です。テストケースは基本的に同じものが存在せず、常に適切な判断を行いながら作業しなければなりません。テストの実施手順やテスト結果判定を間違えてしまうことは起こり得ます。

その点、自動テストであれば人間による判断が必要な作業を大幅に減らせます。自動テストを適切に導入すれば人的ミスを防止でき、テスト品質の向上につながるでしょう。

2-3 テスト担当者の負担を減らせる

多くの工数を要する手動テストは、開発プロジェクトのスケジュールを圧迫しやすいです。テスト担当者は限られた日程の中で、大量のテストケースを消化しなければなりません。規模の大きなソフトウェアほどテストケース数も増え、負担は増大します。

自動テストであれば細かい手作業が不要となり、テスト担当者の拘束時間を減らせます。結果として、テスト担当者の負担軽減につながるでしょう。特に、回帰テストのように定型的なテストを自動化できれば、継続的な負担軽減が期待できます。

3.テスト自動化の注意点

テスト自動化には大きなメリットがありますが、取り組む上でさまざまな注意点もあります。一つ重要なものを挙げるとすると、ある程度の初期費用が発生する点です。

手動テストを自動テストに移行する作業は、1日で完了するほど簡単ではありません。テスト自動化にあたって、テスト担当者にはさまざまなタスクが与えられます。テスト自動化の実施初期には人件費や製品の導入コストなど、多くの費用が発生するでしょう。

コスト管理が正しく行えないと、テスト自動化の実施途中で頓挫するケースもあるため注意が必要です。

なお、テスト自動化のメリットや注意点については、以下の記事でも詳しく解説していますので併せてご確認ください。

4.テスト自動化の主な方法

テスト自動化の方法は主に2つあります。それぞれに異なるメリット・デメリットがあるため、開発チームの事情に合わせて選びましょう。

4-1 テストフレームワークによるスクリプト実装

1つ目は、テストを自動化するためのスクリプト(プログラム)をテスト担当者が実装する方法です。ソフトウェアの操作やテスト結果判定をスクリプトに代替することで、テスト実施を自動化できます。

スクリプトの実装には、テスト自動化の土台を提供する「テストフレームワーク」を活用することが一般的です。テストフレームワークによって効率的に実装できれば、初期費用を抑えられる可能性があります。

ただし、この方法を行うにはプログラミングスキルを持つ人材が必要です。また、熟練者であっても初期段階の工数はそれなりに要するでしょう。

4-2 テスト自動化ツールの活用

2つ目は、テスト自動化に特化したツールを活用する方法です。テスト自動化ツールによって、具体的な自動化方法は多岐にわたります。たとえば、ソフトウェアの操作を記録してスクリプト化するものや、AI(人工知能)がスクリプトを自動生成するものなどが挙げられます。

多くの場合、高度なプログラミングスキルは求められないため、テスト担当者のスキルを問わず自動化が行えます。また、スクリプトの実装を省力化できるのも大きなメリットです。ただし、テスト自動化ツールの導入には多くの場合それなりのコストがかかります。

5.代表的なテスト自動化ツール・フレームワーク4選【比較表】

テスト自動化ツールやテストフレームワークの種類はさまざまです。ここでは、代表的な製品を4つ紹介します。まずは比較表でご確認ください。

製品名 種類 主な自動化方法 テスト対象 費用
T-DASH ツール 日本語テストケースをスクリプトへ変換 Web/デスクトップ/モバイル 月3,960円(税込)~
MagicPod ツール 画面から入力項目を取り込み、スクリプトへ変換 Web/モバイル 月43,780円(税込)~※年契約の場合
Selenium フレームワーク スクリプトの実装 Web 無料
mabl ツール ローコードでUIテストを作成 Web 要問合せ
※2023年11月時点での情報です。

各製品について、1つずつ紹介します。なお、テスト自動化ツールやテストフレームワークをより詳しく知りたい場合は、次の記事を参考にしてください。

5-1 T-DASH

Tdash.png

出典:T-DASH

「T-DASH」は、バルテス株式会社が提供するテスト自動化ツールです。Webアプリ・デスクトップアプリ・モバイルアプリと、幅広いソフトウェアのテストに対応しています。

大きな特徴は、日本語で書いたテストケースを自動でスクリプトに変換してくれる点です。高度なプログラミングスキルが不要なため、若手のテスト担当者でも使いやすいでしょう。月額料金もリーズナブルなため、お試しとして導入しやすい製品です。

5-2 MagicPod

MagicPod.png

出典:MagicPod

「MagicPod」は、株式会社MagicPodが提供するテスト自動化ツールです。Webアプリ・モバイルアプリのテスト自動化に対応しています。AIを搭載しているのが特徴で、画面の入力項目を自動検出してスクリプトを生成可能です。画面のアップデート時にAIがスクリプトを調整してくれるなど、便利な機能が豊富にあります。

5-3 Selenium

Selenium.png

出典:Selenium

「Selenium」は、オープンソースのテストフレームワークです。Webアプリのテスト自動化に対応しており、スクリプトの実装によりブラウザ操作を自動化できます。無料で使えるのが強みで、「JavaScript」や「Python」といった人気のプログラミング言語を使用可能です。ただし、手動でのスクリプト実装が必須となります。

5-4 mabl

スクリーンショット 2023-11-24 183831.png

出典:mabl

「mabl」はスタートアップのAIテスト自動化ツールです。ローコードで操作できるので、エンジニア経験が少ない方でも実装できるという特徴があります。

また、テスト作成と実装が視覚的に分かりやすいため、初心者の方でも操作しやすいでしょう。初期費用・月額は明記されていないため、問い合わせの必要があります。

6.テスト自動化の費用対効果を高めるポイント

テスト自動化はメリットが大きいものの、正しく実施できなければ費用対効果の向上にはつながりません。テスト自動化の費用対効果を高めるために、次のポイント4つを押さえておきましょう。

6-1 自動化に精通した人材の確保

費用対効果を高めるためには、テスト自動化に精通した人材の確保が欠かせません。人力でのスクリプト実装はもちろん、テスト自動化ツールを活用する場合でも自動化のノウハウはある程度必要です。テスト自動化の未経験者が対応にあたる場合、工数が増大して計画途中で頓挫する恐れもあるでしょう。

>自動化に精通した人材の確保が難しい場合は、未経験者でも簡単に自動テストが実行できるツールを選定しましょう。

6-2 自動化すべきテスト種類の選定

自動テストの導入までには多くの労力を要するため、効果が薄いテストを自動化することは避けた方が良いです。たとえば、ハードウェア操作をともなうテストや、1回きりのテストは効果があまり見込めないでしょう。反対に、繰り返し実施する回帰テストであれば、高い費用対効果が期待できます。費用対効果の向上につながるテスト種類を選定しましょう。

6-3 適切なテスト自動化ツールの選定

テスト自動化ツールを活用する場合、製品の選定が費用対効果に直結します。開発チームの人員や予算、自動化したいテスト種類などを考慮して、適切なテスト自動化ツールを選定しましょう。たとえば、プログラミングに精通した人材をテストにアサインできない場合、プログラミングが不要なツールを選ぶのが理想です。

6-4 継続的な運用体制の確立

自動テストは、継続的に運用することで費用対効果が高まります。そのため、テスト自動化を1度実施して終わりではなく、継続的に運用できる体制を確立しましょう。特に、自動テストの導入後も、スクリプトやツールの保守作業は必要です。保守作業の担当者を十分に確保しておく、保守作業の負担が少ないツールを選定する、などの対策をすると良いでしょう。

まとめ:効果的なテスト自動化でソフトウェア開発を成功させましょう

テスト自動化とは、ソフトウェア開発におけるテスト工程の作業を自動化することです。テストの工数削減や品質向上、担当者の負担軽減といった多くのメリットが得られます。ただし、テスト自動化には初期費用がかかりやすい点に注意が必要です。

テスト自動化の成功には、適切な人材の確保や自動化するテストの種類の選定などが求められます。特に、テスト自動化ツールの選定は費用対効果に直結する大切な要素です。本記事の内容を参考に、テスト自動化ツールを活用してみてはいかがでしょうか。

>Qbookを運営するバルテスではテスト自動化の支援を行っています。テストを効率化したい方、ノウハウがなくうまく進められないとお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。

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執筆: Qbook編集部

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バルテス株式会社 Qbook編集部。 ソフトウェアテストや品質向上に関する記事を執筆しています。