IT・プログラミング関連に従事するエンジニアは、日々の業務やプロジェクトに活かすために、常に最新の情報を自ら学ぶ必要があります。その際に社内外の勉強会のほか、有名大学が公開している講義資料でスキルアップするのもおすすめです。
そこで今回は、国内と海外の有名大学が公開している、エンジニア向けの講義資料や動画などをご紹介いたします。
講義資料の内容は学生向けですが、最新の技術や研究動向に関する情報を提供しており、いつでもどこでも学べるのがメリットといえます。学習環境やキャリアに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
1. 国内の有名大学が公開している資料
まずは国内の大学が公開している資料をご紹介いたします。
- 東京大学
- 京都大学
- 東京工業大学
- 筑波大学
- 慶應義塾大学
1-1 東京大学
ChatGPTの活用方法
2023年5月13日に東京大学 大学院工学系研究科 准教授 吉田塁氏が、教員向けに開催したオンラインイベント「教員向け ChatGPT 講座 ~基礎から応用まで~」の公開資料です。
内容は、ChatGPTの使い方などの基礎的なテーマから活用事例など応用まで網羅されています。講座自体は教員向けですが、教育関係者以外にもChatGPTを活用する方に有益な内容となっています。
■内容:動画、PPT
- 講座資料
- ChatGPT について
- ChatGPT の仕組み(簡易版)
- GPT-4 と GPT-3.5 は「別人」
- ChatGPTの活用に関連する注意点
- ChatGPT に関連する知識
- ChatGPT と教育
イベント「教員向け ChatGPT 講座 ~基礎から応用まで~」の開催のお知らせ [5/13(土)13:00-17:00]
Pythonプログラミング入門(講義資料)
出典:東京大学「Pythonプログラミング入門」の授業ページ
Python言語を通して、データサイエンスや計算科学等に必要なプログラミングの基礎を学べます。
最終的に計算の手続きを自分である程度自由にPythonのプログラムとして表現できるレベルに到達できる内容です。
■内容:github
- Colaboratoryによるノートブックの使い方 数値演算 変数と関数の基礎 論理・比較演算と条件分岐の基礎 デバッグ
- 文字列 リスト 条件分岐
- 辞書 繰り返し 関数
- ファイル入出力の基本 イテレータ コンピュータにおけるファイルやディレクトリの配置
- モジュールの使い方 モジュールの作り方 NumPyライブラリ
- pandasライブラリ scikit-learnライブラリ ミニプロジェクト等
テキスト(HTML版):https://utokyo-ipp.github.io/
統計データ解析Ⅰ(講義資料)
2017年9月27日に公開された「統計データ解析I」の講義内容を動画視聴できます。統計データ解析の基礎となる統計数理とともに、具体的な統計解析手法とその運用を統計ソフトウエアによるデータ解析実習で学べる内容となっています。
■内容:動画
- 統計ソフトウェアR 入門
- パッケージのインストール・データ構造
- ベクトルと行列の計算
- ファイルを用いたデータの読み書き
- 基本的な描画
- データのプロット
- 中心極限定理
- 確率分布・基礎的な記述統計量とデータの集約
- 基礎的な記述統計量とデータの集約
- 推定・検定
- 検定・分散分析
- 分散分析・回帰分析
AWS入門(講義資料)
2021年度S1/S2タームシステム情報学特論「AWSを使ったクラウドコンピューティング入門」の講義資料です。講義の内容は基本的にハンズオンで構成されているため、クラウドを学びたい方や手を動かして学びたいタイプの方におすすめといえます。
■内容:github
- クラウド概論
- AWS入門
- クラウドで行う科学計算・機械学習
- Docker 入門
- Webサービスの作り方
- サーバーレスアーキテクチャ等
テキスト(HTML版):https://tomomano.github.io/learn-aws-by-coding/
テキスト(PDF版):https://tomomano.github.io/learn-aws-by-coding/main.pdf
松尾・岩澤研究室「人工知能・深層学習を学ぶためのロードマップ」
出典:松尾・岩澤研究室
東京大学の松尾・岩澤研究室が公開している人工知能や深層学習を学ぶためのロードマップです。「情報系以外の大学生向け」と「社会人向け」にわけて、それぞれ10時間・200時間で学べる国内外の教材が紹介されており、人工知能や深層学習を学んだことがない初心者の方でも取り組みやすい内容となっています。
■内容
- 情報系以外の大学生向け(10時間コース、200時間コース)
- 社会人向け(10時間コース、200時間コース)
1-2 京都大学
プログラミング演習 Python
出典:Kyoto University Research Information Repository
京都大学の全学共通科目として実施されるプログラミング演習(Python)の教科書として作成されたもので、「プログラミング演習 Python 2021」の講義資料です。
2021年に公開されて2024年4月時点で、ダウンロード数は535784となっています。
統計の入門
出典:Kyoto University Research Information Repository
京都大学で開講されている「統計入門」「続・統計入門」をベースに改変されたe-learning教材です。
短時間で大まかに講義内容を振り返れるような内容になっています。2020年2月に公開されて2024年4月時点で、ダウンロード数は14104となっています。
■内容:PPT
- データ特性・可視化
- 統計ソフト
- 元分割表
- 相関と回帰
- 因果推論とまとめ
1-3 東京工業大学
機械学習帳
2021年7月27日に更新された機械学習の講義資料です。機械学習の基礎は初心者でも理解しやすい内容になっており、機械学習の応用例をコンピュータ・プログラムとして実装するためPythonによる演習も入っています。
■内容:github
- 単回帰
- 重回帰
- モデル選択と正則化
- 勾配法によるパラメータ推定
- 線形二値分類
- 線形多クラス分類
- ニューラルネットワーク
- サポートベクトルマシン等
1-4 筑波大学
データベース概論(講義資料)
2018年04月18日に公開された「データベース概論I」の講義動画です。データベースの基本概念やデータモデリング、リレーショナルデータモデル、データベース言語SQL、リレーショナルデータベース設計論、物理的データ格納法、問合せ処理など、データベースシステムの入門的な内容が学べます。
■内容:動画
- データベースシステムの基本概念
- データモデリング
- リレーショナルデータモデル
- リレーショナルデータベース言語SQL
- リレーショナルデータベース設計論
- 物理的データ格納方式
- 問合せ処理
機械学習(講義資料)
2019年09月06日に公開された「機械学習」の講義動画です。計算機による自律的な学習を目指す機械学習や,、大規模情報源からの知識発見を実現するデータマイニングの理論について学べる内容になっています。
■内容:動画
- 機械学習概論と単回帰
- 重回帰
- モデルの複雑さと汎化
- 特徴選択とL1正則化
- 決定的識別モデル
- カーネル/確率的識別モデル1
- 確率的識別モデル2/経験損失最小化
- k-meansと主成分分析
- ニューラルネットワーク1 基礎とCNN
プログラム言語(Java)(講義資料)
2016年04月22に公開された「プログラム言語Java」の講義動画です。Java言語を用いてプログラミングの基礎とオブジェクト指向の考え方を学べるないようになっています。
■内容:動画
- Java言語の基本
- 条件分岐と繰り返し
- Javaの基本構文for,whileによる繰り返し処理と配列
- クラスの基本
- クラスメソッド
- メソッドによる配列・参照の受け渡し
- インスタンスメソッド、コンストラクタ
- 継承・標準入力の読み込み
- ポリモーフィズム・アクセス修飾子
- 抽象クラスとインターフェース
1-5 慶應義塾大
ChatGPTの活用資料(講義資料)
出典:Semantic Machine Intelligence Lab., Keio Univ.
2023 年10月12日に公開された理工学部「機械学習基礎」の講義資料です。ChatGPTを用いたPythonのコーディング習得方法が解説されており、実習を交えてメリット・デメリットが学べる内容となっています。
■内容:
- ChatGPTを用いてコーディングを習得する
- ChatGPTを使う際の注意点
- 実習
- 付録:ChatGPT使用方法
2.海外の有名大学が公開している資料
ここからは、海外の有名大学が公開している資料をご紹介します。各大学の教育プラットフォームでは、一般人も講義資料や講義動画、演習問題などをオンラインで学べます。
今回ご紹介する大学は下記の通りです。
- スタンフォード大学
- マサチューセッツ工科大学(MIT)
- ハーバード大学
- ニューヨーク大学
それぞれの大学が公開している資料の概要をご紹介します。
2-1 スタンフォード大学(Stanford Online)
スタンフォード大学が提供するオンライン教育プラットフォーム「Stanford Online」では、コンピューターサイエンスや人工知能、機械学習、データサイエンスなどの分野で有名な講座を有料または無料で提供。日本からオンラインで大学に出席でき、スタンフォード大学の学士号(=卒業証書)も取得できるコースもあります。
この中から、IT・プログラミング関連のコースを一部ご紹介します。
タイトル | 内容 |
---|---|
Statistical Learning with Python | 統計学習の概をはじめ、回帰と分類方法に焦点を当てた入門レベルのコース |
Fundamentals of Data Science: Prediction, Inference, Causality | スモールデータとビッグ データの違いを探り、統計と機械学習の両方の観点からデータを考えるための概念的なフレームワークに重点を置く、応用データ分析の入門レベルのコース |
Artificial Intelligence Professional Program | 機械学習やディープラーニングをはじめ、現代の人工知能における重要なトピックをカバーしたコース |
そのほか、無料で閲覧できる講義動画には下記のようなものがあります。
・Stanford CS229: 機械学習(Machine Learning) | Summer 2019 - YouTube(Autumn 2018)
・Stanford EE104: 機械学習入門フルコース(Introduction to Machine Learning Full Course) | 2020 - YouTube
2-2 マサチューセッツ大学(MIT OCW)
出典:MIT OpenCourseWare(MIT OCW)公式サイト
マサチューセッツ工科大学(MIT)が提供するオンライン教育プラットフォーム「MIT OpenCourseWare(MIT OCW)」では、MIT のカリキュラムの一部を無償で一般向けに公開しています。
この中から、IT・プログラミング関連のコースを一部ご紹介します。
タイトル | 内容 |
---|---|
Introduction to Computer Science and Programming | コンピュータサイエンスとプログラミングの基礎を学ぶコース |
Introduction to Electric Engineering and Computer Science I | 電気工学とコンピュータサイエンスの基礎的な考え方を提供するコース |
Introduction to Algorithms | アルゴリズムとデータ構造についての入門的なコース |
2-3 ハーバード大学(Harvard Online Learning)
出典:Harvard Online Learning 公式サイト
ハーバード大学のオンライン学習プラットフォーム「Harvard Online Learning」では、コンピューター科学や統計学、ビジネス、プログラミングなど、さまざまな分野のコースが提供されています。一部、日本の企業がクリエイティブ・コモンズ ライセンスに基づき、日本語に翻訳したウェブサイトがあるため、こちらをご紹介します。
CS50.jp
プログラミング学習・コンピュータサイエンスの入門講座「CS50: Introduction to Computer Science」及び「CS50's Web Programming with Python and JavaScript」をプログラミング学習サービス「CODEGYM https://codegym.jp/ 」を提供する株式会社LABOTがクリエイティブ・コモンズ ライセンスに基づき、日本語に翻訳したウェブサイトです。
■対象言語:HTML/CSS、JavaScript、SQL、C、Python
2-4 ニューヨーク大学
ニューヨーク大学(NYU)のクーラント数理科学研究所のシルバー教授、Metaのヴァイスプレジデント兼チーフAIサイエンティストであるYann LeCun先生の深層学習の講義資料。
スライドやコード、講義動画が公開されておりオンラインで自習できます。
まとめ
今回は、国内外の有名大学が公開している資料(IT・プログラミング系)についてご紹介しました。
各大学ごとに特色があり、各専門分野の最先端の知識・スキルを得られます。
今後のビジネスチャンスを広げていくためにも、このような有名大学が公開している授業や資料を参考にスキルを習得して実務に活用してみてはいかがでしょうか。