JSTQB認定テスト技術者資格とは、ソフトウェアテストに携わる方が多く受験する代表的な資格です。
JSTQBは、2024年8月から10月の3か月間、期間限定で「Advanced Level Specialistテスト自動化エンジニア(TAE)試験」を実施しています。
そこで今回は「JSTQB Advanced Level Specialistテスト自動化エンジニア(TAE)試験」の概要について解説していきます。
- もくじ
1.JSTQB AL Specialistテスト自動化エンジニア(TAE)試験とは?
JSTQB AL Specialistテスト自動化エンジニア(以下 テスト自動化エンジニア)試験とは何か解説します。
1-1 テスト自動化エンジニア試験とは?
テスト自動化エンジニア試験は、テスト自動化という特定の領域に関する資格試験です。
テスト自動化エンジニアはテストについて幅広い知識を持ち、なおかつテスト自動化の分野(テスト自動化ソリューションの設計、開発、保守)に関して深い知識を理解することが求められます。
日本語での実施は過去になく、今回が初の試験実施となります。
1-2 テスト自動化エンジニア試験の位置づけ
JSTQB認定テスト技術者資格には、下記3つの難易度があります。テスト自動化エンジニア試験は、上級レベルの「Advanced Level(AL)」に該当する試験です。
- Foundation Level(基礎レベル)
- Advanced Level(上級レベル)
- Expert Level(エキスパートレベル)
最も難易度の低いFoundation Levelでは、テストに関する知識を「記憶・理解」することが求められます。
一方、Advanced Levelでは「記憶・理解」に加えて「適用・分析」することも必要です。ただ覚えるだけでは合格が難しいため、テスト自動化エンジニア試験は難易度の高い試験といえます。
また、試験区分としては下記の3つがあり、TAE試験は「Specialist」に該当します。
- Agile(アジャイル開発に特化)
- Core(総合力が求められる)
- Specialist(特定の専門分野に特化)
Specialistは特定分野に特化した、深い知識・理解が求められる区分です。
2.テスト自動化エンジニア試験の概要
テスト自動化エンジニア試験の受験資格や実施形式についてご紹介します。
2-1 受験資格:FL資格取得者
テスト自動化エンジニア試験の受験には下記条件を満たすことが必要となります。
- JSTQB認定テスト技術者資格 Foundation Level 資格試験の合格者
- またはJSTQB (日本) 以外の Foundation Level 資格試験の合格者
Foundation Levelに合格していない方は、まずはFoundation Levelの合格を目指しましょう。
Foundation Levelについては、こちらの記事をご覧ください。
2-2 実施時期・申込費用
テスト自動化エンジニア試験は2024年8月から10月の間で実施されています。
詳しい実施時期と申込費用についてご紹介します。
実施時期
テスト自動化エンジニア試験の実施時期は以下の通りです。
申込期間:2024 年 7 月 25 日 (木) から 2024 年 10 月 30 日 (水)
実施期間:2024 年 8 月 1 日 (木) から 2024 年 10 月 31 日 (木)
実施期間中、受験できるのは1回のみとなります。また、今回は期間限定での実施となり、次回は未定です。
しかしJSTQB FLスペシャリスト自動車ソフトウェア担当者の試験のように、今後、恒常的に実施される可能性も考えられます。
申込費用
受験費用は税込で22,000円です。
基本的には予約時にクレジットカードでの支払いになりますが、10試験以上申し込む場合はプリペイドバウチャーも利用可能です。
試験予約は以下のサイトから行ってください。
試験の概要・注意事項については以下のサイトをご確認ください。
2-3 試験時間・実施形式
試験時間
テスト自動化エンジニア試験の試験時間は105分です。※母国語が日本語でない受験生は1.25倍(132分)に延長適用が可能。事前承認が必須。
内訳としては、NDA(機密保持契約)が5分、試験が90分、アンケートが10分)となります。
※NDAとは、試験の設問や回答を第三者へ開示しないことへの同意事項です。同意しない場合は試験が受けられず、返金もされません。
実施形式
試験はCBT(コンピュータ・ベースド・テスティング)による実施となります。
コンピュータ上での試験のため全国にあるテストセンターで受験が可能です。
操作については、ピアソンVUE CBT試験のデモサイトが用意されているため、操作方法に不安がある方は事前に確認しておくことをおすすめします。
3.テスト自動化エンジニア試験の試験内容
テスト自動化エンジニア試験のシラバス version 2016.J01 は主に以下の内容が掲載されています。
- テスト自動化の概要と目的
- テスト自動化の準備
- 汎用テスト自動化アーキテクチャ
- 導入のリスクとリスクヘッジ計画
- テスト自動化のレポートとメトリクス
- 手動テストから自動化環境への移行
- TAS(テスト自動化ソリューション)の検証
- 継続的な改善
それぞれの内容は以下の通りです。
- テスト自動化の概要と目的
テスト自動化の基本概念とその利点、実際のプロジェクトに適用するための成功要因に関する内容。 - テスト自動化の準備
テスト自動化するにあたって、テスト対象システム(SUT)が与える影響要因、テスト自動化ツールの選定に関する内容。 - 汎用テスト自動化アーキテクチャ(gTAA)
テスト自動化ソリューション(TAS)を構築する共通フレームワークに関する内容。
gTAAは、テスト生成、定義、実行、適合の4つレイヤーから構成されており、各レイヤーの役割や保守性や拡張性を考慮した設計に関して解説されています。 - 導入のリスクとリスクヘッジ計画
テスト自動化導入ステップ(パイロットプロジェクト)や、パイロットの対象プロジェクトの導入リスクとリスク軽減方法に関する内容。
また、テスト自動化の保守の種類や、保守性を向上させる施策に関しても解説されています。 - テスト自動化のレポートとメトリクス
テスト自動化の有効性・効率性など成果を可視化するメトリクスの種類や測定方法についての内容。
また、テスト結果レポートに関して取得する情報種類や内容に関しても説明されています。 - 手動テストから自動化環境への移行
手動テストから自動化するために移行条件、回帰(リグレッション)テスト、新規機能テスト、確認テストを自動化する手順や注意点などがまとめられています。 - TASの検証
テストツールの設定や環境、テストスイート(スクリプトのふるまい)の検証に関する内容。 - 継続的な改善
テスト自動化ソリューション(TAS)の改善の種類と方法に関する内容。
4.テスト自動化エンジニア試験に向けた学習方法
テスト自動化エンジニアに向けた学習方法についてご紹介します。
4-1 シラバスを読む
試験問題は、シラバスの内容から出題されるため、シラバスを読むことは欠かせません。
JSTQBのサイトでダウンロードできるので、内容を読み込んで理解を進めていきましょう。
Advanced Level Specialist シラバス テスト自動化エンジニア 日本語版 Version 2016.J01
ISTQB試験とJSTQB試験のシラバスのバージョンは異なる
2024年に実施されるJSTQBのテスト自動化エンジニアの資格試験は、「テスト技術者資格制度 Advanced Level シラバス テスト自動化エンジニア Version 2016.J01」のシラバスをもとに問題が作成されています。
しかしISTQBでは新しいバージョンの「Certified Tester Advanced Level Test Automation Engineering Syllabus Version 2.0」が適応されています。
そのため、ISTQBで適応されている最新バージョンのシラバスを読むことは、テスト自動化の知識を深めるためには有効ですが、資格勉強においてはシラバスのバージョンによって設問や回答が異なるケースもありますので、注意が必要です。
▼ISTQBのシラバスはこちら
Certified Tester Advanced Level Test Automation Engineering Syllabus Version 2.0
4-2 テスト自動化関連の参考書を読む
本試験はテスト自動化に特化したものなので、テスト自動化を理解するために、テスト自動化関連の参考書を読むことも資格取得に役立つでしょう。
シラバスだけでは分からない部分を参考書等で学習し、理解を深めていきましょう。
まとめ
JSTQB Advanced Level Specialistテスト自動化エンジニア(TAE)試験は、現在、期間限定で実施されている資格試験です。
試験の内容としては、「テスト自動化」という特定の領域に関するもので、テストだけでなくテスト自動化分野についての深い知識を理解することが求められています。
日本語での試験実施は今回が初となり、期間も限定されていますが、この先通年で受験できる試験になることも考えられます。
テスト自動化エンジニアとして活躍していきたい、テスト自動化の知識をより深めて実務に活かしたいとお考えの方はこの機会に勉強、受験されてみてはいかがでしょうか。