JSTQBの試験のうち、基礎レベルとして「Foundation Level試験/資格試験」(JSTQB FL、以降「FL試験」と呼称)があります。ソフトウェアテストに携わる仕事を担当されている方、その他ソフトウェアテストに関心がある全ての方を対象にしています。
今回は、JSTQB FL試験の試験レベルや概要、資格取得のメリットについて解説します。

JSTQB® 認定テスト技術者資格 Foundation Level 試験対策講座
独学だけではどこが重要かわかりにくいJSTQBのシラバス。本講座では、章ごとの真に重要なポイントを押さえて全面解説します。また、試験問題の傾向解説や模擬試験など、試験合格をきちんと意識。加えて、講義はオンライン環境で視聴回数に制限はありません。分かるまで、試験直前まで、何度でもご確認いただけます。
- もくじ
1.JSTQBのFoundation Level(FL)試験とは?
1-1 FL試験とは
JSTQB FL試験は、ソフトウェアテスト技術者の入門的な立ち位置の資格試験です。
ソフトウェアテストに直接関係する方はもちろん、一般的なソフトウェアエンジニアの方にもおすすめできる資格です。学習することにより、ソフトウェアテストとはなんぞや、という基本的なところを一通り学ぶことができます。
1-2 FL試験の学習レベル
FL試験では、シラバスの全ての内容をテスト業務で適用できる知識レベルは求められていません。
シラバスの各セクションで、以下のいずれかの知識レベルが設定されています。
- K1:記憶レベル・・・用語や概念を記憶している
- K2:理解レベル・・・テスト手順や概念を理解している
- K3:適用レベル・・・概念や技法を理解して、実際に適用できる
FL試験の学習を通して、指定された知識レベルに達成した上で試験に挑む必要があります。
事前に各セクションの指定知識レベルを確認して学習に取り組むことをおすすめします。
2.FL試験の受験資格・対象者
2-1 特定の受験資格はない
FL試験は、特に決まった受験資格は定められていません。
ソフトウェアテストに興味を持たれている方であればどなたでも受験可能です。ただし、シラバスでは以下のレベルに達している方を推奨しています。
- システムテストやユーザー受け入れテストなどのテスト業務やソフトウェア開発業務を半年以上経験していること。
- ISTQB®に加盟している各国の委員会(日本では JSTQB®が該当)が認定した教育コースを受講していること。
2-2 受験対象者の例
シラバスではソフトウェアテストに携わる仕事の一例として、以下のような職種が紹介されています。あくまで一例としてご参照ください。
- テストエンジニア
- テスト担当者
- テストアナリスト
- テストコンサルタント
- テストマネージャー
- ユーザー受け入れテスト担当者
- ソフトウェア開発担当者
- プロジェクトマネージャー
- 品質管理マネージャー
- ビジネスアナリスト
- 経営コンサルタント
上記職種の方は、ぜひFL試験に挑戦されてみてはいかがでしょうか。
3.FL試験の概要と学習時間の目安
FL試験の概要(問題数・試験時間・費用・合格基準等)と学習時間の目安について解説します。
これから試験を受けようとお考えの方は、事前に確認しておきましょう。
3-1 FL試験の試験時間・問題数・合格基準
JSTQB FL試験の形式は多肢選択式です。
試験の概要・問題数と合格の目安は以下の通りです。
- 試験時間:60分
- 問題数:40問
- 合格基準:正解率 65%以上(26問正解が目安)
- 合格率:約60%
- 費用:22,000円(税込)
- 試験は2022年度よりCBT(コンピュータ・ベースト・テスティング)にて実施。
- JSTQB試験を受験する際は、JSTQB認定試験申し込みWebサイト(https://qualification-jstqb.com/examinee/)からお申込み。
CBTでの受験が初めての場合はアカウント登録をしてログイン後に受験のお申込み手続き
3-2 試験の構成と学習時間の目安
シラバスは 6つの章で構成されています。試験はシラバスに沿って出題されます。
各章の内容と必要な学習時間の目安は以下の通りです。
シラバス全体の学習時間の目安は1005分(16 時間 45 分)とされています。以下詳細です。
- 1 章 テストの基礎(学習時間175分)
- 2 章 ソフトウェア開発ライフサイクル全体を通してのテスト(学習時間100分)
- 3 章 静的テスト(学習時間135分)
- 4 章 テスト技法(学習時間330分)
- 5 章 テストマネジメント(学習時間225分)
- 6 章 テスト支援ツール(学習時間40分)
試験までの学習計画にお役立てください。
※2024年11月以降の試験から、Version 2023V4.0.J01のシラバスに変更されます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
4.FL資格を取得する5つのメリット
試験を受けようか迷っている方もいるかもしれませんが、FL試験の資格取得には多くのメリットがあります。
それぞれ解説していきます。
① テストエンジニアのことを全体的に知れる
テストエンジニアの仕事はソフトウェアを実行して結果を確認しているだけだと誤解されることが多いです。しかし、実際はテスト結果の確認作業はテストエンジニアが担当している作業のほんの一部に過ぎません。テストエンジニアは他にもさまざまな作業を担当しています。
具体的には、テストの計画、テスト結果の分析・設計、テスト実装、テスト進捗管理、テスト結果報告、テスト対象の品質評価といった作業も担当しています。FL資格では、このような、テストエンジニアが担当している業務内容を全体的に知ることができます。
② 知識を業務に活かせる
FL資格では、テスト計画からテスト結果報告まで、ソフトウェアテストに必要な知識を体系的に学習できます。そのため、自身が担当しているテスト工程に関連する知識も身に付け、すぐに業務に活かすことができるでしょう。
具体例としては、テスト項目の作成を担当されている方であれば、シラバスの4章で学ぶテスト技法を活用して、新たなテスト観点を追加できるかも知れません。テスト作業の効率化を検討されている方であれば、6章で学ぶテスト支援ツールの中で業務を効率化できるツールが見つかる可能性があります。
このように、学んだ知識を活用して、より高品質なテストを実施することで、ソフトウェアの品質を向上させることができるのです。さらには周囲からも評価されてキャリアアップも期待できるでしょう。
③ よりレベルの高い試験の受験資格を得られる
以下の資格試験を受験するためには、FL資格の取得が前提条件です。このようにFL資格を取得することで、より高度な資格試験に挑戦できます。
- JSTQB Foundation Level Specialist 自動車ソフトウェアテスト担当者
- JSTQB Advanced Level テストマネージャー(TM)試験
- JSTQB Advanced Level テストアナリスト(TA)試験
④ テストエンジニアとして認められる
JSTQB認定テスト技術者資格は「JSTQB」と呼ばれる組織が運営しています。
JSTQBは日本におけるソフトウェアテスト技術者資格認定を運営している組織で、2005年4月にソフトウェアテストに関する国際的な資格認定団体ISTQB(International Software Testing Qualifications Board)に、その加盟組織として認定されています。
ISTQBに加盟している組織は資格、教育、訓練を相互認証しているため、JSTQBが運営するソフトウェアテスト技術者資格は海外でも有効な信頼度の高い資格です。
そのため、資格を取得していれば周囲から一定レベルのスキルを持ったテストエンジニアとして認めてもらえるでしょう。
⑤ 昇格できる可能性が上がる
会社によってはFL資格の取得が昇格や評価の対象になるところもあります。
また、もし昇格条件になっていない場合でも、資格を取得していればソフトウェアテストに関する知識を取得していることをアピールできます。
そのため、テストに関わる新しい仕事を任せてもらうことができ、結果的に昇格のチャンスが増えることになるでしょう。
まとめ
今回は、JSTQB FL試験の取得のメリットや、受験対象者について紹介しました。
JSTQB FL試験は、ソフトウェアテスト技術者の入門的な立ち位置の資格試験です。
ソフトウェアテストに直接関係する方はもちろん、一般的なソフトウェアエンジニアの方にもおすすめできる資格です。学習することにより、ソフトウェアテストとはなんぞや、という基本的なところを一通り学ぶことができます。
スキルアップやキャリアアップを求めているエンジニアの方は、資格取得を検討されてみてはいかがでしょうか。
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JSTQB 認定テスト技術資格 公式サイト
JSTQB 認定テスト技術資格についての費用や受験方法、シラバスなど記載されています。