ビジネスのデジタル化が進むなかで、注目を集めているサービスが「ServiceNow」です。人件費削減や顧客満足度向上など、ServiceNowは多くの可能性を秘めています。
導入する日本企業が増えているものの、まだまだ知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、導入する企業が増えているServiceNowとは何か、基本から解説します。
ServiceNowの導入で失敗しないためのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
- もくじ
1. ServiceNowとは
ServiceNowとは、アメリカのServiceNow社が提供するクラウドサービスであり、業務のデジタル化を推進する強力なプラットフォームです。
ワークフロー(業務プロセス)のデジタル化や業務システム・データの統合を実現し、企業の生産性向上をサポートします。
出典:ServiceNow
特に、ISTM(ITサービス管理)やITOM(IT運用管理)に役立つ多彩な機能が搭載されているのが強みです。
こうした機能はITサービス・ITシステムを提供・運用する企業にとって有用なため、業界を問わず導入する企業が増えています。
2. ServiceNowで何ができるのか
ServiceNowを利用することで、主に次の3つが可能となります。
- ワークフローのデジタル化
- 業務システム・データの統合
- 業務の見える化
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1 ワークフローのデジタル化
ServiceNowを利用することで、ワークフロー(業務プロセス)のデジタル化が可能です。
具体的には、独自の帳票や申請書などを作成し、ServiceNow上で一連の手続きが完結する仕組みを構築できます。
たとえば、経費精算の手続きをデジタル化する場合、ServiceNow上で経費精算フォームを作成し、従業員に公開することが可能です。申請フォームに申請や承認、差し戻しといった機能を持たせることで、申請者や承認者の手続きをすべてServiceNow上で行えます。
仮にアナログな手続きで経費精算を進める場合、経費精算書を印刷したり、直接渡したりする必要があります。ワークフローをデジタル化することで、こうした業務の無駄が減り、生産性を高められるでしょう。
2-2 業務システム・データの統合
ServiceNowを利用することで、業務システム・データの統合が可能です。
ServiceNowはIT資産管理や顧客関係管理(CRM)など、さまざまな管理機能を持っています。複数の業務システムで管理していたデータをServiceNowに集約すれば、一元管理が可能となります。
また、「REST API」や「SOAP API」といった仕組みによって、外部システムとのデータ連携が可能です。
これらを用いれば、既存の業務システムとServiceNowを容易に連携でき、データや業務そのものをServiceNowに統合できるでしょう。
2-3 業務の見える化
ServiceNowを利用することで、業務の見える化が可能です。
ServiceNowには、各業務に関するデータをまとめて表示する「ダッシュボード機能」があります。ダッシュボードを通して業務状況を視覚的に把握したり、業務全体を俯瞰したりしやすくなるでしょう。
たとえば、インシデント管理機能のダッシュボードでは、当日追加されたインシデント数や未解決のインシデント数などを閲覧できます。
また、インシデントの状況ごとに集計してグラフで表示することも可能です。これにより、従業員の状況把握が容易になります。
3. ServiceNowを導入するメリット
ServiceNowの導入には多くのメリットがあります。具体的には、次の5つです。
- 人件費の削減
- 属人化の防止
- サイロ化の解消
- 顧客満足度の向上
- 従業員満足度の向上
詳しく解説していきます。
3-1 人件費の削減
ServiceNowを導入することで、人件費の削減を図れます。
アナログ業務をデジタル化することで効率化でき、残業の抑制や人的リソースの節約につながるためです。
たとえばServiceNowにより申請書をデジタル化することで、印刷したり手書きしたりせずに済みます。パソコンスキルにもよりますが、申請フォームに入力してWeb上で提出するほうが時間はかからないケースが多いでしょう。
結果として、従業員が業務に費やす時間が減り、人件費の削減が期待できます。
3-2 属人化の防止
ServiceNowを導入することで、ある業務が特定の個人にしか務まらなくなる「属人化」の防止が期待できます。
属人化が起きる原因の1つは、業務の知識が組織内で十分に共有されないためです。その点、ServiceNowには知識を形式知化して管理できる「ナレッジ管理機能」があり、業務の知識共有を促進できます。
また、ワークフローのデジタル化によって業務の手順やルールが明確となり、業務プロセスの標準化につながるでしょう。
3-3 サイロ化の解消
ServiceNowを導入することで、組織の各部門が独立し、相互に連携できなくなる「サイロ化」の解消が期待できます。
サイロ化が起きる原因の1つとして、部門ごとに利用する業務システムが統一されず、データの共有が行えないことがあります。
その点、ServiceNowには複数の業務システムをカバーできる多彩な機能があります。
そのため、ServiceNowに業務システムを統合することで情報を一元管理でき、部門間の連携を図りやすくなるでしょう。
3-4 顧客満足度の向上
ServiceNowを導入することで、顧客満足度の向上を図れます。
たとえば、問い合わせ窓口をServiceNowに集約することで、顧客への対応スピードを向上できます。また、インシデント管理機能を使えばITサービスのインシデント対応を効率化でき、ダウンタイムの抑制が可能です。
このように、問い合わせ対応やインシデント管理などに役立つ機能を使えば、顧客満足度の向上につながるでしょう。
3-5 従業員満足度の向上
ServiceNowを導入することで、従業員満足度の向上も期待できます。
なぜなら、業務のデジタル化によってアナログ業務の負担が軽減し、業務体験が改善されるからです。
また、ServiceNowのモバイルアプリを使えば、スマートフォンでも各機能を利用できます。
これにより、出先でも帰社せずに申請手続きが行えるなど、働きやすい環境の構築にもつながります。
4. ServiceNowの導入で注意すべきポイント
ServiceNowには多くのメリットがありますが、導入に失敗するとそのメリットを享受できません。
ServiceNowの導入で失敗しないために注意すべきポイントとして以下の点を押さえておきましょう。
- 導入・運用の費用を見積もる
- 移行計画を策定する
- 運用体制を構築する
- 事前に従業員教育を実施する
4-1 導入・運用の費用を見積もる
ServiceNowの導入・運用にかかる費用をしっかり見積りましょう。
導入時には、ライセンス費用やカスタマイズ費用など、さまざまな費用がかかります。また、導入後にも運用担当者の人件費や、月額の利用料金が発生するでしょう。
こうした費用を正確に見積れないと、想定以上にコストが増大してしまう場合もあります。
ServiceNowの公式サイトには費用について明記されていないため、担当者から十分な説明を受けましょう。
4-2 移行計画を策定する
ServiceNowの導入前に移行計画を策定しましょう。
データ移行やテストなど、既存システムからServiceNowへ移行する際は多くの作業が発生します。また、無計画にシステム移行をすると、既存業務に大きな支障をきたすことも考えられます。
日程や担当者を含めた詳細な移行計画を策定し、できる限りスムーズに移行できるように準備が必要です。
4-3 運用体制を構築する
ServiceNowの運用体制を構築しましょう。
こうしたツールは導入すれば終わりではなく、継続的に運用していくことが求められます。運用に適した担当者を確保できなければ、安定的な運用は難しいでしょう。
システム管理者やユーザーサポート担当者など、適切な人員配置・人員確保が欠かせません。また、自社のビジネスに合わせた運用マニュアルも作成しておくべきです。
4-4 事前に従業員教育を実施する
ServiceNowを利用する従業員に対して、事前に教育を実施しましょう。
ServiceNowを有効活用するためには、従業員の理解促進が不可欠です。ServiceNowの基本的な利用方法はもちろん、トラブルシューティングなども含めた教育が求められます。
自社で従業員教育を進めるのが難しい場合は、ServiceNowのパートナー企業が提供する研修サービスを利用すると良いでしょう。
まとめ
ServiceNowとは、業務のデジタル化を推進する強力なプラットフォームです。
ワークフロー(業務プロセス)のデジタル化や業務システム・データの統合、業務の見える化を実現できます。ServiceNowの導入には、次のように多くのメリットがあります。
- 人件費の削減
- 属人化の防止
- サイロ化の解消
- 顧客満足度の向上
- 従業員満足度の向上
ただし、ServiceNowの導入にあたっては費用の見積もりや移行計画、従業員教育など、さまざまな準備が必要です。
今後ServiceNowの導入を検討される方は、ぜひ今回の内容を参考にしていただければと思います。