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不具合報告書とは?目的や記載項目、作成のポイントを解説
品質向上 更新日 2025.11.05
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不具合報告書とは?目的や記載項目、作成のポイントを解説

執筆: Qbook編集部

ライター

ソフトウェア開発では、不具合に直面するリスクを完全に防ぐことはできません。発生した不具合を適切に共有・対処するために重要となるのが「不具合報告書」です。しかし、不具合報告書の書き方や記載すべき項目が分からない、といった方も多いでしょう。

本稿では、不具合報告書の基礎知識から記載項目、作成のポイントまでまとめてお伝えします。不具合対応や品質管理に関わる方はもちろん、これから業務に携わる方もぜひ参考にしてください。

もくじ
  1. 不具合報告書とは
  2. 不具合報告書を作成する目的
    1. 不具合情報の共有
    2. 不具合分析による再発防止
    3. 品質保証や顧客対応のための記録
  3. 不具合報告書に記載する主な項目
    1. タイトル
    2. 発生日時
    3. 発生条件・発生環境
    4. 報告者・報告先
    5. 不具合の概要
    6. 再現手順
    7. 影響範囲
    8. 原因・対策
  4. 不具合報告書を作成する際のポイント
    1. 具体的に書く
    2. 事実と推測を区別する
    3. テンプレートを活用する
  5. まとめ

1. 不具合報告書とは

不具合報告書とは、ソフトウェアの開発時や運用時に発生した不具合を記録し、関係者へ伝達するための文書です。不具合の発生状況や影響範囲などを正確に共有することで、スムーズな原因特定や対処を可能にします。

組織やプロジェクトによって「バグ報告書」「バグ票」など呼び方は異なりますが、本質的な目的はおおむね同じです。不具合を明確に記録し、社内(場合によっては一部の社外関係者)へ情報を共有するために活用されます。

2. 不具合報告書を作成する目的

不具合報告書を作成する目的は、主に次の3つです。

2-1. 不具合情報の共有

不具合報告書の重要な役割は、関係者へ不具合情報を正しく共有することです。不具合情報を整理して一元管理することで、関係者が必要な情報を把握しやすくなります。たとえば、開発者が原因調査の手がかりを得たり、運用担当者が暫定対策の方法を把握したりできるでしょう。不具合に対する共通認識を持てれば、認識のずれによる新たなトラブルの発生も防げます。

2-2. 不具合分析による再発防止

不具合報告書は、不具合分析による再発防止のためにも欠かせません。不具合分析では、機能別の発生件数や発生タイミングなどのデータを集め、傾向や問題点を多角的に分析します。こうしたデータを豊富に持つ不具合報告書は、不具合分析の大きな助けになります。適切な不具合分析によって、不具合の再発を防ぐためのヒントが得られるでしょう。

なお、ソフトウェアの不具合分析について詳しくは、次の記事を参考にしてください。

2-3. 品質保証や顧客対応のための記録

不具合報告書は、品質保証や顧客対応のための記録としても有用です。たとえば、テスト分析の際に過去の不具合傾向を参考にしたり、顧客からの問い合わせに対する回答の材料を得たりできます。不具合情報を記録として残しておくことで、後からの確認や改善活動に活用しやすくなるのです。

3. 不具合報告書に記載する主な項目

不具合報告書には、さまざまな項目があり、正確に記載することが求められます。ここでは、不具合報告書に記載する主な項目の書き方やポイントについて、例文も交えて見ていきましょう。なお、記載項目は企業やチームによって変わることがあります。

3-1. タイトル

不具合内容がひと目で分かる簡潔なタイトルをつけましょう。たとえば、『エラー123で商品登録が完了しない』のように、問題の核心を端的に示すのがポイントです。必要に応じて日付や分類コード、重要度などを付けることで、データとして活用しやすくなります。多少長くなったとしても、最低限必要な情報は盛り込むほうが良いでしょう。

3-2. 発生日時

不具合が発生したと思われる日時をできる限り詳しく記録します。発生時間が定かでない場合は、『2025年1月23日21時ごろと推定』のように推定日時を記載しましょう。システムログなどで発生日時が明確な場合は、分単位で断定的に記載しても問題ありません。

3-3. 発生条件・発生環境

不具合が発生した条件や環境を記載しましょう。OSやブラウザ、利用中の端末や設定など、再現に必要な情報を記載することが大切です。バージョン情報なども含め、できる限り詳しく記載してください。また、必ず発生するわけではない現象の場合は何回か試行し、大まかな発生確率を記載すると有用です。

3-4. 報告者・報告先

不具合を発見した人物と、報告書を共有する相手を記載しましょう。関係者や責任の所在を明確にするためにも必要な項目です。担当者や関係部門も忘れずに記載してください。

3-5. 不具合の概要

不具合の事象や症状を簡潔にまとめましょう。専門用語を必要最低限に抑え、読み手が状況を理解しやすいよう意識しながら記載します。次の文章が一例です。

商品管理システムに管理者ログインし、商品情報をすべて入力して登録ボタンを押下した。しかし、商品登録画面のまま遷移せず、エラー123が表示されて登録は完了しなかった。商品情報がデータベースに登録されていないことは確認済み。10回試行したが、毎回同じ現象が発生した。

3-6. 再現手順

不具合を再現できる操作手順を順序立てて記載しましょう。手順が明確であれば、関係者が同じ状況を確認でき、原因特定や対応策の検討に役立ちます。次の文章は一例です。

【1】商品管理システムに管理者アカウントでログインする
【2】商品登録画面を開く
【3】必須項目を含む商品情報をすべて入力する
【4】登録ボタンを押下する⇒画面遷移せずエラー123が表示される

3-7. 影響範囲

不具合が業務やユーザーに及ぼす範囲を記載しましょう。影響を受ける機能や操作、利用者数などを具体的に記載することで、優先度や対応方針の判断がしやすくなります。次の文章は一例です。

商品管理システムの商品登録機能全体に問題が発生している模様。運用担当者3名全員が商品情報の新規登録を行えない状況となっている。一方、商品情報の閲覧や編集、削除といった他の機能は正常に動作することを確認済み。

3-8. 原因・対策

不具合の原因が判明している場合は記載しましょう。推測レベルの内容であっても、不具合の解決につながり得る情報は記載することが理想です。次の文章は一例です。

2025年1月23日10時頃に実施したデータベース管理ソフトのバージョン更新後、商品登録処理で利用しているSQLクエリの一部が新仕様と互換性を持たなくなった。その結果、商品登録時にデータベースへの書き込みが失敗し、エラー123が毎回発生する状況となった。

また、判明した原因を根本的に解消する恒久対策と、問題を一時的に回避する暫定対策もあわせて記載しましょう。次の文章は一例です。まだ原因や対策が固まっていない場合は『原因調査中』『対策検討中』などでも良いでしょう。

【暫定対策】
運用担当者が商品情報を手動でデータベースに直接登録することで対応

【恒久対策】
商品登録機能で使用しているSQLクエリを修正し、更新後のデータベース仕様に適合させるプログラム改修を実施予定。修正版は2025年2月上旬にリリース予定のバージョン1.2.5へ組み込み、適用後に不具合が解消される見込み。

4. 不具合報告書を作成する際のポイント

作成した不具合報告書に不備があっては、関係者に誤解を与えかねません。不具合報告書を作成する際の3つのポイントを押さえておきましょう。

4-1. 具体的に書く

不具合情報はできる限り具体的に記載しましょう。たとえば、「正しく動作しない」といった抽象的な表現では、読み手が状況を正しく理解できません。「商品管理画面で商品名が表示されない」のように、発生している事象を明確に記載することが大切です。数値や条件を盛り込むと具体性が増し、再現や検証がしやすくなります。

4-2. 事実と推測を区別する

不具合報告書には、確定している事実と調査中の推測が混在することがあります。不要な混乱を招かないよう、両者をしっかり区別しましょう。推測の場合は「~の疑いがある」「~と推測される」など、推測であると明確に分かる表現を使用すべきです。事実であれば「システムログから確認済み」など、裏付けを添えると信ぴょう性が高まります。

4-3. テンプレートを活用する

不具合報告書をゼロから書くと時間がかかるうえに、記載漏れや表現のばらつきが生じやすくなります。不具合報告書の作成を効率化したい場合は、テンプレートを活用するのが効果的です。記載項目やフォーマットが用意されていると迷わず記載でき、ミスも抑制できます。チームに合ったテンプレートを整備しておくと、日常的な対応がスムーズになるでしょう。

5. まとめ

不具合報告書とは、ソフトウェアの開発時や運用時に発生した不具合を記録し、関係者へ伝達するための文書です。不具合報告書の作成では、さまざまな項目を記載する必要があります。基本を押さえて漏れなく正確に記載しましょう。

不具合報告書の作成を実践する際には、今回の内容をぜひ参考にしてください。

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執筆: Qbook編集部

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バルテス株式会社 Qbook編集部。 ソフトウェアテストや品質向上に関する記事を執筆しています。