ソフトウェア開発の現場では、実務経験を通してテストの知識やスキルを身につけることが珍しくありません。そのため、テストについて体系的に学ぶ機会は限られており、結果として経験や勘に頼った属人的なテストが行われるケースも多いのではないでしょうか。
その結果、テストの品質が担当者によってばらついたり、バグの見落としや不具合対応の遅延につながるなど、開発全体の効率や信頼性に悪影響を及ぼすケースも見られます。
こうした課題を解決する有力な手段が「ソフトウェアテスト研修」です。本稿では、ソフトウェアテスト研修の概要からメリット、研修を選ぶ際のポイント、おすすめの研修サービスまで詳しく解説します。
自社のエンジニアを育成したい方はもちろん、自身のスキルアップにつなげたい方も、ぜひ参考にしてください。
- もくじ
1. ソフトウェアテスト研修とは
ソフトウェアテスト研修とは、ソフトウェア開発に欠かせないテストの知識やスキルを体系的に学べる教育プログラムです。あらかじめ用意されたカリキュラムに沿って講義を受けたり、実践演習を通してスキルを磨いたりします。
受講形式は、講師が企業に赴くもの、指定の会場で受講するもの、オンライン形式などがあります。現場で経験的に学ぶのとは異なり、基礎から応用まで体系的に知識とスキルを習得できるのが特徴です。
なお、企業の従業員が講師となって自社で実施する「社内研修」もありますが、準備や実施に多くの時間や人件費がかかります。そのため、本記事では教育機関やサービスが提供する「外部研修」に焦点を当てて解説します。
2. ソフトウェアテスト研修を通して学べること
ソフトウェアテスト研修では、幅広い知識やスキルについて学べます。ソフトウェアテスト研修を通して学べることは、主に次の4つです。
2-1. 品質やテストの基礎知識
テスト未経験者や初心者向けの研修では、品質やテストの基本から学べます。ソフトウェアの品質とは何か、テストとは何か、どのような種類や役割があるのか、といった前提から学習可能です。品質保証やテストの全体像をつかむことで、より深い学習につなげられます。
2-2. テストプロセスの体系的理解
ソフトウェアテストでは、計画から分析、設計、実装、実行、フィードバックまで、多くのプロセスを段階的に進めていきます。ソフトウェアテスト研修を通して、こうしたテストプロセス全体の体系的な理解が深まるでしょう。各プロセスの目的や手順、成果物などを整理しながら学習でき、実務でどのように進めればよいかが分かるようになります。
また、体系的に学ぶことで受講者の理解を標準化でき、個人の勘や経験に依存せずに済むメリットもあります。誰が担当しても一定水準の品質を保ちやすくなり、プロジェクト全体の効率性と信頼性の向上につながります。
2-3. テスト技法の知識や活用スキル
ソフトウェアテスト研修では、さまざまなテスト技法の知識や活用スキルを学べます。テスト技法とは、テストケースの作成を効率化するためのテクニックのことです。テストの生産性に直結するため、大半の研修カリキュラムに組み込まれています。各テスト技法の特徴や使いどころを整理し、実務でどのように活用すればよいかを理解できます。
2-4. テスト設計や実行における実践スキル
学んだテストの知識を実務で活かすためには、実践スキルの習得が欠かせません。多くの研修では実践演習が組み込まれており、テスト設計や実行を実際に経験しながらスキルを養えます。手を動かして取り組むことで理解が深まり、現場で応用できる力が身につくでしょう。
3. ソフトウェアテスト研修のメリット
ソフトウェアテスト研修は、企業やチーム、個人にとってメリットの大きい施策です。ここでは、研修を受けることで得られる具体的なメリットを3つ紹介します。
3-1. 品質意識を高め、ソフトウェア品質を向上できる
ソフトウェアテスト研修を受講すると、品質への意識が高まり、ソフトウェアの品質向上につながります。研修を通してテストの重要性を改めて理解でき、テストやレビューで押さえるべき品質のチェックポイントも把握できます。結果として、品質保証活動全体が活性化し、品質問題を見逃すリスクが減るでしょう。また、設計者やプログラマーが研修を受講すれば、品質問題を混入させない意識が高まり、成果物の品質向上が期待できます。
3-2. 不具合削減による開発コストの削減につながる
ソフトウェアテスト研修を受講することで、不具合削減による開発コストの削減が期待できます。研修を通して品質意識が高まることで不具合の混入が抑制されるうえに、混入したとしてもレビューやテストの段階で確実に検出しやすくなります。 結果として、不具合発覚の遅れによる修正コスト増加を防ぐことが可能です。
3-3. 新人教育・スキルアップに活用できる
ソフトウェアテスト研修は、新人教育やスキルアップにも役立ちます。テスト担当者としての方向性が定まっていない新入社員が受講すれば、ソフトウェア開発の全体像を理解するうえで助けになります。また、テスト経験の少ない中堅社員が受講すれば、テスト業務へのスキル拡大を図ることが可能です。人材育成や戦力強化、キャリア形成など、企業やチーム、個人の目的に合わせて研修サービスを活用すると良いでしょう。
3-4. 組織全体で認識を統一できる
同じ研修を社内のメンバー全員で受講することで、用語や考え方、品質に対する認識を統一できます。その結果、プロジェクトごとに異なるやり方や判断基準に悩まされることが減り、チーム間でのコミュニケーションも円滑になるでしょう。共通の土台があることで協働しやすくなり、組織全体としてのテスト力や品質保証体制の強化につながります。
4. ソフトウェアテスト研修を選ぶ際のポイント
さまざまな企業がソフトウェアテスト研修を提供しています。数あるソフトウェアテスト研修の中から、どれを選ぶべきかは悩ましいところです。ソフトウェアテスト研修を選ぶ際の4ポイントを押さえておきましょう。
4-1. カリキュラム
カリキュラムの内容は、研修を選ぶ際の重要なポイントです。習得したい知識やスキルが含まれていなければ、受講の目的を果たせません。
まずは、各メンバーのスキルセットを整理し、何が足りないか課題を明確にしてください。それを踏まえて、課題を解決できるカリキュラムの有無を確認することが大切です。
座学で知識を得るだけでなく、実践演習を通して理解を深められるかどうかもチェックしましょう。実践演習が充実していれば、知識の定着に加えて現場での応用力も養えます。
4-2. 受講形式
ソフトウェアテスト研修の受講形式には、主に講師派遣型、公開講座型、オンラインの3種類があります。それぞれのメリット・デメリットを把握しておきましょう。
| 受講形式 | 概要 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| オンサイト (講師派遣型) |
企業内に講師を招いて実施 | ・従業員の負担が少ない ・企業に合わせたカスタマイズがしやすい |
・講師の派遣費用が発生 ・研修場所の確保が必要 |
| オンサイト (公開講座型) |
サービス指定の会場で受講 | ・費用を抑えやすい ・他社の受講者と交流できる |
・従業員の負担が大きい ・企業ごとのカスタマイズはしづらい |
| オンライン | インターネットを介して受講 | ・時間や場所の制約が少ない ・個人でも学びやすい |
・講師のサポートが限定的 ・手厚い実践演習は難しい |
メリット・デメリットを天秤にかけつつ、企業やチーム、個人の内情と照らして研修サービスを選ぶことが大切です。
4-3. 受講期間
受講期間は、研修サービスやコースによってさまざまです。1~2日程度で集中的に学ぶコースもあれば、数週間かけて段階的に学習を進めるコースもあります。1日あたりの学習時間や学習範囲も異なるため、長い方がよい・短い方がよいとは一概に言えません。確保できる時間や期間、業務の都合などを踏まえて選ぶことが大切です。
4-4. 受講費用
受講費用も、研修サービスやコースによって大きく異なります。学習範囲やサポート範囲が広く、講義の品質が高いものほど、受講費用も高額になりやすい傾向です。予算に合わせて選ぶことはもちろん、期待される費用対効果も見積っておきましょう。たとえ費用が高めでも、それに見合う学習効果が得られるのであれば十分に投資価値があるでしょう。
5. おすすめソフトウェアテスト研修
ソフトウェアテスト研修を探している方には、バルテス・ホールディングス株式会社が提供する品質教育サービス「バルカレ」のテーマ別セミナーが有力な選択肢の1つとなります。バルカレは、テスト専門企業として蓄積された知見を体系化し、実務に直結する学習を可能にしたサービスです。
バルテス・ホールディングス株式会社の品質教育サービスでは、企業やチームが学べる講座(講師派遣/公開講座)に加え、個人でも学べるeラーニングも提供しています。企業やチーム、個人の目的に合わせてソフトウェアの品質やテストを学びたい場合は、ぜひご活用ください。
6. まとめ
ソフトウェアテスト研修は、属人的になりがちなテストを体系的に学び、品質意識の向上や不具合削減につなげられる有効な手段です。カリキュラムや受講形式、受講期間、受講費用などを比較し、目的や状況に合った研修を選ぶことが大切です。
ソフトウェアテスト研修の利用を検討している方は、今回の内容をぜひ参考にしてください。






