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隣のQAに聞く 2024.06.25
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「QA&テストの技術でソフトウエア産業を救いたい!」 株式会社ビズリーチ(Visionalグループ)山本 久仁朗 氏

執筆: Qbook編集部

ライター

「QA&テストの技術でソフトウエア産業を救いたい!」 株式会社ビズリーチ(Visionalグループ)山本 久仁朗 氏

今、さまざまな現場でQA業務に携わっている方々の「声」をお届けする『隣のQAに聞く!』。QA・品質向上の重要性がますます増している中、他のチームでは、どのようにQA業務が行われているか、気になっているエンジニアの方も多いと思います。本記事では、その取り組みや「心意気」などを伺い、皆さまにお伝えします。今回は、全2回にわたって、株式会社ビズリーチ(Visionalグループ) QA基盤推進室の山本 久仁朗 (やまもと くにお)さんにお話をいただきます。

今回インタビューを受けてくださった方

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山本 久仁朗 (やまもと くにお)氏

株式会社ビズリーチ(Visionalグループ) QA基盤推進室

株式会社ビズリーチ(Visionalグループ)所属。2018年10月より同社QAチームに参画。QA基盤推進室の6つのグループのマネージャーを兼務して、現場を統括。各事業部に寄り添う活動と、横断的なテスト・QAの教育・育成・啓蒙活動を牽引。
社外活動としては以下の通り。
・2008年から2010年まで、WACATE(若手テストエンジニア向けワークショップ)実行委員として活動
・全国の JaSST 等において、「キャリア」「ゲームテスト設計」「Web QA」をテーマに登壇
Twitter: https://twitter.com/gen519

もくじ
  1. 「QA」が人に喜ばれる仕事だと実感して"QA一辺倒"の道を選ぶ
  2. 「Visionalグループ」で展開されているQA業務の例
  3. 「のびしろ」を捉えて、ソフトウエア業界全体が加速しやすい状況へ

1.「QA」が人に喜ばれる仕事だと実感して"QA一辺倒"の道を選ぶ

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―― はじめに、これまでのご経歴を教えてください。

山本氏:平成元(1989)年から、さまざまなところで仕事をしています。最初はSIerで、製鉄所のシステムや物流配送システムなどを組んでいました。

ターニングポイントのひとつは、1998年ごろ、コンパック(Compaq)というコンピュータ会社からサーバー構築ソフトの検証依頼があって、そこに私がアサインされ、アメリカに半年ぐらい出張したことです。

それまで、テストは新人SEの仕事で、逆に、最後の総合テストは熟練した人の仕事といったイメージを持っていました。ところが、アメリカに行ってみると、デベロップマネージャーとQAマネージャーが対等に議論しあっていたのです。「QAって、こんなことまでできるんだな」と思い、大きく印象が変わりました。

もうひとつのターニングポイントは、ソニーに技術派遣に行ったことです。ちょうど『VAIO』が立ち上がり、互換性検証などをやりはじめた時期でした。開発の人たちに「バグを見つけてくれてありがとう」っていってもらえました。自分がいるSIerだったら行程が遅れてしまうことに対して叱られてもおかしくない場面です(笑)。ところが「この問題がお客様のところで見つからなくて良かった」と喜んでくれたのです。

このとき、QAは人に喜ばれる仕事だと実感でき、QAとして目指す姿が見えてきました。そして、そこから20年ほど、ずっとQA一辺倒でやってきています。

―― 「2000年問題(Y2K問題:Year 2000 Problem)」などでQAにも注目が集まりはじめた時期ですね。

山本氏:そうでしたね。「2000年問題」は、当時、下火だったCOBOLの技術者が探されるといった話題もあり、品質保証という意味でQAが注目されたきっかけだったと思います。テスト業務としてのQAが注目されたのはその後の「携帯バブル」のときかもしれません。

そのころは、まだテストに関する情報があまりなく、雑誌も本も少なかったですね。『ソフトウエア・テストPRESS』(技術評論社)という技術専門誌がありましたが、おそらく、テスト人口が急に増えた時期と刊行が重なっていると思います。そういう流れを経て、QAやテストが業務として脚光を浴びようになってきたと感じています。

―― まさに、日本のQAの歴史をずっと見てこられたという感覚でしょうか?

山本氏:本当のQAの歴史でいいますと、日立製作所のシステムSEの方々が、1960年代から品質保証に取り組まれてきたのが最初だと思います。奈良隆正氏をはじめ、多くの有名な方々が在籍されていました。それ以前には、菅野文友氏といった方々が品質保証の礎を作られています。そういったことからすると、私が辿ってきた道はWeb業界でのテストと品質保証に関してだと思っています。

―― 若いエンジニアの方と話すと、テストを嫌がる人がわりと多い印象を受けるのですが、山本さんの場合は自然に「QA一辺倒」となっていかれたのですね。

山本氏:私は、パズルを解くのがけっこう好きです。言い替えると「ロジックの穴」を見つけるのが好きということになります。開発をしていた頃も、テストやレビューで、そういったポイントを見つけては会社の先輩に喜ばれていました。

それで、テストやQAをして不具合を見つけて、意外と人に喜んでもらったり、前向きなフィードバックをいただいたりするうちに、自然に「QAをやっていこう」と感じられたのだと思っています。

―― 続けていくうちに、さらにQAに魅力を感じられたことはありますか?

山本氏:はじめのうちは狭い意味でのQAといいますか、いわゆる最終工程のテストに近い状態でのQAをしていましたが、やっていくうちに、いかに不具合を出さないようにするかという、根本原因の改善を考えるようになっていました。広義でのQAというか、TQM(Total Quality Management)に近い考え方で、プロジェクト全体、場合によって組織全体で品質を考えるようになって、一気にスコープが広がったように感じています。

そのとき、お客様に届けるモノ、サービスの価値を高めるためだったら、何をやってもいいんじゃないかと思えるようになって、QAに対するモチベーションがさらに上がりましたね。

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執筆: Qbook編集部

ライター

バルテス株式会社 Qbook編集部。 ソフトウェアテストや品質向上に関する記事を執筆しています。