スクラムマスターは、ソフトウェアを開発するアジャイル開発のフレームワークの一つである「スクラム」の進行役を務める、重要なポジションです。一般的には資格がなくても担当することができる役割ですが、よりスキルアップを目指すなら資格取得をおすすめします。
そこで今回は、スクラムマスターの代表的な資格制度を3つご紹介致します。スクラムマスターの資格を取るメリットや勉強方法なども解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
スクラムマスターについては、以下の関連記事をご参照ください。
- もくじ
1.スクラムマスターの資格を取得する3つのメリット
冒頭でもお伝えしたように、スクラムマスターを務めるのに資格取得は必須ではありません。
しかし、資格を取得するメリットはたくさんあります。それぞれ解説していきます。
スクラム自体への理解が深まる
スクラムマスターの資格取得を目指すことで、スクラム自体への理解がより深まります。スクラムマスターの役割の一つとして、「チームや組織にスクラムを広める」というものがあるので、スクラムの原理原則や正しいフレームワークを知ることはとても重要です。
知識やスキルを身に付けることができる
資格取得に向けた勉強・研修では、スクラムマスターについて総合的に知識を深めることができるので、自分に必要なスキルが分かるようになります。自分に足りない部分を補えるので、スキルアップにつながります。
自信をもって役割を果たすことができる
資格を取得することで、自信をもって役割を果たすことができるようになります。また他者からの信頼感も増し、チームや組織にとっても安心して任せられる存在となるでしょう。
2.スクラムマスターの代表的な3つの認定資格
スクラムマスターの代表的な認定資格は以下の3つです。
- 認定スクラムマスター(Certified ScrumMaster®:CMS®)
- プロフェッショナルスクラムマスター(Professional Scrum Master™:PSM)
- 認定スクラムマスター(Registered Scrum Master™:RSM※旧LSM)
それぞれ、費用や難易度、講義内容について見ていきましょう。
認定スクラムマスター(Certified ScrumMaster®:CMS®)
試験概要
認定資格を取得するには講義形式とグループワーク形式を交えた研修(対面orオンライン)の受講が必須。資格合格には、研修に取り組む姿勢も加味されます。日本語に対応したセミナーもあります。
受験費用
350〜500ドル(英語セミナー)、約16〜45万円(日本語セミナー)セミナー終了後90日以内であれば、2回まで無料の認定スクラムマスターの試験を受けられます。90日以上が経過している、または2回の受験に失敗した場合は、再テストに1回25ドルの費用がかかります。
試験時間・合格ライン
60分(オンライン) テストの中断はできませんが、問題の一部をブックマークして後から答えるといった方法は選べます。50問中37問以上の正答で合格。
認定資格の有効期限
2年
公式サイト
CMS®は、Certified ScrumMaster®の略で、Scrum Alliance®が提供する「認定スクラムマスター」と呼ばれる資格です。
講義内では、以下のようなことを学ぶことができます。
- スクラム促進のコーチング
- チームが集中して仕事に取り組めるための障害の除去
- チームやチーム外のメンバーとの良好な関係のためのコミュニケーションスキル
- 環境設定
- プロダクトオーナーのサポート等
世界20カ国以上でビジネスに携わってきたJoe Justice氏がトレーナーを務めます。
既にスクラムマスターとして活躍されている人や、これからスクラムマスターとしてキャリアをと考えている人だけではなく、スクラムを導入したい人やチームのマネージャーにも役立つ講義となっています。
プロフェッショナルスクラムマスター/Professional Scrum Master™(PSM)
試験概要
コースの最後にはPSM認定試験が用意されています。試験だけ受けることも可能なので既にスクラムマスターとして活躍しており、知識・経験共に自信がある人は講義を受けずに試験だけ受けましょう。言語は英語のみでGoogle 翻訳の使用が可能です。
受験費用
150ドル(PSM I)・250ドル(PSM II)・500ドル(PSM III)※セミナー費用別途
試験時間・合格ライン
60分(オンライン)。全80問中85%以上の正答で合格。
認定資格の有効期限
期限なし
公式サイト
PSMとは、Professional Scrum Master™の略で、Scrum.orgが提供するプロフェッショナルスクラムマスター認定資格です。
レベルはI~Ⅲまで用意され、Iがもっとも難易度が低く、ガイド記載の内容と応用を取り扱います。
Scrum.orgによって開発されたコースでは、Introductions、理論と第一原則、スクラムフレームワーク等、ユニットを8つに分類して講義が進みます。
- スクラムチームが組織に価値を提供できるようになること
- スクラムと敬虔主義の理論や重要性を理解すること、計画立案方法を知ること
など、主に「理解」が学習目標となっています。
演習中心の講義で、ディスカッションと演習を組み合わせることでより深い理解をテーマにした講義です。
認定スクラムマスター(Registered Scrum Master™:RSM※旧LSM)
試験概要
RSMの講義内容は、2日間のオンラインコースです。体験型ワークショップ、スクラムチーム構成、エクササイズ、ゲーム等、幅広い施策が用意されています。
試験は日本語で受けることができ、ガイドや資料を閲覧しながら解答できます。
受験費用
22万円(2日間のセミナー・試験含める)
試験時間・合格ライン
制限なし(オンライン) ※コースを受けて30日以内に試験を受けることが必須。全30問中75%以上の正答で合格
認定資格の有効期限
1年間
公式サイト
スクラムの共同考案者である、ジェフ・サザーランド博士によって作られました。(2022年7月にLicensed Scrum Master™から、現在のRegistered Scrum Master™へ名称が変更されています。)
スクラムの開発者でもある博士の洞察力・戦略を得ることができる講義です。企業向け、認定資格セミナー等、幅広いプランが用意されている点も特徴で、資格取得だけではなく、スキルアップ等、ニーズに合わせたコースを受講し、以下の内容が身につきます。
- チームをリードするためのスキル
- 集中、勇気、尊敬といったスクラムの価値の理解
- アジャイルプロフェッショナルたちとのネットワーク構築
スクラム経験の有無に関係なく誰でも受講することができるコースであるため、既にスクラムマスターとして活躍している方だけではなく、スクラムマスターに興味のある方の受講も可能です。
3.スクラムマスターの勉強方法
スクラムマスターの勉強方法は主に3通りです。方法は人によって向き不向きがあるので、一番自分に合った、身になる方法で知識を深めていきましょう。
- セミナーを受ける
一人で自発的に勉強するのが不安な方は、講義・セミナーを受講しましょう。専門家から覚えるべきポイントを教えてもらえるので、効率よくスクラムマスターの勉強をすることができます。
- 演習問題に取り組む
資格認定制度によっては演習問題を提供している場合もあります。実際に問題を解いてみて、自分に足りていない知識等を把握しましょう。
- 参考書を買う
自分でコツコツ勉強したい方は、参考書をもとに勉強をしましょう。
まとめ
スクラムマスターとしてスキルアップを目指すのであれば、資格取得は分かりやすい目標となるだけでなく、周囲への説得力にも繋がります。
主な資格試験には以下の3つの種類があります。
- 認定スクラムマスター(Certified ScrumMaster®:CMS®)
- プロフェッショナルスクラムマスター(Professional Scrum Master™:PSM)
- 認定スクラムマスター(Registered Scrum Master™:RSM※旧LSM)
スクラムマスターは決して自分自身だけではなく、チームや組織がどうあるべきかを考え導いてあげることが重要です。そのためにも資格取得を通して、スクラムマスターとしての知識や理解を深めていきましょう。