モバイルアプリ開発の効率を高めるうえではフレームワークが欠かせません。しかし、モバイルアプリ開発のフレームワークは種類が多く、どれを選ぶべきか決めかねている人も多いのではないでしょうか。
本記事では、モバイルアプリ開発におすすめのフレームワークを4つ紹介します。モバイルアプリ開発にフレームワークを活用するメリットや、成功のポイントもお伝えするため、ぜひ参考にしてください。
- もくじ
1.モバイルアプリ開発のフレームワークに関する基礎知識
フレームワークは、モバイルアプリ開発に限った言葉ではありません。まずは、フレームワークの基本からお伝えします。
1-1 フレームワークとは
フレームワークとは、ソフトウェア開発を効率化するための枠組みのことです。汎用性の高い機能が集約されており、ソフトウェアの土台づくりを支援してくれます。開発者は、フレームワークの要所に実装を加えることで、独自のプロダクトを開発できます。
Webアプリ向けやパソコンアプリ向けなど、フレームワークによって対象ソフトウェアはさまざまです。「モバイルアプリ開発のフレームワーク」の場合は、モバイルアプリに必要な機能を搭載したフレームワークを指します。たとえば、カメラや地図といったモバイル端末の固有機能を、モバイルアプリから使うための仕組みを与えてくれます。
1-2 フレームワークによって使える開発言語は異なる
ソフトウェア開発に使われるプログラミング言語はさまざまです。フレームワークを選ぶ際には、どの開発言語に対応しているかを必ず確認しましょう。フレームワークで使える開発言語は、それ自体の開発に使われたプログラミング言語に依存します。
基本的には開発された言語と同じ、または互換性の高い言語しか使えません。たとえば、ブラウザ上で動作する「JavaScript」で開発されたフレームワークをソフトウェア開発に用いる場合、JavaScriptのスキルが必要となります。そのため、開発チームが採用しているプログラミング言語にあわせてフレームワークを選ぶことが大切です。
2.モバイルアプリ開発でフレームワークを活用するメリット
モバイルアプリ開発でフレームワークを活用するメリットは、主に次の3つです。特に1つ目は、モバイルアプリ開発ならではのメリットといえます。
- クロスプラットフォーム開発が容易に行える
- 開発の工数を削減できる
- 人的ミスを抑制できる
2-1 クロスプラットフォーム開発が容易に行える
モバイルアプリ開発における大きなメリットは、「クロスプラットフォーム開発」が容易に行えることです。クロスプラットフォーム開発とは、異なるOSや環境に対応したソフトウェアを開発することを指します。
通常、iOS・Androidのそれぞれに対応したモバイルアプリを開発する場合、両者を独立的に扱わなければなりません。その点、クロスプラットフォーム開発に対応したフレームワークであれば、iOSアプリ・Androidアプリのソースコードを共通化できます。
各OSに固有の機能を除き、開発の大部分を1つのソースコードで行えるため、クロスプラットフォームの開発が容易となるのです。
2-2 開発の工数を削減できる
iOSアプリ・Androidアプリのそれぞれを独立的に開発すれば、ソースコードの記述量とともに開発工数も増大します。その点、モバイルアプリ開発のフレームワークを活用すれば実装作業の大部分を共通化でき、記述量はもちろん開発工数の削減が可能です。
また人気のフレームワークでは、文法が比較的シンプルな開発言語を採用しているケースが多くあります。こうしたフレームワークを選定すればスムーズな実装が可能となり、より工数削減を図れるでしょう。
2-3 人的ミスを抑制できる
熟練した開発者であっても、多くのソースコードを記述するうえで人的ミスを完全に防ぐことは難しいです。その点、フレームワークを活用すればソースコードの記述量が減り、人的ミスの抑制が期待できます。人気のフレームワークであれば多くの利用実績があるため、信頼性も高いでしょう。
また昨今では、開発ツールとしての機能を併せ持つフレームワークが主流となっています。たとえば、アプリ画面の視覚的な編集や、デバッグ実行による動作確認などが可能です。手作業が必要なプロセスを減らせることも、人的ミスの防止につながります。
3.モバイルアプリ開発のフレームワークおすすめ4選
モバイルアプリ開発のフレームワークには多くの種類があり、どれを選ぶかが重要です。ここでは、モバイルアプリ開発で人気が高いおすすめのフレームワークを4つ紹介します。いずれもクロスプラットフォーム開発に対応しているものです。
3-1 Apache Cordova
引用元:Apache Cordova
「Apache Cordova」は、Nitobi社(現Adobe社によって買収)が生み出したクロスプラットフォーム開発対応のフレームワークです。Web開発の標準言語であるJavaScriptや「HTML/CSS」を用いてモバイルアプリを開発できます。
独自のプラグインを用いて、モバイルOSのさまざまなネイティブ機能にアクセス可能です。開発自体はWeb技術があれば行えるため、Web開発のノウハウを持つ開発チームであれば、比較的スムーズに導入できるでしょう。
また、前述したVisual Studioやクラウド型の「Monaca」に対応しており、開発環境の選択肢が多いのも強みです。
3-2 Flutter
引用元:Flutter
「Flutter」は、Google社が生み出したクロスプラットフォーム開発対応のフレームワークです。モバイルアプリに加えて、Webアプリやパソコンアプリなど幅広く開発できます。特徴として、画面を構成するUI部品(ボタンなど)に、独自の「マテリアルデザイン」を採用しています。
マテリアルデザインは、同社が推奨している直感的な理解・操作が可能なデザインのことです。各OSでUI部品が共通化されているため、モバイルに限らずさまざまなデバイス・OSの画面に対応できます。
開発言語は「Dart」と呼ばれる同社の独自言語です。マイナーな言語ですが、人気の高いJavaScriptの設計が参考になっているため比較的扱いやすいでしょう。
3-3 .NET MAUI
引用元:.NET MAUI
「.NET MAUI」は、Microsoft社が生み出したクロスプラットフォーム開発対応のフレームワークです。従来の名称は「Xamarin」でしたが、同製品のサポート終了(2024年5月1日)にともない.NET MAUIが後継製品となります。
iOS・Androidのモバイルアプリに加えて、Windows・macOSのパソコンアプリも開発可能です。各OSのUI部品が共通化されたFlutterとは異なり、UI部品は各OSに合わせたものになる特徴があります。
同社が提供する開発環境「Visual Studio」で利用できるため、Visual Studioの利用経験がある場合は使いやすいでしょう。開発言語は、Windowsアプリのスタンダードな開発言語である「C#」です。
3-4 React Native
引用元:React Native
「React Native」は、旧Facebook社(現Meta社)が生み出したJavaScriptフレームワークです。公式ではライブラリ(部品としてコードに流用できるプログラム)とされていますが、広範な機能が集約されておりフレームワークに近い位置付けといえます。
一般的に、iOSアプリ開発には「Swift」、Androidアプリ開発には「Java」や「Kotlin」といった異なる言語が使われます。しかしReact Nativeであれば、Web開発で使われるJavaScriptを用いてiOSアプリ・Androidアプリの両方を開発可能です。Web開発の下地があり、モバイルアプリ開発を始めたいと考えている開発チームに向いています。
4.モバイルアプリ開発を成功させるポイント
フレームワークを導入したとしても、ポイントを押さえなければモバイルアプリ開発の成功にはつながりません。ここでは、モバイルアプリ開発成功のポイントを紹介します。
4-1 開発リソースに余裕を持たせる
ビジネスとしてモバイルアプリを開発する場合、開発リソースに余裕を持たせることが理想です。インストールを必要とするモバイルアプリは、Webアプリと比べて頻繁なアップデートがしにくいでしょう。限られたタイミングで高品質なアップデートを確実に行うために、多くの人員を短期間に集中して投入せざるを得ないケースもあります。
また、モバイルアプリの開発は実機テストも必要になるため、十分な試験端末を確保しなければなりません。人員や試験端末が不足し、モバイルアプリ開発に支障が生じないようにしましょう。
4-2 不安があればプロの開発会社に依頼する
モバイルアプリ開発のハードルは決して低くありません。不安があれば、プロに開発や検証を依頼することも考えましょう。
ソフトウェア開発のプロを擁するバルテス・モバイルテクノロジーでは、モバイルアプリ開発サービスを提供しています。Flutterなどを用いたクロスプラットフォーム開発により、短期間でiOS・Android両対応のモバイルアプリ開発が可能です。モバイルアプリ開発を成功させたい場合は、お気軽にお問い合わせください。
またバルテスでは、第三者の目線でソフトウェアを検証する「第三者検証サービス」を提供しています。モバイルアプリ開発の高負荷なテストにお悩みであれば、こちらもぜひご利用ください。
まとめ:フレームワークを活用して効率的なモバイルアプリ開発を
モバイルアプリ開発におけるフレームワークとは、ソフトウェアの土台づくりを支援してくれる枠組みのことです。汎用性の高い機能が集約されており、開発の工数削減や人的ミスの抑制につながります。また、iOS・Androidの両方に対応したモバイルアプリを開発できるのもメリットです。
モバイルアプリ開発には、Apache CordovaやFlutter、.NET MAUI、React Nativeなど多くのフレームワークがあります。これらを正しく活用できれば、開発効率の向上につながるでしょう。モバイルアプリ開発を実施する際には、本記事の内容をぜひ参考にしてください。