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ITニュース・ITトレンド 2024.01.18
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【2024年最新】IT、ICTのトレンドキーワードは今後どうなる? 報道等から勝手に予測してみる

執筆: 大木 晴一郎

ライター

【2024年最新】IT、ICTのトレンドキーワードは今後どうなる? 報道等から勝手に予測してみる

2024年は、日本が歴史上初めて50歳以上の人口が5割を超える「2024年問題」を迎える年です。この問題をクリアする鍵はIT、ICT技術の活用による生産性の向上であるといわれています。このほか、日本では大規模な通信インフラの切り替えが予定されています。

そのため、これらに関するキーワードが話題になりそうです。これらを踏まえて、Qbookでは2024年のIT、ICTのトレンドキーワードを勝手に予測してみたいと思います。

もくじ
  1. 「2023年」はどんな年だったか?
  2. 「2024年」にトレンドになりそうなキーワードは? 
    1. 「2024年問題」とは?
    2. 「国産AI」と「生成AI」が熱い年に?
    3. 「国産クラウド」と「ガバメントクラウド」は相思相愛!?
    4. 「RPA」の普及に拍車がかかる?
    5. 「ロボット」が人を助ける世の中へ
    6. 「ドローン」の活用が進む
    7. 「セキュリティ」がさらに注目される
    8. 「エンドポイント」処理が進化する
    9. 完全な「5G」時代がやってくる!?
  3. 以前に予測したキーワードの「好不調」は?
    1. 「AI人材」不足、「データサイエンティスト」不足はどうなったか?
    2. 「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の進捗状況は?
    3. 「量子コンピュータ」の進化は?
  4. 2024年に、検索されそうなキーワードは?
    1. 「AI拡張型開発(AI拡張型ソフトウェアエンジニアリング)」の普及
    2. 「説明可能なAI(Explainable AI)」と「AIの信頼性(AI TRiSM)」
    3. 「OpenAI」と「Microsoft」のパートナーシップの展開
    4. 「Bard」「Gemini」はどんなインパクトを与える?
    5. 「NFT」技術と利用の広がり
    6. 「6G」に関する話題が増えそう
    7. 「バイオテクノロジー」とITの融合が進む
    8. 「ディープフェイク」と「フェイクニュース」の脅威
    9. 「エシカルハッキング」と「エシカルハッカー」が増える
  5. まとめ

1.「2023年」はどんな年だったか?

2023年を振り返ってみると、世界情勢が不透明な年でした。昨年から続くロシアとウクライナの問題は終わりが見えず、2023年10月にはイスラエルとハマスの紛争が発生、世界に影を落としました。国内に目を向けると、インフレに伴う物価の高騰が人々の生活を圧迫しました。10月からインボイス制度がスタートし、公益財団法人の日本漢字能力検定協会が発表した2023年の「今年の漢字」は「税」。何かと「お金」に関する話題が多い1年でした。

IT関係は、生成AIブームに明け暮れた1年だったといえるかもしれません。ソフトウェア、ハードウェアともにAIとの"絡み"で報じられ、論じられることが多かったように感じます。ハードウェアでは、量子コンピュータが話題となりました。

9月になり、岸田首相が新たな経済対策の5本柱を発表しました。その一つが、成長力につながる国内投資促進です。投資対象は半導体や蓄電池、バイオ関連等とされました。その後の発言等からも、半導体を日本産業の柱の一つとして育てようという意思が垣間見えたような気がします。

そして、インパクトがあったのが、イーロン・マスク氏が、SNS「Twitter」を「X」に改名し、Xをスーパーアプリ化すると宣言したことでした。

2.「2024年」にトレンドになりそうなキーワードは? 

2024年、日本は「動」の年になる可能性があります。2025年に大阪万博を控えていることや、いくつかの「2024年問題」、NTTのPSTN中継・信号交換機がIP網に置き換わるなど、これまでなかった変化があるためです。インフラの変化が世の中にどういった影響を及ぼすのか注目されています。そのため、基本的なキーワードが再注目される可能性もあると思われます。

2-1 「2024年問題」とは?

2024年はさまざまな分野で「節目」を迎える年になりそうです。日本は歴史上初めて50歳以上の人口が5割を超える国となると予測されています。また、NTT東日本・西日本はPSTN中継・信号交換機をIP網に置き換え、ISDNデジタル通信モードを終了させることから、EDI(電子商取引)が影響を受ける可能性が指摘されています(EDI2024年問題)。

また、物流業界でも、働き方改革法案によりドライバーの労働時間に上限が課されることで運送量等が減る「2024年問題」が予測されています。医療現場や建設業など、他のさまざまな分野で「2024年問題」が予測されています。

2-2 「国産AI」と「生成AI」が熱い年に?

国産AIとは、日本国内で開発されるAIのことです。しだいにAIが一般的に認知、利用されるようになってきたこともあり、日本の文化や習慣に合わせた「国産AI」の開発が進められてきたようです。富士通グループの「Zinrai」、NECグループの「the WISE」、日立グループの「Hitachi AI Technology/H」、NTTグループの「corevo」などがあり、2024年はこれらのAIをはじめとする、さまざまな国産AIが話題になりそうです。

日本国内で開発されたAIには、独自の特徴があると報じられています。例えば、富士通グループの「Zinrai」は、30年間継続してきたAI研究の成果、ナレッジを蓄積していることが特徴とされます。NTTグループの「corevo」は、音声認識技術では、世界1位の精度を誇ります。

2-3 「国産クラウド」と「ガバメントクラウド」は相思相愛!?

「国産クラウド」とは、日本国内で開発されるクラウドサービスのことです。現在、日本の文化や習慣に合わせたさまざまな国産クラウドサービスの開発が進められていると報じられています。

「ガバメントクラウド」は、政府の行政データを管理・共有するクラウドサービスのことで、日本の行政機関が国産クラウドを導入するメリットとしては、「安定的なサービス提供が受けられること」、「データを国内で管理できること」などがあげられます。国内企業が日本文化や習慣を理解した上で運用サポートなどを提供するのも心強く、障害などのトラブル発生時も、日本語によるサポートが受けられることから、両者はとても相性が良いと考えられます。

国内のクラウドサービスとしては、ソフトバンクの「ホワイトクラウド ASPIRE」、IIJの「GIO」、NTTコミュニケーションズの「Enterprise Cloud」、NECの「Cloud IaaS」などが話題に上っているようです。

2-4 「RPA」の普及に拍車がかかる?

「RPA」とは「Robotic Process Automation」の略称です。コンピュータで行っている作業を自動化できるソフトウェアロボット技術のことをいいます。RPAを導入することで業務・作業を自動化し、生産性向上が期待できます。

「2024年問題」が象徴するように、高齢化社会となり、人手不足も今後、より深刻な問題となっていく中、作業を自動化し、効率を向上させるRPA技術はさらに注目されるようになるでしょう。RPA市場は2024年までに2桁成長をするという予測もあります。今後、さらにRPAという言葉が一般的に使われるようになるでしょう。

2-5 「ロボット」が人を助ける世の中へ

ファミリーレストランの配膳をロボットが行うことが話題となりました。すかいらーくグループは、猫型配膳ロボットを導入し、全国2100店舗での大規模導入を完了したようです。清掃市場においてもロボットの導入が進んでいることが報じられています。ビルの警備をロボットが行っている事例も多く報じられました。深刻な人手不足が進む中、RPAと同じく、「猫の手」ならぬ「ロボの手」を借りる時代に入っているのかもしれません。

2-6 「ドローン」の活用が進む

すでに日本でも、ドローンは農業、建設、災害対応、物流、観光、映像制作など、さまざまな分野で活用されています。農業分野では、農薬散布や作物の状態を把握するための撮影などに利用されており、生産性の向上に貢献しているとされます。災害発生時には、被災地の状況を把握するための撮影や、物資の輸送などにも活用されるなどしてきました。

2024年には、ドローンの自律飛行技術が進化し、より高度な機能を持ったドローンが登場する可能性があります。また、ドローンの普及に伴い、ドローンの運用に関する法律や規制が整備される可能性も高いでしょう。ドローンの活用分野は少しずつ拡大していくでしょう。

2-7 「セキュリティ」がさらに注目される

2024年、日本のIT関連セキュリティにおいてどんな問題が発生するかは、具体的な予測が困難といってよいでしょう。確実に分かることは、IoTやAIといった技術の普及が進むにつれて、サイバー攻撃のリスクが高まるのは確実だということです。その意味で「セキュリティ」には引き続き高い関心が寄せられることになりそうです。

セキュリティ問題に対処するためには、企業や個人がセキュリティ対策に関する知識を持つことが大切です。「パスワードの強化」にはじまり「マルウェア対策」など、さまざまなセキュリティ対策に関する対策も進むと考えられます。

2-8 「エンドポイント」処理が進化する

「エンドポイント(Endpoint)」とは「終点、端点、末端」の意味の通りで、ネットワークに接続された情報を処理する端末やデバイスのことを指します。エンドポイントの例としては、大きくはパソコンやサーバーがありますが、さらにスマートフォンなどのモバイルデバイス、仮想マシン、組み込みデバイスなどもあります。さらに、スマートスピーカー等のIoTデバイスもエンドポイントです。スマート照明や冷蔵庫、IoT化されたセキュリティシステムなどもエンドポイントの一種です。終端の端子をエンドポイントということもあります。

利用者が操作する機器そのものであったり、利用者のすぐそばにあったりする物のため、エンドポイントの処理速度が上がると、ユーザー体験が向上することが期待できます。また、エンドポイントで無駄なデータを捨て、必要なデータだけがネットワークに送られるようにすることでシステム全体の負荷を下げることもできます。エンドポイントのセキュリティを高めることで全体の安全性を向上させることもできます。

このような理由により、SoCなどを活用して、エンドポイントのAI化、高度化、高速化がより進んでいくと予測されています。

2-9 完全な「5G」時代がやってくる!?

2024年には、日本での5Gの普及がさらに進むことが予想されます。総務省によると、令和4年度末で、全国の「5G人口カバー率」は96.6%です。「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」の整備目標を1年前倒しで達成しており、順調な流れだといえるでしょう。

しかし、まだ、「5G時代を実感できていない」と思っている人々も多いようです。2023年にもさまざまな携帯電話サービス網のトラブルが報じられましたが、2024年には、新型コロナウイルス感染症の影響で進行が遅くなっていた5G基地局の整備や強化が進むと予測されます。さらに、スマホの高度化、折り畳みスマホの登場による大画面化等もあり、日本では5Gに関する関心がこれまでより高まると考えられます。おそらく、キャリアやメーカーによる5G関連キャンペーンも増えるのではないでしょうか。

3.以前に予測したキーワードの「好不調」は?

3-1 「AI人材」不足、「データサイエンティスト」不足はどうなったか?

日本ではAI関連人材の不足、データサイエンティストが不足しているといえわれ続けています。2019年には経済産業省が「IT人材需給に関する調査」で、2030年に最大14.5万人ほどが不足すると予測していました。

データサイエンティストは、大量のデータを分析して、データからビジネス価値を見出すスキルを持つ専門家ですが、日本においては、データ分析を学べる教育機関が少なかったことから、育成の動きが見られています。2024年はデータサイエンティスト不足の解消に向けて、企業などがリスキリング関連制度などを活用して、AI人材、データサイエンティストの養成に動くケースが増えると見られています。

半面、多くの企業内でのデータサイエンティストの役割や定義が不明確という指摘もあり、関連領域での役割や分担等々の見直しも進みそうです。

3-2 「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の進捗状況は?

ある意味、鳴り物入りで進展してきたデジタルトランスフォーメーション(DX)に陰りが見えてきた......というと言いすぎでしょうか。独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が発表した「DX白書2023」のサブタイトルは『進み始めた「デジタル」、進まない「トランスフォーメーション」』だったのは象徴的なことかもしれません。

新型コロナウイルス感染症の広がりにより、さまざまなDXへの取り組みへの遅延が発生し、2023年にはその解消に向けた動きがありましたが、なかなか「進まない」という一面が見られているようです。2024年は、DXに関する取り組みが軌道修正され、さらなる展開を目指す年になりそうです。

3-3 「量子コンピュータ」の進化は?

量子コンピュータは、従来のコンピュータとは異なる仕組みで動作する「次世代コンピュータ」の一種です。量子コンピュータは、量子力学の原理を利用して、膨大なデータを高速かつ効率的に処理することができます。

日本は量子コンピュータの開発に力を入れています。経済産業省は、2018年度に「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発事業」を立ち上げ、積極的な取り組みを進めています。2023年には、理化学研究所の国産量子コンピュータ初号機「叡(えい)」が稼働を開始し、話題となりました。2024年はこのような成果がさまざまな形で報じられるなどして、話題になりそうです。

4.2024年に、検索されそうなキーワードは?

アメリカのガートナーは、2023年8月に発表した「2023 Hype Cycle for Emerging Technologies」で生成AI(ジェネレーティブAI)が「過度な期待」のピーク期にあると指摘しました。しかしながら、加熱する流れは2024年も続きそうです。AIに関する話題、そして、これを動かす半導体、量子コンピュータについては、ホットな状況が継続するとみられます。

4-1 「AI拡張型開発(AI拡張型ソフトウェアエンジニアリング)」の普及

AI拡張型開発は、人工知能(AI)がアプリケーションの設計、コーディング、テストを支援する開発手法です。開発者の生産性を爆発的に高め、効率を上げる開発手法として注目されています。同時に、エンジニア不足(人手不足)問題を解消する開発手法としても期待されています。

4-2 「説明可能なAI(Explainable AI)」と「AIの信頼性(AI TRiSM)」

説明可能AI(XAI:Explainable AI)とは、AIの判断や予測に関するプロセスやアルゴリズムを人間にも分かるように説明するAIのことです。例えば、AIが「鳥」の画像認識をしたとします。

どうやって「鳥」だと見分けたか、というプロセスを説明可能AI(XAI)なら、「羽」「くちばし」「足」が特定の「鳥」の画像の特徴と一致したから判断した、という判断基準を示すことができ、人間はそれを確認することができます。

AIがブラックボックス化してしまうと、それが「正しい」のか「正しくないのか」、結果として正解でも適切なプロセスを経ていなければ、AIの出した回答を信頼することができません。AIが人間とより共存していくためにはAIの信頼性(AI TRiSM)が重要になってきます。その意味で、XAIへの期待は大きなものがあります。

ちなみに「AI TRiSM」とは、「AI(人工知能)」「Trust(信頼性)」「Risk(リスク)」「Security Management(セキュリティ管理)」の頭文字を取った造語です。

4-3 「OpenAI」と「Microsoft」のパートナーシップの展開

2023年、AI分野でOpenAIとMicrosoftは一気に攻勢に出た感があります。2024年もこの勢いは続くでしょう。

OpenAIには、「ChatGPT」や「DALL・E」「Whisper」以外にも、人間の指の動きを模倣したロボットアーム「Dactyl」、画像とテキストを関連付ける「CLIP」等もあり、Microsoftとのパートナーシップで、さらに新たな動きを見せるのではないでしょうか。

MicrosoftはOpenAIのパートナーとして、「Copilot」をはじめ、「Bing」、クラウドベースのAIプラットフォーム「Azure AI」等の提供を開始するなど、さまざまなAIサービスの開始をアナウンスしています。これらの新サービスが2024年にどれほどの広がりと成果を見せるか注目を集めています。

4-4 「Bard」「Gemini」はどんなインパクトを与える?

Googleは、2023年12月にマルチモーダル推論機能を備える新生成AIモデル「Gemini」を発表しました。Geminiには、Ultra、Pro、Nanoの3サイズが用意されていて、このうち「Gemini Pro」が既存の対話型AI「Bard」に搭載されます。OpenAIの「ChatGPT」やそれをベースにしたMicrosoft「Bing」「Copilot」と比較が行われるケースが増えそうです。

Google Bardはテキストとコードの膨大なデータセットで訓練されていて、プログラミングのコード生成などのタスクに優れているとされていますが、まだ開発中であり、BardはGoogleの検索エンジンと連携していることなどから、今後、どのように進化していくか注目されています。

4-5 「NFT」技術と利用の広がり

NFT(Non-Fungible Token:非代替トークン)によって、コピーや複製が容易なデジタルデータに異なるシリアルナンバーが付与できるようになりました。ナンバーは唯一無二の証拠になりますので、ブロックチェーン技術を活用することで、デジタルデータの所有者が誰かという保証ができるようになります。

NFTは、アートやエンターテインメント分野で活用されはじめており、ゲーム業界でもゲーム内アイテムやキャラクターの所有権を表すためにNFTの利用が進んでいます。NFT市場が成熟すると、不動産や教育分野でも活用が進むと考えられます。現時点では、日本市場ではまだまだ初期段階と考えられており、数%程度の利用にとどまっているようです。

今後、NFT取引プラットフォームやブロックチェーン技術の進化、法規制の流れに加え、どんな企業などが参入するかなど、注目ポイントが多い領域といってよいでしょう。

4-6 「6G」に関する話題が増えそう

「6G」とは、第6世代移動通信システムの略称です。上で述べたように、今、普及が進んでいる「5G」の次の世代となる通信規格であり、2030年頃の実用化を目指して開発が進められているといえます。1Tbps(テラビット毎秒)を超える通信速度で5Gの100倍以上といえわれる超高速・大容量の通信を可能にします。遅延も5Gより少なく、より多くの接続を可能にすることから、大量のIoTデバイスの利用を可能にします。

6G技術はメタバースやスマートシティを実現するには必須と考えられていることから、期待の声が高まりそうです。米国、中国、韓国、日本で積極的に開発が進められていると報じられていますので、今後の開発競争の行方から目が離せない状況が続きそうです。

4-7 「バイオテクノロジー」とITの融合が進む

「バイオテクノロジー(Bio Technology)」とITは、近年急速に融合が進んでおり、さまざまな分野で新たな技術やサービスが生まれてきています。

「ゲノム解析」や「創薬」の領域で進化が期待されており、今後は新薬開発のスピードアップがさらに進むと考えられています。AIを活用した医療の高度化や遠隔医療の発達が予測されています。また、「再生医療」の発展、農業の効率化などへの期待も大きいジャンルです。

4-8 「ディープフェイク」と「フェイクニュース」の脅威

「ディープフェイク(Deep Fake)とは、人工知能(AI)を用いて、人の顔や声などを合成して、あたかも本人がいった言動や行動をしたような映像や音声を作り出す技術です。「フェイクニュース(Fake News)」とは、事実に基づかないか、事実を歪曲したニュースや情報のことを指します。

ディープフェイク技術やフェイクニュースの作成システムは、近年急速に進歩しています。もはや、人間の目で見ただけでは判別できないレベルのものも多くなり、さまざまな分野で悪用される可能性が懸念されています。

実際、2022年には、アメリカの大統領選挙をめぐり、ディープフェイクを使ったフェイクニュースが流布され問題となりました。また、日本では、2023年、政治家や芸能人の顔を合成したディープフェイク動画や実際には発言していない偽のコメントがインターネット上で拡散され、問題視されています。

ディープフェイク技術はさらに進歩すると予測されています。そのため、悪用を防ぐための対策が早急に必要だとの空気も生まれてきています。悪用を禁じる法整備を進めたり、検知技術の開発を進めたりすることが重要になってくるでしょう。総務省では、令和3年版「情報通信白書」から、フェイクニュース、偽情報に注意喚起しています。

4-9 「エシカルハッキング」と「エシカルハッカー」が増える

「エシカルハッキング(Ethical Hacking:倫理的ハッキング)」とは、組織のセキュリティを向上させるために、悪意を持たずにハッキングを行うことです。「エシカルハッカー(Ethical Hacker:倫理的ハッカー)」は、依頼されて組織のシステムやネットワークに侵入して、脆弱性を探し出し、その対策をアドバイスする倫理的なハッキングを行う専門家のことです。それぞれ、ホワイトハッキング、ホワイトハッカーと呼ばれることもあります。

「セキュリティ」の項目でも述べましたが、今後、サイバー攻撃の高度化が予測されており、一般的な企業が自衛するのも難しい状況になりつつあります。エシカルハッキングは、企業や政府などの組織にとって、サイバーセキュリティを強化するために重要な手段となりそうです。エシカルハッカーによる検証、評価を受けることで、潜在的な脆弱性を発見して、対策を講じることができるようになり、セキュリティの向上が期待できるようになります。

まとめ

2024年にトレンドになりそうなキーワードが予想以上に超えて多くなってしまった......という気がします。

2023年は、アフターコロナの段階に入り、行動の制限がなくなったことで、いろいろな動きが一気に見られた年でした。それを受け、次なる動きがあると予測できることや、さまざまな業界の「2024年問題」が存在することが、この多さにつながった気がします。

「数を撃てば当たるかも」と思ったわけではなく、自然に増えていました。2024年は注目ニュースが多い1年になりそうです。

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執筆: 大木 晴一郎

ライター

IT系出版社等で書籍・ムック・雑誌の企画・編集を経験。その後、企業公式サイト運営やWEBコンテンツ制作に10年ほど関わる。現在はライター、企画編集者として記事の企画・編集・執筆に取り組んでいる。