近年、「ChatGPT」をはじめとする生成AIサービスが注目を集めており、新たなサービスが次々と登場しています。
なかでも「Gemini」の注目度が高まっていることをご存じでしょうか。Geminiは、Google社がリリースしている生成AIサービス「Bard」の後継サービスです。
今回はGeminiとは何か、基本からわかりやすく解説します。Geminiの使い方やChatGPTとの違いも紹介するため、ぜひ参考にしてください。
- もくじ
1.GoogleのGeminiとは
Geminiとは、Google社が2023年12月にリリースした生成AIサービスのことです。ChatGPTと同様に文章の生成に特化しており、プロンプト(指示文章)を送ることでAIが回答となる文章を生成してくれます。
Geminiは、ChatGPTにはない機能を搭載しており、昨今より注目度が高まっているサービスです。
ここからは、Geminiの歴史や料金など、を掘り下げて見ていきましょう。
1-1 「Bard」の後継サービス
Geminiは、Google社が2023年3月にリリースした生成AIサービス「Bard」の後継サービスです。
Bardでもプロンプトにもとづいた回答の生成が行えますが、Geminiはその上位版となります。搭載される「AIモデル」も、Bardから刷新されています。
AIモデルとは、AIが問題から答えを導き出す仕組みであり、生成AIサービスの性能に直結するものです。Google社は、Geminiを「最も高性能なAIモデル」としています。言及の通り、今後はGeminiが同社の主力生成AIサービスとなるでしょう。
1-2 Geminiの料金
Geminiは、無料版(Gemini)と有料版(Gemini Advanced)の2種類が提供されています。Gemini Advancedの料金は、月額2,900円(2024年4月時点)です。
有料版のGemini Advancedでは、より高性能なAIモデル「Gemini Ultra(後述)」を利用できます。
データ分析のような高度なタスクでは、より高いパフォーマンスを発揮するでしょう。無料版でも基本的な文章生成は可能なため、私生活での利用であれば十分役に立ちます。
1-3 Geminiの主なAIモデル
Geminiで利用できるAIモデルは複数あり、性能や利用環境・対象プランが異なります。
主なAIモデルは、「Gemini Nano」「Gemini Pro」「Gemini Ultra」の3つです。
AIモデル名 | 概要 | 利用環境・プラン |
---|---|---|
Gemini Nano | 端末での利用に適したコンパクトなAIモデル | Pixel 8 Pro搭載 |
Gemini Pro | 無料で使える日常利用向けのAIモデル | 無料版 |
Gemini Ultra | Google社比で最高性能のAIモデル | 有料版 |
ただし、Google社は日々AIモデルの改良を図っており、Geminiに搭載されるAIモデルが将来的に変わる可能性があります。
2.Geminiを使用してできること
Geminiは、一般的な文章生成AIサービスと同等の用途で使えます。Geminiを使用してできることは、主に次の4つです。
2-1 質問への回答
解決したい疑問がある場合、Geminiに質問することで回答してくれます。GeminiのAIモデルは豊富な知識をもとに学習しているため、幅広い分野の質問に回答が可能です。
ただしGeminiに限らず、一般的な生成AIサービスは誤った回答をするケースがあります。誤答の可能性も念頭に置いて利用しましょう。
2-2 文章の作成・変換・添削
Geminiにテーマを与えることで、文章を作成できます。たとえば、「取引先への挨拶メール本文」「商品の紹介文」など、さまざまなテーマに対応可能です。
また、既存の文章に「ですます調への変換」「英文の文法チェック」という指示をプロンプトに入力すれば、変換や添削も行えます。
2-3 アイデア出し
Geminiにテーマを与えることで、アイデアを提案してくれます。たとえば、「ゲームの新キャラクターの設定案」「新商品のキャッチコピー案」といったテーマにも対応可能です。
企画やコンテンツ制作のたたき台として役立つでしょう。ただし、学習データにもとづき提案するため、既存の著作物に酷似した回答をするケースがあります。回答を安易に信用せず、著作権侵害のリスクに注意して利用してください。
2-4 プログラムの作成
Geminiは、プログラムの作成にも活用可能です。
たとえば、「Javaで1から10まで表示するプログラム」とテーマを与えることで、プログラムとその解説が出力されます。
また、Web上のさまざまなプログラムを学習しているため、幅広いプログラミング言語に対応可能です。ただし、プログラムには誤りが含まれる場合もあるため、必ず見直しを行いましょう。
3.Geminiの特徴・ChatGPTとの違い
Geminiに興味はあるものの、他サービスとの違いがイメージできない人も多いでしょう。
ここでは、ポピュラーな文章生成AIサービスであるChatGPTとの違いも交えて、Geminiの主な特徴4つを紹介します。
3-1 マルチモーダルAI
Geminiでは「マルチモーダルAI」と呼ばれる、文章や音声、画像など、複数のデータ形式を処理できるAIを活用しています。
具体的には、Geminiは画像のアップロードや、マイクからの音声入力に対応可能です。文章以外のプロンプトにも対応できるため、より活用の幅が広がるでしょう。
3-2 最新情報にもとづき回答できる
Geminiは、検索エンジン「Google」が持つ最新のWebデータを参照しているため、常に最新の内容が反映されます。 そのため、今年起きた出来事に関する質問にも対応可能です。
対してChatGPTは、ある時点までのWebデータにもとづく回答しかできません。これは、知識カットオフ(学習データの最終日付)以降の情報を回答に加味しないためです。
3-3 パラメータ数が多い
「Gemini Ultra」のパラメータ数は約1.56兆個と非常に多く、ChatGPT搭載のAIモデル「GPT-4」をしのぐといわれています。
パラメータ数はAIモデルの規模を示す指標であり、多いほど処理能力が上がりやすいのです。Geminiが注目を集めているのは、高いパフォーマンスが期待できるパラメータ数の多さも理由の一つとして考えられます。
3-4 Google製品との連携機能が充実している
Google社が提供するGeminiは、当然ながらChatGPTよりもGoogle製品との連携機能が充実しています。
たとえば、Geminiが出力した表をGoogleスプレッドシートへエクスポートすることも可能です。
Google製品を活用している企業であれば、Geminiの連携機能により、業務の効率化を実現できるでしょう。
4.Geminiの使い方
ここでは、無料版Geminiを実際に利用する流れを、キャプチャを交えて紹介します。実際に使う場合は、事前にGoogleアカウントを用意しておきましょう。
4-1 サービスページへのアクセス
まずは、サービスページにアクセスします。Googleアカウントでログインしていない場合、次のような画面が表示されます。
4-2 Googleアカウントでのログイン
サービスページで「ログイン」をクリックすると、アカウント情報の入力を求められます。自分のGoogleアカウントでログインしましょう。ログインに成功すると、Geminiの画面が表示されます。
4-3 プロンプトの入力・送信
Geminiの画面下部にある入力欄がプロンプト(指示文章)を入力する場所です。Geminiに指示したい内容を入力し、Enterキーまたは送信ボタン(赤枠部)を押すことでプロンプトを送信できます。なお、送信ボタンの左にあるボタンを押せば、画像のアップロードやマイクでの音声入力も可能です。
4-4 Geminiからの回答
Geminiにプロンプトを送信すると、指示文章に沿った回答が出力されます。回答内容を踏まえて再度プロンプトを送信することも可能です。
このようにGeminiは、Googleアカウントさえあれば手軽に利用できます。
まとめ
Geminiとは、Google社が2023年12月にリリースした生成AIサービスのことです。
「複数のデータ形式を処理できる」「最新情報にもとづき回答できる」など多くの特徴を持ち、注目を集めています。
- ChatGPTと比較すると以下のような違いがあります。
- マルチモーダルAIを活用している
- 最新情報にもとづき回答できる
- パラメータ数が多い
- Google製品との連携機能が充実している
AIサービスをご利用されている、今後ご利用される方はぜひ参考にしてみてください。