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第3回 PMの本質とその鍛え方
PMの本質とその鍛え方 2024.05.27
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プロジェクトマネージャーの「視野の広さ」を視認してみる

執筆: 小谷 ひかり

バルテス株式会社 コングロマリット品質サービス事業部 マネージャー

プロジェクトマネージャーの「視野の広さ」を視認してみる

本シリーズ「プロジェクトマネージャーの本質とその鍛え方について」では、マネジメント能力やリスク管理能力といったプロジェクトマネージャーに求められる「スキル」ではなく、主体性や責任感などのような「各スキルの源になるプロジェクトマネージャーの本質」について、エンジニアを育てる立場から整理していきたいと思う。

もくじ
  1. プロジェクトマネージャーと「視野の広さ」の関係性
  2. 視野の広さとは何か?
  3. プロジェクトマネージャーにとって「視野の広さ」はどうあるべきか
    1. 他チームの動向を知る
    2. レイヤーの違う人の状況を把握する
  4. 仕事の中でプロジェクトマネージャーらしい「視野の広さ」を身に付ける方法
    1. 前後の関係者の動向に合わせて行動を変える
    2. 案件の体制図を眺めながら人々のチャットを観察してみる
  5. 最後に

1.プロジェクトマネージャーと「視野の広さ」の関係性

プロジェクトマネージャーの仕事ぶりを一言で表現するなら「視野の広さ」である。

実施者や設計者は任されたタスクをただやればいい。プロジェクトマネージャーという大きな傘の下で、自分のタスクに集中すればいい。下手をすれば「リスクなんか気にしないで目の前の仕事をやれ」と言われることさえあるかもしれない。

だがプロジェクトマネージャーとなるとそうはいかない。

自分自身やチームを守るためにも、業務全体を円滑に進めるためにも、視野を広く持っていろんなことを気にかけていかなければいけない。

目の前の仕事に食らいつくばかりではなく、時にはミーアキャットのようにすくと立ち上がって高い視点から周りを見渡す必要がある。

2.視野の広さとは何か?

視野の広さとは、「注意を向けられる要素の多さ」である。

実施者の中でも注意を向ける要素には差がある。目の前のテスト実施に集中してしまってチャットにさえ気づかない人もいれば、テスト実施を進めながらもバグチケットの返却状況に意識を向けたり他の実施者の状況に意識を向けたりできる人もいる。

プライベートでも同様だろう。道行くおばあさんの苦労に気づいて助ける人もいれば、おばあさんにぶつかっても気づかずにスマホを触りながら歩き去る人もいる。

3.プロジェクトマネージャーにとって「視野の広さ」はどうあるべきか

3-1 他チームの動向を知る

プロジェクトマネージャーになるとプロジェクトのトップになる。そうでなくとも少なくともプロジェクトの一つのチームのトップにはなるだろう。

何かしらのトップになると、自分のチームに任された仕事だけをしているわけにはいかず、他のチームとの調整も仕事になってくる。

これが厄介で、待っていれば誰かが「他のチームがこんな状況だよ」ということは皆無であり、自分から他のチームがチャットしている場所に出向いたり他のチームの進捗管理表を覗いたりして、情報を取りに行く必要がでてくる。

情報はそこら中に落ちているが、自分から腰をかがめて拾わなければいけなくなるのである。

3-2 レイヤーの違う人の状況を把握する

プロジェクトマネージャーになると自分より上のレイヤーの人や下のレイヤーの人の状況把握も、暗に求められるようになる。

今までのような自分視点で報連相したいタイミングで情報を連携すればいいわけではなく、相手が欲するタイミングで報連相することを求められるようになる。

そのためには相手の状況を把握することから始めねばならない。

多忙なときに些細な相談をするのは煙たがれるし、困っているときに手を差し伸べられれば太鼓判を押されるだろう。

4.仕事の中でプロジェクトマネージャーらしい「視野の広さ」を身に付ける方法

4-1 前後の関係者の動向に合わせて行動を変える

IT業界では仕事の多くにおいて前後の関係者がいる。テスト実施者であれば、自分のタスクが回ってくるためには設計者という人が設計を行う必要があり、自分がテスト実施を終えたら報告業務を行うプロジェクトマネージャーやバグを改修する実装者といった後続が待っている。

そういった前後の関係者に目を向けて、その人たちの状況を考慮しながら仕事をしてみよう。

プロジェクトマネージャーが夕方に臨時の進捗報告会があるなら早めに進捗状況を連携したり、テスト設計者が多忙なら質問が少ないテストケースから消化するなど。

関係者の動向を見ながら行動をしていくことを意識することで「視野の広さ」を身に付けることができるのではないだろうか。

4-2 案件の体制図を眺めながら人々のチャットを観察してみる

正直にいえば実施者や設計者は体制図なんて頭に入っていなくても一人前に仕事はできる。だが、プロジェクトマネージャーになると体制図というのはとても仕事において重要になってくる。

たとえば、同じ他チームのトップでも、何年もそのチームのトップをやっているのか今月トップに就任したばかりなのかで、その人が把握している情報量も気づけるリスクも変わり、結果的にこちらとしてしなければいけない報連相も変わってくる。

同様に実施者の立場でも、バグ改修を担当する実装者の参画時期によって、質問の答え方もバグ改修確認の粒度も、時には変わってくる。

プロジェクトマネージャーとして視野を広げるためには、こうした案件の体制図の把握も重要な仕事といえるだろう。

最後に

今回はエンジニアを育てる立場から、プロジェクトマネージャーの「視野の広さ」の重要性についてまとめた。

プロジェクトやチームを率いる立場になると、自分のことだけではなく周りにも目を配って仕事を進めることが求められる。

プロジェクトを円滑に進めるために、前後の関係者の状況や、体制について把握する「視野の広さ」が重要になっていくだろう。

これまで紹介した「考える」「整える」という仕事に加えて、「視野の広さ」もプロジェクトマネージャーにとって大切なスキルの一つだということを覚えておいてほしい。

PMの本質とその鍛え方
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執筆: 小谷 ひかり

バルテス株式会社 コングロマリット品質サービス事業部 マネージャー

業務系システムの開発・運用・保守にSE兼プロジェクトリーダー兼コンサルタントとして携わった後、バルテスに入社する。入社後は、テスト自動化プロジェクト・品質保証プロジェクトを経て、現在は品質向上支援に携わっている。また、その傍らで、専門分野である心理学の知見に基づいて、新卒社員の指導や社内委員会の品質向上に力を注いでいる。