企業の業務を効率化する「RPA」について改めておさらいしよう! どんな業務に向いている?

最終更新日時:2022.09.20 (公開日:2022.09.20)
企業の業務を効率化する「RPA」について改めておさらいしよう! どんな業務に向いている?

少子高齢化等により、IT業界は深刻な人手不足といわれており、2030年には60万人近くのエンジニアなどIT人材の不足が予測されています。また、ビジネス現場においても、デジタル化等が推進されることによって、さまざまなデータやツールが活用されるようになり、むしろ作業が増えてしまう状況が発生することがあります。このような状況を打開するために有効なもののひとつが「RPA」(Robotic Process Automation)だといわれています。

そこで今回は、RPAとはどのようなものなのか、その特徴と、どんな種類のものがあるかを改めて解説します。

もくじ
    1. 今、なぜ、RPAが注目されるのか?
    2. RPAは「サーバー型」「デスクトップ型」「クラウド型」に大別される
    3. 「自動化レベル」には3段階ある
    4. ソフトウェアテストでもRPAが活用されている
    5. まとめ

1.今、なぜ、RPAが注目されるのか?

「RPA」とは

RPAとは、「Robotic Process Automation」の頭文字をつなげた略語です。これまで、人間だけが対応可能とされていた作業や高度な作業を、人間の代わりに実施できるツール(コンピュータ)を活用して代行するソリューションのことです。一般社団法人日本RPA協会の設立背景で、RPAは、以下のように記されています。

RPAは、これまでの人間のみが対応可能と想定されていた作業、もしくはより高度な作業を人間に代わって実施できるルールエンジンやAI、機械学習等を含む認知技術を活用した新しい労働力を創出する仕組み(Digital Labor)となります。
(一般社団法人日本RPA協会「日本RPA協会設立」より引用)

RPAは、ロボットによる業務自動化の取り組みを示すこともあります。このような定型業務や反復作業、パソコン内で完結する作業などデスクトップ作業に絞ったケースを「RDA」(Robotic Desktop Automation)と呼び、区別することもあります。この場合、RPAは事業プロセスの自動化の意味で使われることが多いようです。

RPAが得意とすること

RPAは、コンピュータが実行するため、人間が苦手とする同じ作業の反復や単純作業が得意です。さらに、データ等の差異を見出したり、AI等を活用したりして高度な分析まで行えます。

業務範囲としては、情報収集、データ入力・登録・転記等、システム管理、システム監視・運用などがあります。

なぜ今、RPAが注目されているのか?

RPAが注目を集めているのは、IT人材の不足と働き方改革の影響があげられます。また、ビジネス的観点から、業務のスピード化、コスト削減の面から語られることもあります。

・人材不足への対抗策のひとつとして
日本において、人手不足の問題は深刻化しはじめています。少子高齢化等の影響で、2030年には60万近くのIT人材が不足すると予測されています。RPAは、プログラミングの知識がないビジネスパーソンでも使えるものもあり、人材不足に対応する手段のひとつとして注目されています。

・働き方改革に対応するためのツールとして
少ない労働力で高い生産性の維持を目標と掲げる働き方改革において、RPAは活用すべきツールのひとつとして注目されることが増えています。

・業務のスピード化・コスト削減
上記とも関連しますが、RPAを活用することで業務のスピードアップが期待できます。また、少ない人員で対応できる業務が増えるため、結果的にコスト削減につなげることも期待できます。

2.RPAは「サーバー型」「デスクトップ型」「クラウド型」に大別される

RPAは、大きく分けて「サーバー型」「デスクトップ型」「クラウド型」の3種類があり、これらを組み合わせた複合型も存在しています。それぞれに適正が異なるので、自動化したい業務、目的にあわせて、充分に事前検討をしてから導入する必要があります。

サーバー型RPA

サーバー型RPAは、オンプレミス(自社サーバー)内でロボットを実行します。

メリットは、オンプレミスということもあり、セキュリティ的に強固なRPAの導入が容易になることが多く、一括管理がしやすいことがあげられます。

逆にデメリットとしては、大規模になりやすく、導入コストがかなり高めになることです。そのため、小規模事業者には利用に適さないといわれます。

デスクトップ型RPA

デスクトップ型RPAは、ロボットをパソコンのデスクトップ上で実行します。そのため、大きくは、オンプレミスのRPAと分類できます。パソコンにインストールして実行しますので、個別作業の自動化に適しているといえます。このタイプは上述したように「RDA」と区別されることもあります。

メリットは、パソコン1台でも実行できるためスモールスタートができ、導入コストが低く抑えられることです。利用者が気軽に実行できるのも利点といえるでしょう。小規模事業者や個人事業者でも利用しやすいタイプです。

デメリットは、個人での管理が多くなるため、属人性の高い運用になりブラックボックス化したり、シャドーITとなったりして、何らかの問題またはボトルネックになるリスクが多少あるということです。

クラウド型RPA

クラウド型RPAは、最近、急増しているタイプで、専用のクラウドサーバー上でロボットが動作します。WEBブラウザ上で行う作業を自動化するものだけでなく、最近では対象も増えており、注目を集めています。

メリットは、自社サーバーの構築、パソコンへのインストールといった作業が不要ですぐ使えること、クラウドで動作するため、サーバーやWEBサービスをまたいだ利用が可能になることがあります。導入コストが比較的低いため、事業規模を問わず利用しやすくなっています。最新機能に自動的にアップデートされるなど、管理・運用が楽なことも利点です。

デメリットは、WEBを介して利用するため、セキュリティ面には多少の不安があり、セキュリティ管理体制を強固にしておく必要があります。この点からも、最近ではクラウドのセキュリティを守る「ゼロトラストセキュリティ」が注目を集めています。

3.「自動化レベル」には3段階ある

総務省の『RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)』では、RPAには3段階の自動化レベルがあるとまとめています。現在のRPAの多くは「クラス1」レベルで定型業務に対応しているとし、次期レベルである「クラス2」は、AIと連携して非定型業務も一部を自動化し、より高度な「クラス3」は、AIと連携して、業務プロセスの分析、改善、意思決定までを自動化するとしています。クラスごとに名称も異なっています。

クラス1:RPA(Robotic Process Automation)

主な自動化対象は定型業務です。具体的な作業としては、情報取得や入力作業、検証作業など定型的業務があげられています。

クラス2:EPA(Enhanced Process Automation)

自動化対象の一部に非定型業務を含み、RPAとAIの技術を用いて非定型作業の自動化や自然言語解析、画像解析、音声解析、マシンラーニングの利用と実装、非構造化データの収集と判別などを行うレベルとされます。

クラス3:CA(Cognitive Automation)

「CA」の「C」は「Cognitive」で「認知」を意味しています。上記クラスのデータの収集や分析に加えて、分析された結果内容を「認知」することで、より高度な意思決定を行うレベルです。

CAのレベルでは高度なAIと連携させることで、ディープラーニングを通じてRPAロボットが自ら成長します。その結果、数値データだけでなく言語領域も理解して、判断できるようになり、人間同様の業務が任せられるとしています。業務プロセスの分析や改善、意思決定が可能になり、仮想知的労働者(Digital Labor)として機能すると想定しています。

4.ソフトウェアテストでもRPAが活用されている

深刻なIT人材不足が指摘されています。人手を介した部分がまだまだ多いとされるソフトウェアテスト分野も例外ではなく、RPAが進んでいます。ソフトウェアテストを自動化することで、テスト効率を向上させることができる、テストの確実性が増し、さらに高度化できるメリット、といったがあります。ソフトウェアテストに特化した自動化ツールも多数あり、テストプロセスの工数削減に大きく貢献しています。

ただし、デメリットとして、テストの作業内容がブラックボックス化するリスクや、テスト実施者が学習する時間(コスト)がかかることが指摘されています。更に、テスト対象やテスト内容によっては向き不向きがあり、場合によっては手動でテストを行うほうが工数がかからない場合もあるため、導入に際しては、事前の綿密な検討と計画が必要となります。

まとめ

RPAは、まず、使用目的にあった環境(サーバー、デスクトップ、クラウド)とツールを選択し導入することがポイントとなります。導入を目的とするのではなく、導入によって「どんな結果を得たいか」をよく吟味し、事業規模に合ったツールを選択しましょう。どんなRPAツールを選んでも運用が属人化しないことやセキュリティ面を留意することが大切です。少しでも業務を効率化したい小規模事業者や個人事業者ですが、「コストの壁」が存在します。
また、ソフトウェアテストでもRPAが進んでおり、ソフトウェアテストに特化した様々なRPAツールが公開されています。
これらを踏まえて、RPAツール選択のポイントは綿密な事前検討にあるといえます。数年先に実現したいことまでをしっかりイメージしておくことが重要です。

執筆者:Qbook編集部

ライター

バルテス株式会社 Qbook編集部。 ソフトウェアテストや品質向上に関する記事を執筆しています。