2025.02.18
昨今、開発からリリースまでの期間が短くなる傾向にあります。そのため、ウォーターフォール型開発に代わって、アジャイル開発が盛んに行われるようになりました。
ただし、アジャイル開発が普及していく中で、アジャイル開発とウォーターフォール開発の違いについて理解できていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では、アジャイル開発とウォーターフォール開発、それぞれの概要と違い、向き・不向きについて比較表を用いて解説していきます。
- もくじ
1．アジャイル開発とウォーターフォール開発とは？
アジャイル開発とウォーターフォール開発について、それぞれの概要・メリット、デメリットを簡単に解説します。
1-1 アジャイル開発とは
| アジャイル開発の特徴 | |
|---|---|
| メリット |
・開発期間が短い ・顧客の要望に臨機応変に対応できる |
| デメリット |
・開発の方向性を見失うリスクがある ・メンバーの負担が増えやすい |
アジャイル開発（Agile Software Development）とは、短期間（イテレーション）で実装とテストを繰り返して修正・改善を重ねながら開発を行う手法です。
チームメンバー同士で密にコミュニケーションをとり、日々開発・検証・フィードバックを繰り返すことで、顧客の要望を実現させるために臨機応変に対応することを重視しています。
アジャイル開発は短いスパンで試作品を作成し、フィードバックや検証を踏まえて改善していきます。短い開発サイクルを何回も繰り返しながら、時にはデモも使いながら評価するにより、仕様変更にも柔軟に対応できるようにします。
アジャイル開発は小規模開発に向いているとされてきましたが、最近では少人数のチームを複数作り、大規模開発をアジャイル開発で行うこともあるようです。
1-2 ウォーターフォール開発とは
| ウォーターフォール開発の特徴 | |
|---|---|
| メリット |
・進捗管理がしやすい ・品質を担保しやすい |
| デメリット |
・急な要求に対応しづらい ・開発期間が長期化するリスクがある |
ウォーターフォール開発とは、滝の水が流れ落ちるように、それぞれの開発工程を後戻りなく順番に実施する開発手法です。要件定義や設計などの上流工程から実装・テストなどの下流工程に向かって、あらかじめ定めた期間と順序で計画的に開発を行います。
ウォーターフォール開発の場合、要件定義・設計・実装・テストと、開発のフェーズを順に進めるため、プロジェクトの進捗管理や開発要員の確保がしやすいというメリットがあります。
一方で、要件定義や設計、ドキュメントの準備に時間がかかる、プロジェクト途中での仕様変更に対応しづらいというデメリットがあります。
2．アジャイル開発とウォーターフォール開発の違い【比較表付】
アジャイル開発とウォーターフォール開発の違いについて比較して解説していきます。
2-1 開発期間
アジャイル開発は細かいサイクルで要件定義・設計・実装・テストを繰り返して開発していくため、開発期間は比較的短いです。
一方で、ウォーターフォール開発は、各工程を着実に順番に進めていくため、開発期間が長期化することがあります。
2-2 仕様変更への対応・柔軟性
アジャイル開発では、短い開発サイクルを繰り返しながら開発を進めていくため、急な仕様変更や要件追加などがあっても臨機応変に対応しやすいです。
しかし、ウォーターフォール開発は、決められた工程を順番に進めているため、仕様変更には対応しづらいです。途中で使用変更や問題が発生すると手戻り工数が増加し開発期間が延びてしまうこともあります。
2-3 進捗管理のしやすさ
アジャイル開発は仕様変更・追加に随時対応しながら進めていくため、進捗を測るのが難しいです。また、短い開発サイクルを繰り返す中で優先順位も見直されていくため、計画通りに進んでいるかを評価がしづらいです。
一方、ウォーターフォール開発は、あらかじめ決められた工程順に進んでいくため、どのくらい進んだかが評価しやすいです。
2-4 プロセス改善の即時性
アジャイル開発は、短い開発サイクルを繰り返しているため、プロセス改善を即時実施することができます。
一方で、ウォーターフォール開発は、途中での変更に対応しづらいため、プロセス改善を反映するのは次のプロジェクトになります。
2-5 テストの実行頻度
テストの実行頻度は、細かい開発を繰り返すアジャイル開発の方が多いです。
ウォーターフォール開発は、テスト工程でのみテストを実施します。
2-6 品質管理の難易度
アジャイル開発は短期間での実装と検証・改善を特徴とするため、目標とする品質に到達するように管理することが難しい側面があります。
この場合の対策としては、TDD（Test-Driven Development：テスト駆動開発）の導入や各イテレーションで共通となるテストの自動化、ユーザーストーリーをベースとしたテストの導入が考えられます。
開発工程とテスト工程を明確に分けずに反復的に改修を加えるような、不具合が発生しやすい状況下では、TDDでテストを実装・リファクタリングを繰り返すことが適しています。単体レベルのテストは、最初に定義したモジュールメソッドの要件を元に作成して自動化しておけば、仕様変更時の対応もスムーズです。
データや処理の負荷を確認するパフォーマンステストの自動化や、プログラムに変更を加えた場合も変わる可能性が低い、ユーザーから見たシステムの振る舞いに基づくストーリーテストやシナリオテストをあらかじめ用意することも、有効な手段となります。
一方、ウォーターフォール開発は、事前に品質基準を設定することができるため、比較的管理しやすいです。テスト工程に集中的にテストを行うため、抜け漏れも少なく一定の品質を確保することができます。
3．アジャイル開発とウォーターフォール開発の向き・不向き
ここまでアジャイル開発とウォーターフォール開発の特徴について解説してきました。
それを踏まえて、それぞれの「向き」「不向き」についてご紹介します。プロジェクトにおける開発手法を選ぶ参考にしてみてください。
3-1 アジャイル開発の向き・不向き
アジャイル開発に向いているプロジェクト・向いていないプロジェクトは以下の通りです。
アジャイル開発に向いているプロジェクト
- 仕様変更が多い・仕様が固まっていないプロジェクト
- 早期リリース、継続改善が求められるプロジェクト
アジャイル開発に向いていないプロジェクト
- 開発メンバー間の距離が遠い大規模開発プロジェクト
- 事前に要件定義を厳格に定める必要があるプロジェクト
3-2 ウォーターフォール開発の向き・不向き
ウォーターフォール開発に向いているプロジェクト・向いていないプロジェクトは以下の通りです。
ウォーターフォール開発に向いているプロジェクト
- 要件が明確に定まっているプロジェクト
- セキュリティや規制が厳しいプロジェクト
- 関係者が多い大規模開発プロジェクト
ウォーターフォール開発に向いていないプロジェクト
- 仕様変更や仕様追加が頻発するプロジェクト
- 継続的な改善を繰り返すプロジェクト
まとめ
アジャイル開発とは、短期間（イテレーション）で実装とテストを繰り返して修正・改善を重ねながら開発を行う手法です。
ウォーターフォール開発とは、要件定義や設計などの上流工程から実装・テストなどの下流工程に向かって、あらかじめ定めた期間と順序で計画的に開発を行う手法です。
アジャイル開発とウォーターフォール開発の違いは以下の通りです。
それぞれにメリット・デメリットがあり、向き・不向きがあります。
プロジェクトの特性に合わせて適切な開発手法を選択していきましょう。
