様々な現場でQA業務に携わっている方々の「声」をお届けする『隣のQAに聞く!』。多様化する人々の生活をより便利にするため、これまで業務用として培われていた技術で家庭用ロボットの普及が進んできました。
自律移動ロボットの研究・開発・製造・販売を行うロボット開発ベンチャーの株式会社Preferred Roboticsは、深層学習やSLAMといった先端技術を組み合わせ、産業用から家庭用まで暮らしを豊かにするロボットの開発に取り組んでいます。
人間がロボットと幸せに共存する社会を目指し、「すべての人にロボットを」を実現するため、様々な業界でロボットや深層学習の経験を積んだ人材を集めた同社では、どのようにQA組織が運営されているのでしょうか?
本記事では、同社の稲葉さやかさんにロボット業界におけるQAのミッションや、社内の専属QA1名で工夫しているポイントをお話しいただきました。
今回インタビューを受けてくださった方
- 稲葉 さやか 氏
株式会社Preferred Robotics
文系大学を卒業後、営業職に従事。第2新卒でIT業界に転職後、SIerでAndroidスマートフォンの開発のプロジェクトにテスト担当者としてアサインされQA業務に携わるようになる。家庭向けロボットのQAを経験した後、2023年1月にロボット開発ベンチャーの株式会社Preferred Roboticsに入社。同社のQA第1号として家庭用自律移動ロボット "カチャカ" などの品証業務に携わっている。
1.暮らしを豊かにするロボット開発に必要なQA
――株式会社Preferred Roboticsではどのようなサービスを展開しているのでしょうか?
当社は、2021年11月1日に親会社であるAI開発ベンチャーのPreferred Networks(プリファードネットワークス、以下、PFN)からスピンオフしたロボット開発ベンチャーです。PFNが掲げる「すべての人にロボットを」を実現するため、様々な業界でロボットや深層学習の経験を積んだ人材を集結し、深層学習やSLAMといった先端技術を組み合わせ、産業用から家庭用まで暮らしを豊かにする自律移動ロボットの開発に取り組んできました。
具体的には、アマノ株式会社と共同開発した、AIを活用したロバスト性の高いSLAM技術を採用して自律移動性能を高めた次世代型業務用小型床洗浄ロボット"HAPiiBOT(ハピボット)"や、自社開発で、人の指示通りに自動で移動する家庭用自律移動ロボット "Kachaka(カチャカ)"などのプロダクトがあります。
――御社のQA/品証業務の位置づけ・ミッションを教えてください。
弊社ではQAの組織はなく、私が専属のQA第1号として入社し、現在も1人でカチャカのQA業務を担当しています。新しい機能をより早くお客さまに提供し、使ってもらうことをミッションに、安定したソフトウェアをリリースできるよう不具合の報告と試験の実施など全て自己管理で動いています。