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第21回 隣のQAに聞く
隣のQAに聞く 2024.05.14
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「顧客視点と品質の観点からプロダクトの価値向上に貢献するのがQAのミッション」株式会社RevComm 大野 泰代 氏

執筆: Qbook編集部

ライター

「顧客視点と品質の観点からプロダクトの価値向上に貢献するのがQAのミッション」株式会社RevComm 大野 泰代 氏

様々な現場でQA業務に携わっている方々の「声」をお届けする『隣のQAに聞く!』。フルリモートやフルフレックスなど多様性で柔軟な働き方を進める上で、企業におけるオフィスのあり方も変わってきました。そんな中で電話営業や顧客応対を可視化するクラウドIP電話を導入する企業も増えています。

その流れで今、熱い注目を集めているのが、電話営業や顧客応対を可視化する音声解析AI搭載型のクラウドIP電話「MiiTel(ミーテル)」を開発する、株式会社RevCommです。

最先端の音声解析AI搭載型のクラウドIP電話を開発するチームでは、どのようにQA業務が実施されているか、気になるエンジニアの方も多いのではないでしょうか?

本記事では、株式会社RevCommの大野泰代さんに同社のQA活動やQAに取り組む上でのポイントなどについてお話いただきました。

今回インタビューを受けてくださった方

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大野 泰代 氏

株式会社RevComm QAチーム QAエンジニア

筑波大学人間学類卒業(社会心理学専攻)。CRC総研、フューチャーシステムコンサルティングなどのSIerにてDBAやPLなどを経験後、2010年頃よりQAとして各種システム開発に従事。 2022年5月よりRevCommに参画。QMファンネルの「スプリットTE~インプロセスTE~TEコーチ」や「スプリットQA~インプロセスQA~QAコーチ」として活動中。 そのほかにSig-SQAにて社外コミュニティ活動も行っている。

https://www.revcomm.co.jp/

もくじ
  1. 社外のコミュニティ活動で情報収集する日々
  2. 目指すのは、より人間がすべき業務に注力できる世界
  3. 上流工程でもユーザー目線のQA業務
  4. どんなにいい機能でも使ってもらえなければ意味がない
  5. 業務遂行で大切なことは「納得感の共有」
  6. QAは企業や立場、本人の意思で業務範囲が変わる

社外のコミュニティ活動で情報収集する日々

――はじめに、QA業務に携わるようになったきっかけを教えてください。

大学を卒業後は、CRC総研、フューチャーシステムコンサルティングなどのSIerにて、プログラマーやデータベースのエンジニア、開発のリーダーを経験しました。その後、QA業務に携わるようになって10年ほどになります。

前職のSIerには、QAに関しての深い知見が社内にあまりなかったため、社外に勉強しに行くことが多くありました。その中でQAのコミュニティ活動にも参加するようになり、SigSQA(ソフトウェア技術者協会 品質保証分科会)に入ってからはイベントにてグループで登壇するようになりました。

――やはり社内にQA業務の担当者が少ない場合は、社外のコミュニティ活動でQAの横の繋がりが強くなっていくんですね。

そうですね。開発がメインの会社ではどうしてもQAは少数派になります。
バルテスさんのような第三者検証であれば、QAが多いので社内で情報を集めるのもこと足りると思いますが、QAが少数派の会社になると、皆さん外で情報収集をして自社に取り入れている方が多いように感じます。

目指すのは、より人間がすべき業務に注力できる世界

――御社の事業内容を教えてください。

弊社では、電話営業や顧客応対を可視化する音声解析AI搭載型のクラウドIP電話「MiiTel(ミーテル)」を自社開発しています。

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出典:RevComm公式サイトより

電話営業や顧客応対を自動録音、AIが文字起こし、解析・可視化することにより、顧客と担当者が「何を」「どのように」話しているか分からない、というブラックボックス問題を解消して、商談獲得率・成約率の向上やセルフコーチングを後押ししています。

私たちが目指しているのは「ただ電話で話す世界」ではなく、「電話を通して溜めた音声データがいろんな人の生産性に寄与し、より人間がすべき業務に人々が注力できる世界」です。

現代ではコンピュータの力を使えば楽になるようなことでも、まだまだ人間が担っている部分が多く、そこにAIの力を使って課題解決することでよりよい生活に繋げようと考えています。

――事業内でのQA/品証業務の位置づけ・ミッションは何ですか。

一般的にQAは開発組織の中にいることが多いのですが、弊社はカスタマーサポートの中にQAがあるのが特徴です。

テストをするときの視点もユーザー目線で行うことが大きな柱になっており、品質の観点からサービスの価値向上に貢献することはもちろん、品質文化の醸成や品質技術の向上をQAグループとしてのミッションとしています。

もちろん、実際のQA業務の中では仕様通りに動くことも確認します。ただし、それだけではなく「お客様が使いやすいか」や新しい機能が追加された際に、これまでのお客様の業務の流れをどううまく継続させつつ、よい機能をリリースしていくかを支援する形でもテストしています。

上流工程でもユーザー目線のQA業務

――最近では開発組織の上流にQAが入る形がトレンドになりつつある印象を受けるので、カスタマーサポートの中にそのQAがいるのはかなり珍しいと思います。

確かに、今のトレンドとして開発の上流にQAが食い込む流れはありますね。弊社でも実際にはそういうことも一部では行っています。たとえば仕様のレビューに参加して、「こういうふうになっていた方がいいのではないか」という話に加わっていくこともあります。
ただし、そのときの視点としては、やはりユーザー目線が大きかったりするんですね。なので、上流から関わる場合、そのときの観点、目の付け所みたいなものは、ユーザー的な立場も大いに考慮して発言するようにしています。

――お話を伺っていると、BtoCやエンドユーザーに使うプロダクトを作っている会社は、カスタマーサポートにQAを置くようになった方がいいと思いました。

スクリーンショット 2024-02-01 164932.pngのサムネイル画像

そうですね。前職でBtoCのお客様のシステムQAをやっていたときに、QAとカスタマーサポートが非常に遠かったです。何か起きた際には、上の人に話がいってからQAに少しだけ情報が降りてくる状態だったので、そこはずっと歯がゆく思っていました。
それがRevCommに転職してからは、日々カスタマーサポートの情報を聞けるので非常に学びがあります。

もちろん、毎日自社製品のシステムを使ってQA業務をしていると「こうやって動いているのが当たり前」という考えになってしまい、お客様目線を忘れかけるときがあります。

しかし、カスタマーサポートにQAがいることで日々お客様の問い合わせに接することができ、「お客様はこういう使い方をするのか」という発見がありました。やはりお客様からのフィードバックが直接聞ける部署にいることは、QAとしてよい場所にいるなと私は思っています。

どんなにいい機能でも使ってもらえなければ意味がない

――サービス品質を改善していくために、工夫しているポイントはありますか。

私の場合は具体的に工夫していることが2点あります。

1つ目は、違和感を持ったときには再現を意識しながらQAを進めることです。

たとえば画面の一部分のQAをしているときに、今見ている部分ではない箇所が、「あれ?今、少し変な動きしたぞ」と思わぬ動きに気付くことがたまにあります。事前に、QA業務の完了時期は開発の方に伝えているので時間を気にしつつ、違和感はそのままにせず「どうやったら同じ現象が起きるのか」と再現を意識して業務を進めています。QAグループのメンバーに聞いたところ、やはりみなさんそんなことしているという話になりました。

2つ目は、リリースした機能をどうすればお客様に使ってもらえるのかを意識して開発会社やプロダクトの方に伝えるようにしています。どんなによい機能を出してもお客様に使ってもらえなければもったいないことになってしまいますよね。QA業務では常に「お客様目線でどうすれば使いやすくなるのか」を考えています。

あとは先ほども話したように「この製品はこんなもんだよね」と慣れてしまうのではなく、常に新鮮な気持ちを忘れないように意識してQAに取り組んでいます。

――これまでの失敗談やそこからどのように挽回したのかお教えください。

実は失敗談が思い当たらないんです。
逆に「なぜ失敗談がないのか?」と考えてみたところ、弊社ではプロダクトでもQAでも上司を含めて社内で「どんどんトライアンドエラーをして修正しよう」という環境になっているからだと気付きました。

そのため基本的に問題を放置し続けて大きな問題に発展することがなく、いわゆる「気合いで頑張る」なんてこともありません。たとえば前職では、納期遅れを「失敗」と言われましたが、弊社ではいろいろなタスクを優先順位に基づいて進めつつ、差込のタスクが発生した場合は、その都度たくさんの人を巻き込みながら、「今、最も優先すべきものは何か」と合意をとりながら進めていくことができます。

また、もし何かがうまくいかなかった場合は、「それはやりにくい方法だったのではないか」と振り返り、「では、どうすれば"やりやすさ"を実現できるのか」という方向で考えるのが当たり前になっています。

もちろん小さな失敗はたくさんありますが、その都度「では、どうしたらいいのか」をみんなで考えて変えていく。業務の中で日々改善を小さく繰り返していくことができているからこそ大きな失敗が起こりにくいと思いました。

業務遂行で大切なことは「納得感の共有」

――どんなとき、QA/品証としての「やりがい」を感じておられますか?

やはり、リリースされたときや開発者から「あのまま市場に出さなくて良かったです。」といわれるとQAとしてやりがいを感じ、うれしいですね。また自社製品が官公庁で使われる機会も増えており、自分の仕事が世の中を支えることに誇りを感じます。

先ほども話した通り、QAとして仕様のレビューのようなところから関わっているため、ユーザー目線の使いやすさを提案することが多く、製品にとって必要な提案は、チーム全員が一生懸命考えてくれます。

「QAの意見は聞かない」ということは全くなく、会社の中で誰が何を言っても「正当にプロダクトを良くするかどうか」で評価され、取り入れるか取り入れないかが決まっていく。そういう雰囲気の中で、ユーザー目線に立って製品の使いやすさに携われているのが面白いです。

――業務を遂行する上で個人的に大切にしていることがあれば教えてください。

私が大切にしていることは「納得感の共感」です。

ビジネスでは、「絶対にいつまでに何をしなきゃいけない」という期限は常にあるのですが、「今はこういう状況だから、こういう落としどころで進みましょう」と話し合いをすることもあります。

きちんと話し合った上で、「今はこれをする必要がある」と関わる人たちがみんなで理解した上で進むのが大切ではないでしょうか。

そのためは自分のなかにある疑問をちゃんと言葉に出し、聞かれたことにはちゃんとわかっている情報・わかっていない情報の両方を含めて共有していくことを意識しています。

――御社では全社的にコミュニケーションを重視している印象を受けましたが、共通言語として品質やテストに関する資格取得が推奨されているのでしょうか。

資格取得自体は推奨しているわけではありませんが、「テストのプロセスはなるべくJSTQBの用語を使っていこう」という話を常にしています。

やはりテストにも「方言」がありますし、会社によっても違う言葉を使っていることがありますよね。弊社では中途採用や外国籍の方たちと会話するときもJSTQBというひとつの軸があるので、コミュニケーションもスムーズにできます。

QAは企業や立場、本人の意思で業務範囲が変わる

――最後に、業務を通じて達成したいこと、QA業務にチャレンジしたい方に向けてメッセージをお願いいたします。

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会社としては多くの人に製品を使ってもらいたいのが一番達成したいことですね。

私がQAに携わるようになって10年ほどで転職も経験しているのですが、QAは企業や立場、本人の仕事に対する姿勢によって業務範囲が変わってくる職種だと思っています。

ただテストを実行することを喜びとしてやっている方もいれば、製品の品質やサービス向上に関わっていく方もいる。私はどちらかというと後者で、RevCommに入社してからは製品を良くすることや世の中を良くするというミッションに向かってみんなが同じ方向を向いているのを実感します。

また、QAとしてしっかり考えて提案をしていくと、みんなちゃんと受け入れてくださるんですね。なので、QAとして「みんなでよいものを作っていく」というところを今後もやっていきたいなと思っています。

――本日はどうもありがとうございました。

隣のQAに聞く
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執筆: Qbook編集部

ライター

バルテス株式会社 Qbook編集部。 ソフトウェアテストや品質向上に関する記事を執筆しています。