4月になるとメディアを活用したエイプリルフールネタが話題になります。最近では、SNSを舞台にして一気にネタが拡散することもあり、気になっている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、エイプリルフールとはそもそも何なのか?といったところから、企業や団体のエイプリルフールに関連する話題を集めてみたいと思います。
- もくじ
1. そもそも「エイプリルフール」とは何?
1-1 エイプリルフール(April Fools' Day)とは?
「エイプリルフール(April Fools' Day)」とは、皆さんご存知のように、毎年4月1日に嘘をついてもよいという風習または行事のことです。
4月1日には、家族や友人間、恋人同士でちょっとした"嘘"を楽しんでいることも多いようですね。
以前は、日本では直訳の名前「四月バカ」もよく使われていましたが、最近はメディアでこの言葉があまり使われなくなったことなどから、エイプリルフールの呼び名が定着している様子です。
エイプリルフールは、SNSを舞台にして企業やメディアがトンチの効いたジョークを発表して話題になるため、「今年は何がある?」との期待もあって、毎年、注目を集めている日でもあります。
実際は、正真正銘の嘘ではなく、ちょっとクスっと笑えるネタや意外性を楽しむジョーク系のコンテンツが多いように感じられます。
また、エイプリルフールはインターネットと相性がよいようです。なかでもSNSとはかなり相性が良く、近年は「X(旧Twitter)」を舞台にエイプリルフールネタが展開されることが多く、皆さんよくご覧になっているのではないかと思います。
なお、以前は通信社が4月1日に嘘ニュースを配信して話題になることがありましたが、フェイクニュースが問題視されている昨今の情勢から、自粛する動きも見られているようです。
1-2 エイプリルフールの起源は?
ところで、なぜ4月1日は嘘をついてもよいのでしょうか?
実は、エイプリルフールの起源は明確ではないようです。イギリスの王政復古の記念祭「オークアップルデー(Oak Apple Day)」とする説もあるようですが、詳細は不明です。
中国では「万愚節」、フランスでは「4月の魚(Poisson d'avril:プワソン・ダヴリル)」、日本では欧米から伝わったとする説と、中国から伝わったとする説があるようですが、エイプリルフールの起源や正体は不明です。これもエイプリルフールらしい一面かもしれません。
2."エイプリルフールに宇宙人"事件
2-1 火星人が地球を襲撃した?
エイプリルフールとメディアの相性のよさを示す、ある「事件」が1938年のエイプリルフールに発生したとされています。誤解を避けるために先に記しておくと、この「事件」、実は1938年10月末に放送されたハロウィン向けのラジオドラマが発端です。
そのラジオドラマは『宇宙戦争(The War of the Worlds)』です。俳優オーソン・ウェルズ(Orson Welles)氏が、H.G.ウェルズのSF小説『宇宙戦争』をラジオドラマ用に、当時の世相を反映させて脚色した朗読劇で、これを聞いた人々が火星人の襲来を事実と信じこんでパニックになった......というのです。
のちに、このパニックは(1938年10月に)発生していなかったことが判明しています。実際に警察には電話が寄せられていたようですが、それ以上のことは起こっていないようです。つまり、都市伝説ということになります。
2-2 「宇宙人ネタ」は定番のひとつへ
しかし、「ラジオドラマでパニックが発生した」という「事件」は一部で事実として広まっていきました。広めたのはアメリカの学者ハドリー・キャントリル(Hadley Cantril)氏で、事件の分析が1940年の著作『火星からの侵入―パニックの社会心理学』に記されているといいます。
のちにキャントリル氏が社会心理学で名声を得たことなどや、様々な情報の断片があわさっていき、いつの間にか「エイプリルフールに放送されたラジオ番組でパニックが発生した」と一部で信じられるようになっていたことになります。
ポイントは「エイプリルフールにネタを投下すると広まる」といった認識が市民権を得て、マーケティング的な価値が与えられていく流れのなかで、「ラジオドラマでパニックが発生した」というエピソードは非常に紹介しやすかったと思われることです。
同時に、エイプリルフールと言えば宇宙人ネタという認識も広まったのかもしれません。
例えば、日本では、1979年にニュースキャスターの筑紫哲也氏がエイプリルフールのジョークとして「宇宙人との交信に成功した」と放送し苦情が殺到する一件が起きるなど、宇宙人はエイプリルフールの定番ネタとなっている感じすらあります。「エイプリルフール 宇宙人」で検索していただくと、その数の多さにニヤリとさせられるかもしれません。
3.Googleも「宝探しモード」を発表
当然ですが、エイプリルフールは宇宙人ネタだけではありません。著名企業も4月1日には様々なネタを投下してきます。
IT関連だとGoogleはかなり積極的な印象です。以前、話題になったのが、2013年4月1日に発表した「Googleマップ」の「宝探しモード」です。
Googleマップのストリートビューチームが海賊キャプテンキッドの財宝を見つけた、というもの。公式記事だけでなく、動画も作成されています。歴史ロマンが感じられるネタでした。
Googleは他にも多くのエイプリルフールネタを発表しています。
2017年4月1日には、Google 日本語入力チームが「思わず押したい、押し続けたい」を実現するキーボード「Google 日本語入力プチプチバージョン」を発表しています。
開発者(?)まで登場する本格的なプロモーション動画を見て、思わず欲しくなってしまった方も多いのではないかと思います。
Google 日本語入力チームからの新しいご提案Google「日本語入力プチプチバージョン」(Google Japan Blog)
このように積極的な企業がいる一方で、万が一のリスクが大きいからとエイプリルフールでのネタ投下を行わなくなる企業も存在します。
2019年にはMicrosoftがエイプリルフールを禁じたとして話題になりました。
4.興味深かった企業の「エイプリルフール」ネタ9選
Googleの他にも、様々な企業が「エイプリルフール」ネタを実施しています。
ここでは、話題になったり、興味深かったりした「エイプリルフール」ネタのいくつかを勝手に選んでみました。
① ファミチキフラッペ(2022年)
2022年には、フラッペにファミチキがのった「ファミチキフラッペ」が2万件を超える「いいね!」を獲得しました。
② モンダミン「めっちゃにんにく」(2022年)
モンダミン「めっちゃにんにく」は、プレスリリースまで発表するほど力が入っていました(エイプリルフールと注意書きも入っています)。
③ パインアメ「ハート型の穴」(2020年)
パインアメに約8,000粒に1粒の割合で「♡」の穴が開いたハッピーパインアメが存在すると発表しました。
④「骨だけケンタッキー」(2019年)
ビジュアルを含めて、強烈なインパクトを与えたのが「骨だけケンタッキー」です。どんな要望に応えたのか(笑)と話題になりました。
⑤ ファンタ「ベジタブルシリーズ」(2018年)
「ありそうでなかった!」と思わせてくれたのがファンタ「ベジタブルシリーズ」。第一弾は「ファンタピーマン」と色彩的なインパクトも十分ありました。
⑥ 劇団四季「リアルマーメイド」(2018年)
2018年に、劇団四季はジュゴンを主演にした『リアルマーメイド』を上演すると発表しました。
⑦ 短編ドキュメンタリー「空飛ぶペンギン」BBC(2008年)
BBCは世界で初めて「空飛ぶペンギン」の撮影に成功したと発表しました。Youtubeにその短編ドキュメンタリーが紹介されています。かなり手が込んでいます。
BBCはエイプリルフールジョークがお好きなようです。古くは1957年に「スパゲッティの木が大豊作」とのニュースを制作しており、これも現在、Youtubeで見ることができます。
⑧ アメリカホワイトハウス「子ども大統領」(2013年)
アメリカのホワイトハウスは2013年のエイプリルフールに「子ども大統領」を登場させ、世界中で話題となりました。
⑨ PR TIMES「April Dream」(2020年~)
PR TIMESは、嘘をついてもよいエイプリルフールを、叶えたい夢を語る日に変えるプロジェクト「April Dream(エイプリルドリーム)」を2020年からスタートさせています。
このプロジェクトは、企業が「叶えたい夢」を発信し、企業の理念や想いをあらためて従業員に行動指針を示す取り組みです。「夢」の発信を行うことで、それに共感した仲間やビジネスパートナーが現れる可能性にもつながります。
このプロジェクトに共感し、PR TIMESを通じてプレスリリースを出す企業も多いようです。Qbookを運営するバルテス株式会社でも、過去に「April Dream」のプレスリリースを出しています。
April Dreamの詳細やプロジェクトの参加方法については以下のページをご確認ください。
5. エイプリルフールにルールやマナーはある?
5-1 「嘘は午前中、午後はネタばらし」は本当?
たまに、エイプリルフールの嘘は午前中までで、午後はネタばらしをするルールがあるという話を聞くことがあります。
これは、イギリスの「オークアップルデー」のルールのようで、日本では一般的ではありません。ただ、エイプリルフールの嘘をつきっぱなしにするのはやめた方がよさそうです。
5-2 「他愛のない嘘でみんなが笑顔になる日」
では、エイプリルフールにはルールやマナーがないかというと、そうではなさそうです。エイプリルフールは「他愛のない嘘でみんなが笑顔になる日」です。基本的にみんなが笑顔になれる後腐れのないネタを投下するよう心がけるのがマナーだと言えそうです。
- みんなが笑顔になれる嘘をつく
- ネタばらしは早めに(その日のうちに終わらせる)
- 後腐れがないように心がける
ネタの作り方ですが、これは「習うより慣れろ」の一面もあります。過去の名作をたくさん見て、上手な嘘をつく(ネタを投下する)感覚を感じ取ってみてください。自然に(?)新ネタを生み出せるかもしれません。
まとめ
エイプリルフールはSNSを中心に、毎年、かなり話題になります。
4月1日の昼ごろには第一弾のまとめ記事が出始めて、翌日にはもう、まとめ、分析が大量に出揃います。
新聞などでも特集記事が組まれることもあるので、興味のある方はぜひ注目してみてください。