Webサイトやアプリでは、ユーザーが必要とする機能やコンテンツを備えているだけでなく、使いやすさも求められます。そこで、Webサイトやアプリ等の使い勝手を確認するテストがユーザビリティテストです。
今回は、Webサイトやアプリの課題やユーザーの使用感を知るための「ユーザビリティテスト」についてご説明します。
「ユーザビリティテスト」とは
ユーザビリティテストとは、ユーザーにとっての「使用性(使いやすさ)」をテストすることです。
ユーザビリティテストの1つの方法として、ユーザーにWebサイトやアプリを実際に利用してもらい、行動観察やヒアリングにより、Webサイトおよびアプリの課題発見やユーザー心理の分析を行うというものがあります。
正しい「ユーザビリティ」
正しくユーザビリティを考えるには、まずサイトではなく、サイトの「ターゲット」は誰で、どのような状態・目的で使用しているのかを考え、ターゲットのユーザーが状況や目的に応じてサイトが使いやすいものかどうかを判断します。
このように、ターゲットユーザーや利用シーン・状況を想定してテストすることにより、ターゲットとするユーザーの利用目的や利用シーンに合わせた使いやすいWebサイトやアプリとなっているか、ユーザーが求めているコンテンツや機能が不足していないかを確認することができます。
なぜユーザビリティテストは必要なのか
ここでは、Webサイトやアプリの開発にユーザビリティテストが必要な理由をご紹介します。
【1】開発側は完全にはユーザー視点を持てない
「開発側がユーザビリティを確認すれば良いのではないか」とお考えの方もいるかもしれませんが、開発側はユーザー視点を持ちにくいものです。開発者は「求められた仕様をどうやって実現するか」という点に思考が偏りがちで、使い勝手まで手が届きにくいためです。
また、何度も自分のサイトやアプリを開発の際に見ているため、固定観念や思い込みにより、課題が見つけにくいという面もあります。
ユーザビリティテストによってユーザーの視点が反映されることで、Webサイトやアプリの課題を見つけやすくなります。
【2】ユーザー視点を伝えられない
社内の開発以外のメンバーにWebサイトやアプリを見せて、改善点を指摘してもらうという方法もありますが、開発メンバーにユーザー視点を正しく伝えることは簡単ではありません。Webサイトやアプリの設計意図が十分に理解されていないだけだと判断され、改善点が反映されないこともあります。
ユーザビリティテストから分かること
ユーザビリティテストを実施することにより、ターゲットユーザーの以下のことが分かるようになります。
ユーザーの心理が理解できる
ユーザビリティテストを行うことで分かるのは、「ユーザーの関心事項」「ユーザーの不安や疑問」「ユーザーの興味やニーズ」です。
例えば、ターゲットユーザーが若年層の場合、開発側はユーザーの心理に気付けないことが考えられます。しかし、ユーザビリティテストを実施してユーザー心理を理解することで、サイトコンテンツの充実や機能性の向上につなげられます。
ユーザーの行動を分析して仮説を立てられる
アクセス解析とは、Webサイトやアプリに計測ツールを導入し、ユーザーの行動を分析する方法です。Webサイトのアクセス解析の場合、どのページがよく閲覧されていて、どのページの離脱率(他サイトに移動・ブラウザを閉じるユーザーの割合)や直帰率(他のページを閲覧せずに他サイトに移動・ブラウザを閉じるユーザーの割合)が高いのかは分かります。
しかし、よく閲覧されている理由や離脱率や直帰率が高い原因までは分かりません。そのため、原因について仮説を立てる際にユーザビリティテストを利用すると効果的です。
ただし、ユーザビリティテストだけでは定量的な情報が得られません。そこで、ユーザビリティテストと定量的な情報が得られるアクセス解析を併用して、ユーザビリティテストに基づいた仮説をアクセス解析で検証すると良いでしょう。
おわりに
本稿では、ユーザビリティテストについてご紹介しました。ユーザー視点を取り入れるためにはユーザビリティテストが欠かせません。ユーザビリティテストを実施することよって、Webサイトやアプリの課題や足りないコンテンツ、ユーザーのニーズなどが明確となり、Webサイトやアプリの品質向上や目標達成につなげることができます。
ただし、ユーザビリティテストからは定性的な情報しか得られないため、定量的な情報が得られるアクセス解析と併用することをおすすめします。