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品質向上を加速させるシフトレフトとは?基本からポイントまで解説
開発全般

更新日:

2026.02.04
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品質向上を加速させるシフトレフトとは?基本からポイントまで解説

執筆: Qbook編集部

ライター

ソフトウェア開発の現場において、「開発スピード」と「品質」の両立は常に大きな課題です。「納期を守るためにテスト期間を短縮したいが、品質は落としたくない」と悩む開発者も少なくないのではないでしょうか。

こうした課題を解決する手法として、近年「シフトレフト」が注目を集めています。シフトレフトには手戻りの減少やコスト削減など、多くのメリットがあります。

今回は、シフトレフトの基礎知識や導入するメリット、具体的なプロセスをまとめて解説します。シフトレフト成功のポイントも紹介するため、ぜひ参考にしてください。

もくじ
  1. シフトレフトとは:テスト工程を前倒しするアプローチ
  2. シフトレフトを開発に取り入れるメリット
  3. シフトレフトの導入に必要なプロセス
  4. シフトレフトを成功させるためのポイント
  5. まとめ

1. シフトレフトとは:テスト工程を前倒しするアプローチ

シフトレフト(Shift Left)とは、ソフトウェア開発においてテスト工程や品質保証(QA)を従来よりも前倒しで行うアプローチです。開発の初期段階から不具合やリスクを検出することで、修正にかかる手間を最小限に抑える狙いがあります。

ソフトウェア開発では下に示すV字モデルのように、「要求分析→要件定義→基本設計→詳細設計→コーディング」を経て、「単体テスト→結合テスト→システムテスト→受け入れテスト工程表の左から右へ「要件定義→設計→実装→テスト→リリース」のように進めていくことが一般的です。通常、テスト工程はV字モデルの右側に位置しますが、これを左側の「設計」や「実装」の段階へ移すことから、シフトレフトと呼ばれます。

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似た言葉に、後に実施するタスクを前倒しで進める「フロントローディング」があります。前倒しする点はシフトレフトと同じですが、フロントローディングは必ずしもテスト工程に限定されません。一方、シフトレフトは「テストや品質保証の早期化」に特化して使われる点が特徴です。

シフトライトとの違い

シフトレフトと対になる言葉に「シフトライト(Shift Right)」があります。テスト工程を「左にシフト」するシフトレフトに対し、シフトライトは「右(リリース後の運用フェーズ)にシフト」するアプローチです。シフトする方向が反対になっているのが明確な違いとなります。

ソフトウェアのリリースは、テスト工程で品質問題を解消してから行うのが一般的です。しかしシフトライトでは、リリース後の本番環境でもテストや監視を継続します。テスト工程をリリース後まで拡張し、ユーザーの声を取り入れて改善していくのが特徴です。

両者は重視するポイントが異なります。不具合の予防や品質確保を目指す場合はシフトレフト、ユーザー体験の向上や実環境での確認を重視する場合はシフトライトが適しています。排他的なものではなく、両方を組み合わせることも可能です。

シフトレフトが注目される理由

シフトレフトが注目される背景には、「DevOps」や「DevSecOps」といった開発手法の普及があります。これらは開発(Development)や運用(Operations)、セキュリティ(Security)を統合し、短いサイクルでリリースを繰り返す手法です。

多様化・変化する市場のニーズに対応するためには、開発サイクルを短縮し、機能を素早くユーザーへ届けるDevOpsなどの手法が欠かせません。しかし、テスト工程を最後にまとめて行う従来のアプローチでは、このスピード感についていくことが困難です。

そこで、開発の初期段階から品質を作り込むシフトレフトの重要性が高まりました。シフトレフトを導入すれば、開発の初期段階からテストやセキュリティ対策を組み込めるようになり、品質の確保と高速なリリースの両立が可能になります。

2. シフトレフトを開発に取り入れるメリット

シフトレフトを開発に取り入れるメリットは、主に次の3つです。

メリット①品質リスクに早期対応できる

シフトレフトを取り入れると、不具合や設計ミスなどの品質リスクに早期対応できます。

開発の最終段階に行うテストで致命的な品質問題が見つかると、リリースへの影響は避けられません。場合によっては設計からやり直す必要も出てくるでしょう。設計や実装の段階で品質リスクを発見し、早期に対処すれば、こうした事態を防げます。

メリット②開発コストの削減を図れる

シフトレフトを取り入れることで、開発コストの削減を図れます。不具合は、発見が遅れるほど修正コストが増大する傾向があります。仮に実装後のテストで不具合が発覚すると、コードの修正や再テストといった多くの作業が必要です。

しかし、シフトレフトによって要件定義や設計段階で不具合の芽に気づければ、ドキュメントの修正だけで済みます。後々の手戻りを最小限に抑えることで、無駄な工数が減り、開発全体のコスト削減につながるのです。

メリット③セキュリティ強化につながる

シフトレフトは、前述したDevSecOpsと組み合わせることで、セキュリティ強化につなげられます。DevSecOpsは、開発とセキュリティを人・プロセス・技術の各側面から統合し、セキュリティ対策を前倒しで進めるアプローチです。

たとえば、要件定義レビューにセキュリティの専門家を参加させたり、実装と並行して静的解析ツールでセキュリティリスクを診断したりします。こうした取り組みを通して、早期段階から脆弱性(セキュリティ上の弱点)を作り込まない開発を実現できます。

3. シフトレフトの導入に必要なプロセス

シフトレフトは単に「テストを早くやる」だけでは定着しません。導入するためには、多角的に取り組むことが求められます。

ここでは、シフトレフトの導入に必要な3つのプロセスを解説します。

プロセス①自動テストの仕組みづくり

開発の初期段階で頻繁にテストを行うためには、手動テストだけでは限界があります。そこで重要になるのが、テストの自動化です。適切なツールを組み合わせながら、自動テストが行える仕組みを整備しましょう。

代表的なアプローチは、実装からビルドやテスト、環境へのデプロイといった一連の流れを統合する「CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)」です。CI/CDツールを適切に組み込めば、実装後に自動でテストを行い、即座にフィードバックが得られる環境を作れます。

プロセス②チーム体制・連携体制の整備

人的な取り組みとして、シフトレフトに対応したチーム体制・連携体制の整備も不可欠です。従来は工程ごとに担当が分断されがちでした。しかしシフトレフトでは、開発の初期段階から開発チームやQAチーム、運用チームなどが連携できる体制が求められます。

たとえば、要件定義や設計のレビューにQAチームが参加すれば、開発段階では見逃されやすい非機能要件などの品質リスクを早期に検出できます。また、運用チームとも連携し、実際の運用リスクを設計に反映させることが理想です。

初期段階での工数投入は、一時的にコストが増加するように見えるかもしれません。しかし、後工程での手戻りや修正工数を大幅に削減できるため、プロジェクト全体で見ればコストの最適化につながります。

各チーム内でも、外部チームとの連絡窓口を明確にし、情報共有の流れを確立しましょう。

プロセス③開発プロセスの見直し

従来の開発プロセスを見直すことも欠かせません。要件定義や設計、実装といった工程にテスト活動を組み込めるよう、ルールを抜本的に見直す必要があります。工程ごとに必要な成果物やフォーマット、合格基準など、幅広く検討しましょう。

例として、次のような取り組みが考えられます。

  • 要件定義書や設計書のレビュー者にQA担当者を含める
  • 「静的解析ツールに合格していること」をコードレビューの開催条件とする
  • 設計書のフォーマットにテストの観点やセキュリティ要件を含める

「作ったものを後からテストする」のではなく、「作りながらテストする」という前提に立って検討することが大切です。

4. シフトレフトを成功させるためのポイント

大きな変革をともなうシフトレフトは、一朝一夕で成し遂げられるものではありません。成功させるためのポイント3つを押さえておきましょう。

ポイント①組織文化として定着させる

シフトレフトの取り組みを進めるのは、組織に関わる人々に他なりません。そのため、新しい取り組みを組織文化として定着させる必要があります。

最も重要なのは、組織全体の意識を変えることです。「品質管理はQAチームの仕事」という意識から、「全員で品質を作り込む」という文化へ転換しなければなりません。経営層や各チームのリーダーが、その重要性を繰り返し伝えていくことが大切です。

また、不具合が見つかった際に個人を責めるような風土は避けるべきです。「なぜ起きたのか」を追求し、仕組みで解決する姿勢を育てましょう。心理的な安全性が保たれてこそ、積極的な改善活動が生まれます。

ポイント②継続的に改善していく

新しいツールやプロセスを導入しても、最初からすべてが順調に進むとは限りません。自動テストの保守に手間取ったり、チーム間の連携不足で混乱したりすることもあるでしょう。発生した課題にはその都度対処し、改善を続けていくことが大切です。

上手くいかない部分があれば、ルールの見直しも検討すべきです。一度決めたやり方に固執せず、組織に合った形へ柔軟に変えていきましょう。

ポイント③テスト教育やスキル向上を推進する

シフトレフトを実践するためには、開発者にもテストの知識が求められます。テスト自動化ツールやCI/CDツールなどを使いこなすスキルも欠かせません。一方、QA担当者にも開発や設計に関する理解が必要です。

しかし、社内研修やOJTだけでは体系的な知識を身につけるのが難しいケースもあります。その際は、社外の教育サービスを活用するのも1つの手です。

弊社では、品質保証のプロが教える教育サービスを提供しています。テストの基礎からテスト自動化、セキュリティまで、実務に役立つスキルを習得できます。組織やチームのスキルアップを図りたい場合は、ぜひご活用ください。

5. まとめ

シフトレフトとは、ソフトウェア開発においてテスト工程や品質保証を従来よりも前倒しで行うアプローチです。開発スピードが求められる現代において、手戻りを防ぎながら高品質なソフトウェアを提供するための有力なアプローチといえます。

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