「マインドマップ」は頭の中で思い描いている思考を「見える化」するための手段の一つです。ビジネスだけでなく、就職活動や教育といった幅広いシーンで活用されている手法です。またエンジニアの仕事においてもシステム開発における要件定義やテスト分析などに活用することができます。
マインドマップの活用を考えているものの、作成方法を把握していないビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。
本記事では、ビジネスにおけるマインドマップの基礎知識からメリット、活用法、作成方法まで幅広くお伝えします。
- もくじ
1.マインドマップとは
マインドマップとは、頭の中にある考えを地図のように表現して可視化する手法のことです。心(マインド)を地図(マップ)で表現することからマインドマップと呼ばれます。
地図の中心に何らかのテーマを書き、そこから関連する情報を枝状につなげていくのがポピュラーな書き方です。情報と情報を枝のようにつなげる点で、人間の脳内の記憶システムに似ています。下図は「趣味」をテーマに据えたマインドマップの簡単な例です。
ただし実際には、マインドマップにはさまざまな表現方法があります。たとえば、下図のようにテキストで簡易的に表現するものも一種のマインドマップです。
マインドマップの表現方法はさまざまですが、情報を枝のように派生させて表現することを覚えておきましょう。
2.マインドマップをビジネスに活用するメリット
マインドマップにはメリットが多くあるため、ビジネスで幅広く活用されています。マインドマップをビジネスに活用する主なメリットは、次の4つです。
- 思考がスムーズになる
- 情報の過不足に気づきやすくなる
- 考えを他人と共有できる
- 忘れても後から見返せる
それぞれ解説していきます。
2-1 思考がスムーズになる
頭の中だけで数多くの情報を整理しようとすると、思考に時間がかかってしまいます。マインドマップでは、関連する情報同士を枝で結びつけながら整理することが可能です。多くの情報を階層立てて可視化できるため、思考がスムーズになるでしょう。マインドマップの作成段階で情報を整理できるだけでなく、作成後に俯瞰することで自らの思考を再確認できます。
2-2 情報の過不足に気づきやすくなる
マインドマップで整理することで、情報の過不足に気づきやすくなります。マインドマップで表現すれば、同じ階層に何の情報があるのかが一目瞭然です。たとえば先ほどのマインドマップでは、趣味に「音楽」「料理」「スポーツ」「読書」の4つの枝があるとすぐにわかります。他にも「旅行」や「ゲーム」という枝を忘れていたとしても、すぐに気づけるでしょう。
2-3 考えを他人と共有できる
作成したマインドマップは、紙やデータとして記録が残ります。そのため、マインドマップで可視化すれば、自分の考えを他人と手軽に共有できます。先輩からアドバイスをもらったり、後輩に自分の考えを教えたりすることも可能です。他の人がアクセスできる場所に保管すれば、情報共有が容易となるでしょう。
2-4 忘れても後から見返せる
備忘録として使えることも、マインドマップのメリットです。優れたアイデアが思い浮かんだとしても、人間は忘れてしまうことがあります。しかし、マインドマップを紙やデータとして残しておけば、手違いがない限り消失することはありません。たとえ忘れてしまったとしても、マインドマップを後から見返せば思い出せます。
3.ビジネスにおけるマインドマップの活用法5選
さまざまなビジネスシーンでマインドマップは活用されています。しかし、具体的に活用法がイメージできない方も多いでしょう。ここでは、ビジネスにおけるマインドマップの活用法を5つ紹介します。
3-1 システム開発における要件定義やテスト分析
マインドマップは、システム開発における要件定義やテスト分析で効果的です。
要件定義では、必要な機能や求められる性能といった要件を漏れなく洗い出さなければなりません。マインドマップで階層的に可視化すれば、要件の過不足に気づきやすくなるでしょう。顧客と要件をすり合わせる際の補足資料としても活用できます。
また、開発したシステムのテスト分析では、テストすべき機能や入力項目、観点などを明確にする必要があります。マインドマップで整理することで、テストすべき要素の漏れも防ぐことが可能です。
3-2 プレゼンテーション
マインドマップは、さまざまな場面のプレゼンテーションでも役立ちます。相手がその分野に詳しくない場合、文章だけだとイメージが伝わらないことも少なくありません。しかし、スライドに表示されたマインドマップを使いながら説明すれば、話を聞く側は直感的にイメージしやすくなります。マインドマップは図形や線を組み合わせるだけで作成できるため、手軽にスライドに取り入れることが可能です。
3-3 戦略・計画の立案
経営やプロジェクトの戦略・計画を立案する際にもマインドマップが効果的です。たとえば目標達成に向けて必要なタスクや、自社やチームの強み・弱みなどを細分化しながら洗い出せます。マインドマップによって意思決定の解像度が上がり、より深掘りしながら戦略や計画の立案が可能です。また、経営陣やチームメイトと手軽に共有できることもメリットといえます。
3-4 ブレインストーミング
多数のアイデアをチームで出し合いながら方向性を固めていく「ブレインストーミング」にもマインドマップは有効です。マインドマップでは1つの枝に多数の枝を伸ばせるため、アイデアを柔軟に列挙できます。お互いのマインドマップをブレインストーミングで共有すれば、スムーズにミーティングを進められるでしょう。商品企画やプロセス改善など、さまざまなブレインストーミングで活用できます。
3-5 議事録の作成
議事録の作成時にもマインドマップが役立ちます。打ち合わせにおける議論の内容や、今後のアクションアイテムなどを整理することで漏れを防止することが可能です。視覚的に理解しやすくなるため、議事録を読む関係者の負担も減らせるでしょう。テキスト形式の簡易的なマインドマップでも、ある程度の視覚的な効果が期待できます。
4.マインドマップの大まかな作成方法
マインドマップをビジネスに活用する場合、正しい手順で作成することが大切です。ここでは、ポピュラーなスタイルのマインドマップを作成する際の流れを紹介します。
ステップ1 メインテーマを中心に書く
冒頭でもお伝えしたとおり、まずはメインテーマを中心に書きましょう。メインテーマは長文ではなく、簡潔なワードで表現するのが理想です。何をメインテーマに据えるかで、最終的なマインドマップも変わってきます。マインドマップを使う目的に合わせて、適切なメインテーマを考えることが重要です。
ステップ2 メインテーマにブランチ(枝)を付ける
中心に据えたメインテーマに対して、ブランチ(枝)を付けていきます。ブランチの数はいくつあっても構いません。メインテーマと直接的に関連する要素を考え、放射状にブランチを付けましょう。たとえば「環境問題」をメインテーマとした場合、「地球温暖化」「海洋汚染」「森林破壊」といったブランチが考えられます。
ステップ3 各ブランチにさらなるブランチを付ける
各ブランチに関連する要素を考え、さらなるブランチを付けていきましょう。たとえば「地球温暖化」というブランチに対しては、「温室効果ガスの増加」「ヒートアイランド現象の進行」といったブランチが考えられます。「海洋汚染」や「森林破壊」に対しても、同じようにブランチを付けていきます。以降は同じ要領で、ブランチを細分化していきましょう。
ステップ4 マインドマップ全体を俯瞰して手直しする
ひと通りブランチを付けた後は、マインドマップ全体を俯瞰します。過不足があったり、階層構造が正しくなかったりする箇所もあるでしょう。細かい問題を手直しすることで、マインドマップの完成度を高めていきます。
5.マインドマップ作成ツールを活用するのも効果的
以前は、マインドマップといえば紙に手書きして作成するものでした。しかし昨今では、パソコンで使えるマインドマップ作成ツールが普及しています。マインドマップ作成ツールを使えば、誰でもきれいにマインドマップを作成でき、共有や管理も容易です。マインドマップを作成する際には、こうしたツールの活用も考えるとよいでしょう。
次の記事では、「XMind」というマインドマップ作成ツールの使い方を紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
まとめ:マインドマップをビジネスに有効活用しょう
マインドマップとは、頭の中にある考えを地図のように表現して可視化する手法のことです。メインテーマを中心に書き、そこからブランチ(枝)を付けていきます。思考がスムーズになる、情報の過不足を防げる、など多くのメリットがある手法です。
マインドマップは汎用性が高く、システム開発における要件定義やテスト分析などさまざまなビジネスシーンで活用されています。
今回の内容を参考にして、マインドマップをビジネスに活用してみてはいかがでしょうか。