大手IT企業が多額の投資をするなど、新たなテクノロジーである「メタバース」が世界的に注目を集めています。昨今の日本でも、ビジネスやエンターテイメントにメタバースを活用するケースは増えています。しかし、メタバースという名前は聞いたことがあっても、その意味や活用シーンをイメージできない人は多いのではないでしょうか。
本記事では、メタバースとは何かというの基礎知識やおすすめのプラットフォーム7つを紹介します。さらに記事の後半では、ビジネスとしてのメタバースの利用方法や課題も解説しますのでぜひ最後までご覧ください。
- もくじ
1.メタバースとは
メタバースは、「超越した」を意味するメタ(meta)、「世界」を意味するユニバース(universe)を組み合わせた言葉です。つまりメタバースとは、「超越した世界」であるインターネット上の仮想空間を指します。メタバースのユーザーは、アバター(化身)として仮想空間に入り込むことが可能です。
メタバースという言葉自体は1990年代から存在していますが、注目されるようになったのは2021年頃のことです。アメリカのMeta社(旧Facebook社)がメタバースを中核にした事業方針を打ち出したことから、日本でも注目されるようになりました。
【メタバースとVR/ARの違い】
メタバースと混同されやすいVRやARとの違いは以下の通りです。
- メタバース...VRやARの技術を活用して構築される「超越した世界」。昨今では、VRにより仮想空間を構築するVRメタバースがポピュラーとなっています。
- VR(仮想現実)...仮想空間を現実世界のように表現する技術。VRの活用には、専用のヘッドセットやゴーグルが必要です。たとえば、世界の観光スポットをVRで再現することで、現地にいなくても旅行の疑似体験ができます。
- AR(拡張現実)...現実の空間に仮想的な要素を組み合わせて表現する技術。たとえば、実習生の作業中にARで3Dガイドを表示することで、実践学習がスムーズになります。「ポケモンGO」など。
2.メタバースのプラットフォームとは
メタバースを活用するうえで、プラットフォームは欠かせません。プラットフォームとは、サービスやシステムを動かすために「土台」となるソフトウェアや機器のことです。メタバースにおいては、「超越した世界(仮想空間)」にアクセスするための窓口を指します。
メタバースのプラットフォームは、Webサービスやスマホアプリなどさまざまです。具体的なプラットフォームは後ほど紹介しますが、それぞれ構築されている世界はまったく異なるのが特徴です。
3.メタバースのプラットフォームおすすめ7選【比較一覧表】
メタバースのプラットフォームは種類が多く、「どれを選ぶべきかわからない」という人も少なくありません。ここでは、おすすめのメタバースプラットフォームを7種類ご紹介します。
プラットフォーム名 | 主な用途 | 対応機器 |
---|---|---|
VMVerse(ブイエムバース) | 展示会・ショールーム・住宅展示等 | パソコン/スマートフォン/VRデバイス |
cluster(クラスター) | 他人との交流・イベント開催等 | パソコン/スマートフォン/VRデバイス |
Horizon Workrooms(ホライズンワークルーム) | リモート会議等 | パソコン/スマートフォン/VRデバイス |
V-expo(ブイエキスポ) | 社内イベント・セミナー・学校行事・交流会・メタバース制作等 | PC、タブレット、スマートフォン |
CYZY SPACE(サイジー スペース) | 展示会・イベント・オープンキャンパス・ショールーム等 | PC、スマートフォン |
HIKKY(ヒッキー) | バーチャルマーケット等 | PC、スマートフォン |
ZIKU(ジクウ) | イベント・展示会開催等 | PC、スマートフォン |
3-1 VMVerse(ブイエムバース)
「VMVerse(ブイエムバース)」は、「BtoBtoC向け」の利用に対応した体験型メタバースプラットフォームです。
Web上で、レイアウト、管理、決済機能の設定をすることができます。(アプリダウンロード不要)
またオリジナルの3Dモデルをアップロード可能なので販促につなげることができます。オンライン決済機能を容易に実現できるのも強みです。展示会やショールーム、住宅展示などに利用してみるとよいでしょう。
3-2 cluster(クラスター)
出典:メタバースプラットフォーム cluster(クラスター)
「cluster(クラスター)」は、日本で初めてリリースされたメタバースプラットフォームです。
SNSのように普段使いできるのが特徴で、一般ユーザー同士の交流が日々活発に行われています。法人向けのサービスも提供しており、100万円からでメタバース空間でのイベント開催が可能です。
3-3 Horizon Workrooms(ホライズンワークルーム)
出典:Meta Horizon Workrooms | バーチャルな作業空間
「Horizon Workrooms(ホライズンワークルーム)」は、FacebookやInstagramの開発元として知られるMeta社が提供しているメタバースプラットフォームです。
ビジネス利用に特化しており、企業専用のオフィスを構築してリモート会議やプレゼンテーションなどが行えます。同社製のVRヘッドセット「Meta Quest 2」を導入することで、より臨場感のある体験を味わえます。
3-4 V-expo(ブイエキスポ)
「V-expo(ブイエキスポ)」は、パソコンやスマホのWebブラウザで見られるバーチャルイベント・レンタルスペースです。
搭載されている音声システムは距離感や方向性を再現するため、コミュニケーションをスムーズに行うことができます。開催したいイベントに合わせて5つの開催タイプから選んで使用することができ、主に社内イベントや・セミナー、交流会などで使用されています。
また、サポート体制が充実しているため、メタバースの導入が初めての企業でも安心です。
3-5 CYZY SPACE(サイジー・スペース)
出典:メタバース® CYZY SPACE | メタバース・プラットフォーム
「CYZY SPACE(サイジー・スペース)」はビデオ通話・AIアバター・ChatGPT接客機能付きのVR空間・メタバースを簡単に構築・運営・カスタマイズできるサービスです。
スマホやWEBブラウザで利⽤することができます。
また、多くの場合、仮想空間における空間デザインは既存のテンプレートを使用しますが、CYZY SPACEではオリジナルの仮想空間の構築サービスを展開しています。そのため、システムやデザインのカスタマイズが可能です。
3-6 HIKKY(ヒッキー)
「HIKKY(ヒッキー)」とは、世界規模の展示即売会として話題になった「バーチャルマーケット(通称Vket) 」の運営を手がけたプラットフォームです。オープンメタバースを重要視したサービスを数多く展開しています。
HIKKYでは、クリエイターが国内外で好きなライフスタイルを楽しみながら、自由にコンテンツを制作できる環境の整備を目指しています。完全オーダーメイドでイベントをプロデュースしているため、ジャンルを問わず幅広い事業で集客や販促に役立てることができます。
3-7 ZIKU(ジクウ)
ZIKU(ジクウ)は、ビジネスに特化したメタバースプラットフォームです。
リアルイベントのような臨場感のあるオンラインイベントを実現することができます。また、来場者の行動履歴を閲覧できるため、興味度を確認しながら的確な接客が可能です。
4.メタバースのプラットフォームでできること
メタバースは、プラットフォームによって用途が異なります。用途に合わせたプラットフォームを利用すれば、さまざまなことが実現可能です。
ここでは、メタバースのプラットフォームで主にできる5つのことを紹介します。
4-1 他人との交流
メタバースではテキストチャットや音声チャットなどを用いて、他人との交流が可能です。メタバース空間には、自分以外にもさまざまなユーザーがアバターとして入り込んでいます。同じメタバース空間にいるユーザーと出会い、オンラインでつながれるのはメタバースの魅力といえるでしょう。プラットフォームによっては、ユーザーが独自のメタバース空間を創造し、ほかのユーザーを招待することもできます。
4-2 ゲームの制作
ゲームの制作において、メタバースを取り入れるケースは珍しくありません。たとえば、バトルロワイアルゲーム「フォートナイト」では、UEFN(Unreal Engine for Fortnite)というプラグイン機能を使うことで、ユーザー独自のゲームを制作できます。独自ゲームの制作やほかのユーザーが制作したゲームをプレイすることに加え、プラットフォームによってはゲームで作成した「NFT(デジタル資産)」を売買することが可能です。
4-3 ビジネスとしての取引
ビジネスとしての取引をメタバースで行うことも可能です。仮想通貨を取り入れているプラットフォームは多く、メタバース空間上の土地やキャラクターなどの売買が行えます。また、NFTを採用するプラットフォームも珍しくありません。メタバースでは、こうしたデジタル資産の取引によって利益を得ることも可能なため、ビジネスの取引を行う場所として注目する人も増えています。
4-4 リモート会議
メタバースは対外的なビジネスだけでなく、社内でも活用されています。プラットフォームによっては、企業専用のメタバース空間を構築できます。メタバース化した自社オフィスに社員がアバターとして入り込み、リモート会議を行うことも可能です。通常のリモート会議よりも、実際に会議室にいるような没入感が味わえるでしょう。
4-5 イベント開催
メタバース空間をイベント開催の場として活用するケースも増えています。企業にとっては、対面でのイベントにかかる費用を削減できるのが大きなメリットです。オンラインでも参加者同士がリアルタイムで交流でき、ユーザーにとっても現地に足を運ばずに済むメリットは大きいでしょう。プラットフォームによっては、企業だけでなく、個人がメタバースイベントを主催することも可能です。
5.企業がメタバースのプラットフォームを利用する際の課題
幅広い用途での活用が期待されているメタバースには、利用上の課題もあります。特に、ビジネスへの活用を考える企業にとっては、課題の把握が欠かせません。企業がメタバースのプラットフォームを利用する際の課題は、主に次の3つです。
5-1 セキュリティ性の確保
企業がメタバースを導入するうえでは、セキュリティ性の確保が必要です。メタバースプラットフォームの多くはセキュリティを十分に考慮しているものの、サイバー攻撃のリスクもゼロではありません。たとえば海外では、ハッキングにより多額の仮想通貨が盗まれた事例もあります。
そのため、企業側でもセキュリティ性を確保することが求められます。セキュリティ性の高いプラットフォームを選ぶ、安全な利用ルールを策定する、などの対策が必要です。
5-2 社員への教育
メタバースを安全かつ効果的に利用するためには、社員への教育も欠かせません。
メタバースの導入に対する社員の理解が得られなければ、導入しても浸透しないでしょう。また、利用ルールが社員へ周知されていない場合、不正利用が横行するケースもあります。導入前に、メタバースの重要性や利用方法などの社内教育を行いましょう
5-3 適切な予算管理
企業がメタバースを導入する場合、一般的にそれなりのコストがかかります。プラットフォームの利用自体に料金が発生しなくても、必要な機器の導入コストや教育コストは発生するでしょう。また導入の初期段階では、業務フローの移行にともなう人件費の増大も考えられます。
こうしたコストが予算を圧迫し、期待ほどの費用対効果が得られないケースもあるでしょう。メタバースの導入を成果につなげるためには、適切な予算管理が必要です。必要コストの正確な見積もりや予算確保、予算に応じた機器の選定などを行いましょう。また、メタバースの導入後も費用対効果の分析が大切です。
まとめ:メタバースのプラットフォームを活用して次世代のビジネスを
メタバースとは、インターネット上で構築される仮想空間を指します。メタバースのプラットフォームは、「超越した世界(仮想空間)」にアクセスするための窓口です。
今回は以下7つのメタバースプラットフォームをご紹介しました。
- VMVerse(ブイエムバース)
- cluster(クラスター)
- Horizon Workrooms(ホライズンワークルーム)
- V-expo(ブイエキスポ)
- CYZY SPACE(サイジー・スペース)
- HIKKY(ヒッキー)
- ZIKU(ジクウ)
メタバースのユーザーは、アバター(化身)として仮想世界に入り込むことが可能です。イベント開催やリモート会議、デジタル資産の取引など、ビジネスとしての活用も注目されています。
今後、さらにメタバース技術が進歩していく中で、これまで解決できなかった課題解決や次世代のビジネスに活用することも可能になるでしょう。