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「RFID」と「NFC」と「FeliCa」の違いは?電子決済を使うなら知っておきたいあれこれ

執筆: Qbook編集部

ライター

「RFID」と「NFC」と「FeliCa」の違いは?電子決済を使うなら知っておきたいあれこれ

電子決済では、RFID(無線周波数識別)技術が欠かせないものとなっています。

最近では多くの人が利用している電子決済サービス(Apple Pay、Google Pay、おサイフケータイなど)や、主に交通機関で利用するサービス(Suica、PASMOなど)は「RFID」「NFC」「FeliCa」といった技術がなければ成立しません。

ただ、実際にはこれらの違いがあまり理解されることなく利用されていたり、悪意を持った者による「スキミング」などの犯罪に利用されるリスクがあったりします。

そこでこれらの技術の共通手、相違点、リスクなど、利用する際に知っておきたい基本をまとめました。

もくじ
  1. 「RFID」と「NFC」と「FeliCa」それぞれの概要
    1. RFIDとは?
    2. NFCとは?
    3. FeliCaとは?
  2. 「RFID」と「NFC」と「FeliCa」の共通点と違い
    1. それぞれの共通点は?
    2. それぞれの違いは?
  3. それぞれの活用事例を見てみる
    1. RFIDの活用事例
    2. NFCの活用事例
    3. FeliCa活用事例
  4. 「スキミング」等の犯罪に注意
  5. まとめ

1.「RFID」と「NFC」と「FeliCa」それぞれの概要

今、スマートフォンなどで広く、便利に使われている電子決済システムに欠かせない技術が「RFID(無線周波数識別)」「NFC(近距離無線通信)」「FeliCa(フェリカ)」です。今や、しっかり私たちの日常生活に深く根付いた技術といってよいでしょう。

これらはすべて非接触型の通信技術で、密接な関係があります。まず大枠としてRFIDが存在しており、その中で交信距離の短い無線識別を行うのがNFC、さらにその中にある独自規格がFeliCaです。下の図のような関係です。

RFID.png

「RFID(無線周波数識別)」「NFC(近距離無線通信)」「FeliCa(フェリカ)」について、それぞれ解説していきます。

1-1 RFIDとは?

「RFID」は「Radio Frequency IDentification」の頭文字を取った略語で、「無線周波数識別」の意です。

無線(周波数)を使って、ICチップに情報を保存したRFIDタグから識別情報を読み取ったり、タグと通信をしたりして、情報をやり取りする技術です。

RFIDの通信方式と通信距離はいくつか通信方式があり、方式によって最大で7m前後での通信が可能になっています。このRFIDの中に後述するNFCとFeliCaが含まれています。

1-2 NFCとは?

「NFC」は「Near Field Communication」の頭文字を取った略語で、直訳に近いですが、「近距離無線通信」です。

RFIDの技術をもとに作られた、その名の通り近距離の無線通信技術です。近距離というだけに通信範囲は約10cmと近いのが特徴で、ICチップを内蔵したNFCタグを使って識別情報を無線でやり取りします。

ポイントは世界共通の規格であることです。業界標準団体NFCフォーラムによって規格が定義されています。NFCフォーラムは2004年に、NXPセミコンダクターズ(当時はフィリップス)、ソニー、ノキアによって設立されました。

NFCは、2011年ごろ、Androidスマホに搭載されるようになり、iOSのiPhoneでは、iPhone6からiPhone7の時期にNFCへの対応が進みました。スマホの急速な普及に伴ってNFCが広まって電子決済などで広く活用されるようになり、生活に根付いていったと感じている方も多いかもしれません。

1-3 FeliCaとは?

「FeliCa(フェリカ)」は、ソニーが開発した「非接触ICカード技術」です。フィーチャーフォン(feature phone:高度機能を持つ携帯電話)時代、俗にいうガラケー時代から日本で広く普及していました。

「Suica」や「PASMO」などの交通系ICカードや「おサイフケータイ」といった電子マネー系のサービスに採用されたことで知られています。

「FeliCa」は、「Felicity」と「Card」が合わさってできた語で、「Felicity」は「至福」「幸福」「適切」の意があります。"幸せカード"的な意味があるようです。

NFCの一種とされ、特徴は高速処理が可能なこととセキュリティが強固なことです。そのため、自動改札機で使う交通系ICカード等とは相性が良く、日本では広く普及しています。

2.「RFID」と「NFC」と「FeliCa」の共通点と違い

2-1 それぞれの共通点は?

共通点

  • 非接触通信をする
  • 活用範囲が広い

「RFID」、「NFC」、「FeliCa」の3つの技術は、ここまで見てきた通り、すべて無線周波数を利用してICチップと迅速なデータ交換を可能にする技術という点で共通しています。非接触通信を可能にすることで、スムーズに情報をやり取りできるようになり、電子決済や商品管理といった、様々な用途で活用され、急速に広まっています。

3者は近い関係にあります。RFIDが基本となる多目的な技術で、NFCはRFIDをもとに短距離通信に特化した技術です。そして、FeliCaはNFCに速度面などで独自の機能を追加したり、セキュリティ面を強化したりした、独自のバリエーションとなっています。

2-2 それぞれの違いは?

大きな違い

  • 通信距離(RFIDは約7m、NFC・FeliCaは約10cm)
  • FeliCaは日本中心に普及している

「RFID」、「NFC」、「FeliCa」の違いは、それぞれに与えられた特性が異なり、適用される用途が異なることです。最も大きな違いといえば、通信距離でしょう。

RFIDは、7m前後の情報交換が可能で、商品の管理や追跡などに利用されます。一方、NFCは至近距離(10cm)に特化しているため、電子決済等に適しています。FeliCaはNFCの一種といますが、独自の高速化やセキュリティ強化がされている点、さらにいえば日本中心に普及していることが大きな違いだといえます。

小さな違い

  • 通信速度やセキュリティレベルなどで細かな相違がある

通信速度やセキュリティレベル等による細かな違いも存在します。そのため、開発側がRFIDまたはNFC、FeliCaをプロダクトで利用することを考えた場合は、それぞれの技術がどのような状況や用途で最も効果を発揮するか細かく検討する必要があります。逆に、利用者側は技術の進歩により、スマホアプリの違いが気になるくらいで、あまり気にする必要がなくなってきているようです。

3.それぞれの活用事例を見てみる

ここまで見てきたようにRFID、NFC、FeliCaは、それぞれ異なる特性を持つため、用途に応じて使い分けられています。ポイントは通信距離かもしれません。それぞれの活用事例をご紹介します。

3-1 RFIDの活用事例

RFID技術は、小売業界における在庫管理や医療業界での患者追跡、製造業での資産管理、物流と輸送における資産のリアルタイム可視性の提供など、様々な分野で活用されています。

また、イベント管理やアクセス制御、ペットトラッキングなどにも広く使われています。

  • 図書館・レンタルビデオ等の貸出し管理
    RFIDタグを本やブルーレイディスク等に貼り付けて、貸出しや返却を効率化しています。
  • 物流倉庫の在庫管理
    アパレル業界などでは、商品タグにRFIDを使って商品管理を効率化しています。
  • レジ等の会計処理の高速化
    店舗で商品や皿(回転寿司店等)にRFIDタグを付け、会計スピードを上げる試みもされています。
  • 医療の効率化
    医療の現場では活用が進んでいます。RFIDで患者の位置を把握し、安全性の向上を図り、医療機器に取り付けて管理小売雨を上げる等しています。血液バンクでは、血液袋にRFIDを付けて動きを把握し、緊急時の迅速な対応と安全性の確保を実現しています。
  • 製造業の効率化
    製造業では、ツールや機器にRFIDタグを付け、効率よく機器を使い、ダウンタイムを防ぐ試みがなされています。
  • スポーツ記録やイベントでの活用
    ランナーの体にRFIDを付け、正確にタイムを測ったり、イベントの入場者管理をしたりするのにRFIDが使われています。

3-2 NFCの活用事例

NFC技術は、「Apple Pay」や「Google Pay」といったスマホの電子決済サービスで活用されています。また、Wi-FiやBluetoothの接続時の設定を簡単にするためにも使われます。

  • スマートフォンの電子決済
  • パソコンやスマホの設定
  • スマートロック
    スマートフォンやスマートウォッチ、カード、鍵等にNFCを入れ、電子鍵として使用するケースがあります。
  • 家電や機器との連携
    NFCタグを搭載した機器のボタンを押すとスマホや他の機器(エアコン、テレビ)が起動するように設定するために用いられています。

3-3 FeliCa活用事例

FeliCaは、SuicaやPASMOなどの交通系ICカードに広く利用されており、日本では一般的です。タクシーやバスの電子決済サービス等、交通機関での利用、コンビニでの決済など、幅広く使われています。

  • 交通系ICカード
    Suica、PASMO、ICOCAなど、日本を中心に公共交通機関で50種類以上採用されています。
  • 電子マネー決済
    楽天Edy、nanaco、WAONといったプリペイド型電子マネー、QUICPay、iDといったポストペイド型電子マネーに採用されています。 おサイフケータイでも使われています。
  • 学生証/教職員証/社員証
  • チケット(JAL タッチ&ゴーサービス等)
  • 身分証(マイナンバーカード対応等)
  • 家電との連動

4.「スキミング」等の犯罪に注意

「RFID」、「NFC」、「FeliCa」はとても便利な技術ですが、悪意のある他者に不正に情報を読み取られる「スキミング」等の犯罪に利用されることがあります。

スキミングとは、特殊な機器を使って、「RFID」、「NFC」、「FeliCa」の情報を盗み取る犯罪で、以前からクレジットカードなどで行われ、問題となっていました。最近になり、犯罪の手口も高度化、巧妙化しているため、スキミング等の泥棒から、情報を保護するための対策が必要となっています。

特に、電子商取引に採用され、公共の場で使われるケースが多い「NFC」と「FeliCa」のタグがスキミングの標的になりやすいとされています。

「NFC」と「FeliCa」は上で述べたように約10cmの通信距離ですが、スキミングに用いられる装置は、一部報道によると3mほど離れた距離から、情報を不正に読み取ることができるとされています。

こういった犯罪から身を守るには、まず、セキュリティ対策をしっかり行うことが大切になります。基本は、電子商取引のサービス提供者から提供されるセキュリティ対策や警告にも留意することスマホや電子機器を利用している場合は、それらの基本的なセキュリティ対策を行うことです。

気になる場合は、RFIDブロッキング機能を備えたケースやカバン、財布等を使用することもポイントになります。海外旅行用のパスポートケースやカードケースには、RFIDブロッキング機能を備えたものも増えているようです。

まとめ

「RFID」、「NFC」、「FeliCa」の概要は以下の通りです。

  • 「RFID(無線周波数識別)」...無線(周波数)を使って、ICチップに情報を保存したRFIDタグから識別情報を読み取ったり、タグと通信をしたりして、情報をやり取りする技術
  • 「NFC(近距離無線通信)」...RFIDの技術をもとに作られた、その名の通り近距離の無線通信技術
  • 「FeliCa(フェリカ)」...ソニーが開発した「非接触ICカード技術」

上記3つは電子決済や商品管理などの分野で重要な無線通信技術として活躍しています。これらの技術を理解し、適切に利用することで、日常生活をより便利で安全に過ごすことができます。

ただ、スキミングなどの犯罪リスクがあることも意識して、適切なセキュリティ対策を講じておくようにしましょう。

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執筆: Qbook編集部

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バルテス株式会社 Qbook編集部。 ソフトウェアテストや品質向上に関する記事を執筆しています。