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エンタメ 2024.04.24
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ハッカー・プログラマが活躍する映画・ドラマ 21選(ネタバレなし)

執筆: 大木 晴一郎

ライター

ハッカー・プログラマが活躍する映画・ドラマ 21選(ネタバレなし)

ITエンジニア不足といわれる今日このごろ。IT業界の「花形」といえば、やはりプログラマでしょう。プログラマも属性(!?)によってハッカー、クラッカー等々いろいろな呼ばれ方をしますが、ここではその差異にはあえて踏み込まず、ハッカーやクラッカー、プログラマが登場する映画やドラマをネタバレなしでピックアップしてみたいと思います。意外と迷作が多いといわれることもあるので、お休みの時などに、ぜひその目でお楽しみください。

もくじ
  1. 作中に登場する「プログラマ」について
  2. 敵でも味方でもハラハラ...『スリルとサスペンス』編
    1. プログラマ、ハッカーが存在感を発揮する映画
    2. ドラマ・アニメでもプログラマが活躍
  3. 「現代の目」で見るとどんな感じ? 『過去の名作』編
  4. あの日あの時、あの場所で IT企業興亡史編
  5. まとめ:「マジックに注意!」

1.作中に登場する「プログラマ」について

映画やドラマには、昔から数多くのプログラマが登場してきました。制作者はITやプログラミングについて調べ上げて作品世界に取り入れていますが、同時に、制作時の世相と流行も作品世界に反映させています。そのため、作中に登場するプログラマ、ハッカー、クラッカー像には世相が反映されています。「作品制作当時の世相とプログラマ、ハッカー像」の組み合わせを鑑賞するのも楽しみの一つだと思います。

プログラマが登場する映画、ドラマには、たいてい何名かの「天才プログラマ」が登場します。神がかったスキルを持つ「天才ハッカー」や「天才エンジニア」が現れ、かなり奇抜な方法で窮地を逃れたりしますが、多くの場合、「天才」は「作中最強を示す称号」であったり「賢いキャラクター」的な意味として、気楽に受け止めるのが良いようです。個人的な感想としては「極端な人が多い」気がしますし、ハッキング技術は魔術か魔法のように描かれていることが多い気がします。ファンタジー作品なら、魔術師や魔法使いといったところでしょう。「肩の力を抜く」がポイントかもしれません。

2.敵でも味方でもハラハラ...『スリルとサスペンス』編

2-1 プログラマ、ハッカーが存在感を発揮する映画

『ミッション:インポッシブル3』(2006)

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出典:映画.com

スリルとサスペンスが味わえる、ハッカーが登場する映画と聞いて『ミッションインポッシブル』シリーズを思い浮べる方も多いかもしれません。例えば『ミッション:インポッシブル3』(2006)以降に登場するスパイ「ベンジー・ダン」はITと機材を担当しています。ベンジーの登場シーン以外にも、作中、やや魔術的ですが多くのハッキングシーンが描かれている大娯楽作です。

配信:Amazon Prime Video、Hulu、Netflix、U-NEXT等

『ピエロがお前を嘲笑う』(2014)

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出典:映画.com

続いて、ちょっとシビアな作風なのが、ドイツ映画『ピエロがお前を嘲笑う』(2014)。天才ハッカーが登場するクライムミステリー映画です。「1本取られた」と思わせるスリリングな展開が見もので、ハリウッドでリメイクされるといいます。

配信: Amazon Prime Video、Hulu、U-NEXT、RakutenTV、FODプレミアム等

『ドラゴン・タトゥーの女』(2011)

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出典:映画.com

『ドラゴン・タトゥーの女』(2011)は、スウェーデンの映画『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(2009)のハリウッドリメイク作です。原作は作家スティーグ・ラーソンの小説『ミレニアム』三部作。天才女性ハッカー、リスベット・サランデルが40年前に起きた失踪事件の捜査で活躍します。

配信:Amazon Prime Video、U-NEXT、RakutenTV、TELASA、Netflix、ABEMA等

『コードガール: 女子高生プログラマたち(CODEGIRL)』(2015)

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出典:Filmarks

少し毛色が異なるのが『コードガール: 女子高生プログラマたち(CODEGIRL)』(2015)。社会問題を解決するアプリ開発に挑戦する女子高生たちを追ったドキュメンタリー映画です。リアルなプログラミングの世界が垣間見える意味でスリリングだと感じられるかもしれません。

『ブラックハット』(2015)

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出典:映画.com

"悪質ハッカー"を意味する単語がそのまま映画タイトルになっているのが『ブラックハット』(2015)です。原子力発電所がブラックハットの攻撃を受けたことからストーリーがはじまり、この解決にあたるのが服役囚で腕の立つハッカーで、アメリカと中国の合同捜査が展開される......という濃い作品になっています。

配信: Amazon Prime Video、U-NEXT、RakutenTV

『ブラック・ハッカー』(2014)

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出典:映画.com

『ブラック・ハッカー』(2014)もズバリ直球のタイトル。サイコパスのハッカーに狙われた女優を守る男性を中心に物語が展開します。

『ブラック・ハッカー』(2014) Amazon Prime Video、U-NEXT

『電気海月のインシデント』(2019)

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出典:RakutenTV

日本で話題となったのが、正義のハッカー(ホワイトハッカー)をテーマにした『電気海月のインシデント』(2019)です。本物のハッカーに取材してディテールを作り上げ、ハッカーvsハッカーの頭脳戦が描かれています。

配信: Amazon Prime Video、RakutenTV

『Winny』(2023)

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出典:映画「Winny」公式サイト

外せないのが、伝説のプログラマ金子勇氏を取り上げた『Winny』(2023)でしょう。⾰新的なファイル共有ソフト「Winny」を巡る動きが描かれ、開発者とは何か? という問いを投げかけてきます。

配信:Amazon Prime Video、U-NEXT、RakutenTV、TELASA等

2-2 ドラマ・アニメでもプログラマが活躍

『MR.ROBOT』(2015~2019)

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出典:映画.com

『MR.ROBOT』(2015~2019)は4シーズン続いた人気作です。天才ハッカーvs巨大利権悪徳企業が基本図式ですが、当時、ハッキング技術やディテールの描き方がリアルだと評されました。

配信: hulu、Amazon Prime Video、Youtube等

『ベータス』(2014)

ベータス.jpg

出典:映画.com

ITスタートアップの姿を描いた『ベータス』(2014)には多くのプログラマが登場します。1シーズンで終了してしまいましたが、「ITスタートアップあるある話」だということで一部から共感を得ていたようです。

配信:Amazon Prime Video

『ブラック・ミラー』

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出典:Netflix

Netflixのドラマ『ブラック・ミラー』は、1話完結のSFオムニバスドラマとして人気を博していますが、プログラマが登場する回もあります。なかでもスペシャル版の『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』は特殊な"演出"で話題になりました。ゲームプログラマ作成したゲーム「バンダースナッチ」を巡る不思議なストーリーを体感してみてください。

配信:Netflix

『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』(2005)

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出典:Netflix

アニメ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』(2005)には、犯罪者ハッカー「笑い男」が登場します。科学技術が大きく発達した日本が舞台となるSF世界で、ハッキングの問題が鋭く描かれています。

配信:Netflix、Amazon Prime Video、U-NEXT等

『科捜研の女』

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出典:TELASA

警察の科学捜査をテーマにした連続ドラマシリーズ『科捜研の女』には、何度かAIが登場しています。シーズン22となる『科捜研の女 2022』第2話には「25年前に死んだはずの、AIと一体化した天才プログラマ」が登場し、榊マリコにスリリングなクイズ勝負を仕掛けてきます。SFドラマではないのでリアリティのある展開が見所です。その前年、2021年の『season21』第8話のタイトルは「マリコvs殺人AI」。AI研究者が事件のカギを握っています。AIとフェイクニュースがテーマの一つとなるシーズン21の最終話「最終回2時間スペシャル」にもこのAI研究者が関わってきます。

配信:『科捜研の女 2022』第2話 TELASA、テレ朝動画、U-NEXT・『科捜研の女 season21』第8話、最終話 TELASA、テレ朝動画

3.「現代の目」で見るとどんな感じ? 『過去の名作』編

ここまでは主に21世紀になってからの作品を紹介しましたが、少し遡って過去の名作を紹介したいと思います。ハッカー(クラッカー)登場する映画として話題になった映画として、『TRON』(1982)や『ウォー・ゲーム』(1983)が印象に残っているというオールドファンの方もいらっしゃるかもしれません。

『トロン(TRON)』

トロン.jpg

出典:映画.com

『トロン(TRON)』は世界で初めて全面的にCGを使用した映画として有名です。今見ると、そのレトロ(!?)な画面が逆に新鮮です。主人公はゲームプログラマです。現実世界とコンピュータ世界を行き来する世界観はまさにサイバーパンクのイメージ。2010年には、28年ぶりとなる続編『トロン:レガシー』が封切られ、話題となりました。これ以降、『トロン』は『トロン:オリジナル』と表記されることが多いようです。

配信:『トロン:オリジナル』(1982) Amazon Prime Video、ディズニープラス、RakutenTV等

『トロン: レガシー』(2010) Amazon Prime Video、ディズニープラス、TELASA等

『ウォー・ゲーム』

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出典:映画.com

『ウォー・ゲーム』は、少年ハッカーが全面核戦争の危機を引き起こしてしまうサスペンス。コンピュータ制御による戦争システムの危険性を示しています。

『スニーカーズ』(1992)

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出典:Filmarks

コンピュータハッキング、ソーシャルハッキング、セキュリティハッキングなどを多様に描いた『スニーカーズ』(1992)も印象深い作品です。ロバート・レッドフォードやリヴァー・フェニックスなど名優ぞろいの話題作で、ハイテク映画の原点とされることが多いようです。

配信:Amazon Prime Video

『サイバーネット』(1995)

サイバーネット.jpg

出典:映画.com

当時、日本では未公開ながら、ハッカー同士の戦いを描いた『サイバーネット』(1995)はポップにハッカーを描いた作品として知られています。
その後のメタバース系作品群に影響を与えた......かもしれません。

『ザ・インターネット』(1995)

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出典:Filmarks

『ザ・インターネット』(1995)も印象深い作品です。初期のインターネットを舞台にしたストーリーは、フロッピーディスクを発端にスタートします。のちに「2」も制作されています。

配信:Amazon Prime Video、U-NEXT、RakutenTV

『老人Z』(1991)

老人Z.jpg

出典:Filmarks

SFアニメ映画『老人Z』(1991)は、高齢化社会と介護問題を正面から取り上げた一作。老人ハッカーが活躍します。現代にも通じるテーマを取り上げ、時にコミカルでありながら、人間の尊厳とは何かと問いかけてくる作品です。

配信:Amazon Prime Video、U-NEXT

4.あの日あの時、あの場所で IT企業興亡史編

少し、プログラマのテーマから逸れるかもしれませんが、時間のある時に、ビッグテック(Google、Apple、Meta、Amazon、Microsoft)の歴史に映画からアプローチしてみるのも良いかもしれません。

『ソーシャルネットワーク』(2010)

ソーシャルネットワーク.jpg出典:映画.com

例えば、『ソーシャルネットワーク』(2010)は、Facebookの設立と関連訴訟の動きを創業者マーク・ザッカーバーグの視点から展開する伝記映画。第83回アカデミー賞では、主演したジェシー・アイゼンバーグの主演男優賞など3部門を受賞した大ヒット作です。創業者の葛藤を描き出しているといわれています。

配信:Amazon Prime Video、U-NEXT、RakutenTV、TELASA、Netflix、ABEMA等

『バトル・オブ・シリコンバレー』(1999)

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出典:Filmarks

『バトル・オブ・シリコンバレー』(1999)は、ドキュメンタリータッチで描かれるビル・ゲイツ(Microsoft)vsスティーブ・ジョブズ(Apple)の物語。注意が必要なのはフィクションだということです。重要なので繰り返しますと、綿密な取材を基にしたフィクションです。"取扱注意"の作品といってよいでしょう。ちなみに、ビル・ゲイツは「Altair BASIC」の開発者としても知られています。

配信:Amazon Prime Video

まとめ:「マジックに注意!」

プログラマやハッカーが登場する映画、ドラマを見ると、怒り出す現役プログラマ(エンジニア)がいる......という「あるある」が語られることがあります。この手の映画はなぜか、情報を得ようなどと実用的な意味で過度に期待されることが多いようですが、冒頭でもお伝えしたように、やはりプログラミングやハッキングは「魔術」的ニュアンスで描かれていることが多いようなので、「マジック」を見るようなつもりで、気持ちのバランスを取って鑑賞するのがポイントの気がします。

ここに面白い動画があります。現役ハッカーであるOpenpath社の創業者サミー・カムカー氏が映画のハッキングシーンの問題点を指摘するものです。WIRED.jpによるもので日本語字幕もつけられているので、「マジック」のネタバレを楽しむ感覚でご覧ください。

> 現役ハッカーが、映画の「ハッキングシーン」の矛盾点を解説【Part1】

> 現役ハッカーが、映画の「ハッキングシーン」の矛盾点を解説【Part2】

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執筆: 大木 晴一郎

ライター

IT系出版社等で書籍・ムック・雑誌の企画・編集を経験。その後、企業公式サイト運営やWEBコンテンツ制作に10年ほど関わる。現在はライター、企画編集者として記事の企画・編集・執筆に取り組んでいる。