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マネジメント 2024.04.05
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「PM」と「PMO」の違いとは? 役割・必要なスキルから関連資格まで紹介

執筆: 飯岡 真志

ライター

「PM」と「PMO」の違いとは? 役割・必要なスキルから関連資格まで紹介

プロジェクト管理に関する用語にはアルファベットの略称が多く使われています。

「PM」と「PMO」、どちらもよく目にする略称ですが、それぞれが表すものは異なります。

今回の記事では「PM」と「PMO」、そしてその周辺に関する知識を紹介します。

もくじ
  1. 「PM」と「PMO」の違いは?
    1. PMは「プロジェクトマネージャ」
    2. PMOは「プロジェクトマネジメントオフィス」
  2. 「PM」の3つの役割と必要なスキル
    1. PMの3つの役割
    2. PMに必要なスキル
  3. 「PMO」を導入するメリット・デメリット
    1. PMOを導入するメリット
    2. PMOの導入がデメリットになるケース
  4. PM、PMO関連の資格は?
    1. PMの資格
    2. PMOの資格
  5. まとめ

1.「PM」と「PMO」の違いは?

PMとPMO、どちらもよく見聞きする略称ですが、両者はまったく別のものを表しています。それぞれ解説します。

1-1 PMは「プロジェクトマネージャ」

PMとは「プロジェクトマネージャ(Project Manager)」であり、日本では「プロマネ」と略されることもあります。

PMは文字通りプロジェクトの計画・管理・運営に関する責任者という立場・職務を表します。

PMについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

1-2  PMOは「プロジェクトマネジメントオフィス」

PMOとは「プロジェクトマネジメントオフィス(Project Management Office)」であり、PMによるプロジェクトマネジメントを支援するための部門・チームのことを表しています。

PMOの役割はPMの支援であり、プロジェクトの体制としてはPMの下にPMOがつくという立ち位置が一般的です。

▼PMOと同時に取り上げられることが多い「QMO(Quality Management Office)」についてはこちらの記事をご覧ください。

2.「PM」の3つの役割と必要なスキル

前章で説明したように、PMは任されたプロジェクトに関する責任者であり、その範囲はプロジェクトの開始前から終了までにおよびます。

PMに求められる3つの役割と必要なスキルについて解説します。

2-1 PMの3つの役割

①目的の決定

PMは最初にプロジェクトの目的を決定します。顧客が訴える課題をどのような手法で解決するのか? という目的を設定します。特に大規模なプロジェクトにおいては、最初から完璧に目的を設定することは困難であり、プロジェクトを進めていくうちに目的が多少変化することもあります。その際の微調整もPMの役割です。

②チームの結成

プロジェクトの目的が決定したら、そのプロジェクトを成し遂げるために、どのようなスキルを持ったメンバーがどれくらい必要になるのかを検討して、プロジェクトに参画するメンバーを集めます。社内からだけでは十分なリソースを揃えられない場合は、アウトソース先を選定し、必要なメンバーを揃えます。

③プロジェクトの管理

必要なメンバーが揃いプロジェクトが動き始めたら、PMはそのプロジェクトの管理を行います。プロジェクトにはスケジュールが決まっており、使える予算(バジェット)も決められています。もしプロジェクトの一部で遅延が発生していることがわかったら、その原因を探り、追加の人員の割り当てる等の対策を実施します。

そしてプロジェクトが成功裏に終了した場合は、上手く進められた要因をまとめ、仮に失敗した場合でも失敗に至った原因を探り、関係者に確実に伝えるところまでがPMの役割です。

2-2 PMに必要なスキル

PMに必要なスキルとして、まず大切なのが、コミュニケーション力です。

プロジェクトの担当メンバー、所属する企業の上役、顧客など多くの関係者とコミュニケートし、情報を過不足なく伝えなければなりません。なぜなら、多くの失敗事例の要因として情報共有の不足が挙げられるからです。

また関係者との信頼関係を築き、それを維持できる能力も必要です。そのためには、付け焼き刃ではない豊富な知識と経験を元に信頼される発信を続けていかねばなりません。「この人に任せれば成功するだろう」と思ってもらえることが大切です。

その他、コストやスケジュールの管理スキルも大切です。PMはプロジェクトの総責任者ですから、予算の範囲内で期限内にプロジェクトを完了させることが求められます。これらのPMに必要なスキルを備えた人物は、ビジネスマンとしても一流に見えますね。逆に一流のビジネスマンならPMとして成功できるということかもしれません。

▼エンジニアに求められるソフトスキルについてはこちら

3.「PMO」を導入するメリット・デメリット

次に「PMO」について、導入するメリットとデメリットになるケースについて解説します。

3-1 PMOを導入するメリット

プロジェクトの大規模化、複雑化により、PMの負荷が高まります。

そのため、PMが最終的な決定をスムースに行えるように、必要な支援を行うチームとしてPMOが必要です。

また、複数のプロジェクトが並行して動いている規模の企業では、プロジェクトを横断するかたちでPMO部門を社内に持つという例もあります。このようなPMOは全プロジェクトの状況を把握するために必要であり、この規模の企業ではPMO部門の必要性は高まっています。

新たにPMOの導入を検討するべきなのは、例えば状況が把握しづらかったり、出てくる書類の質が低かったりといった課題が見えやすいプロジェクトからでしょう。社内でPMOのスキルを持ったメンバーを集められないこともあると思いますが、そのような場合には外部のPMOに入ってもらうことも検討するとよいでしょう。

★QMOと連携することも

QMO(Quality Management Office:組織的な品質管理活動)とPMOは相性が良く、PMOがQMOを行って、品質の高い状態を維持し、PMだけでなくプロダクト全体を品質面からサポートするケースも増えています。このように、PMをサポートする活動の幅を品質面からも広げられるのがPMO設置のメリットといえます。

3-2 PMOの導入がデメリットになるケース

PMOの導入がデメリットになる場合もありえます。

例えば、プロジェクトの管理(の支援)をするPMOと実際の作業を進める現場のメンバーとの間に意見の食い違いが生じることがあります。また本来はPMの役割であるプロジェクト管理をPMOが行うことで、PMの存在意義が薄れチームの統一感が薄まってしまうこともありえます。

このようなことを防ぐには、PMとPMOの職務分掌を明確化しておくことが必要です。

4.PM、PMO関連の資格は?

ここでPM、PMO関連の資格について確認しておきましょう。

4-1 PMの資格

代表的なPMの資格は、主に2つあります。

PMP

PMP(Project Management Professional)は、米国の非営利団であるプロジェクトマネジメント協会(Project Management Institute、PMI)が主催する国際的な資格です。IT分野に限らず、さまざまなプロジェクトを対象としています。PMPの試験を受験するためには、3~5年(最終学歴により異なる)のプロジェクトマネジメントの実務経験が必要であり、誰でもすぐに取得できる資格ではありません。また申請書類の手続き等はすべて英文で記述する必要があるため、英語力を備えていることも必要になります。

国内においては、PMPの資格を持つことで、転職の際など実際的に役立ったと考える資格保有者が多いようです。また国際資格であるため、将来海外での就職を考えている場合にも、自身のスキルを表す証左とできるでしょう。実際、入札案件の要件としてPMPが挙げられる場合もあります。

プロジェクトマネージャ試験

プロジェクトマネージャ試験は情報処理技術者試験の一つであり、プロジェクトの立案・管理・運用能力を問われます。情報処理技術者試験は1から4のスキルレベルに分類されますが、プロジェクトマネージャ試験はレベル4に含まれています。独立行政法人の情報処理推進機構(IPA、Information-technology Promotion Agency)が主催しています。IT業界では非常に人気の高い国家資格です。プロジェクト参画者をまとめるリーダーシップに加えて、使われる要素技術への深い理解、関連する法令に関する知識などが求められるため、エンジニア等の実務経験も必要とされています。

人気の資格であるプロジェクトマネージャ試験ですが、その難易度は高く、発表されている合格率は15%未満、約6、7人に1人という狭き門となっています。しかも受験者の大半が情報処理技術者試験のレベル1から3の合格者であることからも、その難易度の高さが伺えます。そして、その分社会的な需要も高くなっており、高難度ですが挑戦しがいのある資格と言えます。

4-2 PMOの資格

PMOの資格としては、日本PMO協会が認定する「NPMO認定資格」が挙げられます。

そのうち総合的な資格として3つの資格をご紹介します。

プロジェクトマネジメント・アソシエイト

プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格(PJM-A)は、プロジェクトマネジメントに関する基礎的なスキル・知識を問われるものです。基礎的な資格であり、業務経験等の受験資格はなく、誰でも受験できますが、日本PMO協会が認定する教材による学習(eラーニング)を修了している必要があります。

PMOスペシャリスト(★)

PMOスペシャリスト(★)認定資格(PMO-S(★)、シングルスター)はPMOに特化した資格で、PMOに関する基本的な知識を身につけた上で、PMOの導入手順など実際的な技術の習得が求められます。受験資格として業務経験等は問われませんが、日本PMO協会が認定する教材による学習の修了に加えて、プロジェクトマネジメント関連の資格を保有していることが必要になります。プロジェクトマネジメント関連の資格には、上述のプロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格のほか、他団体が認定する資格も有効です。

PMOスペシャリスト(★★)

PMOスペシャリスト(★★)認定資格(PMO-S(★★)、ダブルスター)は、PMO-S(★)取得者に向けたより高度な資格であり、PMOにおけるリーダーとなれるレベルの知識・技術が問われます。受験資格として業務経験等は問われませんが、日本PMO協会が認定する教材による学習の修了に加えて、PMO-S(★)資格を保有していることが必要になります。

なお、PMO-S(★★)の上の資格として、PMO-S(★★★)も検討されているようで、2022年9月現在は策定中となっています。

まとめ

PMとPMOは似ている言葉ですが意味は異なります。

PMとは、「プロジェクトマネージャ(Project Manager)」で、プロジェクトの計画・管理・運営に関する責任者という立場・職務を表します。

PMOとは「プロジェクトマネジメントオフィス(Project Management Office)」で、PMによるプロジェクトマネジメントを支援するための部門・チームのことを表します。

PMOの役割はPMの支援であり、プロジェクトの体制としてはPMの下にPMOがつくという立ち位置が一般的です。

大規模なプロジェクトにおいては、PMをサポートするPMOが必要になります。PM、PMOの資格を取得しておくことで、自分が大規模なプロジェクトに適した人材であることをアピールすることができます。スキルアップの一つとして知識を得るだけでなく、資格の取得も検討しておくとよいでしょう。

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執筆: 飯岡 真志

ライター

フリーランスライター&エディター。アスキー(アスキー・メディアワークス)で技術系雑誌の編集に携わり、2013年以降はフリーランス。