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AI関連 2024.04.01
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AI時代に重要になる「プロンプトエンジニアリング」とは?具体例と設計の流れ

執筆: Qbook編集部

ライター

AI時代に重要になる「プロンプトエンジニアリング」とは?具体例と設計の流れ

「ChatGPT」をはじめとした生成AIの活用が進むなかで、「プロンプトエンジニアリング」という言葉を耳にする機会も増えてきました。

プロンプトエンジニアリングはソフトウェア開発者のみならず、AI時代のビジネスパーソンにとって重要な概念です。

今回は、プロンプトエンジニアリングとは何か、基本からわかりやすく解説します。

重要性や流れ、ChatGPTにおける具体例も紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。

もくじ
  1. プロンプトエンジニアリングとは?
    1. プロンプトエンジニアリングとは
    2. 「プロンプト」とは
    3. プロンプトエンジニアリングの目的
  2. プロンプトエンジニアリングの具体例(ChatGPT)
  3. プロンプトエンジニアリングが重要な理由
    1. 生成AIの普及で需要が高まっている
    2. 仕事としても注目されている
  4. プロンプトエンジニアリングを行う際の大まかな流れ
    1. 生成AIの利用環境構築
    2. ゴールの明確化
    3. プロンプトの設計
    4. プロンプトの評価・最適化
  5. プロンプトエンジニアリングの学習方法
    1. ガイドラインを参照する
    2. 学習本を読む
    3. サンプルを参考にする
    4. SNSなどで事例を参考にする
  6. まとめ

1. プロンプトエンジニアリングとは?

まずは、「プロンプトエンジニアリング」の概要と、そもそも「プロンプト」とはどういったものなのか、そしてプロンプトエンジニアリングの目的について解説します。

1-1. プロンプトエンジニアリングとは

プロンプトエンジニアリングとは、対話型AI(人間と自然に対話できるAI)へ送る「プロンプト」を設計・最適化するための作業全般です。

AIにコンテンツの生成能力を持たせた「生成AI」の普及により、注目されるようになりました。

昨今ではプロンプトエンジニアリングといえば、生成AIに対する作業を指すケースが大半です。

1-2. 「プロンプト」とは

プロンプトの本来の意味は、ソフトウェアのユーザーに入力を促す文字列のことです。

たとえば、「ユーザー名を入力してください」といった画面上の文字列は一種のプロンプトといえます。ただし、生成AIが普及した昨今では、意味合いが少し変わっています。

生成AIにおけるプロンプトは、「ユーザーが送る指示内容」のことです。生成AIは、ユーザーからのプロンプトに従ってコンテンツを生成します。

たとえば、ChatGPTに「東京の首都を教えてください」と質問する場合、この文字列自体がプロンプトです。そしてプロンプトエンジニアリングは、この指示内容を設計・最適化することを指します。

1-3. プロンプトエンジニアリングの目的

プロンプトエンジニアリングの主な目的は、生成AIに適切な指示を与え、求める回答を引き出すことです。生成AIが出力する回答は、プロンプトの内容次第で大きく変わってきます。求める回答に直結しないプロンプトでは、高品質な回答は期待できません。

しかし、プロンプトエンジニアリングによりプロンプトを最適化すれば、少ない指示で求める回答を生成AIから得られます。結果として、生成AIとの対話作業の効率化にもつながるでしょう。

2. プロンプトエンジニアリングの具体例(ChatGPT)

プロンプトエンジニアリングについてイメージが湧かない人も多いでしょう。

イメージを持てるように、ChatGPTにおけるプロンプトエンジニアリングの具体例を紹介します。

たとえば、ゲーム開発プロジェクトにおいて「キャラクター設定のたたき台」を作成したいとしましょう。この場合は、次のようなプロンプト設計が例として挙げられます。

あなたは一流のゲームクリエイターです。以下の#制約条件と#入力文をもとに、新作ゲームのキャラクター設定を考えてください。

#制約条件
・キャラクター設定は#フォーマットの形式で出力してください。
・意外性のある設定を最低1つは入れてください。
・デザインがしやすいよう、キャラクターの見た目に関して詳細に記載してください。
・入力文に「おまかせ」と記載されている項目は、あなたが独自に考えてください。

#入力文
・キャラクター名:
・年齢:
・性別:
・職業:

#フォーマット
キャラクター名:
年齢:
性別:
職業:
外見:
性格:
特技:
弱点:
背景:
口調:

上記のプロンプト設計を用いれば、#入力文に最低限の情報を入れてChatGPTに与えるだけで、キャラクター設定を作成できます。

このようなプロンプトの設計を考え、求める回答が正確に得られるように最適化するのがプロンプトエンジニアリングです。

3. プロンプトエンジニアリングが重要な理由

プロンプトエンジニアリングは近年、業種を問わず重要性が増している概念です。ここでは、プロンプトエンジニアリングが今後さらに注目され重要となっていく理由について解説します。

3-1. 生成AIの普及で需要が高まっている

手軽に利用できる生成AIが登場し、ビジネスでの活用も進んできました。

生成AIの普及により、プロンプトエンジニアリングの需要が高まっています。プロンプトエンジニアリングによって生成AIの活用効率が高まり、業務効率アップにつながるためです。

用途にあわせて適切なプロンプトを送らなければ、生成AIとの対話が増え、かえって業務効率が低下する場合もあります。

生成AIを業務効率化につなげるためには、プロンプトエンジニアリングのスキルが鍵となります。今後も生成AIが普及していけば、プロンプトエンジニアリングのスキルはさらに価値が高まるでしょう。

3-2. 仕事としても注目されている

昨今では、プロンプトエンジニアリングを専門とする職種「プロンプトエンジニア」の存在も知られるようになりました。

海外では高収入を実現するプロンプトエンジニアも存在し、注目度が高まっています。

日本の求人サイトでも、プロンプトエンジニアの募集が少しずつ増えつつあります。プロンプトエンジニアリングのスキルを身につければ、これからの仕事で活用できる場面は多くなるでしょう。

4. プロンプトエンジニアリングを行う際の大まかな流れ

プロンプトエンジニアリングは、正しい手順で進めていくことが大切です。プロンプトエンジニアリングを行う際の大まかな4ステップを知っておきましょう。

4-1. 生成AIの利用環境構築

前提として、プロンプトエンジニアリングには生成AIの利用環境が不可欠です。

たとえばChatGPTを用いる場合、アカウント作成や利用するためのパソコンが必要となります。生成AIを利用できるように環境構築を行いましょう。

4-2. ゴールの明確化

次に、プロンプトエンジニアリングにおけるゴールを明確化します。

先ほどの例であれば、「キャラクター設定のたたき台を作成できること」がゴールとなります。プロンプトエンジニアリングでどのような回答を得たいのか考えましょう。

4-3. プロンプトの設計

続いて、生成AIから求める回答を引き出せるプロンプトを設計します。ゴールに向けて必要な情報を整理し、構造化してプロンプトを作成しましょう。

生成AIのプロンプトは、主に次の4つの要素で構成されます。これらの要素に沿って設計するとよいでしょう。

構成要素 概要
命令 どのようなタスクを実行させたいか
文脈 理解させておくべき背景や条件はあるか
入力 どのような情報を入力するか
出力 どのような形式で出力させたいか

4-4. プロンプトの評価・最適化

最後にプロンプトの評価・最適化を行います。

具体的には、設計したプロンプトを実際に生成AIへ送り、どのような回答が得られるのかを確認及び評価します。

求める回答が得られなければ、設計したプロンプトを調整する必要があります。出力と調整を繰り返し、プロンプトを最適化しましょう

5. プロンプトエンジニアリングの学習方法

プロンプトエンジニアリングのスキルを身につけるためには学習が不可欠です。プロンプトエンジニアリングの学習方法としては、次の4つが挙げられます。

5-1. ガイドラインを参照する

「Prompt Engineering Guide」と呼ばれるプロンプトエンジニアリングのガイドラインを参照するのが効果的です。

プロンプトエンジニアリングの基本事項について体系的に記載されているため、学習の指針を定める際に役立ちます。

ただし、海外サイトで日本語訳されていないページもあるため、必要に応じてブラウザの翻訳機能を活用しましょう。

5-2. 学習本を読む

プロンプトエンジニアリングに関して学習できる書籍も増えています。プロンプトエンジニアリングの学習本を読むことで、体系的に必要なノウハウの習得が可能です。

たとえば、「88歳、トミ爺。ChatGPTをSwiftUIのコーディングメンターにする!これでアプリ開発も挫折しらずに」という書籍では、ChatGPTをアプリ開発のメンターにする方法が紹介されています。シニアの読者でも実践しやすい内容となっています。

88歳、トミ爺。ChatGPTをSwiftUIのコーディングメンターにする!これでアプリ開発も挫折しらずに

本書は、開発初心者でも、シニアでも手軽に取り組めるように設計されています。AIメンターChatGPTの使い方を基礎から解説し、その活用方法を示すことで、SwiftUIのコーディングが非常に簡単になることを実証します。読者がアプリ開発の楽しさと同時に、新たなスキルを習得する一助となることを目指しています。アプリ開発に挫折したことのある方でも、この一冊で再挑戦の勇気をもらえるはずです。 アップル社のiPhoneおよびiPadアプリ開発のためのソフトウェアSwiftとSwiftUIを使うにはアップル社のコンピュータMacが必要です。Windows機では通常動きません。従って、本書掲載のSwiftまたはSwiftUIを使う場合はMacが必要です。なお、ChatGPTはWindows機でも利用可能です。

5-3. サンプルを参考にする

各サイトで紹介されているプロンプトのサンプルを参考にするのもよいでしょう。

たとえば、「promptia」というサイトではChatGPTなどで使えるプロンプトの事例が多数紹介されています。

さまざまな事例を参考にすることで、プロンプト設計のヒントが得られます。

5-4. SNSなどで事例を参考にする

SNSなどで紹介されている、プロンプトエンジニアリングの事例を参考にするのもおすすめです。

たとえば、生成AIを用いて100日間連続でプログラムを作成した事例などを紹介しているアカウントもあります。

事例を参考にすることでモチベーション向上につながるだけでなく、実践学習する際のアイデアも浮かびやすくなるでしょう。

まとめ

プロンプトエンジニアリングとは、対話型AIから求める回答を引き出すためにプロンプト(指示内容)を設計・最適化することです。

ビジネスにおける生成AIの活用が進み、プロンプトエンジニアリングのスキルは重要性を増しています。プロンプトエンジニアリングは正しい知識を身につけ、正しい手順で進めていくことが大切です。

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バルテス株式会社 Qbook編集部。 ソフトウェアテストや品質向上に関する記事を執筆しています。