知的バトル勃発!? 競技プログラミング大会「PG BATTLE」って何だ?

最終更新日時:2022.09.27 (公開日:2022.08.10)
知的バトル勃発!? 競技プログラミング大会「PG BATTLE」って何だ?

企業のDX化が叫ばれるなか、プログラマーの人材育成が重要なポイントになっています。なかにはローコード/ノーコード開発で対応しようという動きもありますが、実際に自由度の高いカスタマイズや細かい機能拡張を行うためには、しっかりしたコーディングの知識が必要不可欠です。いま教育界でも情報教育やプログラミングの授業が進められています。ソフトウェア開発は、頭の柔らかいうちから学んでおくほうが、その能力も開花しやすいといわれています。そこで、いま注目されているのが競技プログラミングです。ここでは、団体競技のプログラミングを実施する「PG BATTLE」の概要について紹介したいと思います。

Qbookでは、2020年にはPG BATTLEを主催するシステムインテグレーター社社長の梅田氏へのインタビューと、2021年に問題作成を手掛けるAtCorder社代表の高橋氏へのインタビューを実施していますので、ご興味をお持ちの方はそちらも是非ご覧ください。

もくじ
    1. 企業の選考条件にも取り入れられている「PG BATTLE」とは、一体どんな大会?
    2. 問題は難しい? 競技内容や出場資格、使用言語、気になる賞品は?
    3. 今年の本大会「PG BATTLE 2022」は一体どうなるのか? その傾向と対策は?
    4. 実力が分かる! 自己研鑽の場としてのPG BATTLEに参加してみよう

団体戦のプログラミング大会「PG BATTLE」とは、一体どんな大会?

2022年で5回目を迎える企業・学校対抗プログラミング大会

2022年で5回目を迎える「PG BATTLE」は、1チーム3名編成の団体戦でプログラミングを競い合うユニークな企業・学校対抗コンテストです。プログラミングによる作品を提出して審査される一般的な大会ではなく、出題された問題を制限時間内でコーディングして解いていく大会で、オンラインでプログラムを提出する形式になります。

PG BATTLEの作問は、ロシアの「Codeforces」やアメリカの「TopCoder」と並ぶ世界三大競技プログラミングコンテストの一つ「AtCoder」を運営するAtCoder株式会社が行っています。そのため、高レベルで質の高い問題が出題され、チャレンジすることで、自分自身のプログラミングのスキルレベルを確認できます。大会の出場結果によっては、会社や学校だけでなく、外部から高く評価されるようになるなど「プログラミングスキルの客観的な実力指標」としても業界内で定評があります。

問題は難しい? 競技内容や出場資格、使用言語、気になる賞品は?

参加部門別に対決! ユニークな「飛び賞」も用意

PG BATTLEでは、1000名を超える社会人、学生が参加し、熱いバトルが繰り広げられます。参加部門は以下の3部門に分かれており、参加費は無料です。

・高校、中学、小学校(その他スクール含む)の部(18歳以下、パソコン教室などのIT系教育機関)
・大学&大学院、高専、専門学校の部
・企業の部
が対象になっています。

たとえば、2021年の参加者をみると、高校・中学・小学校の部72チーム、大学&大学院・高専・専門学校の部154チーム、企業の部197チームで、全423チーム・1269名が集結しており、その数も2回目以降から、いきなり1000名を突破し、かなり大規模な大会になっていることが分かります。

参加チームのなかで優秀な成績をおさめ、晴れて入賞すると、各部門で1位 24万円、2位 12万円、3位 6万円のamazonギフト券が進呈されるほか、上位の成績でなくてもスポンサー賞(飛び賞)が用意されている点も大きな魅力です。

PG BATTLEのルールは?

具体的な競技ルールですが、冒頭のとおり1チーム3人で参戦して、与えられた問題を解くプログラムをつくっていきます。制限時間は90分間。プログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」を用いて、4問のプログラムが提出されます。各人がレベルの異なる4つの問題に対してコーディングすることになりますが、団体戦とはいえ、各問題についてチームで相談し合うことはできません。あくまで一人ひとりが独力で問題を解いていく形になります。

TOPSICとは、株式会社システムインテグレータが提供するプログラミングスキルを客観的に測定するクラウドサービスです。オンラインでリアルタイムに利用でき、プログラミングスキルが自動採点されるなどの特徴を持っており、多くの企業が採用しています。

問題の難易度は3段階

問題の難易度は「ましゅまろ」(低難易度)、「せんべい」(中難易度)、「かつおぶし」((高難易度)というユニークな名称で3段階に分かれています(かたい順に難易度が高くなる)。そのため、チームごとに誰が、どのレベルの問題を担当するのかを事前に決めておきましょう。それぞれ出題される問題は4問。すべての問題を解けた場合は300点満点(1名100点満点)で、合計得点によって勝敗が決まります。ただし、同じ点数を獲得した対戦チームがいた場合は、解答時間が短いチームが上位になります。

プログラミング言語については、Java、C#、C++、Ruby、Pythonなど、自身が得意な主要言語を選べます。また日本語や英語で受験できるため、国内だけでなく、海外からリモートでコンテストに参加することも可能です。

今年の本大会「PG BATTLE 2022」は一体どうなるのか? その傾向と対策は?

PG BATTLE 2022は2022年10月開催

PG BATTLE 2022は、すでに10月22日(土)13:00~14:30での開催が決定しています。その後、昨年と同様に結果発表の表彰式や楽しいトークセッションの様子もインターネットで生中継される予定です。7月からエントリーが始まっています。最終締切りは開催2日前の10月20日(木)です。

問題の難易度にもかかわらず、大学&大学院、高専、専門学校の部では、毎年300点満点を取るチームもいます。同じ得点の場合は、競技時間の短いほうが勝ちになりますから、いかに問題を解いて素早くコーディングを行えるスキルはもちろんのこと、バグが出たときでも焦らずに修正していけるような能力も求められます。

したがって本大会では、いくら日ごろからプログラミングが得意で一発勝負だからといっても、ぶっつけ本番では成果が出ないでしょう。まずは試験対策として、過去問題にトライしてみて、どんな問題の傾向があるのか探ってみると良いかもしれません。たとえば、2021年の問題と解答は、「PG BATTLE 2021 問題一覧」で閲覧できます。

参考までに以下に3つの異なるレベルの問題を示します。前出のように問題レベルは3段階に分かれていますが、同じレベルでも問題の難易度が異なっています。

【ましゅまろ】難易度1:物理現象グラフィックバトル

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【せんべい】難易度2:7番勝負

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【かつおぶし】難易度3:階上の桁数

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ここでは特に紹介していませんが、より長文で、問題の意味や条件をしっかり把握しなければならない問題も多くあります。そのため90分間という制限のなかで、解きやすそうな問題から手を付けて、余った時間で面倒な問題にチャレンジするなど、時間配分を考えながら挑戦すると、余裕をもって問題を解けるでしょう(なかには、あっという間に問題を解いてしまうツワモノもいますが......)。

実力が分かる! 自己研鑽の場としてのPG BATTLEに参加してみよう

日本にはスキルを持つ優秀なプログラマーも多いのですが、概してプログラミングに対する世間の評価はあまり高くはないようです。本イベントでは、卓越したプログラミング能力がある人材の存在を世の中に知らしめて、プログラマーに対するリスペクトを得ると同時に、「なんちゃってプログラマー」の意識改革も促そうという意図があります。

また、これまでプログラミングについては、他のスポーツやゲームのように団体戦で競い合う場がほとんどありませんでした。このPG BATTLEでは、あまり目立たなかったプログラミングの世界に陽を当て、日ごろから高いスキルを磨いてきたプログラマーたちがチーム戦に参加することで、新たな切磋琢磨の場が生まれることを期待しているのです。

PG BATTLEは、プログラミング競技の世界では珍しい団体戦なので、堅苦しく考えることなく、単純に楽しめるイベントとして参加する人も多いようです。仲間同士、コミュニケーションを深めながら、大会を盛り上げていきましょう。またプログラミングのスキルを測る方法がほとんどない状況のなかで、自分のスキル水準を客観的に知るモノサシにもなるでしょう。競技に参加して、相対的な順位と自身の実力を知り、スキルアップのモチベーションにもつなげられると思います。ぜひ、この機会にPG BATTLEに参加し、プログラミングの腕試しをしてはいかがでしょうか?

執筆者:井上 猛雄

編集者/ライター

産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、株式会社アスキー入社。「週刊アスキー」副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにエンタープライズIT、ネットワーク、ロボティクス、組込み分野などを中心に、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書は、「災害とロボット」(オーム社)、「キカイはどこまで人の代わりができるか?」(SB...